これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

2024 悩める誕生日

2024年10月27日 15時27分38秒 | エッセイ
 一年で一番楽しみな日は誕生日なのだが、今年はツキに恵まれなかった。
 2日前から仕事上のトラブル続きで対応に追われ、片づいたと思ったら別の場所から苦情を受ける。よかれと思ってしたことなのに、逆に恨まれたときは全身の力が抜けるようだった。
「はああ、何でこんなについてないんだろ……」
 土曜出勤の代休日でも、家から何度も職場に電話連絡を繰り返す破目になり、休養できた気がしない。布団に入っても寝つきが悪く、20分も30分も眠れない日が続いた。もっとも、家族に言わせると「ガーガー寝ていた」とのことだが、本人はそんなことないと信じている。まあ、小さな地震には気づかなかったけれど。
 それでも誕生日がやってきた。
 昨年までは、日付が変わるとワクワクし、高揚した気分で朝を迎えたのに、今年は明るい気持ちになれない。石橋を叩いて渡るように、慎重に慎重に仕事を進め、大きなトラブルもなく退勤を迎えてホッとした。
「ただいま~」
「おかえり!」
 夫と娘がお祝いの準備をしてくれていた。
 夕食に寿司をリクエストしたら、ちゃんと用意ができている。デリバリーの寿司屋はネタが悪く、もう何カ月も頼んでいない。スーパーのテナントの寿司屋で折詰を買ってきてくれたのだが、まだシャリが温かく、新鮮なネタを載せて並んでいる。値段の割に、とても美味しかった。



「イケる~」
「これからもここで買おう」
 ケーキは、夫が開店と同時に地域で一番の店に飛び込み、小さ目デコレーションをゲット。



 フワフワのスポンジに、重みを感じさせない生クリームが盛り付けられ、鮮やかな赤に食欲をそそられる。ロウソクを立てて「ハッピーバースデー」を歌った後に切り分けた。食べすぎかしらという気もしたが、3人でペロリと平らげてしまった。
「プレゼントだよ!」
 欲しかったのは木の弁当箱。秋田杉ではなく、紀州の天然木を使用した、ちょいスリムなものを買ってくれていた。



「わあい!」
 使ってみてわかったことだが、ご飯とおかずの仕切りに工夫がある。あえて幅を抑えることにより、どの位置でも活用できるのだ。今日はご飯少なめ、多めと調整できる点が優れている。フタを開けると森林の香りが漂い、「やはり弁当箱は木だな」と確信した。
 不運続きのときこそ、人の好意が身に沁みる。
 あらためて、家族の存在を「ありがたい」と実感した。
 しかし……。
 先週末から同じトラブルが再燃している。いつまで続くことやら。
 そろそろ出口が見えてくるはず。
 ハロウィンまでに片づくとは思えないが、早く楽になりたいな。

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お久しぶりです、沖縄さん(2)

2024年10月20日 17時25分04秒 | エッセイ
 かつて都内では沖縄への修学旅行が人気だったが、バス代が高騰している昨今では少なくなってきた。
 経費節約のため、無料スポットを行程に組み込むことも重要となる。おかげで、今まで訪れたことのない見どころを知れてありがたい。
 そのひとつが座喜味城跡である。



 石垣しか残っていないのに世界遺産という点が不思議だったが、それもそのはず。600年前の琉球時代にタイムスリップできる魅力に取りつかれた。





 決して大きな城ではなかったという。





 しかし、人や空間を支配する力があちらこちらに感じられて、さぞや立派な佇まいだったであろうと察することができた。軟らかい赤土に工夫をして、強固な土台を作ったとのエピソードにも感心した。
 帰り際、階段を下りると施設名の表示の裏側が見えた。「文部省」の3文字に大きく頷く。人気スポットではないようだが、素敵なところなので、たくさんの人が見られるといいのだけど。



 メル・ギブソン監督の映画「ハクソー・リッジ」の舞台となった場所も遠目から見ることができた。



 映画自体はところどころしか覚えていないが、途中でお腹が痛くなり、トイレに行くため中座したことは忘れられない。何とも情けない話である。
 安定の万座毛。



 海がキレイな残波岬。



 そして美ら海水族館へ。



 何でこんなに混んでいるのかと不思議に思っていたら、15時の食事タイムが近いせいだった。混雑する場所は得意じゃないが、せっかくの機会なので見ることにする。
「ジンベエザメは食事のときに体を縦にするんですよ~」
 朗らかなアナウンスに「へー」と納得した。



 本部(もとぶ)まで行けば伊江島が見える。



 エメラルドの海、白い砂。
 強い陽、高い気温。
 沖縄の魅力は南国らしさにあるようだ。教員にも一定数の沖縄フリークがいる。年に一度は沖縄に行き、日焼けして帰ってくるそうだ。おそらく、今回参加した200人の生徒の中にも、沖縄へのリピーターが生まれるであろう。ここには、それだけの磁力がある。
 あわただしい毎日を忘れ、非日常を楽しんだ、忘れがたい修学旅行となった。
 お久しぶりです、沖縄さん。
 また行くからね、沖縄さん。

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お久しぶりです、沖縄さん(1)

2024年10月13日 21時30分31秒 | エッセイ
 沖縄に行った。2015年以来だから、実に9年ぶりだ。
 プライベートではなく、修学旅行引率という仕事でだったが、久しぶりの遠出はいい。
 だいたい、どの学校も、那覇到着の日に平和学習をする。各施設が南部に集中していることに加えて、初日に重い内容に取り組ませ、後半は沖縄の魅力を理解し明るい気分で終わりたいからであろう。
 まずは沖縄平和祈念資料館へ。



 沖縄の人たちは米軍だけでなく、内地から来た日本兵からも危害を加えられ、本当にひどい戦いだったと理解しないといけない。
 ガマやひめゆりの塔にも足を運んだ。



 生徒たちは、同じ年頃の少女たちが戦争に駆り出され、無残に亡くなった事実に言葉を失っていた。そういう歴史があったことを忘れないでほしい。
 翌日は遠くから米軍基地を見て、基地問題を考える行程が組み込まれていた。
 道の駅から見える嘉手納基地は空軍の基地で、戦闘機や輸送機が多いという。



 住宅に隣接した普天間基地も見た。こちらは海兵隊の基地で、オスプレイが4機並んでいるとのことだった。



 左上のがそうかな?
 どちらの基地も騒音がひどく、落下物などで危険と隣り合わせである。移設を望む声がある一方で、基地から収益を得ている者は「このままでいい」との発言をするようで、単純な問題ではないという。
「うーむ」
 首里城公園にも行った。



 5年前に火事で正殿が消失して以来、再建に取り組み、2026年に完成予定との報を聞いた。
 あの美しい城にお目にかかれる日が近づいているとは、うれしい限りだ。
 復興中の建物の上に、奇妙な形の雲がモクモクと盛り上がっていた。



 ここまで来たら、国際通りもセットになっている。
 まずは沖縄料理に舌鼓を打つ。



 ゴーヤチャンプルーもジューシー(炊き込みご飯)もイケた。宿ではコストの関係で沖縄料理が出ないから、こういう場面で食べなくては。
 お菓子御殿松尾店の2階にはカフェもあり、紅いもタルトの入ったパフェがいただける。



 これは美味しいし、見た目も端正で南国らしく、大いに勧めたい!
「そうだ、食べるだけじゃなくて、おみやげも買わないと」
 食後はブラブラと歩き、お菓子や衣類を買い求める。
「なにこれ、面白~い!」



 シーサーの絵柄が入ったパックも迷わず購入する。ユーモアがあり、かつ実用的なよいみやげといえそうだ。
「あれ、ここにもガンダムが」



 全然関連はなさそうだが、沖縄にもガノタがいることに安心した。
 そして、矢吹ジョーらしき男も……。



 仕事とはいえ、自由時間は楽しまないとね。
 この日の那覇は最高気温が32度。せっかく東京の猛暑が終わったのに、また汗をかく破目になるとは。でも南国の解放感は大きな魅力である。他校の修学旅行生や外国人旅行客に混じり、私も沖縄を謳歌した。
 次回は北部に向けての見どころをご紹介します。

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お初です 新白河駅

2024年10月06日 06時30分56秒 | エッセイ
 那須に住む母が右手の手術をした。
 幸い3日で退院したのだが、利き手が不自由になり、完治するまで家事や炊事に支障が出てしまう。お手伝いのため、食料を持って両親の家に行った。



「お父さんったら、アタシが留守の間に、一つも薬を飲まなかったのよ」
 母はお怒りモードである。
 それもそのはず、入院中、一人残された父が部屋を散らかし、夜更かし等の不規則な生活をしていたのだから。父の自己管理能力は格段に落ちたと思う。
 でも、イライラしたり、無理して動いたりすると、ゆっくり過ごしてほしいはずの母が休めない。雑炊、にゅうめん等のインスタント食品や、肉じゃがやロールキャベツ等のレトルト食品を段ボール2個ほど送り、母が家事から解放されるようにした。母は「便利なものがあるね」と喜んでくれた。
 両親の家に行ったその日、帰りの新幹線の乗り継ぎが悪かったため、ためしに新白河駅まで行ってみた。
 ここはもう福島だ。



 駅構内にはなぜかダルマが飾ってある。どうやらダルマの産地らしいとわかり、名物とおぼしきダルマ最中なるみやげを買った。



 外はパリパリ、餡はしっとり、餡と一緒の牛皮はもっちりで、かなりクォリティが高い。
「おいし~」
 味は三ツ星クラスなのに、なぜか顔が怖い……。



「ひいいっ!」
 目が合うと食べにくいではないか。
 福島といえば、三万石のままどおるが浮かんでくる。



 安定の口当たりのよさで、あっという間に10個が消えた。
 新白河っていいところだな~と思ったひとときであった。
 父はそうとうボケてきたが、途中から「娘と孫が来た」ことを理解したようで、私たちの隣に座り、ニコニコしながら楽しそうであった。
 そうだ、次に新白河に行ったらダルマを買い、両親の健康祈願をしようかな。
 あ、最中じゃないダルマでね。

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