「検温はこちらです」
「フィエスシールドの着用をお願いします」
会場のあちらこちらに手指消毒用のアルコールが配置され、室内の換気も万端だ。人数制限をして、密にならない工夫もあることに感心した。
しかし、今日は気温が高かったからか、フェイスシールドとマスクの両方をして会話すると、1分もたたないうちに視界が悪くなる。
「うわ、フェイスシールドが曇った」
乾燥して気温の低い冬場ならまだしも、これからの時期は汗や湿度との戦いが待っている。熱中症にも気をつけなければ。
中学生側は、子どもと母親の組み合わせが多い。もちろん父親との場合もあるし、子どもだけという頼もしいパターンも存在する。
「こんにちは! よろしくお願いします」
感じのよい声で挨拶され、顔を上げると、母親と息子と思われるペアが立っていた。
「どうぞお掛けください」
2人を座らせたあと、息子に視線を移した。ハキハキとしていて、中学生にしてはかなりのしっかり者だ。
「えーと、中学3年ですか?」
「え? いえ、あの、僕、父親なんですけど……」
「あらまー! 失礼しました。お若いのでてっきり……」
「ははははは」
やっちまった。Tシャツ、ジーンズという軽装に、贅肉のない細身の体、前髪長めの髪型が年齢を感じさせなかった。すべて、フェイスシールドが曇っていたから悪いのだ。このご家庭のように、夫婦のみ、母親のみの参加もある。なぜか、父親のみは極端に少ないが。
学校の特色や進路実績などを話し、相談が終わったところで、再度父親にお詫びした。
「お父様、先ほどは本当に失礼しました」
「いえいえ、いいんです。全然気にしないでください!」
ご夫婦は終始笑顔で明るく去られた。もしかして、本校を受験してくれたりして~!
来場者は中3が圧倒的に多かったが、情報収集は早い方がいい。中1、中2にも参加してほしいと願う。大学のオープンキャンパスなどに来ている中学生もいるし、塾や部活などが忙しいのかもしれないが、自分の将来と向き合う作業を優先してもらいたい。
さすがに、中1と父親を間違えることはないだろう。うん。
16時に閉会し、帰路に就く。
今年は、なるべくたくさんの中学生と接したいものだ。
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