これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

今年のうちに

2013年12月29日 20時31分33秒 | エッセイ
 年末の勤務を終え、28日から冬休みに入った。
 冷凍庫の中を整理していたら、ローストビーフのブロックを見つけた。解凍してクリスマスの食卓に載せるはずだったのに、すっかり忘れていたらしい。すぐに腐るものではないから、そのうち食べればいいやと庫内に戻す。
 その日は、高2の娘とのプリクラ撮影があった。親戚や友人への年賀状に貼るので、早めに撮らないと元旦に間に合わない。
 撮影自体は5分ほどだが、画像に落書きしたり、プリントの仕上がりを待っていたりすると、あっという間に時間が経つ。3回ほど繰り返し撮影していたら、小1時間かかってしまった。
「じゃあ、お昼にしようか」
 レストランが混む前に早めのランチをとり、後半戦は買い物に突入する。
「服が欲しいんだよね」
「じゃあ、サンシャインに行こうか」
 娘にパーカー、ジャケット、パンツ、インナーなどを買わされたが、私もトップスが欲しかった。一緒に商品を見ていたら、ピピッとくるTシャツがあった。



「なにこれ、チョー可愛い」
 胸元には洗濯物のアップリケがしてある。



 袖にはカエルがいた。



 背中にも洗濯物がはためいており、ステキなデザインだ。



 そして、お尻のあたりにはポケットが。



 これは買うしかない。
「ありがとうございました」
 しばし、気に入ったものを手に入れた満足感にひたる。
「お母さん、今日はバッグも選びなよ。5000円までね」
 すっかり忘れていたが、今年は娘から誕生日プレゼントをもらっていない。試験前で勉強に忙しく、一緒に選ぶ時間がなかったのだ。娘がおぼえていたとは想定外だった。
「今年のうちに、プレゼントあげなきゃね」
 さらに、予想外の心がけに喜び、カバン店に行く。
「これにする」
 薄いベージュの3wayバッグを選んだ。歩くときは、リュックにできるところがいい。



 欲しいものが手に入ると、ドッと疲れが出る。デパートでお茶してから帰ることにした。
「今、何時?」
「4時。もうこんな時間!」
 私は焦った。休憩したあと電車に乗り、夕飯の材料を買って帰ると、6時になってしまう。
「スーパー行くの?」
「行かないと魚が買えないよ」
「あるものですませればいいじゃん」
 娘は早く帰りたくて仕方ない。しかし、おかずになりそうな食材があったかどうか……。
「あっ、ローストビーフ!」
 残っててよかった~!



 2013年もあと2日。
 大掃除も片づけも、すべて今年のうちにすませたいものだ。

 今年の更新は本日で終了です。
 ご愛読くださり、ありがとうございました。
 おかげさまで、心安らかに新年を迎えられそうです。
 なお、新年の更新は1/2(木)ですので、どうぞよろしくお願いいたします。


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ガンプラ屋敷のクリスマス会

2013年12月26日 21時58分13秒 | エッセイ
 今年のクリスマスも、ガンプラ屋敷こと妹の家に親族が集まり、パーティーをした。
 玄関のチャイムを鳴らし、娘や夫と中に入る。
「こんばんは。カニグラタンとフルーツ持ってきたよ」
「こんばんは。今、チキンを焼いているから、もうちょっと待って」
 妹は準備に忙しそうだ。
 そして、妹の夫である義弟は、ゲストのために、クリスマスツリーにとびっきりの飾りつけをした。



「おおっ!!」
「すご~い!」
 これは素晴らしいアイデア。ツリーと組み合わせても違和感がない。
「てっぺんには、地球連邦軍のマークがあるんだよ」
 星の代わりに輝くシンボルは、義弟の手作りだそうな。器用さに、ひたすら感心する。
「あ、あれも面白いよ」
 娘が指さした先には、風変わりなサンタがいた。



「はははっ」
「似合ってる」
 こちらの衣装も手縫いらしい。連日、朝早くから夜遅くまで働いている中で、趣味のための時間を捻出するとは脱帽である。
「じゃあ、そろそろお料理を並べましょ」
 テーブルに皿を置くと、急にお腹がすいてくる。どれも美味しそうだ。



「あれ?」
 何やら、ひとつだけ浮いた小鉢が……。



 田作り……。
「カルシウム補給もしないとね。カッカッカッ」
 母が得意顔で白い歯を見せた。どう考えても、これはクリスマスの料理ではない。
「じゃあ、乾杯しましょ。ヴーヴ・クリコを買ってきたのよ」
「ブウブウ?」
 語呂はよくないが、姉が持参したシャンパンは、かなり高価なものらしい。



「かんぱーい」
 ピリッと引き締まるような味がした。
「生ハム美味しい」
「サラミもあるよ」
「こっちのカニはバター醤油炒めだけど、あっちは味がついてないから、ポン酢つけて」
「いい匂い」
「殻はこのボウルに入れよう」
「ティッシュとって」
 親族ならではの安心感で、宴会は遠慮なしに進んでいく。
「はっ」
 気がついたら、田作りを頬張っていた。まあ、これはこれでいいか。

「じゃあ、ケーキにしよう」
 食事のあとはスイーツタイムだ。
「ふっふっふ」
 義弟が不敵な笑みを浮かべ、白い箱を取り出した。



「シャアザクケーキだ!」
 噂には聞いていたが、まさかここでお目にかかれるとは。
 写真を撮り大騒ぎしていたら、姉の夫、つまり義兄が静かに立ち上がった。
「ふふん」
 彼もまた、ケーキを買ってきてくれたのだ。
 しかも、スイカペンギンのクリスマスデコレーションを。



「ああっ、こっこれは!」
 JR東日本勤務の義兄は、鉄道マニアの本領を発揮し、これまたレアなケーキの登場となった。
 シャアザクとスイカペンギンは、バチバチと火花を散らし……てはいないようだ。
 一応、イチゴのデコレーションもあったのだが、強烈な個性を持つ2つのケーキの前では影が薄すぎ、写真をアップする気にもなれなかった……。
「いただきまぁす」
 お味のほうは、断然スイカペンギンのほうが上だったが、こんなに盛り上がったクリスマスは久々かもしれない。
 来年のクリスマス会まで、あと362日。
 私も何か考えようっと。


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秋田づくし

2013年12月22日 15時15分23秒 | エッセイ
 ブロ友の片割れ月さんから、秋田県の民芸品をいただいた。
 秋田には行ったことがないので、とても新鮮でうれしい。
 まずは、ローカルヒーローである「超神ネイガー」(右)と、敵役のホジーネ(左)のストラップ。



 ネイガーという名の由来は、ナマハゲの決まり文句「泣ぐ子は居ねがぁ」だというから笑える。ネイガーに変身する前は、農業に従事する「アキタ ケン」という青年で、変身後はきりたんぽ型の剣「キリタン・ソード」を構え、比内地鶏クラッシュなる必殺技を繰り出すらしい。対するホジーネは、正気がないという意味の「ほじね」から来ており、ふてぶてしくて逃げ足も速いそうだ。仮面にはわかりやすく、「ホ」と書かれている。
 地域色が炸裂した演出に、郷土愛がドカーンと伝わってきた。間違いなく秋田は、いいところなのだろう。
 早速、ガラケーにつけようっと♪
 それから、秋田限定ナマハゲキティちゃん。



 こちらでは手に入らないレアものだ。
 銀線細工が江戸時代からの伝統工芸のようで、ブローチもいただいた。



 デザインは「ラン」で、磨き直し券も入っていた。これはありがたい。
 最後に、大きな箱が残っていた。中を開けると、「曲げわっぱ」なるお弁当箱である。



 とたんに秋田杉の香りが漂ってきて、鼻孔をくすぐる。弁当族には重宝の一品だ。こちらではプラスティック製があふれているので、しなやかでスベスベとした木の手触りや、職人の高度な技術に感動した。
「なにそれ、おひつ?」
 例によって、高2の娘が割り込んできた。
「お弁当箱だよ」
「へー、木でできてるのか。軽いね」
 箱から出すと、「取扱説明書並びにご使用上の注意」という紙が出てきた。
 ぬるま湯で数回湯通しして乾燥させると、木の匂いはなくなるそうだ。
 食洗機は使えないらしいから、夫に洗わせるのはやめよう。
 さらに、こんなことも書かれていた。



「直火・電子レンジ・オーブン等の、使用は止めて下さい」
 電子レンジはわかるけれど……。
「直火にかける人なんているのかな。燃えちゃうじゃん」
 娘も首をかしげている。
「ははは、燃えるわぁ~」
「ひひひ、当たり前だよねぇ~」
 わかり切っていることであっても、製造者としては書かないわけにいかないのだろう。

 片割れ月さん、楽しい秋田グッズをありがとうございました!
 秋田ついでに、稲庭うどんが食べたくなった。


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来年の七曜表

2013年12月19日 20時50分27秒 | エッセイ
 師走になると、七曜表の準備をする。
 七曜表ではなく別の呼び方もあるが、今日の日記は純和風でいくつもりなので、あえて使わない。
 今年は、ふた月仕様のものにした。



 これにしておくと、先の予定がわかって便利である。若い月が下になっているところが賢い。
 たとえば十二月が終わり下半分を切り取ると、二枚目にある二月が顔をのぞかせる作りになっている。
「これは大きすぎる。俺はひと月単位で十分だけどな」
 夫からは、けちをつけられたが、聞かなかったことにした。
 袋を破り、七曜表を出す。反った用紙を反対側に丸めようとして、うっかり指を切った。
「いった~!」
 七曜表に触れた部分に血がつく。



 きっと、この日はろくなものじゃないと、予言された気がした。
 ちなみに、十二月二十五日と、二十六日である……。

 先日、私の勤務先の高校で、高齢者施設に贈る七曜表を作った。残念なことに、絵心のない生徒ばかりなもので、ぬり絵式の七曜表にした。あらかじめ、印刷されている絵や文字に、色鉛筆などで色をつけて綴じるだけ。失敗なしで完成すると思ったのだが……。
「笹木先生、これ、はみ出して色を塗っているんですけど、どうします?」
 美的感覚のない生徒は、仕上がりが汚くて、とても差し上げられない出来だ。
「やめましょう」
 確認してみると、三冊くらいは不良品に仕上がっていた。
 がっかり。
 さらに、余計な文字を書きこむ生徒がいたらしい。
「陽菜の誕生日☆」
 使用済みの七曜表のようで、これも人様には差し上げられない。
 さらにがっかり。
 どうも、私と七曜表は相性が悪いようだ。
 純和風にこだわらず、素直に「カレンダー」と書けばよかったのかしらん。


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不器用な男

2013年12月15日 17時44分35秒 | エッセイ
 何年か前、夫が魚焼きグリルを洗っていたときに、ガラスを外してしまったことがある。手先がとんでもなく不器用なこの男は、必死になって元通りにしようとした。努力の結果、どうにか本体に収まったのだが、ガラスの向きが上下逆だった……。



 本人は気づかないところが笑える。面白いので、グリルは今もそのままだ。
「ママ、テレビの前の床暖房、リモコンが壊れちゃってつかないよ」
 わが家はオールフローリングなので、廊下以外は床暖房が入っている。しかし、スイッチをONにしても、作動しないと夫が騒いでいた。木目模様が冷え切って、とても座れたものではない。
「修理は頼んだの?」
「うん。明日来るって」
 一応、解決策は講じたらしい。よしよし。
 そして翌日、業者が新しいリモコンと交換してくれたのだが、どうにも違和感がある。

 何かが足りない……。

 隣の部屋のリモコンを見て、ようやく違いに気づいた。
 電源部分の「運転 入/切」の表示がないのだ。



「パパ、リモコンに貼るシール、もらわなかった?」
「ああ、これかな」



 夫が思い出したようにシールを出す。
「電源に、これを貼ってくださいとか、言われなかった?」
「そうだったかも」
 彼は隣の部屋に行き、正しいリモコンを確認したあと、シールを貼ったようだ。
 しかし、できあがりは……。



 見事に、はみ出していた。
 何で真ん中に貼れないのかと、私は首をかしげる。
 これも傑作だから、永久保存版にしようっと~♪


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2013 今年の漢字

2013年12月12日 20時45分23秒 | エッセイ
 12月12日は「漢字の日」だそうで、毎年、「今年の漢字」が発表される。
 ニュースでも報道された通り、今年は「輪」が選ばれた。いまいちピンとこないが、まあいいや。
 
 じゃあ、私にとっての「今年の漢字」は何だろう……。

 2013年を振り返ってみると、充実していて笑ってばかりの年だった。久しぶりの担任はやりがいがあるし、担任団はチームワークがよくて仲良し。古い友人と再会したり今の友人との交流を深めたりと、仕事だけでなく、遊びも盛りだくさんの毎日だった。
 本もたくさん読めたし、美術館にも何度も足を運んだ。久しぶりに「いい年」だったといえる一年であるように思う。
 ありがたいことだ。
 一番の思い出は、なんといっても6年ぶりの海外旅行である。切れたパスポートを作り直し、イギリス、フランスに入国したときの喜びは大きい。大英博物館を始め、ヴェルサイユ、ルーブル、オルセーなどを回ったことも忘れられないひとコマだった。
 外国だけでなく、小田原、福岡、鳥羽など、国内旅行にも出かけた。今まで、まとまった休みが取りづらかったので、こんなに何度も出かけた年はなかった。日帰りでも、大好きな友人と鎌倉、横浜、川越などに向かい、楽しく過ごせたことがうれしい。

 よーし、今年の漢字は、「旅」に決まり!

 

 2013年も、あと19日で終わる。
 年末は仕事量も多いし、家の大掃除もするから、もう旅行の予定はない。
 大晦日は、外国映画のDVDでも観て、旅行気分で年越ししようかな……。


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夜のターナー展

2013年12月08日 20時30分13秒 | エッセイ
 ブロ友やいっちさんのおススメで、ターナー展に行ってきた。



 まったくノーマークだったのだが、ホームページを見たら、高度な画力に釘付けとなった。会期は12月18日までと迫っている。これは急がねばと、仕事帰りに寄ってみた。
 毎週金曜日は20時まで、という美術館が増えてきてありがたい。土日は混んでいるけれど、金曜の夜は人垣もなくゆっくり観られる。
 理髪店の息子として生まれた、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーは、幼いころから絵が得意だった。父親がしばしば、息子の作品を店先に飾っていたそうだ。
 14歳でロイヤル・アカデミーの美術学校に入学を許可され、10代のうちに英国各地の風景や名所旧跡を描く水彩画家としてのスタートを切る。26歳で英国美術の最高権威、ロイヤル・アカデミーの正会員に選ばれる快挙を成し遂げ、今もなお「英国最大の画家」と称えられている。
 今回の展示は、彼の2万点を超える作品のうち、わずか110点のみであるが、見ごたえ十分で満足した。
 まずは初期の作品。
 「ウォリスの岩壁付近のエイヴォン川」(ポストカードより)


 ターナーの作品には水彩画が多い。油彩もあるが、水彩のほうが、彼の個性が際立って素敵だと思う。
 そして、「ピクチャレスク」なる画趣に富んだ景観を求め、国中を旅していたそうだ。構図にも徹底的なこだわりが感じられる反面、絵そのものは短時間でササッと仕上げたのではと察する。

 「月光、ミルバンクより眺めた習作」(ポストカードより)


 これは油彩だが、厚塗りしていないところがターナーらしい。テムズ川の上に、ぽっかり浮かぶ明るい月に視線が吸い寄せられる。水面への反射具合や空のグラデーションなど、緻密な計算で配置されており見事だ。

 「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」(ポストカードより)


 ターナーがこの絵を発表したのは1820年で、ちょうどラファエロ没後300年にあたる年だというから、2人が実際に出会うことはなかった。ターナーはスケッチブックの数ページを費やして、回廊内部を入念に観察、記録し、たったの3カ月で幅3メートルを超える大作を描きあげたというから尋常ではない。細部まで手を抜かず、奥行きのある素晴らしい作品に声を失った。

 天才だ……。

 天才には天才の苦悩があるのだろう。やがてターナーは、描写対象の輪郭をたんに色で埋めるのではなく、描こうとする水彩画のイメージを、色の固まりや帯の配置によって形成するようになる。絵具を拭き、こすり、洗うなどして格闘し、新たな手法を求めていたそうだ。
 不動の名声を得ながらも、飽くなき探求心で、さらなる前進を続けるプロ意識。つくづく、すごい画家だと感心する。
 「平和―水葬」(ポストカードより)


 これは晩年の作品で、画家仲間のウィルキーがコレラに倒れ、水葬に付される様子を追悼する絵である。空の明るさと対照的に、漆黒に塗られた船、かすれるようにたなびく煙が、死を象徴するようでゾクッとする。

 終わったあとは、いつもの通り、おみやげを買って帰るのだが、私の好きな絵はひとつも売られていない。
 
 ガーン!!

 となれば、図録を買うしかない。重かったけれど、お気に入りの絵を見るために、えっちらおっちらと持ち帰った。



 「ローマの壁とカイウス・ケスティウスの墓(バイロン卿の『作品集』のための挿絵)」(図録より)


 小さな絵なのだが、とても楽しそうで、私もこの中に入れてほしいと思った。
 ターナーの絵の具は、黄色が多く使われ、まずなくなったというから、こんなに柔らかな雰囲気が出せるのかもしれない。
 そして、一番好きな絵はこれだ。
 「逆賊門、ロンドン塔(サミュエル・ロジャーズの『詩集』のための挿絵)」(図録より)
 

 構図、色彩、タッチなど、完璧で申し分ない仕上がりである。クリアファイルやポストカード、ブックマークにしたら、絶対売れると思うのだが、どうして商品化しないのだろう。
「大作ばかりが絵じゃないよ、小さな絵も取り上げて!」と言いたい。
 ターナー展は、残りあと10日となった。
 日中働いている人は、金曜の夜にどうぞ!


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色占い

2013年12月05日 20時53分39秒 | エッセイ
 おとといは、エッセイ教室の忘年会だった。
 メンバーはすべて40代以上の女性だから、忘年会というより女子会である。
「夫と離婚しないでいられるのも、エッセイを書いて発散させているからよ」
「そうそう、いやなことは全部吐き出して、スッキリさせないとね」
 メンバーが集まると、家族の話、とりわけ夫の悪口で盛り上がることが多い。何度か、男性が教室を見学に来たこともあるが、結局入会しなかったのはそのせいかもしれない。
 以前、あるメンバーは夫とケンカしたあと、換気扇の掃除を始めた。憎い夫を換気扇に見立てて、「やっつけてやるぅ~!」と執拗にこすり続けたらしい。怒りのエネルギーが汚れを落とし、彼女の気持ちを落ち着かせた。そして、その様子を書いた作品は名作となっている。
「前菜でございます」



 ここは、地元の小じゃれたイタリアンレストランだ。
 店内は、クリスマスらしく装飾されており、お料理も口当たりのよいものばかり。
 メインの魚料理も、オリーブオイルのソースとマッチしていて、とても美味しかった。



「じゃあ、本日の余興です。みなさん、この中から好きな色をひとつずつ選んでください」
 リーダー格の凛さんは、いつも楽しい企画を用意してくれる。今日は「色占い」らしい。彼女が差し出した紙には、赤、オレンジ、黄色、緑、水色、うぐいす色、紺、ピンクの8色があった。
「私は水色」
「私も水色」
 姉と講師の先生は、同じ色を選んだ。二人とも、クールで冷静な雰囲気なのだが、他にも意味があるらしい。
「水色の好きな人は、マイペースな面があるそうです」
 凛さんの言葉に、みんな「へー」とうなずいた。
「私は赤」
「私はピンク」
 好きな色は、人によって違う。活動家、女子力の高さなど、それぞれの個性を映し出しているようで興味深かった。
「砂希さんは?」
「えーと、オレンジにします」
 本当は、茶色が好きなのだ。ちょっと濃いめの茶色は、インテリアなどにも多用される木の色である。でも、この紙にはないので、「太陽」を連想するオレンジにした。
 オレンジは社交家の色で、積極性を表すという。これからは身につけてみたい。
 ちなみに、茶色は「大地」を表し、落ち着いて堂々とした人間に見えるとか。組み合わせると、最強のビジネスウーマンになれそうだ。
 デザートはクラフティ。



 バナナの味が舌の上に広がり、満足満足。
「そういえば、小雪さん、お元気かしらね」
 持病がぶり返し、現在お休み中のメンバー、小雪さんの話題になった。彼女のエッセイは実にユーモラスで、誰にも真似できない面白さがある。腹筋が痛くなるくらい、笑い転げたこともあったのに、もう2年近く会っていないことを残念に思う。
「じゃあ、よいお年を」
「よいお年を」
 忘年会がお開きとなった。
 帰る道々、色にたとえたら「白」の小雪さんのことを考える。白は、清潔、シンプル、質素などを表す色らしい。

 そうだ、クリスマスカードを送ろう!

 翌日、カードを選びに行ったら、ちょうどよさそうなものがあった。



 中を開くと、ベルトコンベアーが回るようにできている。楽しい彼女にピッタリだ。



 これにしようっと♪

 来年は、小雪さんも忘年会に来られるといいな。


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12月といえばコレ

2013年12月01日 20時29分27秒 | エッセイ
 今日から12月である。
 私は12月が一番好きだ。クリスマスという、大きなイベントがあるせいだろうか。プレゼントとごちそうを持って親族と集まり、今年も飲んで食べてしゃべって過ごすことになっている。
 ああ楽しみ!
 そんな理由もあり、毎年、12月に合わせてアドベントカレンダーを買う。これは、12月1日から25日クリスマスまでのカレンダーで、日付の窓を開けるとチョコレートなどの菓子が入っている。カウントダウンの楽しみと、お菓子が食べられる喜びが味わえ、私は好きだ。
 去年までは生協で注文していたのだが、毎年同じというのも何なので、今年は別の店で購入することにした。店員に勧められ、人気ナンバーワンの商品を選んだ。



 このカレンダーは、日付のシールを自分で貼れるところが、他の商品と違う。箱を裏返すと、シートが挟まっていた。



「小さいお子さまは、シールを貼るのが大好きですから、買っていかれるお客様が多いです」
 そんな言葉を思い出し、元・小さなお子さまの娘に声を掛けた。
「ねえ、このカレンダー、自分でシールを貼るんだって。やってよ」
「はあ? 何で日付が入ってるのを買わないのよ」
「子どもは貼るのが好きだからだって」
「ナメてんのか~! 高校生が喜ぶわけないでしょ」
 と言いつつ、やり始めるところが面白い。
「テキトーでいいよね」
 まず、ツリーのところに、靴下シール。



 妥当な配置だと思っていたら、丸いシールがサンタさんの足に……。



 サッカーしているみたい。
 さらに、サンタさんの顔にまで……。



 おやおや、何も考えていないな。
 本当にテキトーにシールを貼り、カレンダーが完成した。



 そして、本日、ようやく「1」の窓を開けるときがやってきた。
 どんなチョコレートが入っているのかとワクワクしていたら、ブレザーのボタンほどの、小さな丸いものだった。しかも、取り出すときに割れるくらい、薄くて厚みもない。
 幼児向けだから、こんなサイズなのだろうか。もっと、大きくしてくれればいいのに。
 今度は、私が叫ぶ番だった。
「ナメてんのか~!」

 ま、そういう問題も全部ひっくるめて、楽しみましょう♪


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