これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ワインセミナー

2016年10月30日 22時19分51秒 | エッセイ
 星占いによると、私は今「モテ期」なんだそうな。
 幸運が次から次へとやってきて、「うほほ」と喜ぶ時期になっているらしい。
 身に覚えはなかったので、「ホントかよ」と疑わしく思っていたが、間違いではなかったらしい。
「ワインセミナーに当選されました。おめでとうございます」
 先日、こんな電話がかかってきた。たしかに、応募したことはおぼえているが、まさか本当に当たるとは。文書が送られてきて、ようやく現実のものとして認識できた。



 今回は、妹と出かけることにした。
 埼京線の車内で待ち合わせ、会場に向かう。会場であるイタリアンレストランでは、どの席も4人掛けとなっており、相席であるらしい。18日生まれは直感に優れているという話なので、「ここがよさそう」と思う席に座る。
「こんばんは」
 向かい側に座ったのは30代前半らしい女性と、60代後半に見える女性である。どちらもオシャレで感じのいい人で、私の直感は間違っていないと自信を持った。
 セミナーは、サントリー種類株式会社所属のソムリエが講師となり、進められていく。



「お酒を作るには、通常、糖分、水分、酵母が必要となりますが、ワインにはこれらを添加する必要がなく、ぶどうそのものが原料という、最も自然なお酒です」
 講師の話は、ワインの長所を中心に組み立てられているようだ。
 焼酎やウイスキーに比べるとアルコール度数が低くて飲みやすいこと、酸味があるから食事と合うこと、赤ワインにはポリフェノール、白ワインにはミネラルが含まれ、体に良いことなどを熱心に語っていた。
 次に、ワインの造り方に進む。赤ワインは種や皮も一緒に発酵し、液体を取り出して熟成されるから色が赤い。白ワインは、ぶどうをプレスしてジュースだけを搾り発酵させるから赤くない。すでに知っていることだが、改めて説明を受けると、初めて聞いたような気がするから不思議だ。
「質問いいですか」
 相席のマダムが手を上げた。
「スパークリングワインやシャンパンには炭酸が入っていますが、あれはどうやって作るのでしょう」
 それは私も聞いてみたい。いい質問である。
「作り方ですか。まずは普通のワインを作ります。これに砂糖と酵母を加えると炭酸ガスが発生するので、二次発酵をして作るというわけです」
 だが、答えにはガッカリした。つまり、私の好きなスパークリング系には、すべて砂糖が加えられているわけだ。血糖値を下げたいと思っているのに、これでは無理だろう。
 その日、いただいたワインは4種類であった。
 フレシネ コルドン・ネグロという辛口スパークリング。



 サンタ バイ サンタカロリーナという白、サンタ バイ サンタカロリーナ カベルネソーヴィニヨン&シラーという赤。



 エル・グリル マルベックという赤である。
 おかわりもできるので、すっかり酔っぱらってしまった。
 おつまみは、生ハムとサラミ、フリットと



 ピッツァであった。



 食べ盛りではないが、これでは到底足りない。ほぼ無料のイベントだから、あまり贅沢はいえないのだが。
「私はもう若くないから、そんなに食べなくていいの。もっと食べてね」
 相席のマダムが気をつかう。
「私は2階の〇〇店で働いています。よかったら今度来てください」
 30代の女性ともあれこれ話をした。二人とも気さくな人柄だったから、海外旅行や家族の笑い話を聞かせてくれて、ほんの2時間ではあるが楽しく過ごすことができた。また会えたら嬉しく思う。
 セミナーは、おしゃべりが終わったころにお開きとなる。最後の方は話し声ばかりで、誰も講師の話を聞いていなかったかもしれない……。
 おみやげに赤の小さなワインをいただいた。



「物足りないね。デニーズでも行く?」
「行く行く」
 妹を連れてファミレスに向かう。大食漢の自覚はないけれど、もうちょっとお腹を満たしたい。
 パスタは2人でシェアし、パフェは1個ずつ食べた。



 締めはコーヒー。当然だろう。
 妹とは久しぶりにたくさん話をした。義弟の仕事のこと、甥のこと、姪のこと、両親のことなどなど、親族全員がいる場では話せない話題で盛り上がり、こちらがメインだったのではという気がした。
 日頃から姉らしいことはしてあげられないので、ひとときだけでも役に立てればと思う。
「ああ、楽しかった~!」
 パフェを食べ終わり、妹が笑いながらこう言ってくれたとき、ワインセミナーが当たってよかったと感謝した。苦労していないように見えても、あれこれ重いものを抱えていることがわかったからだ。
 すっかり遅くなってしまった。妹と別れて、足早に家に向かった。
 私の中でも重いテーマが渦巻いていた。
 スパークリング、シャンパン、血糖値……。
 えーん、砂糖を加えて二次発酵しているなんて聞いてないよ。
 モテ期の幸運はどこへ行った?


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テニブスの血

2016年10月27日 21時32分53秒 | エッセイ
 中学時代は軟式テニス部に所属していた。
 しばしば「テニブス」と揶揄されたが、短い丈のスコートをヒラヒラさせて走り回れば、それなりに格好よく見える。大して上達せずに卒業したのは、練習熱心ではなかったからだ。上手くなりたければ練習するしかないのに、それが面倒で仕方なかった。今から思うと、頭の悪いガキであった。
 すっかりオバさんになってからジムに入った。真っ先に「スカッシュをやりたい」と思ったのは、テニブスの経験があったからだ。「今度こそ、上手くなるまで頑張ろう」と気合を入れる。
 スカッシュのラケットはテニスよりも小さい。



 ボールもミニサイズなので、ときどき空振りする。
 ん? もしや、私だけ!?
 コートは狭い。幅6.4m×奥行き9.8mの床は、四方を壁に囲まれている。見上げれば、高さ5.6メートル以上の天井がコートに蓋をするように覆いかぶさり、開放感はゼロである。
 でも、この狭さがいいのだ。私はコントロールが悪く、テニブス時代はよくホームランをかっ飛ばしていた。ネットから場外に出たボールを、コソコソと拾いに行くのが情けなかった。これも練習嫌いの一因かもしれない。
 それに比べて、スカッシュは球拾いが全然苦にならない。壁に囲まれているから、ボールはビリヤードのように跳ね返ってくる。この競技を考えた人は、賢かったに違いない。
 隣のコートからは「パコーン」という高い打音が聴こえてくるが、私のラケットからは「ブヨーン」という鈍い音しか出てこない。テニス崩れの打球なんぞ、そんな程度だろう。球足は遅いし、フラフラと弧を描いて、まったくスカッシュらしくない。壁打ちの練習といったほうが正しいような気がするが、ごくまれに、「パコーン」と聞こえるときもあるから、やはり練習が肝心。めげずに続けよう。
 先日、ラケットバッグを買った。



 これさえあれば、ラケット持参で出勤し、帰りにジムに寄れる。
 スカッシュのいいところは、1人でも2人でもプレイできる点だ。娘がいれば2人でやるが、彼女は私以上に下手なので、球が返ってこない。1人のときは、コントロールが定まらないから、右に左に走る破目になり大汗をかく。休憩中に、水筒を持つ手がガクガクと震えたのには驚いた。
「そうだ、素振りをしよう」
 中学時代より、今の方が10倍も100倍も忙しい。でも、なぜか練習したくてたまらない。
 フォア100回、バック100回とラケットを振ること自体が楽しい。
 ああ、テニブスの血が騒ぐ。


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ポイントで祝う誕生日

2016年10月23日 21時35分23秒 | エッセイ
 誕生日でうれしいのは「おめでとう」の温かい言葉。
 お皿に載った豪華な料理。
 加えて、丁寧にラッピングされたプレゼントがあればなおいい。
 去年は、たまっていたデパートのポイントでバッグを買った。自分の懐は痛まないし、気兼ねなく好きなものが手に入ることから味をしめ、今年は狙って貯めてみた。買い物はなるべく一か所ですませ、少額でもクレジットカードを使う。ショッピングのポイントと、引き落とし時のポイントの両方が増えていき、またまた結構な額になった。
「さあて、何をゲットしようかしら」
 物欲はさほど強くない。でも、洋服となれば話は別だ。着ていない服を整理してでも、新しい服が欲しい。
「ブラウスがもう一枚あるといいな」
 よし! ポイントカードを持って出発だ!
 ブラウスだったら、ナラ・カミーチェがいい。店員さんと相談しながら、今ある服に合わせられるデザインを探した。シックで大人っぽいものが見つかった。



 これから寒くなるから、上に羽織れるものも必要だ。ブラウスに合うカーディガンも並んでいた。



 おっと、予算オーバー。
 しかし、慌ててはいけない。夫と娘から「好きなものを買って」と現金をもらっているので、これと合併すればよい。
 かくして買い物終了~!
 デパートとは別に、スーパーのポイントもたまっている。6月からクレジットカードに切り替えた途端、ポイントがたまりやすくなり、わずか5カ月で6000以上になった。1ポイント1円で利用できるから、これを使わない手はない。
「えっと、シャンパンないかな、シャンパン」
 陳列棚を探すと、モエ・エ・シャンドンの隣にヴーヴ・クリコのハーフボトルが行儀よく並んでいた。
「きゃあ、ヴーヴちゃん♪」
 元は姉から勧められたシャンパンなのだが、口当たりがよくて私も好きになった。夫も娘もシャンパンは飲まない。私一人だけならハーフボトルで十分。これで3700ポイントを消費し、残りはチーズやスモークサーモンなどのつまみにあてた。



 ポイントの有効期限は1年。また温存して、「来年はドンペリ白19800円と交換できるかも」とたくらんだ。
 自分の財布から買うのではダメなのだ。買い物のおまけが雪だるま式に膨らみ、ブラウスやシャンパンに化けるとなると、お得感が格段に大きい。まさにこれこそプレゼントではないか。
 ささやかだけど、愉しみがあるから主婦は頑張れる。


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2016のバースデイ

2016年10月20日 21時56分29秒 | エッセイ
 珍しく夫が私の誕生日を思い出したようだった。
「ママ、ちょっと画面見て。誕生日はここで食事しようと思うんだけど、どうかな」
 池袋の鉄板焼きらしい。「お誕生日コース」なるものが映っていた。
「いいよ。楽しみ」
「じゃあ予約しておく」
 夫は今年で70歳になった。歳を重ねるごとに、ボケが進んできた感はあったが、やはり……。
 いきなり受話器をとると、私の目の前で電話をかけ始めた。
「はい、18日の火曜日19時に3名、お誕生日コースでお願いします。プレートの名前は……」
 ……それって、本人の前ですること?
 唖然としている様子には気づかない。他人の反応には無関心になり、自分の行動ばかりに注意が向くらしい。あとから娘に「何であとにしなかったのよ!」と叱られていた。
 クイズ番組を見ていても、珍答が飛び出したりする。
「北条政子」と答えるべきところで、「徳川政子だ!」と叫んだときは笑った。日本史に弱い娘が「そんな人いたっけ」と首をかしげても、「勉強不足だなぁ」と取り合わない。時代が全然違うんだが。
 しかし、美味しいものの前では、細かいことを気にしてはいけない。
「かんぱーい」
 店員からはシャンパンと言われたが、これは絶対スパークリングワイン。



 夫は飲まないし、娘はワイン系が苦手。
「へっへっへ。私が3杯飲んで進ぜよう」
 全部いただきました!
 前菜2種に





 シーザーサラダ。



 アワビ。



 茶碗蒸し。



 フォアグラ。



 オマールエビ。



 フランベするときに、ハロウィンに登場するゴーストのような炎が上がった。
 イェ~イ!



 肉はサーロインだったかな……。



 ガーリックライスのあとには



 お目当てのバースデープレートがやってくる。



 ロウソクだけではなく、花火が刺さっているところが新しい。
 バチバチ、バチバチと景気のいい音を立てて、賑やかに祝ってくれるのだ。
「じゃあ、お写真撮りますよ。はいチーズ」
 3人で記念撮影もしてくれた。
 さて、この店はORCA(オルカ)という。シャチという意味らしいが、なかなかおぼえられない。
 火の残像が強すぎて、私のイメージでは「炎(ほむら)」なんだけどな。
 ごちそうさまでした。


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土日必見「眞葛󠄀ミュージアム」

2016年10月16日 21時49分00秒 | エッセイ
 ワインディナーをいただくため、横浜まで行くついでに、寄りたい場所があった。
 今年で没後100年となる宮川香山の作品を紹介する「眞葛󠄀ミュージアム」だ。ブロ友さんに、土日しか開館していないと教わっていたので、日曜日のその日を逃すわけにはいかなかった。
「えーと、セブンイレブンの通りを直進……。あった、あそこだ」



 小さな建物なので、15分から30分で見られるようだから、終わったらエッシャー展をはしごしようと思っていた。時計は15時15分を指している。閉館は16時だし、慌てることもなさそうだ。
「こんにちは」
 建物の外には警備員の男性がいたが、来客とわかると笑顔で声をかけてきた。受付の女性も感じのよい対応で、わざわざ練馬くんだりから駆け付けた甲斐があると感じる。



 入館料はわずか500円。しかも、この日はスペシャルなオプションつきであった。
「あのう、よろしければ、ご来館のお客様に解説をしたいのですが、お時間ございますでしょうか」
 白地のシャツに、紺のコットンパンツを組み合わせた40代前半とおぼしき男性が、降ってわいたように登場し声をかけてきた。館内にいたのは私と年配の女性2人組の計3人であった。
「はい、大丈夫です」
「ぜひ」
 何だかよくわからないが、とってもラッキーなのではという予感がした。
 男性は「こんな格好をしていますが、私はこちらの館長をしている者です」と名乗り、宮川香山のエキスパートらしかった。
「香山は京都で代々焼き物を生業とする家に生まれました。眞葛󠄀が原という場所だったので、眞葛󠄀焼きという名がついています。坂本龍馬の7歳下になります」
「幕末の京都は戦乱期です。とても創作には向かず、香山は横浜に1000坪の眞葛󠄀窯を構えます」
「このジャンルでは、明治期の重要文化財が2つしかないのですが、どちらも宮川香山です。でも、香山の作品は国内にはほとんど残っていません。大部分を海外に売っていますし、横浜大空襲で3代目は亡くなっていますから」
 ああ、という落胆の声が聞こえた。惜しい人を亡くした、というのはこのことだろう。
「香山は、作風を変えていくところに特徴があります。最初は薩摩焼風で、上絵付の作品なんです。明治9年頃には高浮彫りに変わります」



「明治15年には、シンプルで落ち着いたものが好まれるようになったため、清朝の磁器がブームになりました。香山はこれを研究し、明治20年には釉薬作品でアールヌーボーの作品を送り出します」



 なるほど、「超絶技巧」の代名詞がつくのは、複数の作風でトップに躍り出た尋常ならざる技量を褒めたたえてのことか。
「アールヌーボーは曲線の美です。香山の作品は絵付けと曲線が見事に融合しています」
 そういえば、姉もこの写真が好きだと言っていた。彼女は、高浮彫はくどくて受け付けないらしい。私はどちらも好きだけれども。
 ちょうど、増上寺に貸し出し中の作品が、写真だけになっていた。



「これではない、ワタリガニの作品があるのですが、そちらが重文になっています」
 そこで、ピンときたため、館長さんに質問をしてみた。
「その作品は、サントリー美術館で展示されていたものですか?」



 このワタリガニはやたらとリアルで、お見事というしかなかった。
「正確にいうと、ワタリガニの作品は3つあるんです。ひとつは東京国立博物館が所蔵していて、2つめは田辺さんという人が持っています。サントリー美術館で展示されたものはこちらです。3つめは和菓子の源吉兆庵のものです」
「へええ~」
 明確なお答えをありがとうございます。
 顔料についての説明も興味深かった。赤や青の色は、高温で発色する。低温では違う色なのだ。何度でどの色が発色するかを試行錯誤しながら見つけ出し、美しい色彩の作品を生み出したとか。誰よりも研究熱心な方であったことは間違いない。
 明るい緑色は他の窯ではなかなか出せず、眞葛󠄀色といわれたらしい。さきほどのアールヌーボーのような色彩である。気品があっていい色だと思う。
 他にも、気に入らない作品は割っていたので、眞葛󠄀窯には磁器の破片が砂利のように敷き詰められていたこと、初代は絵も上手だったこと、ロイヤルコペンハーゲンと眞葛󠄀焼きが並ぶと「コペンハーゲンが青ざめる」と言われたことなども聞き、ますます香山が好きになった。
 解説を聞くまで、高度な技巧に気づかない作品もあった。



「下地の模様は手作業でつけているんですよ。乾燥しないように工夫をしながら、規則正しく線を入れています」
「ええっ」



 指摘され、初めて理解した。ラーメンの丼に描かれているような模様が、花瓶全体を覆っている。これを全部手でつけたというのか。何と粘り強く精密な作業だろう。私だったら、気が狂ってしまうかもしれない。まったくもって、尋常ではない。
 解説は30分ほど続いたろうか。閉館までの残りの時間は自由に見学し、お土産を買って駅に戻った。


 (ポストカード)


 (クリアファイル)

 すご過ぎて、エッシャー展にはもはや興味がなくなった。
 栗原はるみの「yutori no ku-kan」という店で休憩する。



 6種類のデザートから4種選び、飲み物つきで1080円は安い。しかも美味!
 バニラアイスクリームにベイクドチーズケーキ、プレーンシフォンケーキ、カボチャのプリンにした。



 とろける味のデザートプレートをいただきながら、入館してから退館するまでの45分を振り返る。
 今日は運がよかった。他人様のアドバイスは素直に聞くものだと実感する。この施設を教えてくれたブロ友さんには感謝するばかりだ。
 人生は宝探しのようなもの。いたるところに宝が埋まっているから、どこで何に巡り合うかわからない。
 感性を研ぎ澄まし、これからも自分の信じる方向に「エイヤッ」と進んでいこう。


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ランボルギーニ地獄

2016年10月13日 21時59分11秒 | エッセイ
 横浜そごう10階にあるイタリアンレストラン「アルポルト・クラシコ」に行った。目当てはワインディナーである。
「お料理は美味しいし、グラスワインが5杯もついていて9800円よ。ここはおススメ」
 以前に横浜在住のブロ友さんが絶賛していたので、「いつか行くぞ」と決めていた。ようやく、呑兵衛の姉と都合が合い、めでたく予約を完了したというわけだ。
「いらっしゃいませ」
 丁寧な挨拶の後に案内された席が、お見合いをするテーブルのように立派なことに驚いた。



 テーブルの隅には、ワインと料理の資料が目立たぬように用意されていて、向学心をそそられる。もちろん、それ以上に食欲もそそられた。
「乾杯のスパークリングです」
「きゃあっ」
 シュワシュワッと弾けるグラスが、いいタイミングで運ばれてきた。これは含めれば、ワインは6杯飲める計算となり、「元がとれるのかしら」といらぬ心配をした。
 前菜盛り合わせ。



 ワインはチウチウ社の「エヴォエ」である。



「チウチウだって、クスクス」
 姉は社名がツボにはまったらしく、なかなか笑いが止まらない。
 そんなにおかしいかしら?
 どの前菜も美味しかったが、鶏レバーのペーストとローストビーフが気に入った。やはり私は肉食なのだ。
 品種パッセリーナ100%のワインは、さっぱりしていて飲みやすかった。
 秋刀魚の炭火焼き ブラウンマッシュのタリオリーニ。



 え、秋刀魚のパスタ? と戸惑ったのだが、信じられないくらいタリオリーニと一体化している。塩味といい脂の載り方といい、おしどり夫婦のような相性であった。
 次もワインは白で、アンティノリ社の「ブラミート・デルチェルヴォ・シャルドネ」。



 味は忘れてしまった……。
 伊産栗と4種チーズのリゾット 自家製サルシッチャと共に。



 栗の甘みとチーズの塩気が、やじろべえのように釣り合っているリゾットであった。
 ワインは、ここから赤になり、コンティ ディ ブスカレート社の「ラクリマ ディ モッロ ダルバ」が登場する。ラクリマは涙の意味らしい。
 正直いって、今までのワインはどうでもいい。4杯目のワインが私にとっては重要であった。
 何と、あのスーパーカーで有名なランボルギーニ社の「カンポレオーネ」というワインなのだ。





 小学生のとき、カウンタックが「速くてカッコいい憧れの車」として、しばしば話題に上った。


  (Wikipediaより)
 
 まさか、ワインも作っているとは。
 カウンタックにはご縁があるはずもなく、片思いで終わったけれども、ワインならば手が届きそうだ。



 お味のほうも、深みがあってオーソドックスな印象を受ける。
 お料理は、エゾ鹿のポワレ 森の果実ソースが登場した。



 さて、最後のデザートは、ブドウのマチュドニア 巨峰のソルベ ミントのエスプーマ添えである。



 これに合わせたワインが、相当な曲者であった。
 マラミエーロ社の「インフェリ」なのだが、「地獄」の意味というから思わず身構える。
 そういえば、わが国にも「魔王」や「閻魔」という名の焼酎があった気がする。
 口に含んでみると、甘いような辛いような、苦いような酸っぱいような、いくつもの味覚が混在しているものだから、目を白黒させて飲んだ。人間の持ついくつもの欲望が凝縮されている味、という気がして、ネーミングの妙に感心するばかり。決して美味しいとは思わないけれど不味くもない。好きとはいえないのに気になって仕方ない。こんなワインは初めてだ。
「美味しかったぁ」
「満足、満足」
 姉が「足りないッ」と暴れることもなく、私が「飲み過ぎた~」とつぶれることもなく終わったのは、お料理のインターバルがちょうどよかったからだろう。
 横浜は遠いけれど、もっといろいろなイタリアワインを飲んでみたい。
 また行きま~す!


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2016 鴻巣花火大会

2016年10月09日 23時14分34秒 | エッセイ
 昨日は鴻巣花火大会を見に行った。今年で4年目だ。
 もちろん花火には期待しているけれども、埼玉県在住の友人2人と連絡を取って、終了後、一緒に夕食をとるのも楽しみになっている。年賀状のやり取りはしていても、実際に会えるのはこの行事だけなのだ。
 今年は雨上がりのせいか、湿度が高くて、あまり寒さを感じなかった。中綿入りのジャケットを着込んだ娘は「暑い暑い」を連発していた。
 観覧席は駅から遠い。つい横着をして、路上の「まずまず見えるスポット」ですませてしまう。
「キレイ~」



 冒頭は風がなかったので、煙が邪魔をしていい写真が撮れない。



 私の腕が一向に上達しないことを棚に上げて、ひたすら煙のせいにする。
「雲が邪魔で見えないね」
 横に立っていた女性がボケをかました。雲はこんなに低い場所にないはずだが、あれれ……。



「ウニョウニョウニョ、ジュビジュビジュビ」
 後ろの集団は外国人らしい。何を言っているのかわからなくても、美しい花火に興奮している様子は伝わってくる。中国以外のアジアの方と察した。今回はあちこちから外国語が聞こえてきたので、「国際的な花火大会になったのだな」と時代の移り変わりを感じた。



 友人2人は開始時間に来ない。「最初は見てもつまらないから、7時半くらいでいっか~」という感覚だから、終わってからでないと合流できないのだ。はたして、来ているのか。
 8時15分あたりからクライマックスに差し掛かる。
 この時間帯は、色とりどりの大きな花火が惜しげもなく打ち上げられ、観客からも「おお~」と歓声が上がるし、拍手も起きる。これを見るために来たのだと言えるくらい、見ごたえがある。





 ラストは四尺玉、のはずだった。
 しかし、何が起きたのか。地上に上がらず、建物よりも低い場所で炸裂したようだ。



「ああ……」
 去年もその前も天空に舞い、力強い閃光を放った姿が浮かんできた。今回はその雄姿が見られず残念だが、また来年頑張ってほしいものだ。
 早速、友人たちに連絡をした。今年は30分歩いて観覧席まで行き、気合いを入れて見ていたらしい。もしや来ていないのではと疑っていたくらいだから、意外過ぎて驚いた。
 大宮のレストランで待ち合わせ、一年ぶりの再会を果たす。
「お母さんたちは3人グループだったの?」
「ううん、違うよ。6人グループだったけど、残りの3人は遠くに住んでるから来られなくてね」
「ふーん」
 代わりに、私の娘がグループに入り込み、4人で行動しているのだから不思議なものだ。
 携帯を見たら、さいたま市に住む妹からメールが来ていた。
「8時半くらいに、雷みたいな音と地響きがしたけど、東京でもした?」
 おやおや。
 実は、ツイッターでも地鳴りや地響きを感じたというツイートがたくさんアップされている。鴻巣花火大会の四尺玉失敗との関連を指摘する内容が多いが、影響があったのだろうか。
「時間的に、きっとアレだろうね……」
 今年はしんみりした花火大会になってしまったが、お料理が運ばれてくると元気になる。



 また来年も友人たちに会えますように。


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ひとり旅はお好き?

2016年10月06日 21時17分40秒 | エッセイ
『旅行読売』11月号の特集は「ひとり旅」である。



 正直いって、ひとり旅のどこが楽しいのかわからない。
 電車や飛行機での移動中は、話し相手がいないと退屈だ。待ち時間も長く感じることだろう。
 目の前にドーンと鎮座する山を見ても、豪快にしぶきを上げて流れ落ちる滝を見ても、「キャア、素敵!」とはしゃぐことができない。もちろん、ひとり静かに眺めても感動するのだが、感動を共有する相手がいると、相乗効果で思い出の濃度が2倍3倍になっていく。あとから脳裏に浮かんでくるのは、心を揺さぶられた景色と家族や友人の笑顔である。
「今月号は保管しておく必要ないかしら。ひとり旅なんてしないもん」
 そんな気がしてきた。
 一方、ひとりっ子の友人は、ひとり旅が好きだと言う。
「一人でいるのに慣れているから淋しくないし、周りに気をつかわなくていいから楽しめるのよね」
 ふーん、そんなもんですか?
 三人姉妹の私は、気兼ねなく過ごせる家族旅行、仲間と無茶をした学生時代の合宿、朝から晩まで観光づくめの女子会旅行、異性と二人きりのラブラブ旅行くらいしかしたことがない。おそらく、おひとり様で旅行することはありえないだろう。
「いやまてよ、そういえば似たような経験が……」
 クラス担任を持っていた数年前のことを思い出した。修学旅行の下見のため、沖縄まで2泊3日で出かけたことがある。同行者は20歳年下の独身男性だったから、親子感覚で行動することができてよかった。気をつかうこともなく、移動中はお互いに本を読んだり居眠りしたりして過ごし、都合のいいときだけ会話を交わしていた。
 エメラルドグリーンの海を見たときは「キレイ~」「スゴイっすね」などと褒めたたえ、ブルーシールの珍しいアイスを食べては「うまい~」と喜び、戦争の傷跡に言葉を失いながら沖縄を満喫した。仕事が終われば「また明日」と部屋にこもって翌朝までは完全オフ。
 私はメールとストレッチをしたあと、ひたすら寝ていた。そのときだけは、睡眠不足が解消できて幸せだった。彼は普段と違う生活がうれしくて、朝までテレビを見ていたそうだ。半分はひとり旅状態だったけれど、オンとオフの切り替えが上手くできていたせいか、悪くなかった。いわば、1.5人旅だったのかもしれない。
「ということは……」
 ペッパーなどのロボットが市販される時代になったら、彼らを旅行の友にするのがいい。ひとりは淋しいから、誰も相手にしてくれなくなったときに便利である。自分が話したいときだけしゃべり、眠くなったら遠慮なく寝て、勝手気ままに歩き回っても、嫌な顔をせずにつき合ってくれるだろう。
 前言撤回。
 今月号は、他の号より大事にとっておこう。


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息継ぎコワイ

2016年10月02日 21時40分42秒 | エッセイ
 魚のようにスイスイと泳げるようになりたいが、水泳は苦手だ。
 いや、苦手だからこそやらねば。
 え? イヤだったらやらなくていいんじゃないの。
 でも、日曜日の午後は空いているんだから、今日がチャンスでしょ。頑張らなくちゃ。
 そうだね、空いてるときに、気兼ねなく練習すればいっか。
 スポーツクラブに行く前、プールに入るかどうか一人で悩んでいた。10mくらいなら泳げるが、どうにも息継ぎが下手で、25mは厳しい。20年以上前に夫に平泳ぎを教えてもらい、一時は50m泳げるようになったのに、その後サボっていたせいか元に戻っていた。2週間前、プールに入ったら、息を吐くことも忘れていたし、手足の動きがちぐはぐで全然前に進まない。苦しくなって、何度も足をついてしまった。
 自転車だったら、乗り方を忘れることはないだろう。しかし、水泳はそういうわけにいかないようだ。20年前と違って、筋力も体力も落ちている。果たして、私は魚になれるのか。
 いや、どうせだったら人魚になろうと欲が出てきた。リトルマーメイドのアリエルのように、美しく泳ぎたい。
 勇気を出してプールサイドにたどり着く。平日18時以降は混むようだが、日曜の12時以降は予想通りガラガラだ。ウォーキングレーンに3人、レッスンレーンに2人、片道レーンに1人いるだけだから、私がどんなにゆっくり泳いでも迷惑はかからない。
 キャップの上のゴーグルを下げる。私が小学生のとき、ゴーグルは使わないのが普通だった。時代が変わり、今はゴーグル着用が一般的である。初めてゴーグルを着けたとき、水の中の景色が全然違うのに驚いた。塩素で目が痛くならないし、視界がクリアでやる気が出る。外見はブサイクになるが、周りもみんな同じようなものだ。第一、鏡を見なければわからないからどうでもいい。
 小学生のときからゴーグルの威力を知っていれば、10mしか泳げないまま大人にならずにすんだかもしれない。もったいないことをしたと残念に思う。
 実は、フォームの修正のため、手足の動きを練習してきた。テニスや野球では素振りをするのだから、水泳でも素かきをすれば上達するに違いない。部屋に座布団を敷き、腹這いになって手足を連動させて動かす。娘や夫からは変な目で見られたけれど、プールで恥をかくよりはずっとマシだろう。伸ばして曲げて頭を上げて息継ぎ、と繰り返す。イメージトレーニングもできたし、これで大丈夫と根拠のない安心感を持った。
 そんなことを思い出し、ザブンと片道レーンの往路に飛び込んだ。
 家で練習した通りに体を動かすと、20年前に夫から教わったことが浮かんできた。
「あ、息継ぎの頭が上がり過ぎてる」
 水から頭を出すときは、最小限の高さに抑えるんだっけ。頭を上げすぎると足が下がり、速度が落ちると言われたおぼえがある。力は入れない。力まず両手を伸ばし、縮めて水をかくときに息継ぎ。ゴールは遠いが、徐々に近づいてきた。この調子、この調子。
 アリエルにはほど遠く、葉っぱか何かが水流に乗って動いている程度の泳ぎだが、どうにか25mを泳ぎ切った。心臓の鼓動は速い。続けて泳ぐだけの体力はないから、ジャグジーで少々休んで復路に向かう。復路も、ノロノロながら足をつかずに泳ぐことができた。結局、3往復だけで終わったことは内緒にしておこう。
 まずは水に慣れることが大事と悟った。週イチは泳いでスピードを上げ、人魚を目指さなくては。
 自分にノルマを課すことも必要だ。
「よし、背泳ぎができるようになるぞ!」
 なぜ背泳ぎなのか。
 息継ぎをしなくていいからでーす!


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