父の新盆のため、那須で暮らす母を訪ねた。
「いらっしゃい。そろそろ迎え火を準備しようか」
姉は先に着いており、母は私が来たタイミングで、まだ午後3時だというのに迎え火をしたがっていた。父が空から「まだかな」と覗いていると思ったのかもしれない。
「4時ごろでいいんじゃない」
「そう。わかった」
母はあっさり引き下がった。1時間であれば待てるのだろう。
故人は、お盆に帰ってくると言われている。8月13日に、魂が迷わないよう火を焚き「ここだよ」と知らせるのが迎え火、16日に「また来年ね」と送り出すとき焚くのが送り火なんだそうな。作法はよくわからないが、どちらにも参加したかったので、3泊4日でお泊まりすることにした。
「せっかくだから、どこかに出かけるかぁ」
迎え火を終えたあと、郡山まで行ってみることにした。カフェやレストランもいいけれど、目当ては温泉だ。電車でも行かれる日帰り温泉を探したら、結構、いいところが見つかった。
まずは、翁島(おきなしま)温泉。郡山から磐越西線に乗り、猪苗代の次が翁島だ。

ここで下りて徒歩5分、玉の湯旅館で日帰り温泉が楽しめる。ただし、毎日ではないので、あらかじめインスタで実施日をチェックする必要がある。ちなみに、お盆休みは毎日実施していた。

この温泉は、静かで落ち着くところがいい。午後2時に着いたときは、私と娘の貸切であった。湯温もちょうどよく、お風呂上りには広間でくつろげる。リュックで凝った肩もほぐれた。ただし、近くにカフェ等の店はない。10分歩けばレストランがあるけれど、この日はクローズしていて行き場がなかった。
「磐梯山が見えるじゃない」
幸い、トイレの心配はなかったので、国道沿いの歩道から山の写真を撮りまくった。

山好きにはたまりませんな~。
景色を堪能したあとは、上り電車に乗って郡山に戻った。
翌日は、郡山より栃木寄りの鏡石駅にある、弘法不動の湯を目指した。

ここは駅から徒歩10分ほどで行かれる、人気スポットらしい。朝8時の開店以降、地元の人を中心に洗い場がふさがるほど賑わっていた。
湯温は低めでのぼせにくい。いつまでも浸かっていられる点がありがたい。日焼けでダメージを受けた肌が、ツルツルに蘇ってきた。
風呂上がりは冷水をいただき、アイスクリームを買った。こちらも近くにカフェはないが、のんびりくつろげる場所があるので助かる。
鏡石という町は、小学校も町役場も、きれいに整備されている。駅の施設も新しくて使い勝手がよい。駅には「かんかんてらす」という売店が隣接されていて、野菜や土産を販売しているのだが、マシンのコーヒーもある。電車が来るまで、ちょっと休憩をした。なかなかいい場所だ。

3泊4日の最終日は送り火だ。迎え火と同じように玄関のドアを開け、火を焚いて故人を送り出す。それまで曇りだったのに、火が燃え尽きる頃から、急に雨が降ってきた。私たちは口々に驚きの声を上げる。
「うわ、雨」
「いきなり降ってきた」
「そういえば、お父さん、雨男だったね」
「外に出れば降られてたから」
「今、出て行ったってことか。あはは」
雨はどんどん強くなってきた。送り火が終わると同時に、全員が屋内に飛び込む。みんなで父に「また来年」と声を掛けた。
日帰り温泉にも、また来年。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「いらっしゃい。そろそろ迎え火を準備しようか」
姉は先に着いており、母は私が来たタイミングで、まだ午後3時だというのに迎え火をしたがっていた。父が空から「まだかな」と覗いていると思ったのかもしれない。
「4時ごろでいいんじゃない」
「そう。わかった」
母はあっさり引き下がった。1時間であれば待てるのだろう。
故人は、お盆に帰ってくると言われている。8月13日に、魂が迷わないよう火を焚き「ここだよ」と知らせるのが迎え火、16日に「また来年ね」と送り出すとき焚くのが送り火なんだそうな。作法はよくわからないが、どちらにも参加したかったので、3泊4日でお泊まりすることにした。
「せっかくだから、どこかに出かけるかぁ」
迎え火を終えたあと、郡山まで行ってみることにした。カフェやレストランもいいけれど、目当ては温泉だ。電車でも行かれる日帰り温泉を探したら、結構、いいところが見つかった。
まずは、翁島(おきなしま)温泉。郡山から磐越西線に乗り、猪苗代の次が翁島だ。

ここで下りて徒歩5分、玉の湯旅館で日帰り温泉が楽しめる。ただし、毎日ではないので、あらかじめインスタで実施日をチェックする必要がある。ちなみに、お盆休みは毎日実施していた。

この温泉は、静かで落ち着くところがいい。午後2時に着いたときは、私と娘の貸切であった。湯温もちょうどよく、お風呂上りには広間でくつろげる。リュックで凝った肩もほぐれた。ただし、近くにカフェ等の店はない。10分歩けばレストランがあるけれど、この日はクローズしていて行き場がなかった。
「磐梯山が見えるじゃない」
幸い、トイレの心配はなかったので、国道沿いの歩道から山の写真を撮りまくった。

山好きにはたまりませんな~。
景色を堪能したあとは、上り電車に乗って郡山に戻った。
翌日は、郡山より栃木寄りの鏡石駅にある、弘法不動の湯を目指した。

ここは駅から徒歩10分ほどで行かれる、人気スポットらしい。朝8時の開店以降、地元の人を中心に洗い場がふさがるほど賑わっていた。
湯温は低めでのぼせにくい。いつまでも浸かっていられる点がありがたい。日焼けでダメージを受けた肌が、ツルツルに蘇ってきた。
風呂上がりは冷水をいただき、アイスクリームを買った。こちらも近くにカフェはないが、のんびりくつろげる場所があるので助かる。
鏡石という町は、小学校も町役場も、きれいに整備されている。駅の施設も新しくて使い勝手がよい。駅には「かんかんてらす」という売店が隣接されていて、野菜や土産を販売しているのだが、マシンのコーヒーもある。電車が来るまで、ちょっと休憩をした。なかなかいい場所だ。

3泊4日の最終日は送り火だ。迎え火と同じように玄関のドアを開け、火を焚いて故人を送り出す。それまで曇りだったのに、火が燃え尽きる頃から、急に雨が降ってきた。私たちは口々に驚きの声を上げる。
「うわ、雨」
「いきなり降ってきた」
「そういえば、お父さん、雨男だったね」
「外に出れば降られてたから」
「今、出て行ったってことか。あはは」
雨はどんどん強くなってきた。送り火が終わると同時に、全員が屋内に飛び込む。みんなで父に「また来年」と声を掛けた。
日帰り温泉にも、また来年。

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