これは したり ~笹木 砂希~

面白いこと、妙なこと、不思議なことは、み~んな私に近寄ってきます。

2018 今年の漢字

2018年12月16日 20時31分13秒 | エッセイ

 2018年の漢字は「災」……。
 たしかにそうだ。宅配便大手の某企業に勤める義弟が、災害の多い今年の状況を「異常」と分析していた。荷物を予定通りに届けることができず、あれこれ難儀したらしい。この先も同じペースで地震や集中豪雨が発生したら、いったい日本は、いや地球はどうなってしまうのか不安になる。
 金沢から札幌に引っ越した高校時代の友人が、北海道の地震で停電に見舞われた。心配してメールを送ったら、「星がキレイに見えるよ」と返ってきたので、ちょっとは心が軽くなったけれど、災害が起きないに越したことはない。来年は平穏な年であってほしいものだ。
 さて、私の今年の漢字は何だろう。去年の今頃は、ブログもできないほど忙しくなるかもしれないと警戒していたが、ありがたいことにそうならなかった。旅行にも行き、美味しいものも食べブログを続けて、相変わらず呑気に過ごしている。
 だが、ガラっと変わったところもある。早起きをして、猛暑にめげず、秩父札所巡りを終えたことだ。同僚に倣って、観音堂で仏前勤行次第、般若心経、回向文をあげたときの爽快感といったらない。何より、線香の香りが好きだ。煙の漂う場所で経を読むと、体から余計なものが剥がれ落ち、脱皮して新たな肉体が生まれてくるような清々しさを感じた。
「こんな世界があったのか」とわかると癖になる。毎朝、起きたらうがいをして身を清め、弁当を作り始める前に勤行に励む。輪袈裟を下げて数珠を持ち、般若心経を唱えると、明るい一日を過ごせる気持ちになれる。



 だから、私にとって、今年の漢字は「経」なのだ。
 6月からの習慣が身についた結果、般若心経は暗記することができた。出勤するとき、買い物に行くとき、無意識に頭の中で読み上げている。さすがに、声に出したら怪しい人になるので気をつけよう。
 でも、ときどき忘れることもある。寝坊した朝は、支度をして間に合わせることしか考えていないので、勤行まで手が回らない。昨日は朝からカーテンを洗ったり、窓ふきをしたり、大掃除のことしか頭になくて失念した。
「ダメじゃん!」
 失敗もあるけれど、一日のスタートを爽やかにするため、この先もずっと続けるだろう。
 てことは、来年の漢字も「経」、再来年も「経」、ずっと「経」かなぁ。
 いやいや、別の漢字にしようよ。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (4)

小銭を探せ

2018年12月13日 22時36分09秒 | エッセイ
 職場の近くに美味しい和菓子の店・喜田家がある。
 特に気に入っているのが、どら焼きの「六人衆」だ。フワフワで舌触りもよく、しっとりとしている。
 賞味期限が2日後となっているのは、添加物等の使用を控え、ヘルシーだからであろう。餡は甘すぎず、かといって味気ないこともなく、口当たりのよい仕上がりとなっている。思い出すと、無性に食べたくなる味だ。
 大概、昼前には売り切れてしまい、なかなか手に入らないが、土曜出勤でたまたま11時頃に足を運んだら、まだ商品が残っていた。



「えーと、娘と夫と私で3個でしょ、それからいつも頑張ってる副校長にも買わなきゃ」
 合計4個。レジに持っていくと、「648円です」と言われた。だが、財布の中には支払いに適した紙幣がない。
「あらっ、千円札がない。一万円札でいいですか」
 レジの女性は困った顔で苦笑いをしている。
「細かいお金はありませんか」
 財布のファスナーを開けて硬貨を探してみた。500円玉はあったが、あとは5円玉や1円玉ばかりだ。
「うーん、うーん、648円……」
 50円玉を2つ発見した。これで600円か。10円玉は1枚しかないが、5円玉が7枚あった。神社のお賽銭ようにキープしていたものだが、この際、わがままは言っていられない。1円玉も5枚ほどあるから、どうにか足りそうだ。
「えーと、648円ですよね」
「はい、そうです」
「何とか足りそうです」
 ジャラジャラジャラッと硬貨をトレイに置くと、女性は安堵したような表情を浮かべた。
「ちょうどですね」
 この日は土曜日だった。釣銭として用意していた小銭がなくなると、営業できない可能性もあるだろうから、やたらと喜んでもらえた気がする。
「じゃあ、これも、よかったら召し上がってください」
 捻出感のお礼として、彼女は紙袋に白いパッケージのお菓子を放り込んだ。



 モチモチしていて、こちらもかなり美味しいという事実を私は知っていた。
 最初から千円札や小銭があったら、いただきものをすることもなかっただろう。
「ラッキー!」
 もちろん、美味しくいただいた。
 わざとじゃないけど、最初から手の内を見せないというのも作戦かしら。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (5)

やっと会えたよ シャンシャンに

2018年12月09日 21時17分33秒 | エッセイ
 その日は朝からドキドキワクワク、ウキウキパホパホしていた。
 なにしろ、シャンシャンに会うため上野動物園に行くのだから。公開当初はWebで申し込み、当選しなければ見られなかったが、やがて整理券制度になり、いつの間にやら受付時間終了までに並ぶ方式に変わっていた。混雑状況にもよるが、おおむね15時頃まで受付をしているようだ。
「午前中は用事があるけど、午後はフリーだから並べるぞ」
 というわけで、寒空の下、長い長~い行列の最後尾につく。待ち時間は50分。午前中はもっと混雑するらしいので、トイレをすませてお並びください。
 40分も経つと、パンダ舎の入口にたどり着く。



 もうすぐだ、と思うと心臓の鼓動が速くなってきた。誰もが同じ気持ちでいることだろう。
 室内が見えてくる。



 からっぽ……。隣には、外で元気よく遊んでいるライブ映像が流れていた。
 ガラスの向こうには、映像通りに屋外を歩く2頭の母子が見えている。



 いた~!
 お母さんのシンシンはお尻が汚れている。土の上にペタリと座っていたからであろう。



 後ろをついていくシャンシャンも、薄汚れた毛皮をまとっているが、見るからに楽しそうだ。



 こっち向いて~!



 活動的で、あっちへウロウロ、こっちへトコトコ移動するものだから、なかなかシャッターチャンスが訪れない。しかも、下を向くことが多く、思うような写真は撮れなかった。
 でも、会えただけで幸せ。お尻をふりふり、ちょこまかと歩く姿が何とも愛くるしい。パンダはいつの時代でも人気者だ。見ているだけで両頬が緩んでくるのは、生まれながらのアイドルだから。時間の許す限り、ずっと眺めていたいと思う。今度は朝イチで並び、午後イチでも並び、終了間際にも並んでみようかしら。
 すっかり影が薄くなってしまったけれど、お父さんのリーリーも隣でフラフラ歩いていた。



 さて、時計を見ると、まだ3時半だ。どこか暖かい場所はないだろうか。
「爬虫類館がいいかも」
 西園までの途中で、見事に色づいたイチョウを見つけた。



 やっと到着。



 寒い場所から湿度も温度も高いところに入ったので、カメラもメガネも曇った。



 あったけ~!
 3連になっているイエアメガエルに笑った。



 こちらは陶器のようなベルツノガエル。



 何て蛇だったかな。



 ガラスにへばりつき、お腹を見せるカエルもいる。



 帰り際には、にぎやかなケープペンギンにも手を振った。



 遊んだあとは休憩だ。公園改札内のシーズカフェに立ち寄った。
 ワッフルとソフトクリームのセットが美味しい。



 飲み物をカフェラテにしたら、ここにもパンダが登場した。



 ふと、入場券の写真を思い出した。やっぱりシャンシャンだ。



 生まれたときは、こんなに小さかったのに、今日のシャンシャンはかなり育っていた。来年にはシンシンと区別がつかなくなるかもしれない。
 また会いにくるからね!


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (10)

2018 六義園紅葉ライトアップ

2018年12月06日 20時47分15秒 | エッセイ
 職場から六義園までの所要時間は、バスと電車を乗り継げば20分以内だ。桜の時期は超多忙で行く気力がなかったが、紅葉の見頃を迎えた今なら頑張れそうな気がする。
「よし、行くか!」
 日記を見ると、去年は12月5日に姉を誘って出かけていた。
 今年も、12月5日の夜なら時間が取れる。2年連続、同じ日に行くのもまた一興であろう。
「あれ、今年は暖かいな」
 去年は夕方から日没まで粘る予定だったのに、寒さに負けて、早々に引き揚げた。でも、今年はマフラーも手袋もいらないくらいポカポカしている。紅葉見物には都合がいい反面、温暖化が駆け足で進行しているのではと不安になった。
 今なら開いている染井門から入り、順路に沿って歩くと、さっそく青白い光が見えてきた。



 かぐや姫は、ここで生まれたのではないか。
 カップルで、友達と、気の置けない同僚と、ライトアップを見に来た人が多いらしい。景色への感嘆の声、まったく関係ない噂話、もっと関係ない自分の話などが聞こえてきた。



 こちらは一人だから話し相手がいない。



 夕食を準備して家で待つ夫を思い浮かべ、なるべく早く帰らねばと速足になった。



 赤一色、黄一色の色づきよりも、緑や茶色などのバリエーションが豊富な紅葉が好きだ。



 新鮮だったのは、青のライトで照らされたエリアである。



 品よく引き締まる雰囲気となり、日中では見られない顔を見せてくれた。



「あ、素敵! いいわね、これ」
 カップルたちも立ち止まり、うっとりと眺めていた。私もじっくり見ていたかったが、「早く帰りたい」気持ちに負けた。



 残りの紅葉をサクサク撮って駒込駅に向かった。





 短時間だったけれど、異世界に迷い込み、探検してきたような高揚感がある。気分転換にはもってこいだ。
 来年も、12月5日に来ようかな……。
 3年連続を狙います!


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (10)

考えるポンコツ

2018年12月02日 21時47分40秒 | エッセイ
 私の職場に、電気ポットなどという文明の利器はない。
「お湯、沸かしてあるよ」
「わーい、ありがとうございます」
 毎朝、数学科の再任用の先生が、やかんで沸かしたお湯を魔法瓶に入れてくれる。彼が休みのときは、私がやっている。
 だが、私の席はガスコンロから離れているので、お湯のことをすっかり忘れてしまうときもある。30分ほど経ってから思い出し、シュンシュンと怒り続けているやかんに肝を冷やした日も少なくない。
 気の利く先生が「あとは私がやってあげよう」と魔法瓶に入れてくれたこともあるが、火事になったら大変だ。何とか、忘れない工夫をせねばならない。
「電気ポットだったら楽勝なのにねぇ」
 前の職場では電気ポットを使っていた。水を入れれば自動的に沸騰させ、98度にキープしたまま待っていてくれる。便利な反面、水を補充し忘れてカラカラになったり、最後の職員が電源を切らずに帰ってしまったりで、ヒヤリとしたときもあった。
 何を使うにせよ、火の用心を怠ってはならない。
「どうして忘れちゃうんだろう。パソコンに夢中になるからかな?」
 そこで、ノートパソコンの画面の上に、「お湯」と書いた付箋紙を貼ってみた。



「うん、これなら忘れないかも」
 たしかに、ある程度の効果はあったが、神経が文字に集中するとダメだ。
「あ、そういえば、さっき……」
 あわててコンロに飛んでいき、激しく湯気を立てているやかんに怒られる。何で、こんなポンコツに成り下がってしまったのかと落ち込んだ。
 やっと、最近になっていい方法を思いついた。お湯が沸くまで、ちょうど9分とわかったからだ。
「えーと、今、7時50分でしょ。59分になったらまた来よう」
 不思議なことに、「○時に××」というおぼえ方なら、私は忘れないらしい。腕時計をちらりと確認し、ナイスなタイミングでガスコンロに向かう。やかんもゴゴゴゴとテンションを上げており、「よし、来たな」と褒めてくれる。
 ピロリ菌退治の抗生剤もこの手で乗り切った。夕食後は、なんやかんやで飲み忘れの危険がある。だから、食べ終わったときに時間を確認し、「今8時だから、薬は8時半に飲もう」と自分に理解させる。何とか7日間、忘れずに飲み切ったことがうれしい。
 何で数字ならおぼえていられるのだろう。
 計算が苦手だから、適度な緊張感が保てるのかな……?


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (12)

ティッシュをナメないで

2018年11月29日 20時47分35秒 | エッセイ
 最寄りの駅ビルでは、毎年、11月末に大感謝祭を行っている。セールはもちろんのこと、お買い上げ金額に応じて福引きができるから、地元の人間からは好評だ。
「特等は湯河原温泉の一泊旅行か、1等がポータブルテレビ?」
 どうも、今年の景品は好みのものがない。2等から4等もキッチンバッグだのクリアファイルセットだの、ショボいものばかりが並んでいた。5等の500円商品券のほうがよほど役に立つ。
「でも、抽選券がないんだよね」
 11月は奈良に行ったり、休日出勤したり、墓参りに両親との外出などが続いていたので、買い物自体をしていない。唯一スーパーで何度か食材を買ったときに、2回分の抽選券をもらったくらいだ。でも、そのビルに入っているJTBで旅行代金の支払いをしたとき、一気に10回分の抽選券が手に入った。
「よしっ!」
 合計12回の福引きができるなら、何か当たるかもしれない。くじ運にはまったく自信がないが、ひとまず行ってみよう。
「おめでとうございまーす!」
 福引き会場は熱気に包まれていた。カランカランと鐘が鳴らされ、スタッフたちの拍手が聞こえる。金色の玉が特等、紫色の玉が1等、赤い玉が2等、などと掲示されていた。何となく、私にも幸運の女神がほほ笑むような気がしてきた。
「お待たせしました。えーと、12回ですね」
 スタッフに抽選券を渡し、ガラガラのハンドルに手をかける。この道具の名前はガラポンともいうが、新井式回転抽選機というのが正式名称らしい。ゆっくり回して、ワクワクしながら、どの色の玉が出てくるかを楽しめるところがいい。
 1個目は白だった。これは参加賞のポケットティッシュだ。まあ、最初はこんなもんだろう。
 2個目も白、3個目も白、4個目も白。
「ありりりりり」
 その先もずっと白白白白。いつまでも白。永遠に白。結局、12回分全部が白だった。
 ガーン!
 スタッフのお姉さんは、手慣れた様子でレジ袋にティッシュを詰め込んだ。
「こちらが参加賞です。どうぞ」



 あーあ、残念。
 でも、ティッシュといえどもバカにできない。那須の両親にあげれば喜ばれるし、出先では何度も花粉症の娘から「ティッシュを忘れた」と頼られた。クリアファイルよりは出番が多いかもしれない。ありがたくいただこう。
 今日はこんなことがあった。
 立地が悪くて、普段はまったく行かないパン屋さんに寄ってみた。久しぶりにパンが食べたくなったのだ。近場で買う手もあったが、これといった理由もなく、遠回りしたくなる。あんパンとアップルパイを買い、朝食用にすることにした。
「本日、創立記念日ですので、こちらを入れておきます」
 レジのお姉さんが、赤くて小さなものをパンの外袋に入れた。おやおや、何だろう?
 家で開けてみたら、袋の口を閉じるクリップだった。



 おお、これは使える!
 調べてみたら、ポンパドウルは11月29日で創業49周年を迎えるそうだ。今日だけクリップを配っていたとわかり、タイミングのよさに我ながらビックリした。
 ささやかないただきもので、幸せ気分になれるのも特技のうち?


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (10)

ピロリ菌がいっぱい

2018年11月25日 20時18分25秒 | エッセイ
 昨年の人間ドックで萎縮性胃炎と診断され、今年は胃内視鏡検査を受けてみた。(関連記事はこちらから)
 先日、結果が届いたのだが、やはりやはり……。



 しかも、ピロリ菌までいるらしい。抗体検査が陽性となっていた。



「あーあ、イヤだなぁ」
 しかし、放置すると、胃がんリスクが高まるらしい。抗生剤で80~90%は除菌できるというので、何の予定もない土曜を待って外来に行ってみた。
「笹木さん」
 私を呼んだ医師はまだ若い。ベテランのいる平日でもよかったのだが、ピロリ菌退治なら、医師の経験にさほど左右されない気がする。思い切って来て正解だったと思った。
「これが胃内視鏡検査の写真ですね」
 医師がカルテに添付された胃の粘膜を確認する。私も同じ写真を持っているのだが、アップすると「気持ち悪い」と苦情が寄せられ、二度と訪問してもらえないかもしれないからやめにする。
「ああ、いますね。ピロリ菌が」
 一体どこに写っているというのか。私には1体も見えない。いや、仏像ではないのだから、1匹というべきか。それとも、単純に1個と呼べばいいのか。複数? 集団? くだらないことを考えても、見えるのは赤い粘膜だけだ。
「結構、荒れていますね」
 健康な胃には、襞(ひだ)があるそうだが、私の胃はのっぺりとしていた。何を根拠に「荒れている」と判断したかは不明である。ピロリ菌たちが暴れて、いくつもの足跡がついているのかもしれない。自覚症状ゼロなのだからタチが悪い。
 薬は実にわかりやすいパッケージであった。高齢者が多いのではないかと予想する。



「1日2回、朝夕の食後に飲んで下さい。途中でやめると効果が出ません」
「はい」
「ひどい下痢やじんましんが出た場合はご連絡ください」
 ここで、少々ためらった。朝食後に薬を飲み、出勤中にお腹が痛くなったら困るではないか。しかも、授業中に「うう、ちょっとトイレ」などと言えるはずもないし。
 でも、胃がんリスク軽減のためには頑張らねば。
「よし、月曜日から始めよう」
 投薬中のアルコール、食べ過ぎなどはご法度である。薬の飲み忘れは、さらに許されない。
 なんとしても、忘年会シーズンの前に終わらせてみせます!


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (6)

叔母の葬儀

2018年11月23日 20時56分33秒 | エッセイ
 叔母が死んだ。75歳だった。
「夜中に起きてトイレに行きたいって言うから、連れて行ったら、戻ったあとに呼吸が止まっちゃったのよ」
 叔母の娘、つまり私の従姉が無念そうにつぶやいた。
 夜には大好きなビールを飲み、美味しい料理も食べて、何も思い残すことはなかったのではないだろうか。
 姉と妹と打合せ、3人で通夜に参列することにした。
 叔母は愛煙家だった。多分、10代の終わりから吸い始め、70代まで続いていたのだろう。愛煙家はえてして短命な気がする。
「来てくれてありがとう。母も喜んでいます」
 従姉が労いの言葉をかけてくれた。思えば、10年前には叔父が亡くなっているから、彼女の両親はすでにない。覚悟していたとはいうものの、葬儀の手配をして、叔母の遺影やアルバムを準備し、なおかつ参列者を迎え入れる作業を淡々とこなす姿勢には頭が下がる。
 焼香後はお清めの席で寿司などをつまみ、叔母の思い出を聞いた後、新宿駅に向かった。
「さあ、夕飯にしょう。お疲れさまぁ~」
 先週は、両親や姪と一緒に上野で展覧会を見たけれど、3姉妹だけで会う機会はさほどない。叔母の通夜がメインとはいえ、終わってからの食事も楽しみにしていた。
 まずは、この店のウリであるロールキャベツを注文する。姉のリクエストでピクルス、チキンも一緒に。



「熱い、熱い!」
 舌を火傷しそうになりつつも、いい塩梅に焦げ目のついたロールキャベツにかぶりつく。さっぱりしている反面、チーズの香ばしさが引き立つ美味しさだった。
「そういえば、腰痛になった人の話を聞いたじゃない?」
 妹がロールキャベツをハフハフしながら話しかける。従姉が、「○○さんは急に腰が痛くなって来られない」と言っていた件だとわかった。
「聞いたね」
「あれって、死んだ人が乗ってくる重みで、腰をやられるんだって」
「えー」
 実際、妹は去年の今頃、腰を痛めている。私の高校時代の担任が亡くなったとき、妹の部屋の電気が何の前触れもなく消えたり、スマホの電源が入らなくなったりと、怪奇現象が起きた直後だ。
「あれって、絶対、姉さんの担任が絡んでいると思うんだけどね」
 そうだった。霊感ゼロの私に替わって、元担任は私の妹の枕元に立った。「お前の姉さんは職場を異動するぞ」とか「お父さん、気をつけろ」などの予言をして去っていったというから、なまじ霊感があると苦労する。実際、父は半年後に肺炎で入院し、退院後も酸素ボンベに頼る生活をする破目になった。
「ねえ、蟹クリームコロッケも頼まない?」
「いいねぇ」
 話題に関係なくお腹は空く。



 叔母は、従姉の夫をたいそう気に入っていた。「うちの娘は、いい人にもらわれてよかったよ」が口癖だったというから、亡くなったあとも「あの人と一緒なら大丈夫」と安心しているのではないだろうか。
 ちょうど、昨日は「いい夫婦の日」であった。何十年も家庭内別居と化している我が家はさておき、従姉の家では、ますます夫婦の絆が強くなったと推測できる。
「ラストオーダーですが、いかがなさいますか」
「じゃあ、キノコのベーコン炒めもお願いします」



 これが絶品だった。厚切りベーコンから肉の旨味がしみ出し、淡白なキノコを同化させている。かといって油ぎっているわけでもなく、さっぱりしているのに、しっかり味がついていて箸が止まらない。家でも、これくらいの料理が出せるといいのだが。
「お腹いっぱい」
「さて、行くか」
 心ゆくまで飲んで食べて、新宿駅をあとにした。
 母は5人姉弟の長子である。最初に亡くなったのは、末子の叔父であった。今回亡くなった叔母は、二番目だったから、今は3人しか残っていない。
「伯母さんは元気だから長生きしそうだね」
 従姉が笑いながら、妹に言ったらしい。タバコを吸わず、ほとんど酒も飲まない母である。ぜひ健康で長生きしてほしい。
「うう~、いてててて」
 妹の言葉が気になり、腰のストレッチをする。
 叔母さん。
 ご冥福をお祈りします。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (6)

快慶・定慶のみほとけ展

2018年11月18日 21時55分29秒 | エッセイ
 栃木県に住む両親が、上野の東京国立博物館で開催中の「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」展を見たいと言う。
 大報恩寺は、別名、千本釈迦堂といい、父の親戚にあたる男性が住職を務めているらしい。10月に住職が行った講演会の様子を新聞で報道していたので、コピーを送ったところ、父が「行きたい」と言うようになったそうだ。
「18日なら空いているよ。来る?」
「うん、行く」
 というわけで、今日はジジババにつきあって、トーハクまで出かけることにした。
 どうせ行くなら、連れがいた方が楽しい。姉と妹、姪、娘を呼んで、プチ親族会としゃれこむ。
「遅いなぁ。公園口で待ち合わせって言ったのに」
 両親以外の5人が揃っても、なかなか言い出しっぺの2人が来ない。そのうち、電話がかかってきた。
「あ、お母さん」
「改札に着いたんだけど、どこにいるんだい?」
「公園口って言ったでしょ。どの改札に出たの?」
「改札だよ」
 上野駅には、浅草口、不忍口、入谷口、山下口、広小路口など、たくさんの改札がある。確実に会えるよう、公園口を指定したのだが、趣旨が通じなかったようだ。
「振り返って改札の名前を見てみて」
「えーと、中央改札って書いてある」
「中央口か。今、迎えに行くから、そこで待ってて」
 娘と私はお迎えに、姉たちはカフェの席取りに、それぞれ分かれることにした。
「ごめんね。間違えちゃって」
「いいよ、仕方ない」
 姉は8月に両親と上野の森美術館に行っている。そのときは、無事に公園口まで来られたそうだ。今回は乗る車両を変えたと言っていたから、別の階段を使ってわからなくなったのかもしれない。
 4月に肺炎で入院した父は、もう長い距離を歩けない。上野駅から東京国立博物館の平成館まではかなりの距離があるため、途中のパークサイドカフェで休憩することにした。
「こっちこっち」
 すでに席を確保した姉たちが店内から手を振る。ようやく両親にも笑顔が戻り、ジャケットを脱いでくつろぎはじめた。この店は、コーヒーも紅茶もポットで提供するところが嬉しい。カフェオレを注文した私には、エスプレッソのポットとホットミルクのポットが並べられ、お好みでブレンドしてくださいとの言葉が添えられる。満足度が高く、すっかり気に入った。
「さあ、じゃあ行こうか」
 休憩後は、いよいよトーハクに向かう。大報恩寺展は、通常の特別展の半分のスペースで展示されているので、30~40分で見られるはずだ。歩きながら、母が予期せぬことを言い始めた。
「住職さんも来ているんだろうね」
「え? いないんじゃない」
「いないの?」
「講演会には来たけど、それ以外は来ないでしょ」
「じゃあ、このおみやげ、受付の人に渡しておいてもらおう」
 どうやら、両親は親戚にあたる住職に会えると思って、わざわざ黒磯から上野まで電車に揺られてきたらしい。考えてみたら、美術展には、とんとうとい両親である。寺とは別の組織が開催している展示だから、みやげは持ち帰るように諭した。上京する目的を、もっと詳しく聞いておくべきだったと反省する。



 正直いって、両親のつき合いで見る展示だから、ほとんど期待していなかった。
 しかし、予想を裏切る仏像や観音像の数々に、すっかり魅了された。柔和な表情の多い仏像が、快慶や定慶にかかると、キリリと引き締まりシャープな表情になる。釈迦如来坐像、千手観音菩薩立像、誕生釈迦仏立像の知的で聡明ないでたちに釘付けになった。
 出口付近の六観音菩薩像は圧巻である。如意輪観音菩薩坐像から始まり、准胝観音菩薩立像、十一面観音菩薩立像が輝いてみえた。馬頭観音菩薩立像はあまり目にしたことがなかったので、じっくりご対面する。ちょっと怖いけれど、頭上の馬がなんとも愛らしく印象的だ。千手観音菩薩立像の隣に並んだ聖観音菩薩立像だけは、写真撮影も可能でありがたい。



「へえ~、なかなかいいじゃない」
 妹や姉の意見も同じだった。両親の勘違いで来た展示とはいえ、こんなに素敵な観音様にお会いできるとはラッキーだ。
 芸術鑑賞のあとはランチである。刺身御膳が4人前と



牛すき焼き御膳が3人前。



 おしゃべりしながら食べて、クリスマスの予定などを打ち合わせた。
「ところで、お父さん、仏像好きだったの?」
 何気なく聞いてみると、父はニヤニヤしながらいたずらっ子のような目をして答えた。
「いや、好きじゃねぇな」


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (8)

ボジョレー殺人事件

2018年11月15日 22時06分52秒 | エッセイ
 本日はボジョレー・ヌーヴォー解禁日である。
「別にいいかな、買わなくたって」
 お祭り気分に浮かれたい気もするが、ボジョレーは特に好きじゃない。スルーしようと思っていたら、ネットにスパークリングのボジョレーがあった。
「えっ、スパークリングなの? これなら飲みたい!」
 すばやく注文し解禁日を待つ。今日の午前中に到着したらしい。



 アンリ・フェッシー ルージュバブルス・ヌーヴォー2018と書いてある。
 ラベルがオシャレ♪
 コルクを抜こうとしたが、ものすごく固い。もしや、ボトルの中では、ワインや炭酸がこんな会話が交わしているのではないか。
「飲まれてたまるか」
「最後まで戦い抜くぞ」
「何があっても、ここは守り抜く」



 オイオイオイ。
 しょうがない、ワインオープナーを使ってみよう。
 グサッ。



 さらにグリグリグリと回転させ、コルクの奥深くに沈めていく。
「あっ、攻め込んできたぞ」
「よし、作戦変更だ」
「見てろよ」
 と言ったかどうかはわからない。だが、急にコルクがせり上がってきて、ポーンと飛んでいった。
「あああ、溢れちゃった!」
 コルクが抜けた途端に炭酸が勢いよく噴き出してきて、この通り。



 鋭利な刃物で刺され、血だまりができたように見える。まるで殺人事件ではないか。とんだボジョレーであった。
 騒ぎに乗じて、集団脱走を図ったのかな?
「ふう、手間暇かせさせて面倒くさいヤツだな」
 グラスに注ぐと、シュワシュワと静かな音を立て、赤くて透き通った液体が目を楽しませてくれた。



「いただきまーす」
 中甘口と書かれた通り、これは私の好みの味だ。まろやかで美味しい。
 殺人犯が逃走したせいか、残りのボジョレーはリラックスしているような味がした。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (8)

鹿と大仏

2018年11月11日 21時12分08秒 | エッセイ
 問題1。
 法隆寺の五重塔は、AとBのどちらでしょうか。
 A


 B


 問題2.
 法隆寺の夢殿は、AとBのどちらでしょうか。
 A


 B


 どちらも答はBである。
 Aは上が興福寺の五重塔、下が興福寺の北円堂なのだが、時系列で写真を管理しないと、撮った本人にも見分けがつかない。
「ったく、これだから素人は!」
 専門家には呆れられるかもしれない。でも、よく似ているから、「1枚あればいっか」とスルーしたくなる気持もわかってほしい。
 その点、東大寺の大仏は違う。



 ここにしかない、偉大なる存在感が観光客を惹きつけるのだ。





 その証拠に、こんなに人が押し寄せていた。



 黄色い帽子をかぶった小学生がやけに目立つ。
 大きくなったら、鎌倉の大仏も見に来てくれ~い!
 ただし、大仏殿までの道には、鹿のフンが数多く散乱している点が気になった。



 犯人はコヤツらたちである。
 人間が近づいてきたら、ヤツらはまず手元をチェックする。鹿せんべいの有無を確認しているのだ。持っていなければやり過ごすが、持っていたらすばやく駆け寄っていく。
「え? 何よ何よ」
 彼氏と談笑しながら歩いていた女の子は、突然ニューッと目の前に現れた鹿に仰天しつつも、鹿せんべいを与えていた。もはや強奪に近い。
 この鹿たちは、鹿せんべい売り場の近くに陣取って、効率よくブツをゲットするつもりでいる。





 かと思えば、こんなところで待ち伏せする鹿もいて、奈良公園は乱れていた。



「可愛いのは最初の何頭かだね」
「鹿はもういい」
 私と娘は、逃げるようにして奈良公園から脱出した。
 大仏殿には、大仏様の手も展示されている。



 ぜひ、鹿せんべいを持ってほしい。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (8)

古墳愛

2018年11月08日 21時33分32秒 | エッセイ
 古墳に惹かれるようになったのは、今年に入ってからだ。
 山口県まで出かけた娘が、柳井茶臼山古墳というところに行って、写真を送ってきた。



「へえ~、すいぶんキレイな古墳じゃない。ふーん」
 さすがは、高貴な方の眠る場所である。日本ならではの造形美や様式美を、もっと見たいと思った。
 奈良にはたくさんの古墳がある。正倉院展や市内観光だけでなく、古墳巡りもするため、二泊することに決めたのだ。
「やっぱ、飛鳥駅からかな」
 古墳がどっさりといっても、アクセスの悪い場所は無理だろう。飛鳥駅で下りて明日香村を歩くと、かなり有名な古墳に出会える。
 石舞台古墳。



 ここのウリは石室が見られるところだ。



 しかし、列が全然動かない。バスの時間が迫っていたので「まあいいや~」と諦めた。
 高松塚古墳。



 ここは美女たちの描かれた壁画で名高い古墳である。外観は壁画に負けないくらい美しく、すっかり見とれてしまって周囲を一周した。



 夕陽が反射して、ますます美人に見える。
 好きだなぁ、こういう場所は。
 ここから20~30分ほど歩くとキトラ古墳に行かれる。交通機関を利用する手もあるが、健脚を誇るワタクシは歩くことに決めた。
 レッツゴ~!
 なぜか、この古墳だけ、やけに豪華だった。キトラ古墳壁画体験館という施設があるのだが、広くて新しく、展示も充実している。玄武、白虎、青龍、朱雀の四神の壁画について学べるし、内部の構造もよくわかる。しかも、エレベーターや自動ドアが完備されており、体験館を出ると古墳のすぐ近くに行かれるから、汗をかいて山を登る必要もない。「どうして、こんなに手厚いんだろう」と首を傾げるくらいだ。
 キトラ古墳は、ひたすらキュートだった。



 ベビーフェイスのアイドルみたいに、この上なく愛くるしい外観ではないか。



 模型もあって全体像が把握できる。



 実は、この日の午前、法隆寺に行った。藤ノ木古墳が近くにあったのに、時間の都合で見られなかったのを残念に思っていたのだが、高松塚とキトラが見られたことで、一気に満足感が押し寄せてきた。
 ああ、行ってよかった!
 翌日は、平城宮跡から歩いてコナベ(小奈辺)古墳に向かう。



 水に浮かぶ姿が素敵~♪
 その隣の宇和奈辺(うわなべ)古墳が本命だったのだが、コナベもよかったので引き返した。なにしろ、電車の時間が気になって仕方ない。再度来る機会があったら、のんびり散策したいものだ。
 次に狙っているのは、大阪の仁徳天皇陵古墳である。
 3月までに行かれるかな?


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (8)

第70回 正倉院展

2018年11月04日 20時59分52秒 | エッセイ
 第70回正倉院展が開催されている。
 毎年、休みが取れずに見送っていたが、今回は平日を含めて3連休が取れる。運よくチケットもいただいたし、気合いを入れて早朝の新幹線を予約した。
「え? 正倉院展は夕方からの鑑賞がおススメ?」
 何と、混雑状況を調べていたら、平日も休日も朝イチは避けた方がよいとわかった。待ち時間が長く、館内の混雑も激しいのだとか。4時半起きでツラかったのに、奈良に着いても興福寺や東大寺をブラブラして15時まで時間をつぶし、国立奈良博物館に向かった。



「さすがに行列はないね。うんうん」
 入口が空いていても中は混んでいる。出陳宝物は60点ほどだから、せかせかせずにノンビリ回るのがよいだろう。
 今回の目玉は、チラシの写真にもなっている、この八角箱であろう。



 正式名称が長い上、難しい漢字ばかりだし、苦労して入力しても読んでもらえない気がするから省略します……。
 夜光貝のやわらかな輝きが、ソフトで柔和な魅力を引き出している印象を受けた。
 チラシの裏面にも、人気の出そうな品が載っていた。
 この鏡も、八角箱に近い装飾が美しい。



 古い古~い時代のものが、現代でも光り輝いているところに感動した。
 この箱にも人が群がっていた。



 小窓は水晶、台座が象牙の細工でできているらしく、贅をつくした品だという。肉眼では限界があるから、拡大鏡を目に当てている人もいた。単眼鏡というのだろうか。ぜひ、私も欲しくなった。
 写真左上の磁鼓(じこ)は、どんな音が出たのか聞いてみたいと思う。



 右端の犀角如意(さいかくのにょい)にも人が群がっていた。色彩豊かだし、技法や表現の組み合わせが見事なのだという。言われてみないとわからないところが素人の辛さだ。
 沓(くつ)のようなものは、たしかに履物だったらしいが、完全な形でないところが残念である。前で鑑賞していた若い女性たちが「ボロボロやん」と悲しそうに言うのを耳にして、まさに同感と頷いた。
 チラシに載っていなくても、記憶に残るものがある。7番の「白布」がそれで、調布と説明されていた。つまり、租庸調の調として納められた布なのだ。すっかり変色して、黄ばんだ白色だったけれども、社会の授業で教わったものが、1300年くらい経ってから、私の目の前に出現するとは一種の手品に見えた。
「あ、出口だ」
 時計を見ると16時になるところだった。
 文書などは価値がわからないので全然見ていない。自分が「宝物」と感じる品だけを見て、古代文化と交流できたことをありがたいと思う。
 正倉院展での時の流れは、一歩通行ではないのかもしれない。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (10)

医者が教える食事術

2018年11月01日 22時52分04秒 | エッセイ
 図書館で本を選んでいた。
 どの本も「私を借りて~」と媚を売ってくる。だが、、興味のない本だったりするのでスルーだ。
「あ、これ、いいかも」
 そんなとき、気になる本が見つかった。



「医者が教える食事術」
 期待を裏切らない本だった。
 不調のほとんどは「血糖値が原因」と言い切る点には共感する。私は血糖値が高めなので、少々疲れやすい。肌も荒れがちだし、いいことは何もない。
 昨年の人間ドックは、クリスマス後の日程だったせいもあり、酒とスイーツを堪能したおかげで、HbA1cは過去最多の5.9であった。
「ぐえぇぇぇ~」
 結果を見たときの私は、いささか狂人の体をなしていたかもしれない。糖尿病に一歩近づいただけでも、平常心ではいられない。
 だが、今年は違う。
 9月から、パンの代わりに押麦を食べることにした。



 みそ汁と一緒に煮込み、柔らかくなれば出来上がりだ。
「うま~い」
 美味しく食べられる上、麦は血糖値がゆるやかに上昇する性質を持つ。
 さらには、カカオ70%以上のチョコレートなら食べてもいいと書いてあったし、糖質をとったらすぐに歩くなどの運動をすれば、血糖値が上昇しないとの心強い言葉もうれしかった。
 10月に職場の健康診断を受けて、先日、ようやく結果が届いた。
 気になるHbA1cは……。



 決して低くはないけれど、少々減って5.6まで下がった。
「やった~!」
 これで、人並みになれた気がする。これからも、甘いものはほどほどにして、食後はすぐに運動するよう心がけよう。
「ん?」
 喜びもつかのま、初めて見る診断に心が凍り付く。



 洞性不整脈って何だよ……。
 一難去ってまた一難とは、このことか。
 不整脈は、押麦じゃ解決するわけないよね。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (8)

胃内視鏡検査の掟

2018年10月28日 20時49分38秒 | エッセイ
 人間ドックで「萎縮性胃炎」と診断されたのが去年の12月。
 今年は胃内視鏡検査を受けて、胃がんリスクを回避しようともくろみ、病院に電話をかける。
「その日は、一番早くて、15:15分のお時間しか空いていませんが」
「ああ、そうですか。じゃあ、それでいいです」
「かしこまりました。予約をお取りしておきます」
 検査日を決めるときは難航した。夏休みはすでに埋まっており、平日は休めない。でも、文化祭の振替休業日であれば、平日の検査が可能だ。ここしかないと意気込んで予約電話をかけたものの、遅い時間帯しか空いていなかった。
「うっそ~、前の日の20時以降から食事禁止?」
 私は胃の検査をナメていた。水やお茶なら検査の30分前まで飲んでいいそうだが、繊維の多い飲み物や固形物は一切禁止。夕方まで空腹に耐えねばならない。何と苦行であることか。
「じゃあ、なるべく遅く起きて、家でゴロゴロしていればいいんじゃない?」
 と思ったのだが、前日に職場で大きな問題が起きた。校長から、都合のつく職員は振休返上で出勤してくれと要請を受けた。
「うう、14時まで暇だ……。ヤバい」
 ついつい応じてしまい、水とアールグレイだけを口にして職場に向かった。待っていたのは、4時間の軽作業であった。重労働ではなかったが、頭も使わないから、どうしても神経が空っぽの胃袋に集中する。
「お腹が空いたなぁ、くうう~」
 聞くところによると、いわゆる胃カメラは吐き気を催すものだという。だが、今の私には、「ひもじい」辛さが一番堪えて、検査まで頭が回らない。戦時中の食糧難を乗り切った人たちは偉いと、心から尊敬した。
 どうにかこうにか、食欲を抑え込んで検査まで持ちこたえることができた。
「胃カメラは初めてですか」
「はい」
「左の腕から麻酔を入れますからね。喉にも麻酔薬を塗りますから、苦しいことはありませんよ。リラックス、リラックス」
 鼻から胃カメラを入れる病院もあるそうだが、「オエッ」となるのは喉だから、感覚を麻痺させることが一番楽だという。言われた通りに横たわっていたら、いつの間にか終わっていた。
「笹木さん、終了です。麻酔がさめるまで、あちらのベッドで寝ていてください」
 キツネにつままれた気分である。おそらく、すぐに麻酔が効いて、ガーガー寝ているうちに検査が終了したのであろう。よだれは垂らさなかったか? いびきなんぞ、かいていなければよいのだが。
「はい、20分たちました。まだ横になっていた方がいいですか」
 看護師が私を起こす声がした。え、まだ5分しか経っていないんじゃないの? と驚いたが、またまた寝てしまったらしい。幸い、気分は悪くないし、いつまでの寝ていないで、さっさと食事をしたほうがよさそうだ。
「大丈夫です。帰ります」
「では、荷物をお持ちになって2階にお越しください」
 麻酔からさめたら、まず水を飲むらしい。むせなければ、食事をとって構わないと説明されたので、そうさせてもらった。病院の目の前には、サブウェイがある。
「えーと、ローストビーフサンドに、ミネストローネ、カフェラテもください」
「トッピングはどうされますか」
「レタスとキャロット、ピーマンで」
 レジに進むと、クッキーとパウンドケーキが目についた。すかさず、「これも」と言ってトレイに載せた。



 いやあ、食べた、食べた。
 2時間後には、家で普通に夕食をいただき、一日分の遅れを取り戻したような気になった。
 何があっても、胃の検査は午前中に終わらせないといけないね……。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (12)