これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

2019 七味五悦三会

2019年12月29日 22時34分33秒 | エッセイ
 かつて日本には、「七味五悦三会(しちみごえつさんえ)」なる風習があったという。
 大晦日に除夜の鐘を聞きながら、「今年味わった七つの美味しいもの」「今年感じた五つの悦び」「今年あった三つの喜ばしい出会い」について家族で語り合い、過ぎ去る一年に思いを馳せるのだとか。
 ブロ友のZUYAさんをまねっこして、今年は私もやってみたい。
 7つの美味しいものは、スマホの写真を頼りに発掘した。何しろ、前日の夕食メニューすらおぼえていないお年頃だから、食べてしまって跡形もないものなんぞ思い出せない。そして、思い出すと7つに絞り込む作業に難航する。あれもこれも美味しかったなぁと、よだれを垂らしながら回想してみた。
 点心の食パン。ふわふわでクリーミー。同僚に勧めたら「妻に、よく見つけたねと褒められた」そうで、株が上がったのだとか。



 秋葉原にあるミニサイズのチーズタルト専門店「PABLO mini」。量、味、見た目、ぜーんぶ気に入った。アキバに来たら、ぜひご賞味を。



 リッツカールトン東京のアフタヌーンティー。誕生日のケーキはここで食べたいわぁ~。



 パークハイアット東京のマロンタルト。ビールのあとでも存在感バツグンの美味しさだ。



 全聚徳の北京ダック。お肉たっぷりの満足感はクセになりそう。



 河口湖のお土産にいただいた桔梗信玄ビスキュイ。私も次からこれにしよっと。



 神楽坂の日本料理店「千」の胡麻豆腐。セサミン感満載の美味しさは革命的だった。



 いかん、いかん。
 食べ物がテーマになると、つい力が入ってしまう。今日は他にも「悦び」と「出会い」についても書かねばならんので、スペースを独占せぬよう配慮せねば。
 お次は、5つの悦ばしいこと。
 一番は、学生時代に所属していたサークルで同窓会をしたことだ。30年経っても、ブランクを感じさせない仲間や先輩、後輩などと話せて幸せだった。
 3月の結婚記念日に家族3人でカラオケ大会をしたことも楽しかったし、8月にアドベンチャーワールドでパンダファミリーやペンギンさんにお会いできたことも幸せだった。5月に一人であしかがフラワーパークに行ったのも新鮮な思い出だ。ブロ友さんから混雑すると聞いたため、午前4時半にこっそり家を出て、7時半到着、9時には退園という行程で正解だった。10月の鉄道博物館は、銀河鉄道999でタイムスリップしたようなノスタルジーを感じ、昭和にどっぷり浸かった時間を過ごせた。
 最後に、3つの喜ばしい出会いについてもご紹介したい。
 まずは、ピアニストで作曲家の松下倫士(ともひと)さん。仕事でお会いし名刺交換をした。もっとも、あちらが全然おぼえていなくても構わないのだ。「作曲家の耳」の偉大さを見せてくれた方だった。吹奏楽の演奏で、多種の楽器の音色を聴き分け、一瞬で「このパートはこういう風に演奏しましょう」と的確なアドバイスを下すところがまさに神業。なのに、全然偉ぶっていないものだから尊敬する。
 それから、ヴァイオリニストの岡田鉄平さん。友人に連れられて、渋谷区南平台町のミュージックサロンエスプリという音楽教室のミニコンサートに行ったとき、岡田さんがゲストで演奏していた。クラシックだけでなく、救急車のサイレン、踏切の音、ファミリーマートのメロディなどを再現し、大いに笑わせてもらった。ちょっと変わったことにチャレンジする姿勢が、私の創作意欲の刺激になっている。
 3人目は音楽系ではないけれど、うちの校長に会えたことも大きい。決してイケメンではないし、人格者でもないけれど、私と同じ方向を向いているところがありがたい。打ち合わせをしなくても、「多分こう思っている」「こう発言するのでは」と予測すると、かなりの確率で当たるのだ。あちらもおそらく、同じことを思っている。職場の上司と合わない場合は悲惨だけれど、共通項が多いとこんなに楽なのかと驚いた。おかげで、今年はほとんど仕事上のストレスを感じない。
 2019年も暮れていく。
 来年の干支はネズミだ。このブログを始めた2008年もネズミ。ちょうど一周する計算となる。
 拙いエッセイですが、今年もお読みいただきありがとうございました。
 来年もよろしくお願いいたします。


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ネコの好きそうな場所

2019年12月22日 21時54分33秒 | エッセイ
 19時を回っても、私の職場にはたくさんの職員が残っていることが多い。
「今日はもう失礼します。ネコにエサをやらなきゃいけないもので」
 だが、その日は18時にならないうちに、働き者の教務主任が帰り支度を始めたのだった。口端をかすかに上げ、照れくさそうに笑いながら、リュックサックに乾いた弁当箱をしまっている。
「あーら、大変。早く帰らないと」
「ははは」
 周りの先生方も笑って見送った。普段は奥さんがネコの世話をしているそうだが、その日はたまたま用事があったのだろう。帰宅を歓迎してくれるであろうペットの様子を想像したのか、彼の表情は明るかった。
 わが家にネコはいない。
 でも、職場の机にはネコがいる。お菓子のおまけについてきた、箸置きぐらいの大きさのネコが。



 10年前からのおつきあいだから、職場を異動しても、荷物に入れればついてきてくれる。普段は加湿器の近くにいるが、もうちょっと目立つ場所はないかと考えていた。ついでに、机の上も片づけよう。
「このスペースが、つい荷物置き場になっちゃうのよね。何とかしなくちゃ」
 私のデスクは両袖机でワイドだから、無造作に書類などを放置して散らかすことがある。ならば、うっかり置けないような工夫が必要だ。
「写真立てを飾ればいいんじゃない?」



 そうそう、気持ちの和む写真を入れて、気分転換と散らかり防止を図るのだ。
 決して100円ショップで買ったわけではないが、どうも、このフォトフレームはシンプルすぎるんでないかい?
「あ、ひらめいた!」
 いい方法を思いつき、私は両面テープを探しに行った。
「あったあった」
 なるべく幅の狭いテープがよい。フォトフレーム上部の真ん中へんに貼る。



「で、このネコを」
 載せちゃうわけ。



 どうです? 見事に一体化したと思うのだけど。
「こういう写真立てがあれば、売れるんじゃないかな」



 欠点は、横長の写真しか飾れないことか。
 無理やり縦置きにしたら、ネコが不自然だものね。
 おかげさまで、お気に入りのフォトフレームになりましたとさ。


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2019 今年の漢字

2019年12月15日 21時40分42秒 | エッセイ
 毎年、清水寺から発信される「今年の漢字」を楽しみにしている。
「うーん、『令』かぁ。そのまんまじゃん。もうちょっとひねってほしかったな」
 家でブーブー言う年も多いのだが、毎年、勝手に自分なりの「今年の漢字」でエッセイを書くのだから、黙っているべきかもしれない。
 まあ、これはこれで妥当かしら。
 では、私にとっての今年の漢字は何だろう。
「やっぱ『初』かな。4月から、初めて尽くしだったからね」
 異動先の高校は、初めての普通科だった。職業科の教員免許しか持っていない私には、あらゆるものが新鮮だ。
 授業がないのも初めて。毎日、書類や電話と格闘している。
 家から近い高校で、初めての通勤時間10分。時間短縮でよかった反面、消費エネルギーが減り、健康診断ではコレステロール値で引っかかった。交通機関を利用しなくなった分、読書量も減ってしまった。
 周りからは「無理していませんか、大丈夫ですか」と心配されることも多い。私は背が低く、鶏ガラみたいな体型をしている。ぱっと見で、「この人、忙しくなると倒れるんじゃ」と不安がられる理由はわかる。
 でも、私の「適応力」が高く、ゴキブリ並みの生命力を持っていることは、ほとんど知られていないだろう。反乱分子ばかりの集団では、不満の種をかわしながら自分のポジショニングを見つけることができる。また、無気力だらけの集団でも、「これはやりたい」を決めて、マイペースで動くことができる。根底には、「他人が私の行動をコントロールするなんて、100年早いんだ、ふーんだ」みたいな気持ちがあることは間違いない。
 もうひとつ、「観察力」も身を助けてくれる。職員の行動を見ていて、「この人、実はこう思っているんじゃないかな」とか「次はこう動くんじゃないかな」と予想すると、結構な確率で当たるのだ。勘というより、これまでに会った人の行動と結果が頭の中で膨大なデータベースを構成していて、そこから該当するパターンを選ぶ感じに近い。いずれにせよ、職員の心の動きや行動を予測し、それに寄り添った対応をするのが今の私の仕事なのだから、この能力は大いに利用せねばと思っている。
 残念なことに「学力」や「判断力」は衰える一方だ……。昨日は階段の「階」の字が書けなかった。年々、頭が悪くなっていく現象は何とか食い止めたいけれど、何をしたらよいのかわからない。毎日10分の脳トレをしてみようかと考えるこの頃である。
 そうそう、娘のいない家も初めての経験だ。4月に就職し、横浜で一人暮らしを始めたから、家の中は私と夫だけになってしまった。一階に住んでいた義母までもが、9月から特養老人ホームに入居したから、部屋の中がからっぽになったことにも慣れていない。
「やっぱり、家族は多い方がいいよね」
 心からそう思ってやまない。



 みなさんの、今年の漢字は何ですか?
 その一文字に、一年間の想いや成果が表れているに違いありません。


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インチキタイツ

2019年12月08日 21時48分48秒 | エッセイ
 12月に入り、本格的に寒くなってきた。暖房の利いた室内にいても足元が冷える。必然的に、裏起毛のパンツばかりを履くようになる。
「でも、たまにはスカートも履きたいんだよね」
 スーパーの2階に行けば、オバさん、おばあさん向けと思われる、厚手のタイツが売られている。くすんだベージュだから、余計に血色が悪く見え、まったくエレガントでない。
 若い頃は絶対買わなかったが、加齢というものは恐ろしい。「もうオバさんだし」と開き直る歳になると、暖かければ何でもいいという短絡的な思考に支配され、いくつか購入してしまった。
「うーん、でもやっぱり寒いな」
 見た目が悪くて寒ければ、好んで履くはずもない。結局、真冬は分厚いパンツルックなのだ。
 しかし、今年はよい商品に出会えた。
「なになに、セシールの足美人(そくびじん)?」
 カタログの説明を読むと、見た目は薄手のストッキングなのに、実はポカポカのタイツとあった。
「たしかに、薄手のストッキングに見えるわぁ。どうなってんの?」


(カタログより)

 気になる商品は、チャチャッと購入する。



 この状態ではどう見てもタイツにしか見えないが、巧妙な二層構造になっていて、分厚いタイツの上に薄手の黒ストッキングが重なっている。だから、足の凹凸に応じて、透け感が演出できるというわけだ。
 中は、真冬仕立てでこんな感じ。



「あったか~い」
 生地の厚さで、多少は足が太く見えるけれど、ほとんど気にならない。それより、暖かさが重要だ。
 ためしに、これとロングスカートを履いて自転車に乗ってみたら、まったく風を通さなかった。調子に乗って、そのまま出勤する。
「何て偉いタイツ!」
 足元が変わると気分が上がる。その日は一日中、鼻歌が飛び出しそうな高揚感を持って過ごした。
 19時過ぎに帰宅し、すっかりお気に入りとなったタイツを脱ぐ。だが、予想外の事態が待ち受けていた。
「あれえ、一回しか履いていないのに、もうボロくなってる……」



 かかとに毛玉ができ、白くなってしまった部分の目立つこと。
 このタイツは、思ったよりもデリケートらしい。値段の割に、耐久性がないのが欠点だ。
 というわけで、またまた裏起毛のパンツばかりになっている。
 でも、見てなさい。
 卒業式には、このタイツを履いて、オシャレするわよ!


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3姉妹忘年会

2019年12月02日 20時31分17秒 | エッセイ
 姉から「3姉妹で忘年会をやろう」と誘われたのは先月のことだ。今までクリスマス会や新年会は、家族単位で参加してきたから、姉と妹と3人でというのも悪くない。楽しそうではないか。
「ビーフシチューとバゲットは任せて。あとはサラダにフォアグラのパテ、キャビア、クラッカーを用意するわ」
 姉のメールに違和感をおぼえた。あれ、料理が得意だったっけ?
 どうやら、姉がコンビニ食に頼っていたのは昔のことで、今はせっせと自炊しているらしい。やはり、健康は手作りの食事から。では、妹と分担して、残りのメニューを考えねば。
「アタシはスイーツ担当がいいわ~」
 先手必勝、早い者勝ちよといわんばかりに、妹からのメールが届く。「できれば料理はしたくない」という思いがひしひしと伝わってきた。まあよい、私が作って進ぜよう。
 ピンポーン。
「はい、どうぞ」
 姉のマンションに来るのは何年ぶりだろう。入居して16年となり、ソファーやテーブルを買い替えたばかりというから、部屋はホテルのように整っていた。
 しかし、奇妙なものもある。



「なに、この、ホネホネ」
「ああ、それはね、デッサンに使うの。絵のためよ」
「なーんだ、趣味なのかと思ったわ」
「まさか、アハハ」
 すでに妹は到着していて、料理もテーブルに並んでいる。あとは、私の料理を加えるだけだ。
 この日、私が用意したものは、ロールキャベツにキッシュ、カボチャのグラタンである。食器は姉のものを借りて、ワンプレートに盛りつけよう。
「この皿がいいかな」
「あら、素敵じゃない」



 スパークリングワインを開けて、忘年会が始まった。



「これはアボカド?」



「そうよ。むきエビと混ぜてしそドレッシングをかければでき上がり」
「簡単だし、美味しい」
「カプレーゼも作れるんだね」



「切って載せたのよ。もうちょっと塩をかけた方がよかったかな」
「いや、大丈夫よ」
 オリーブもあった。箸を伸ばしたところで、器に気がつく。



「あ、これ、ミントンでしょ」
「そうよ」
「可愛いよね、この柄」
「うん、好きなんだ」
 ちなみに、シャンパングラスはロイヤルコペンハーゲンなのだとか。



 だから、青が入っているわけか。これもオシャレ。
 キャビアもあった。うちでは旅行のみやげでしか買わない。



「クラッカーに載せて、レモンをかけて食べてね」
「へえ~、そういう食べ方もあるんだ」
 ロシア風の、サーモンとサワークリームの上に載せて食べる方式しか、私は知らない。これなら、コレステロール値が上がるリスクは小さくなりそうだ。
 食べながら、家族や仕事の話をする。年老いた両親の心配事や、仕事のトラブル、子どもの近況、習い事など話題は尽きない。
「そろそろ、シチューを持ってこようか」
「わあい♪」



 冬場のシチューは格別な味がする。体が温まると幸福感も高まるから、寒さと戦うのはほどほどにした方がよさそうだ。
 そのあと、妹の持ってきてくれたデザートとなったわけだが……。



 私の記憶はここで途切れている。次に気づいたときは、買い替えたばかりのソファーの上だった。
「あ、起きたわね」
「……寝てたのか、アタシ」
 お腹いっぱいになって酔いも回り、テーブルでウトウトし始めたらしい。姉がソファーで休むことを勧め、布団まで掛けてくれた。一時間以上、ムニャムニャと夢を見ていたそうだ。
「うわっ、もう8時!」
 忘年会開始が13時。翌日は仕事だから、もっと早く帰るつもりでいたのに、何たるざまか。
 姉にごちそうさまを言って、足早に地下鉄に向かった。
 来年は眠気覚ましに、激辛料理を作ろうと決めた。


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