これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

台風に追われたダイヤモンド婚式

2024年09月01日 17時38分42秒 | エッセイ
 父と母が結婚してから、今年で60年を迎える。
「すご~い、ダイヤモンド婚式じゃない! お祝いしなくちゃね」
「うん、ありがとう」
 はにかむ二人を見て、姉・妹と一緒に、両親を喜ばせるプランを考えた。高齢となった父は車で遠出しなくなったという。那須の住まいに、私たち子どもが行くしかない。
 だが、家に大勢で押し掛けると、母に負担を掛けてしまうリスクがある。父は風呂を沸かす以外は家事をせず、テレビを見ているだけの戦力外だが、母は客用の布団を干し、部屋に掃除機を掛け、タオルや飲み物、食料の準備などクタクタになるまで動くので、自宅を会場にするのは避けなければ。三姉妹のライングループで相談を続けた。
「近場のホテルを予約する?」
「宴会できて、できれば温泉付き」
「ゆっくりさせないとね」
「いつにする?」
「8月あたりかな」
 6月には方向性が定まってきた。忙しい姉とやってくれるかわからない妹に任せるわけにいかず、自分で宿を探す。最初は高級ホテルばかりがヒットしてビビッたけれど、慣れてくると低価格帯まで見つけられるようになった。さすがに、夕食がバイキングという宿で祝うはずもなく、適さないところは除外する。
「ん? ここ、よさげ」
那須に限らず栃木県全域を検索したら、イメージ通りの宿があった。部屋は質素だが、源泉かけ流し、豪華な食事というコスパのよさが気に入った。電話であれこれ尋ねても、感じのよい対応が伝わってきて安心できる。両親、姉夫婦、妹一家、我が家の4部屋を確保し、当日を待った。
そんなときに現れたのが台風10号である。8月31日に予約をとったので、発生当初は通り過ぎるだろうと軽く考えていた。ところがかなり速度が遅く、関東に接近するであろう予想日が8月27日、28日、29日とどんどん後ろにずれてくる。
予報円に宿泊日が入ったときは、いったんキャンセルした。だが、さらにズルズルと台風接近日が遅れ、「やっぱり大丈夫かしら」と再予約をして強行突破を試みた。傘を開く必要もなく宿に着き、荒れる前に帰宅できたのだから、行って正解である。まったくお騒がせの、心臓によくない台風だった。

 久しぶりに親族11人が勢揃いし「ダイヤモンド婚式お祝いツアー」は8月31日の15時から始まった。妹一家は車で2時間も前に到着したらしい。先にチェックインして、風呂上がりのさっぱりした服装でくつろいでいたところに気合を感じた。姉夫婦も、せっかくだからと集合前に周辺を散策し、終わってからも場所を変えて鮎の炭火焼き体験をしたというから頼もしい。
 主賓の父と母は、集合時刻ピッタリに来てくれて、駐車場でちょうど車から降りてくるところだった。手を振ると、母はすぐに反応してくれたが、父の様子がおかしい。「こっちだよ」と呼んでもボンヤリと空を見上げている。しばらく会わないうちに、だいぶ老化が進んだのかもしれない。「やばい、認知症か!?」と三姉妹が焦った瞬間であった。
 チェックイン後、お茶を飲んでいたら、母から「女子全員集合」の声がかかる。どうやら、使わなくなった指輪を引き取ってほしいと考えていたようだ。娘と姪、妹は指輪選びに夢中になっていたが、私と姉は指輪よりも、父の言動の方に興味があった。姉がすかさず話しかける。
「朝ごはんは何を食べたの」
「テレビ、見なくていいの」
 だが、父の反応は鈍い。
「わからねえ」
「知らねえ」
 話しているうちに、聞こえないからわからないという意味だったことを知った。補聴器を奨めると「いらない」と答える。決してやせ我慢をしているわけでなく、しれっとした顔で「俺は困らない」とか「聞こえないふりができる」などとのたまうものだから、私も姉も大笑いしてしまった。
 宴会は18時からだ。お料理はどれも口当たりがよく、見た目も美しかった。



 地元のスパークリングワインも料理によく合う。



 次々と料理が運ばれてきて、お腹がさらに膨れていく。









 残念ながら、宿でケーキは扱っておらず、大宮で購入したデコレーションを持ち込んだ。宿の冷蔵庫で保管してくれるし、頃合いを見て皿に移し、ナイフやサーバー、取り分け皿までを貸してくれるのだから、至れり尽くせりの対応だ。
 ケーキは父の大好物の桃にした。宿から二人には、サプライズプレートの提供もあり、「うわあ、キレイ!」と声が上がって一段と賑やかになる。



 父も母も、終始ご機嫌だった。
 義弟から、「次は65年目のスターサファイア婚式だからね」と声が掛かり、場がドッと沸く。
 父に聞こえたかどうかは疑わしいが、元気なうちに、補聴器装着作戦を進めていきたいものだ。

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ビーズは何の役に立つ?

2024年08月25日 16時42分25秒 | エッセイ
 夏休み中は授業がないため、出勤時刻を30分遅らせている。
 3日ほど前にホームで電車を待っていたら、右側から「ドンドン」という鈍い音が聞こえてきた。何と、40代ぐらいの男性がホームの屋根を支える柱を強い力で蹴っている音だった。こんな人がいるのかと顔をしかめていたら、翌日はいなかった。ストレス解消のためにやっているのだろうか。
 職場に行けば、生徒間トラブルの仲裁案に納得しない保護者から苦情電話がかかってくるし、家に帰れば、夫が大量に買い置きしたティッシュやトイレットペーパーを見つけてしまいゲンナリするしで、日常生活のイライラを避けては通れない。
「何か美しいものを見に行こうかなぁ」
 年に一度しかない、仕事にゆとりのある8月だ。コロナ前だったら即美術館に向かっていたが、事前予約が必要なところが増えた今は「本当に見たいもの」を展示している場所にしか行かない。正直いって、絵画だったら姉の絵以外は見たいと思わないし、文化・教養系の展覧会も厳選するようになった。
「やっぱり服飾系よね。ドレスとか」
 すかさず文化学園服飾博物館をチェックしてみる。
「ビーズ展?」



 私が仕事を休める日と開館日が一致していたこともあり、すぐにアクセスを調べた。都庁前や新宿から徒歩で行かれるらしい。これは狙い目だ。
「これもビーズ? 何をもってビーズと言うのかしら」
 チラシの画像に疑問を感じ、ネットで検索してみたら、まずはロックユニットの「B’z」がトップに出てきて「あはは」と笑う。いい曲はいっぱいあるが、『ARIGATO』が私にとっての一番かな。
「大好きだけど、これじゃな~い!」
 やっと目当てのサイトを見つけ、「主にアクセサリーに使用する、穴の開いた小さな玉状のもののこと」であるとわかった。もっとも、展示品には玉状ではなく、細長いビーズもあったので、糸が通せればみんなビーズなのであろう。
 博物館は甲州街道沿いにあり、とてもわかりやすい。



 2階に上がり、ビーズの歴史から学習した。アクセサリーだけでなく、富や権力の象徴、社会的地位、アイデンティティー、精神世界とのつながり、防具等としての役目も果たしていたとのくだりに「へえ~」と驚く。たしかにトルコ石や翡翠をふんだんに使った装飾品を見たら、裕福なことがよくわかる。
 展示品は撮影禁止なので、チラシの裏面からご紹介したい。



 鳥がたくさんついているナイジェリアの王冠はユニークだった。



 すべて小さなビーズをつなぎ合わせてできており、従者に作らせた権力を感じる。
 ポーランドの女性用衣装は華やかだ。



 どれが刺繡でどれがビーズなのかの区別はさておき、ハレの日の一着として注目を集めたに違いない。おそらく、親が可愛い娘のために、金に糸目をつけず調達したのではないだろうか。
 1階にも素敵なドレスがたくさんあった。「特別出品 田川啓二 オート・クチュールのビーズ刺繍」と書かれた一角に、目を奪われる。



 すご~い、着てみたいっ! 身長足りないけど。

 数々の力作を堪能し、入館料は大人500円なのだから破格の価格である。
 11月4日まで開催しているようなので、ぜひ目の保養にどうぞ。

 すぐに影響されるタチなので、ブログ開設から6000日を迎える記念として、何か作ってみたくなった。きっと、垢ぬけなくて野暮ったい作品になるけれど、あと29日あるから何か考えよう。ブレスレットなら簡単かも。分不相応なトルコ石などが使えるはずもなく、オールプラスチックであること間違いなしだ。
 アクセサリーで思い出した。私はビーズの指輪を持っている。



 これは3校目の勤務先で、生徒からもらったものだ。難病にかかっていた女の子だったが、自分で体調をコントロールしながら生徒会や部活動にも取り組む明るい生徒だった。日光に当たってはいけないため、体育の時間はいつも日陰で見学していた。担任だったわけではないけれど、ある日「趣味で作っているので、よかったら使ってください」と、作品のおすそ分けをいただいたというわけだ。
 無事に卒業してから2年後、彼女は体調を崩し、そのまま亡くなってしまった。葬儀にはたくさんの卒業生が集まり、彼女がいかに多くの人から愛されていて、その死を悔やまれているかを知った。
 この指輪は、色もデザインもキレイに整っている。美しく完成させようと、彼女がせっせと仕上げたであろう工程に思いを馳せた。生きたくても生きられなかった子の前で、元気な者が弱音を吐いている場合ではない。
「イヤなこともあるけど、楽しいことだってあるじゃん。前向いていこっ」
 このビーズの指輪は、「励まし」の役目を果たしてくれたようだ。

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初心者でもできる網戸張り替え

2024年08月18日 08時55分38秒 | エッセイ
 リビングの網戸が破れていた。



「ありゃあ~」
 我が家は築30年。確認したら、南からの直射日光が当たる網戸がもう一つ、同じように破れている。西日の当たる場所や日の当たらないところは何ともないので、日差しの破壊力を思い知らされた。しばらくはテープで応急処置をしていたが、お盆休みを機に、自分で張り替えに挑戦するぞッと決めた。
 頼りになるのがこの本だ。



 用意するもの、溝の掃除の仕方、ゴムを押し込む開始地点などがこと細かく書かれており、安心して「やってみよう」という気持ちになれる。ホームセンターの動画も見たが、ここまで親切な説明ではなかった。DIYの知識が乏しい者にとってはありがたい一冊だ。
 まずは網や押さえゴムの購入から始める。網目の細かさには種類があるが、26mmというスタンダードなものを選んだ。少しでも明るい色がいいので、黒ではなくグレー。
 中にはディズニーの可愛らしい網もあった。





 好きな方は、破れていなくても張り替えちゃったりして~!
 押さえゴムは太さが重要らしい。2.8mmから6.8mmまでのバリエーションがあるので、細すぎると網が浮き、太すぎると溝に入らない。面倒がらずに、今使っている押さえゴムのサイズを測って、フィットするものを注文する必要がある。我が家のサイズは4.5mmであった。
 あとはゴムを溝に押し込むローラーを買い、道具は揃った。



 問題は作業場所をどこにするかである。あまりに暑いため、室内に段ボールや新聞紙をつなげて網戸を置き、冷房をつけて取り掛かったが、これで正解だったようだ。初心者ということもあり、わずか2枚の張り替えに2時間もかかった。暑い屋外で作業していたら、具合が悪くなっていたかもしれない。
 まずは、押さえゴムを外し、溝やフレームの掃除をする。我が家では全然していなかったので、網から白い粉が落ちてきたのにはビックリした。年に1回は洗わなくてはと反省する。



 次に網を張る場所を決める。ここで大事なのは、網目がまっすぐになることと書いてあった。しかし、老眼だと網目がよく見えない。勘でやったら、案の定曲がっていた。プロはコツをつかんでいるんだろうな。教えてほしい~!
 網を仮止めする。外した押さえゴムを短く切って上部に押し込み、ずれないように固定した。クリップ等も売られているが、この方法で十分と感じる。
 新しい押さえゴムは7m。



 ねじれないように注意し、網がたるまないように引っ張りながら、これをローラーで押し込んだ。右利きの人は、左下から始めて時計回りにグルッと一周するのがセオリーとあった。



「あはは、楽しい」
 この作業が一番面白くてやりがいにつながる。結構、力がいるが、目の前で網戸が形になっていくので、達成感がものすごい。「やった~、できた!」を最も実感する過程であろう。一周したらゴムを切って見えないように処理した。
 最後に、周囲の網をカットして仕上げとなる。



 ところが、これがかなりイライラする作業であった。網がまっすぐ張れている場所は、テケテケテケとカッターが動き、なんの苦労もないのだが、曲がっている場所はカッターが引っかかり、「カクカク」と抵抗を受けて止まる。余計な時間がかかるし、キレイにカットできず、美しくならないところがストレスだった。網戸の専用カッターも売られていたけれど、買えばよかったのだろうか。クソッ。
 細かいことはさておき、完成すると新品のように見え、素人としては胸を張って「合格」と言いたい。
 あと30年はオーケーでしょ。

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即席バナナホルダー

2024年08月11日 17時22分05秒 | エッセイ
 最近読んだ本の中で、一番役に立ったのは、小林弘幸氏の日経ビジネス人文庫シリーズである。



 たまたま、図書館で時間をつぶす機会があり、チラ見したら自律神経を整える意義が書かれていた。これには大いに共感し、借りるだけでは物足りなくて、購入に至ったというわけだ。ものの見方・とらえ方を変えるだけで自律神経の乱れがなくなり、準備や段取りに力を入れれば、持てる力を存分に発揮することにつながる。誰にもできて難しくないだけに「やってみよう」と前向きな気持ちになれてよい。
 もちろん、元気に活動するには体の調子も重要であり、腸内環境についても触れられていた。ここは少々耳の痛い箇所だ。ソフトクリームやフラペチーノが好きな身としては、腸を労わっているとはいえない。だが、バナナが腸に効くのであればチャレンジしたい。防カビ剤等を避け、有機JASのバナナを買い、腸の健康も目指すことにした。



 久しぶりに食べるバナナは甘い。朝食にしたら、腹持ちがよく満腹感もある。これなら苦もなく続けられそうだ。
 さて、保管はどうしよう。一般的には、バナナは傷みやすいため、ホルダーやスタンドに吊るしておくことが推奨されている。



 残念ながら、うちにはこんな洒落た道具がなかった。でも、吊るすだけであれば、耐荷重1kgの強力マグネットフックがある。



 これにバナナを引っかけてみてはどうか。



 ……違和感がすごいが、置いておくより、バナナへのダメージが減るらしい。最初に買った房は、このように保存し、最後まで美味しくいただくことができた。
 もっといい方法がないかしら、と別の場所を探してみた。



 うん?
 木目込み細工のために買ったスタンドが目に入る。



 やはり! ピッタリではないか。
 しばらくバナナ用にしてしまおうと、安易な考えが浮かんでくる。
 追い出された金魚の「あーれぇ」という哀しい嘆きが聞こえた気がした。
 ゴメンゴメン、セリアで代わりのスタンドを探してくるから待っててね。

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いらっしゃいませ100円硬貨

2024年08月04日 17時46分55秒 | エッセイ
 武蔵野観音霊場巡りをしているが、夏場は暑くて、とても行く気になれない。
「写経はためておかなくちゃ」
 涼しくなった頃に出かけるつもりで、週に2枚は書いている。
「100円玉も用意しないとね」
 御朱印をいただくのに300円かかるが、1000円札を出してお釣りをもらうと結構待たされる。かといって「釣りはいらない」とはならないので、ぴったりの額を払い、スムーズに移動するのが一番だ。あと10か所だから30枚を調達せねば。キャッシュレス化が進むと、財布に硬貨が集まらないデメリットがある。焦ったところでどうにもならない。
「まあ、そのうち回ってくるさぁ~」
 
 先日、勤務先の高校で外国人講師が任期満了となった。終業式の日に離任式も行う予定で、サプライズ企画が進んでいた。
「3年生から色紙のプレゼントをします」
「2年生はありがとうメッセージを伝えます」
 教員がそれぞれできることを探して、感謝を持って講師を送り出す手はずを整えた。問題は花である。予算がないので、行動派の理科教員が「一人100円カンパして!」と集めて回ってくれた。
「すご~い! たくさん集まってるじゃない」
「いやあ、皆さん協力的で、快く払ってくれましたよ」
 花の注文は私がした。4800円集まったというので、5000円の花束にすればちょうどいい。
「じゃあ、このお金、渡してもいいですか」
「もちろんです」
 理科教員から硬貨の入った封筒を受け取ると、木綿豆腐ほどの重みがあった。協力者の熱意も込められたカンパに「皆いいとこあるじゃん」と口端が上がる。だが、硬貨の強制通用力は額面金額の20倍までだし、ジャラジャラさせて支払うわけにいかないので、手持ちの紙幣に両替しないといけない。
「あっ、100円玉、大量にゲットじゃん」



 こうして、苦もなく御朱印代を調達できたのであった。
 しかし、豪華な花束を写真に収め忘れてしまった。なんと残念な……。
 全部100円玉かと思ったら、50円玉も11枚紛れていた。



 うう、だまされた。まあいいけど。
 昭和生まれの多くは、硬貨がたくさんあると「昭和64年」と書かれたものを探す習性がある。この年の1月に昭和天皇が崩御され、元号が変わって平成になったことから、数が少なく貴重であるらしい。一度も見つけたことはないけれど、どこかにはあるのだろう。
 代わりに、昭和46年の硬貨が見つかった。



 昭和を西暦にするには、1925を足せばよい。つまり、1971年に作られた硬貨というわけで、現在53歳。これからも活躍してほしい。
 一昨日、見送った外国人講師からメールが届いた。無事に母国に到着したとのことで、肩の荷が下りた。日本で教壇に立った経験を、ときどき思い出してくれるとうれしい。
 早く御朱印もらいたいな~。

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郵便物から宝探し

2024年07月28日 20時54分21秒 | エッセイ
 郵便物の処理はやりたくない仕事の一つだ。
 重要な連絡はほんのひと握りで、ほとんどがどうでもいいイベントのチラシや、掲示する必要もないポスターばかりで、開封した時点でゴミになる。作業の意義を感じられない。
 しかし、その日の郵便物には明らかに異質なハガキが混じっていた。「笹木砂希先生」と書かれたあて名も学校の所在地も、何度も下書きをしては書き直し、成功した文字にペンを入れ、消しゴムをかけたように見えた。
「おやおや? 誰からだろう」
 差出人は近隣の中学生であった。ほかにも2通、同じ中学からのハガキが届いており、おそらく教員の指導を受けて書かれたものと思われた。
「そうか、あのときの生徒だ」
 7月早々、勤務先の高校に中学2年生6名が、上級学校訪問としてやってきたことを思い出す。
「どのような校則がありますか」
「部活動は強いですか」
「○○という授業の内容を教えてください」
 他にもたくさんの質問を準備して来校したが、対応をした教員が私だったので、お礼と感想等を自分たちの言葉で綴ったハガキを送ってくれたらしい。
「へえ、こんなことを感じたんだ」
 サッカー部の活動が聞けてよかったとか、○○室は中学校にない施設なので面白かったなどと率直な意見が書かれており、真剣に取り組んだ姿勢が伝わってくる。
 これはうれしい。今年度、受け取った郵便物の中で、間違いなく一番光り輝いていた。先生方からお礼状をいただくことはあるが、生徒から受け取る機会はそう多くない。どのようなリアクションをしようかと頭を捻り考えた。
「よし、暑中お見舞い申し上げますって書いてあるから、見舞状として返信しよう」
 名案が浮かび、ハガキを買いに走る。普通ハガキのストックならあるが、近所の文具店の、ちょっとおしゃれなポストカードがいいだろう。



 夏らしいイラストが気に入り、こちらもレジに持っていく。



 切手は、何年も前に調達したシートの残りを使えばよい。



 おそらく、今の中学生が郵便を利用することはまずない。自分たちの送ったハガキが無事到着し、気持ちも届けられたと実感できれば、紙媒体の味わいを知るきっかけにもなる。手紙のよさをわかってほしくて、返信の文面には人生に生かせそうな名言もつけ加えた。
 書いている間は、わくわくする想いに満たされ、私の方が元気をもらったのだと気づく。楽しいひとときだった。
 明日からまた一週間が始まる。
 次から「郵便物の山には宝が紛れているかも」と考えながら開封することにしたい。

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コレステロール値と血糖値を下げるには

2024年07月21日 18時11分26秒 | エッセイ
 先日、職場の健康診断を受けた。
 この数年はLDLコレステロール値とHbA1cが高く悩んでいたが、昨年は血圧まで高くなってしまい、食生活を改善した。豚ロースからヒレ、鶏モモからササミに変えた上、週の半分は肉ではなく厚揚げやがんもどきなどを弁当の主菜にして、動物性の脂肪を極力カットして半年以上経つ。
 体も軽くなり、体脂肪率は18%台を維持している。果たして、どの程度の成果が得られるかと、わくわくしながら結果通知を開いた。
 血流がよくなったせいか、視力も上がっている。



 しかし、何かがおかしい。遠くを見るときは0.9の右目が活躍するようだが、PC操作等の近距離では1.2の左目が頑張っているらしい。勝手に役割分担を決めて、どちらかが怠けられるような体制を作っている気がした。両目で協力して、「コンタクトなしでも見えるようにしてあげよう」などと動いてはくれればいいのに。ちぇっ。
「いつもこうなんですか? コンタクトの度数を見直すのも手ですよ」
 スタッフの方にアドバイスもいただいたけれど、自分の目だし、まあいいか。
 問題の血圧はいい感じになっている。



 うほほ~い!
 昨年は上が131、下が88だったので、半年でだいぶ変わるのだとわかった。
 一方、LDLコレステロールはいまいち冴えない。



 上限が139なので、異常なしにはなっていても、劇的に下がったわけではなかった。右の列は昨年度の数値であるが、来年は総コレステロール値がオーバーしないよう、上限219に収まることを目指して大豆食を続けなければ。
 コレステロール値の下に表示されている、血糖値も期待通りではなかった。
 HbA1cは6.0から要観察となる。わずかに下がり、5.9にはなったけれど、「もしかして、5.7ぐらいになっているかも~」という淡い期待は泡と消えた。くすん。
 半年程度では、劇的な効果は得られないということなのだな、これは。
 新たに引っかかった項目もある。腎機能の「血清クレアチニン」と尿酸は基準値を少々オーバーしていた。なんでだろう? あとで調べよう。
 そんなわけで、昨年よりは健康になったことに安心する。
 思ったよりも、のんびりペースではあるが、確実によい方向に向かっている手応えが得られた。
 引き続き、頑張りまーす!

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ラテアートとサザコーヒー

2024年07月14日 17時39分30秒 | エッセイ
 暑い夏でも温かい飲み物がいい。
 ホットのカフェラテは特に好きな飲み物で、あちこちの店に入っては注文し、ラテアートを楽しんでいる。写真がたくさんたまったので、改めて披露したい。
 愛着のあるキャラクターは基本中の基本であろう。
 『一条ゆかり展』で注文したラテはこちら。ファンならわかる『有閑倶楽部』の登場人物だ。







 かつて秋葉原にあったガンダムカフェでも、作品ごとの主要キャラが注文できた。





 なくなってしまったことを残念に思う。お台場まで行くのは遠いなぁ……。
 羽田空港のよーじやカフェに行ったのは10年前か。カフェラテではなくカプチーノだった気がした。



 「和」を前面に押し出した黒髪・切れ長の目に個性が光る。
 上野エキュート内のC’sカフェは、動物が得意だ。





 ひたすらかわいい♡
 恵比寿ガーデンプレイス内の宮越珈琲店に行ったときは冬だった。今は寒さが懐かしい。





 自宅近くのイタリアンでのアートの腕もなかなかである。コロナ以降は疎遠になってしまい、また行かねばと考えている。



 前置きが長くなった。ラテアートは見ているだけで楽しいけれど、味覚を満足させるに至らないものが少なくない。早い話が「薄ッ」となりがちなのだ。でも、先週、品川に行ったときのラテは違った。



 こちらはひいきにしているサザコーヒーのラテ。茨城発のお店らしいが、大宮エキュートにも入っている。新幹線に乗って那須の両親宅に行く前に調達し、車中の友にすることが多い。品川にはイートインを併設した店舗があるので、出かけたついでに立ち寄った。いつもは将軍コーヒーばかりだったが、この日はカフェラテにしようと思いついた。
「うわ、濃い」
 たっぷりと載ったミルクに負けず、コーヒーならではの苦味と旨味が舌の上に広がる。豊かでパワフルな味わいにノックアウトされた。これは今までのカフェラテの中では一番の味かもしれない。
 一緒に注文した、将軍珈琲ロールもイケる。



 クリームの甘味とこってり感の塩梅が絶妙で、あっという間に食べ尽くした。職場外での仕事は手間だが、美味しいおやつにありついて、とっても得した気分に早変わりだ。
 ああ、幸せ!
 ラストを飾るのは、2015年の正月に、私が作ったカフェラテである。
 「今、何月だッ」とツッコミを入れられそうな季節感のなさに体を小さくした。



 アートそのものは「まあ許す」レベルと思われるが味がちょっと……。
 エスプレッソを濃い目、濃い目にいれたつもりだったが、飲んでみたらラテに負けて水っぽかったことを思い出す。
 サザコーヒーを目標に、夏らしいラテに挑戦しようかな。

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もしもしカメよ

2024年07月07日 16時59分14秒 | エッセイ
 夕食が終わり、夫が食器を洗い始めたときだった。
 黒い虫が部屋のどこかから飛んできて、キッチンの白い壁にとまった。
「うわ!」
 まさかG? ブロ友のZUYAさんに教わったG対策が奏功し、数年に一度ぐらいのペースでしか見なくなったとはいえ、その一度かと身構える。しかし長い触角はなかった。
「カメムシだ」
 決してカメムシが好きなわけではないが、「ずっとマシ」と思いホッとする。どうにかして退治しなくてはならないけれど、何でも力で解決しようとする夫に任せるわけにいかない。カメムシは身の危険を感じると臭い匂いを放つというので、ここは穏便に。
「ビニール袋があれば取れるよ」
 タイムリーに娘が駆除係を申し出た。手際よくカメムシの背後からビニール袋をかぶせ、ビニールの上から虫の体をつついて、袋の中に落とした。わずか2分ほどで、カメは白い壁からいなくなる。
「外に逃がしてくる」
「ありがと~!」
 かくして無益な殺傷をせず、悪臭に困ることもなく、カメ対応ができたことに安堵した。おそらく洗濯物にへばりつき、部屋の中に取り込まれたのであろう。今年はカメムシが大量に発生していると聞くので、何とかしなくては。
 東京23区といっても、我が家は緑の多い練馬区にあり、庭にも3本の木が生い茂っている。カメムシにとっては居心地のよい空間なのではと察する。



「これだ」
 探してみたら、カメムシ忌避剤なるものが売られていた。



 雨に濡らさぬよう、洗濯物を干す場所に吊るせば、周囲1mの範囲で効果が期待できるらしい。
 ベランダの庇の内側にセットして、そもそもカメムシを室内に入れない工夫をすればよい。



 カメムシは白い洗濯物を好む傾向があるとも聞く。取り込むときは、タオルやブラウスを集中的にチェックし、忌避剤に鈍感なカメがくっついていないかも確認すべきであろう。
 以来、部屋の中では見ていない。この調子で平穏に過ごせることを願う。
 昨日の雷雨はすさまじかった。忌避剤が濡れると効き目がなくなることを忘れ、うっかりベランダに出したままであった。帰宅後に思い出し、触ったら乾いていたので、濡れなかったことにホッとする。
 夏は台風のシーズンだ。
 今度こそ、ぼんやりして撤収を忘れないようにしよう。
 台風一過で窓を開け、外を確認したら、忌避剤が飛ばされていたなんて悲しすぎる……。

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パソコンの寿命は何年ですか

2024年06月30日 17時01分06秒 | エッセイ
 先日、新しいPCを買いに行った。
 メーカーはNECと決めている。大きなトラブルもなく、信頼できるからだ。店員とやりとりしながら、機種を選んでいく。
「今お使いのものはWindows10ですか」
「はい」
「てことは、5年前ぐらいに購入されました?」
 そこでハタと気づいた。買ったときのバージョンを聞かれているのだと。
「いえ、10年ぐらい前だったので、アップデートで10になりました」
「そうですか。じゃあ、8あたりだったと思いますね」
 私は物持ちがよい。PCの寿命は5~6年といわれているようだが、倍の期間で使えている。ガラケーやスマホも6年以上は使った。まず酷使しないし、無茶な使い方もしないからであろう。古くなったPCは変換中にしばしば停まり、5分ぐらいフリーズしたり、ネットサーフィン中に「~のページは応答していません」と表示されたまま動かなかったりするけれど、時間がかかるようになっただけ。待っていれば解決するのだ。
 SDカードやディスクのドライブは機能しないが、外付けで代用できる。ブログ更新の相棒として、大きな問題があるわけではないが、カメラ付きで外に持っていかれるようなパソコンも欲しいと思っていた。情報科の教員に助言を求めると、「10は来年の10月でサポートが終わりますから買うべきです」とのことで背中を押してもらったわけだ。
 予算とスペックが一致した機種がコレである。



 昨日、受け取りに行き、サイトを登録しながら使い始めている。記事のアップは今日が初めてとなった。途中で固まることもなく、スムーズな動作で非常に満足している。
 一方、出番が減ったものの、依然として写真や年賀状等のデータを持っているPCがコレだ。



 新しいPCを隣に置いたら、急に動きがよくなり、フリーズすることなしにスイスイと動いている。なんで?
 対抗意識を燃やしていたりして。サポート期間が終わるまでは処分するつもりもないので、安心せいと声をかけておこう。
 正確な購入日を確認しようと、引き出しの中を探してみたら、某電機店の保証書が出てきた。



 2012年6月3日。
 10年どころか、12年も前ではないか。
 こんなレシートまで取っておいたら、「保管魔」なんて言われちゃうかな。

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負傷不承

2024年06月23日 16時30分06秒 | エッセイ
 いよいよ6月も最後の一週間に突入する。
 今月は思わぬ怪我が多かった。まず、10日の朝に鏡を見たら、右の頬に1cmほどの切り傷がついていることに驚いた。
「あれっ、寝ていたときに引っ掻いたのかなぁ?」
 赤いボールペンで線を引いたようにクッキリと目立つキズであった。几帳面に定規を当てたように、真っ直ぐだったのが不思議だ。いつの間に?
 治る間もなく、13日には左足の小指を負傷した。朝のあわただしい時間に、布団を片付けようとして部屋を移動中に、コタツの脚に小指をぶつけたのだ。



「いてててててて! ううう~」
 目から星が出る、なんて可愛いものではない。潜んでいたワニに小指を食いちぎられたのかと思うくらい、激しく強烈な痛みであった。
 でも、電車の時間は決まっているので、びっこを引き引き支度を進める。痛かろうが何だろうが目のエクササイズをして、ラジオ体操、ストレッチに顔の蒸しタオルのあと、朝食をとって出かけなければ。
 小指が腫れて赤黒くなっている。サイズも大きくなってしまい、何を履いていくか困ったけれど、ゆったりしたリゲッタだから何とかなった。



 17日には不本意ながら日焼けをし、首の下がU字に沿って赤く染まった。ひえええ。
 聞くところによると、成長ホルモンが傷ついた細胞を修復してくれるそうだ。最初に深く眠った2~3時間に分泌され、切り傷、挫傷、日焼けなどを治してくれると期待していたのに、10日経っても一向によくならない。
「もしや、3カ所に分かれているので、人手不足なのでは……」
 切り傷は相変わらず赤いし、小指に触れると鈍痛がある。日焼けの面積は日に日に小さくなっているが、かすかに熱を帯びている。もしや、ホルモンも熟年期であるため、急に増えた仕事をイヤイヤやっているのかもしれない。「今日はこの辺で終わらせよう」「怪我したやつが悪いんだからもういいよ」「お疲れさま~」なんて態度だったりして。
 チェッ。
 切り傷ができてから今日で14日目。ようやく凹みが盛り上がってきた。赤いボールペン色も薄れ、周りの皮膚と同化してきた。よし、いよいよ治るのではと安堵している。小指と日焼けはもうちょっとかかると覚悟して、気長に待つしかなさそうだ。
 要は怪我するなってことであろう。
 7月は慎重に行動します!

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6月に生まれた男の宿命

2024年06月16日 16時44分01秒 | エッセイ

 今日は父の日。そして夫の誕生日でもある。

「一度に済むと楽ね! 6月生まれの男はありたがいわ」

 毎年、父の日兼誕生日祝いで片づけられ、当事者はどう思っているのか、あえて追求しないことにする。

 せっかくだから寿司でもとりたいところだが、美味しいお店はとうになくなってしまい、何年も前から我が家は寿司難民となっている。かといって、食べに出るのも面倒だ。

 スーパーに行ったら、ウニがあった。

「てことは、ウニ丼と牛ヒレステーキでいいか」

 この暑さでは、ケーキを買うのも厳しい。

「ヨーグルトティラミスを作ればいいんじゃない。プレートをつければそれらしくなるし」

 名前は「パパ」にすれば描くのも簡単。さらに楽して祝うに限る。

 我が家はこれでオーケーだが、関係する男はもう一人いる。私の父だ。父もまた6月生まれなので、常にお祝いをまとめられてきた。これまで特に疑問を感じていないところが父らしい。

「そういえば、面白いと思って買い置きしたバースデーカードがあったっけ」

 罪滅ぼしというわけでもないけれど、カードぐらいは豪華にしてあげよう。先週末に、お菓子や日用品と一緒に父のもとへ宅配便で送った。

 本日、予定通り荷物が到着したと、母から連絡を受けた。

「いろいろもらってありがとうね。ハーバーも入っていて楽しみ」

 母はありあけのハーバーが好きなので、父用の荷物であっても、なるべくプラスするようにしている。菓子だけでなくカセットコーヒー、調味料、乾麺なども喜ぶ。最近では、そちらの方が多いくらいだ。

「バースデーカードは音が出るんだね。お父さん、無表情で何回もボタンを押してるよ」

 ベートーベンらしく、バースデーソングは運命の「ジャジャジャジャーン」から始まり、違和感なしにハッピーバースデーに変わって、「おめでとうございま~す!」で終わる。時間があればお耳を拝借したい。

 今年で86歳を迎え、ときどきボケが入ってきた父。無表情なのは「こんな歌だったかな」などと考えているからかもしれない。刺激になるなら、これからも曲の入ったカードを送ってみよう。

 すぐに電池がなくなっちゃったりして……。

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英会話13カ月

2024年06月09日 21時25分39秒 | エッセイ
 大西泰斗氏の「ラジオ英会話」を始めて13カ月目になる。



 会話文にはストーリー性があり、キャラクターが次々に新しい動きをするので、続きを楽しみながら学んでいる。だが、めざましい成果が得られたかというと、「まだまだ」であろう。英語は配置の言葉であることはわかったが、リスニングが苦手で、こんがらがった毛糸のように単語が絡み合って聞こえてくる。一体何を話しているのやら。スピーキングの方は「そこそこ」伸びてきたが、もっともっと何度も何度も繰り返して聴かないとダメなのだと思う。
 ちょうど同じ時期に、上司である校長がジム通いを始めた。
「このままじゃいけないと思って、僕は体を鍛えることにしたよ。なるべく早く帰って、週に5日はマシンで引き締めようと頑張っています」
 週に5日というペースは英会話も同じだ。私の場合、月曜から金曜までではなく「聴き逃し番組」で聞いているので土日が入る。
 ジムに通った経験があるのでわかるが、マシンは単調で飽きる。しかも孤独だ。果たして、結果につながるのだろうかと疑っていたが、半年後、彼は少々スリムになってきた。
「今、5kgは減ったかな。もっとしぼります」
 そして、13カ月後の先週、体育祭で見事に変身したボディを披露した。腹回りの贅肉がゴッソリ落ちて、逆三角形になっているではないか。よほど嬉しかったのか、体形を誇示するかのように、体にフィットするウエアに短パン姿で登場したものだから、年配の教員は「露出し過ぎだ」と呆れていたが。
 一方、私はかなり焦っていた。「同じ時間を使っても、こっちはほとんど進歩していない!」とわかったからである。もっとリスニングの時間を確保するなどして、学習時間を増やさなければ。キイイ~!
 この間、ラジオ英会話ではない場面で、新しい単語をおぼえた。
 たとえば、やたらと人気のシマエナガ。大沼公園にこんな飲み物が売られていた。



「かわいいっ♡」
 これを英語で言うと、CuteではなくAdorableなんだそうな。ほー。
 ニュアンスが違うというので、海外に行く機会があったら使ってみよう。
 さて、大西先生。
 もっと真面目に番組を聴きますので、私の英語力をアップさせてください!

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三大ホニャララの磁力

2024年06月02日 15時55分30秒 | エッセイ
 たくさんの中から優れているもの、人気のあるものを選ぶとき、なぜか「3」という数字がまとわりついてくる。
 オリンピックでメダルがもらえるのは3位まで。アスリートたちは、パリ大会で金色に輝くメダルを手にすることを目指し練習している。
 「世界三大美術館」という言葉がある。諸説ある中で、アメリカ・メトロポリタン美術館、フランス・ルーブル美術館、ロシア・エルミタージュ美術館を指すことが一般的と聞く。過去に、ルーブルとエルミタージュには行ったことがあるが、メトロポリタンはない。ご縁があればコンプリートなのだけれど、この円安ではとてもとても。宝くじが当たったら考えよう。
 「日本三景」とは、松島、宮島、天橋立を指す言葉だ。江戸時代に選ばれた3つの景勝地というから、令和の時代となって「他にもいいとこあるじゃん」と、納得いかない方がいるかもしれない。緑と青に彩られた松島、荘厳な大鳥居が鎮座する宮島は、間違いなく選ばれただけのことはある、幻想的な場所であった。だが、天橋立には行ったことがない。写真で見る限り、春夏秋冬のどのシーズンでも自然からの贈り物であるかのような、神がかった美しさが伝わってくる景色であった。東京からは交通の便が悪いため、気軽に行かれる場所ではないのだが、「あとひとつで制覇」という気持ちもあり揺れる。面倒臭さが勝つのか、すべて見たい夢が勝つのか、自分でもわからない。
「3」という数には磁力がある。「10」だったら、全部は無理と諦めがつくけれど、「3」だと、ちょっと頑張れば手が届いてしまう。間違いなく、達成感を味わいたいという気持ちを煽る効果があるようだ。
 昨日、娘が友達と浅草に出かけた。土産に買ってきてくれたのが、亀十のどら焼きであった。



 通常のどら焼きより2回りほど大きくて、ソフトボールを平べったくしたサイズに見える。でも、カステラの部分は薄く、ふわふわしていて、焦げ目のマイルドで香ばしい甘みがクセになりそうだ。



「美味しい? 混んでいたけど、友達が買うって言うから、20分間一緒に並んだんだよ」
 お土産が喜ばれ、娘も満足そうだ。亀十に興味を持ち、ネットで調べてみたら、「東京三大どら焼き」の一つであると書かれていた。
「東十条の草月、浅草の亀十、上野のうさぎやだって。へ~」
 草月の「黒松」というどら焼きは、北区の学校にいたとき何度もいただいた。蜂蜜の風味が生きていて生地も軽く、とても130円とは思えない完成度の高さである。ランクインするのは当然であろう。亀十もレベルが高いとわかったけれど、うさぎやのどら焼きについては何も知らない。俄然、興味がわいてきた。
「メトロポリタンと天橋立は無理そうだけど、上野なら手が届く! 6月の土日で空いてる日あるかな」
 誰に頼まれたわけでもないのに、こんな言葉が口に出る。
 併設されたカフェでは、どら焼きをフレンチトーストにしたメニューもあるらしく、狭山茶が飲めるとが書かれていた。ああ、そそられる。これはもう行くしかない!
 三大ホニャララにつられて、引き寄せられる人がここにいた。

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公募エッセイにチャレンジ

2024年05月26日 18時11分51秒 | エッセイ
 エッセイを書き始めて何年になるのだろう。
 記念すべき最初の作品は、1999年12月に生まれたと記憶している。『年越しラーメン』というタイトルの、どうしようもない駄作だった。すぐに2000年がやってきて、月に2回のエッセイ教室でコンスタントに書くようになると、講師や仲間からアドバイスをいただくことができて、少しずつマシになってきた。
「てことは、今年で25年目か。早ッ!」
 その間、エッセイ仲間と節目節目で記念冊子を作り知り合いに配ったり、自費出版で書籍化したりと活動の幅を広げていった。ブログを開設してからは、週に1~2回作品を書かねばならず、ネタ探しに奔走することもあったけれど、ツラいとかやめたいなどと考えたことはない。
 近い将来、定年退職を迎えることもあり、「暇になったら、何か書かせてくれる場がないものか」と密かに狙っている。いや、心の内で願うだけではダメなのだ。自分で行動を起こし、アプローチしていかない限り、何も始まらない。
 そんなわけで、今年からは積極的に公募を探し、応募することにした。ジャンルとして小説は無理。実際にいない人物を生み出し、起きていないことを、さも事実であるかのように描写する能力が私にはない。やはり、実話を加工して、エッセイに仕立てるぐらいが向いている。
 さすがに本名で勝負するのはリスクが高い。ペンネームや匿名を認めていて、書けそうなテーマに照準を定め、いくつかの公募に送ってみた。謝礼や賞金が高額なものは、激戦になるに違いないから避け、仕事とブログと家事の隙間時間で仕上げられる範囲で、これまでまったく接点のなかった世界に足を踏み入れた。
 2週間ほどで「採用」の回答をしてくれたのが、朝日新聞社系の「かがみよかがみ」というエッセイ投稿メディアであった。対象は18歳から29歳の女性なのだけれど、たまたま年齢制限なしのエッセイを募集していたので、応募したら掲載してもらえた。サブタイトルの設定がこれまでの経験にはなく、読まれるための工夫についても学ぶことができた。
 しかし、若い女性が主なのだから、果たして、私の作品が読まれるものなのか。甚だ疑問だ……。
 先日、『イコール』という雑誌が自宅に届いた。



 こちらでは2月に「追悼 坂本龍一」なるコーナーの原稿を募集していて、氏のファンであった私は「絶対応募する!」と気合を入れて参加した。運よく「採用となりました」のメールをいただき、掲載誌をちょうだいしたというわけだ。



 坂本氏とゆかりのある方とご一緒にイベントに加わり、生前の活躍や人柄などについて語れたことが何よりもありがたい。ご担当者の審査に、ひたすら感謝である。
 先週は土曜にも日曜にも仕事が入ってしまい、疲れから歯茎が腫れてひどい目にあった。
 今週はゆっくり養生し、元気になったところで、また書く気力がわいてきている。
 さあ、次は何にチャレンジしようかな。

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