これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

小形羊羹 vs 面最中

2022年03月27日 20時52分07秒 | エッセイ
 3月31日でこの職場ともお別れだ。
 近くてキレイで、温かい人たちの多い学校だったから、毎日が楽しかった。
「お別れの挨拶にお菓子を用意しよう。たまには和菓子がいいかな」
 ネットで商品を検索すると、「備中神楽面最中」というものに興味がわいた。ただの最中ではなく、面になっているところが面白い。
「他には何があるんだろう」
 さらに調べていくと、贈答品の王道・とらやの小形羊羹を見つけてしまった。
「ややっ、これよこれ。とらやで決まり~」
 職員の人数は私も含めて60人だ。
「96個入りだって。多すぎでしょ」



 これだけ羊羹が詰まっていると迫力だ。重さは5.89kgらしい。
「持てるかい、そんなもの」
 次に、56個入りというものもあった。



「うーん、4個足りないんだよね、これじゃ」
 その下のサイズの36個入りだと、2.15kgとなり、だいぶ軽い。
「おや? 24個入りっていうのもあるじゃない」



 36個入りと24個入りを買えば、ちょうど職員の数になる。これで決まりだ。
 24個入りは1.47kg。まあ、何とか持って行かれるだろう。
 和菓子を配るには体力が必要なのであった。
 ところで、ボツになった備中神楽面最中を自宅用に買ってみた。



「へえ、結構大きいのね」
 一つ目を開けたら、こんな面が出てきた。



「おもしろーい」
 二つ目は姫のようだ。



 写真を撮っていたら、娘が部屋に入ってきた。
「な、なに、その最中。怖~い!」
「そうかな? 珍しいじゃない」
「やだよ。ミキはいらないから」
 不評だったようだ。
 これにしなくてよかったという気持ちと、このインパクトを利用しない手はないという気持ちが混ざり合う。もらった人が驚いて、私のことを忘れないかもしれないし。
 今年度も残り4日。
 最後まで頑張りまーす!


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筆跡鑑定が必要なホワイトデー

2022年03月20日 20時07分44秒 | エッセイ
 月曜の朝は眠い。
 ひとまず、身支度をして職場に向かうと、すでに何人もの職員が仕事を始めていた。
「おはようございます。これ、どうぞ」
 年配の村田さんが、小さな包みをそっと差し出してきた。そうか、今日はホワイトデー。バレンタインデーに配った義理チョコの、お返しをいただいたらしい。
「ありがとうございます」
 袋の口から花柄の缶が目に入る。どうもクッキーのようだ。安物のチョコに対して、豪華過ぎないか? 気が引けると言いつつも、いただいちゃうけど……。
 その日は朝イチで会議があった。11時頃戻ってくると、今度はチョコレートとおぼしき小さな箱が、机のすみっこにひっそりと置かれていた。
「ややっ、これはこれは」
 箱には小さなメモがついていた。
「いつも遅くまでお疲れ様です。甘いものでリフレッシュしてください」
 チョコもうれしいが、どちらかというと、こういうメッセージの方に惹かれる。食べ物はなくなってしまうけど、メモはちゃんと保管しておこうと決めた。
「でも誰からだろう。名前が書いてないや」
 筆圧や字の雰囲気から男性との目星はついた。あとは消去法だ。
「イシカワさんの字に似ているけど、あの人は絶対、自分の名前を書くだろうな」
 まずは、名乗るほどの者じゃないし、といった奥ゆかしさのある人を絞り込むことにした。アピールの強い人はここで候補から外される。
 次に筆跡鑑定をしたかったのだが、職員とのやりとりがメールや活字ばかりで、直筆が少ないことに気づいた。これでは誰だかわからない。
「そうだ、日直日誌は?」
 予想通り、日直日誌は手書きで一日の様子を記入するので、筆跡鑑定の手がかりが豊富にあった。日付順に、メモの字に似た筆跡を追ったところ、英語科のヨシダ先生らしいとわかった。長身で20代、ユニークな授業が持ち味の彼にはファンが多い。バレンタインのチョコをたくさんもらったと話していたから、ひょっとしてお返しが余り、私のところにもおすそ分けとなったのではないか。
「そうか、ヨシダさんね。では安心していただこう」
 チョコレートはすぐに食べてしまったが、たしかこんな感じだったはず。



 昼休みになって、ようやくヨシダ先生が席に戻ってきた。
「ヨシダ先生、ごちそうさまでした。美味しかった」
 振り向いた彼は「あれっ」という表情のあとで、ニッと笑った。
「ならよかったです。僕ってわかりましたか?」
「はい。筆跡鑑定しちゃったから」
「こえ~!」
「あははは」
 私は4月から別の職場に異動することになった
 こんなやりとりができるのも、あと2週間。
 いい学校にご縁があり、幸せだったと思う。


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ビール券で何を買う?

2022年03月13日 16時29分48秒 | エッセイ
 昨年末に、姉からビール券を2枚もらった。



 小物入れにしまい込んでいたのだが、使用期限が気になり出してみた。
「ややっ、2022年3月31日ではないか!」
 せっかくいただいたものを無駄にしてはいけない。
「そもそも、ビールよりワインだしな」
 さて、このビール券、店によってはビール以外に使えることもできるはず。
 以前に勤めていた北区の学校の、向かいにあったコンビニでは、店内の商品どれにでも使えた。でも、わざわざ交通費をかけて行くほどのことではないから、便利な方法を調べてみればよい。
 どうやら、多くのスーパー等では「ビールを1本買う」ことを条件に、他の商品にも使えるらしい。サービスカウンターに問い合わせると、缶か瓶かといった形状や、大きさは問わないという。ビールであれば何でもいいから、1本以上購入することが必要と教わった。
「だったら、ギネスがいいな」
 しばらく黒ビールを飲んでいない。とたんに、あの味が恋しくなってきた。何としても買わねばという気になる。
 週末を待ち、スーパーに行く。肉や野菜をカゴに入れたあと、酒類売り場でギネスを探した。
「あれっ、ない……ないなぁ」
 残念ながら、その店ではギネスを扱っていないようだった。ならば、黒ヱビスかドライブラックにしようと思い、何分もかけてゴンドラを見回したのだが、ついにそれらしきものが見つからなかった。
「そんなことあるぅ~?」
 この店は黒ビールを憎んでいるのだろうか。もしくは「黒は不吉」などと忌み嫌っているのかもしれない。信じられないことだが、売り場には1本の黒ビールも存在していなかった。
 しかし、ペールエールを見つけ、とたんに笑顔になる。これもイケるのだ。



 さて、ビール券は2枚ある。ということは、ビールも2本買わねばならんのではないだろうか。
「ペールエールは1本でいいや。ビール券も1枚にしておこうっと」
 月末までに、何度も買い出しに行くのだから、あわてて使う必要はない。ガツガツしないで次を待とう。
 次の機会は今日だった。今度は場所を変え、ギネスの並んでいる店舗を選ぶ。



 満足、満足。
 レシートを見ると、ビール券には724円の価値があるとわかった。



 近くに住んでいない姉に、練馬から感謝の念を送った。
 今日、東京の気温はグングン上がり、厚着をしていると汗ばむくらいになった。
 これからは、ビールが美味しい季節になるね。


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コロナ禍での卒業

2022年03月06日 21時36分01秒 | エッセイ
 今週は、勤務先の高校で卒業式がある。
 コロナ禍でオンライン授業となった時期は、寝坊したり、一日中ゲームをして過ごしたりで怠けた生徒もいたが、意識の高い生徒は違う。自分のペースを作ってせっせと学習に励み、ぐんぐん学力を上げていった。
 そんな努力家の生徒たちが、2月末から続々と合格報告の電話を掛けてくる。
「早稲田に合格しました」
「明治に決まりました」
「上智に受かりました」
 さすがに国公立は厳しいけれど、生徒の声は弾んでいるし、教員側も興奮して受け答えをしていた。大学に入れたことは推薦で同級生が次々とゴールを決めていく中で、黙々と頑張れる子たちは偉い。きっと、この先の人生でも、粘り強さを発揮してくれるだろう。
 ところで、一年前の令和3年度入試では、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)以上の大学でも軒並み倍率を落としていた。感染者の多い東京ではオンライン授業が多いことから、地方の受験者に敬遠されたからと聞く。普通に対面授業をしている地元大学の方が、充実した学生生活を送ることができると判断されたわけだ。今回の令和4年度入試も低倍率だったのであれば、首都圏の高校生には追い風が吹いたと思われる。
 今の高校生は本当に気の毒だ。感染防止のため、部活動の大会がなくなり、修学旅行や文化祭、体育祭などの行事は中止か規模縮小。果たして、思い出を作る機会があったのか。我慢ばかり強いられてきたのだから、入試でひとつくらいよいことがあっても、罰は当たるまい。
 ところで、今でも、志望校に合格したことを「サクラサク」と言うのかな……?



 さて、卒業式は、笑顔でいっぱいの3年生が揃うとよいのだが、まん延防止等重点措置が延長された東京では、相変わらずの新規感染者数高止まりが続いていて、気が抜けない。
 コロナ対策はもちろんだが、ときどきインフルエンザに罹る生徒もいるし、この間はなんと、おたふく風邪で休んだ生徒もいた。コロナ以外のウイルスも、存在感をアピールしたいの? と苦笑した。
 飛沫防止のため、卒業ソングが歌えない卒業式となる。
 巣立つ生徒に向けて、心の中で『旅立ちの日に』を送りたい。


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