教員の異動は、まるで恋愛のようだ。
行きたい学校に選ばれて相思相愛になることもあれば、希望先からすげなく袖にされて他の学校をあてがわれたり、まだ残りたいのに「人事構想に入っていない」と追い出されたりと、片想いの場合も珍しくない。
私の場合、最初の異動は職場結婚がきっかけだった。校長から告げられた転入先は、今はなき教育困難校で、目の前が真っ暗になった。
「いや~、大変なところになっちゃったね。刺されないように気をつけないと」
同僚の、半分面白がっているような発言にカチンときて、「大丈夫ですっ!」と言い返して乗り込んでみたものの……。
やっぱり大変な苦労をした。教育困難校の彼など持つものではない。でも、今では若いうちに経験しておいてよかったと思う。
このように、期待はずれのお相手から選ばれてしまった場合、異議申し立ての期間にあれこれ言い訳してお断りすれば変更の余地もあるが、大抵は認められないようだ。
知り合いの数学科の男性も、不本意な異動に腹を立て、転入先での面接にジャージで臨むという抗議行動に出た。また、別の男性はあっさり退職してしまった。あっぱれである。
この教育困難校では異動希望者が他に比べて多く、多くの教員が「早く出たい」と思っていた。当然、全員の希望が叶うはずもなく、毎年運のいい人だけが転出できた。
どうやら、その学校での異動できるかできないかの基準は、指導力にあるようだった。生徒指導が得意で、授業も面白いと評判の先生ほど、なかなか出られない。
「校長室のドアを開けたとたん、アナタはありませんからって追い返されたよ」
国語科の男性は3年連続で異動できず、足踏み状態がつづいていた。だが、引っ越しを機に私が希望を出したら、あっさりと受け入れられた。
「なに!? 笹木さんズルいよ! 俺なんてずっとここなのに、一発でオーケーなんて許せない」
彼は子供のようにスネてしまった。
このときばかりは、役に立たないと見られてよかったと思った。
二度目の異動先として希望したのは、家から一番近い学校だった。話が通じて、ある程度の礼儀をわきまえている生徒ならば、私はレベルにこだわらない。遠くていい学校よりも、学力はともかく、自転車で通える本命の彼に私は惚れ込んでいた。
めでたく、希望通りになったときの喜びといったらない。初めて相思相愛の異動先に勤務できたのだ。一人で電車に乗っていても、思い出してはニヤーと顔がゆるみ、相当アブナイ人になっていた。
しかし、はしゃぎすぎたせいか、2月に転入先から呼ばれ、面接をする当日にインフルエンザで倒れた。ちょっとお粗末……。
最低でも10年は本命の彼とラブラブでいたいと思っていたのに、異動のルールが変わってしまい、最大でも6年しかいられなくなった。残留を希望したものの認められず、「とっとと出て行け」とまでは言われなかったが、異動対象となった。
どうせなら、二番目に近い学校に行きたいと希望したのだが、見事に振られた!!
「近くて愛着のある学校」から「遠くてイマイチの学校」への異動だ。
遠いといっても、私たち地方公務員は都内の異動に限定されているから、北海道や九州に行くわけではない。民間企業の転勤族から見れば、くだらないと一笑に付されるだろう。
その「イマイチの彼」に勤務して、まもなく4年目が終わる。初めは抵抗があったが、今では「住めば都」と感じるようになった。人も学校も、先入観で判断したらダメなのだ。
ここにいられるのもあと2年……。
たまたま、今日は校長・副校長との面接があり、こんなことを言われた。
「笹木さんは、今まで全日制しか経験していないから、次は定時制になると思いますよ」
定時制!? ついに夜の仕事になるのか!!
かなりの衝撃を受けて職員室に戻った。
キャパシティは広いつもりでいたけれど……。寝るのが遅くなると、お肌のためにはよくない。
ナイトワークスの彼はできれば避けたいなぁ。
お気に召したら、クリックしてくださいませ♪
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行きたい学校に選ばれて相思相愛になることもあれば、希望先からすげなく袖にされて他の学校をあてがわれたり、まだ残りたいのに「人事構想に入っていない」と追い出されたりと、片想いの場合も珍しくない。
私の場合、最初の異動は職場結婚がきっかけだった。校長から告げられた転入先は、今はなき教育困難校で、目の前が真っ暗になった。
「いや~、大変なところになっちゃったね。刺されないように気をつけないと」
同僚の、半分面白がっているような発言にカチンときて、「大丈夫ですっ!」と言い返して乗り込んでみたものの……。
やっぱり大変な苦労をした。教育困難校の彼など持つものではない。でも、今では若いうちに経験しておいてよかったと思う。
このように、期待はずれのお相手から選ばれてしまった場合、異議申し立ての期間にあれこれ言い訳してお断りすれば変更の余地もあるが、大抵は認められないようだ。
知り合いの数学科の男性も、不本意な異動に腹を立て、転入先での面接にジャージで臨むという抗議行動に出た。また、別の男性はあっさり退職してしまった。あっぱれである。
この教育困難校では異動希望者が他に比べて多く、多くの教員が「早く出たい」と思っていた。当然、全員の希望が叶うはずもなく、毎年運のいい人だけが転出できた。
どうやら、その学校での異動できるかできないかの基準は、指導力にあるようだった。生徒指導が得意で、授業も面白いと評判の先生ほど、なかなか出られない。
「校長室のドアを開けたとたん、アナタはありませんからって追い返されたよ」
国語科の男性は3年連続で異動できず、足踏み状態がつづいていた。だが、引っ越しを機に私が希望を出したら、あっさりと受け入れられた。
「なに!? 笹木さんズルいよ! 俺なんてずっとここなのに、一発でオーケーなんて許せない」
彼は子供のようにスネてしまった。
このときばかりは、役に立たないと見られてよかったと思った。
二度目の異動先として希望したのは、家から一番近い学校だった。話が通じて、ある程度の礼儀をわきまえている生徒ならば、私はレベルにこだわらない。遠くていい学校よりも、学力はともかく、自転車で通える本命の彼に私は惚れ込んでいた。
めでたく、希望通りになったときの喜びといったらない。初めて相思相愛の異動先に勤務できたのだ。一人で電車に乗っていても、思い出してはニヤーと顔がゆるみ、相当アブナイ人になっていた。
しかし、はしゃぎすぎたせいか、2月に転入先から呼ばれ、面接をする当日にインフルエンザで倒れた。ちょっとお粗末……。
最低でも10年は本命の彼とラブラブでいたいと思っていたのに、異動のルールが変わってしまい、最大でも6年しかいられなくなった。残留を希望したものの認められず、「とっとと出て行け」とまでは言われなかったが、異動対象となった。
どうせなら、二番目に近い学校に行きたいと希望したのだが、見事に振られた!!
「近くて愛着のある学校」から「遠くてイマイチの学校」への異動だ。
遠いといっても、私たち地方公務員は都内の異動に限定されているから、北海道や九州に行くわけではない。民間企業の転勤族から見れば、くだらないと一笑に付されるだろう。
その「イマイチの彼」に勤務して、まもなく4年目が終わる。初めは抵抗があったが、今では「住めば都」と感じるようになった。人も学校も、先入観で判断したらダメなのだ。
ここにいられるのもあと2年……。
たまたま、今日は校長・副校長との面接があり、こんなことを言われた。
「笹木さんは、今まで全日制しか経験していないから、次は定時制になると思いますよ」
定時制!? ついに夜の仕事になるのか!!
かなりの衝撃を受けて職員室に戻った。
キャパシティは広いつもりでいたけれど……。寝るのが遅くなると、お肌のためにはよくない。
ナイトワークスの彼はできれば避けたいなぁ。
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