これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

おひな様競争

2009年02月22日 20時58分59秒 | エッセイ
「人形は顔が命」というフレーズの、ひな人形のCMが流行ったことがあった。
 わが家では、速さが命である。
 初めて7段飾りのひな人形を出したとき、実に3時間もかかった。慣れるにつれ、所要時間は短くなり、昨年は2時間を切っている。
 さて、今年はさらに記録を伸ばすことができるだろうか。

 まずは屋根裏の収納庫から、人形入りダンボール1箱、小道具入りダンボール2箱、ひな段入りダンボール1箱の計4箱を運び出すことから始める。これがひと仕事だ。
「オレ、腰を傷めるといけないからパス」
 腰痛持ちの夫は早々に退散してしまい、健康な私一人でやるから時間がかかる。
「うう~、重たいぃー」
 ひな段の箱は20kgほどあるので、中身を小分けにして運ばないと無理だ。が、あとの箱は非力な私でも楽々下ろせる。4箱出したところで、すでに10分経過していた。

 次に、ひな段の骨組みを作る。そこに、緋毛せんと呼ばれる赤い布を敷く。この毛せんには折りジワがつくので、アイロンをかけてくださいと書いてあるが、毎年無視している。

 だって、人形やお道具を置けば、シワになっててもわかんないんだも~ん♪

 ぐちゃぐちゃの毛せんを強引に止め具で固定し、屏風、ぼんぼりと順番に並べていく。ぱっぱ、ぱっぱと手際よく作業しても、時計を見たら45分経過……。やっぱり時間がかかるものだ。
 台を並べたら、人形を出す。最初は殿と姫だ。殿には烏帽子をかぶせて紐を結び、刀を脇に差し込む。この刀は、ちゃんと鞘が抜けるようになっていて、チャンバラもできる。でもやらない。
 姫は扇を広げて持たせるだけだから簡単だ。
 次は三人官女。座っているから官女は中央に、口を開けている官女は向かって左、結んでいるものは右に置く。銚子の種類が違うので、慎重に持たせる。

 そして、五人囃子ではなく七人雅楽。両親に買ってもらうときは、にぎやかなほうがよいと思って、二人分多いものを選んだくせに、いざ並べるとなると「余計な時間がかかるじゃないか~」と気づいた。樂太鼓・褐鼓(かっこ)・笙・ひちりき・横笛・琴・琵琶をセットするのだが、琵琶を持たせるのが難しい。本を読んでいた娘のミキに、ちょっと愚痴ってみた。
「琵琶じゃなくて、テナーサックスとかにしてくれれば、首からストラップでぶら下げられるのにね~」
「えっ、じゃあ、その隣には、トランペットやトロンボーンがあるの?」
 ミキも、ニヤニヤ笑いながら話を合わせてきた。
「うん。七人雅楽じゃなくて、八人吹奏楽なんていうのはどう?」
「ははは、無理無理。八人じゃ吹奏楽はできないよ。第一、ヘンでしょ!」
 いいアイデアだと思ったのだが……。

 おっと、こんなことをしている場合じゃない。その次は隋臣だ。白髪の左大臣は向かって右に、若い右大臣は左に置く。おいかけという、もみあげのようなふさふさは、耳の横にくるよう調節しておく。
 最後に三人仕丁を左から、怒・泣・笑の順に並べればOKだ。
 あとは、箪笥、長持、鏡台、火鉢、重箱、牛車などのお道具類を置くだけ。右近の橘、左近の桜もセットすれば出来上がりだ。
「わぁ、きれい~!!」
 見に来たミキが、感動の声を上げていた。



 どんなもんだーい!

 本年の所要時間、1時間半なり。これは新記録である。
 来年はミキにも手伝わせ、1時間以内を目指したい!



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コメント (18)
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