これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

頭の黒いネズミさん♪

2009年02月15日 21時21分20秒 | エッセイ
 去年も、バレンタインデーには、夫に本命チョコをあげた。
「はい、パパ、チョコレート」
「お父さん、ミキからもチョコレート」
 夫は大喜びで包みを開け、一口味見をするが、あとは大事に冷蔵庫にしまっておくのが常だ。残りは、なかなか食べようとしない。
「もったいなくて食べられないよ~」
 意外に貧乏性だったりする。
 私は夕食を作るとき、無性に甘いものが欲しくなる。しかし、太ることを恐れて、菓子の買い置きは極力しない。そんなとき、冷蔵庫のチョコレートを思い出す。

 …………。

 休みの日、夫が珍しくチョコレートの箱を開け、続きを食べようとした。しかし、中身を見た瞬間、「あっ!」という叫び声を上げ、手が止まってしまった。ミキが何事かと近寄り、声を掛けた。
「お父さん、どうしたの?」
「お父さんは食べてないのに、こんなに減ってる!!」
「ミキじゃないよ! こないだ、お母さんが食べてたの見たよ」
「わぁ~、頭の黒いネズミだぁ~!!」

 チッ、ばれたか。

 モタモタしているのが悪い。この家は早い者勝ちなのだ。
 しかし、大事に取っておいたものを横取りしたのだから、多少なりとも良心の呵責を感じないこともなかった。

 そして迎えた今年のバレンタインデー。去年の教訓から、あらかじめ私が食べる分も数に入れて、質より量作戦を取った。
「はい、パパ、チョコレート♪」
「はい、ミキからもチョコレート♪」
 夫はお歳暮のような大きな包みに驚いていた。
「わあ、今年のチョコは、すごく大きいねー」
 そりゃそうだ。箱の中身は、エスプリ・ド・メリー50個入りなのだから。25個入りの2段重ねになっている、ボリュームたっぷりのチョコレートをわざわざ選んできた。



「ありがとう。いただきまーす」
 夫も私も2個ずつ食べた。
「ミキは友達からもらったチョコを食べるから、いらないよ」
 娘はいわゆる「友チョコ」なるものをたくさんもらい、メリーには見向きもしなかった。

 そして一夜明けた今日、夫が出かけたあと、コーヒーをいれたらお茶うけが欲しくなった。今年は堂々とチョコレートをいただける。
 ブルーベリー、アーモンド、オレンジ、ラムトリュフ……。
困ったことに、美味しくてなかなかやめられない。太ってスカートがはけなくなる自分を想像し、どうにか誘惑を断ち切った。
 夕方、夫が帰ってきた。
「ただいま~。お腹すいた」
 彼は冷蔵庫から大きな箱を出すとフタを開け、またもや「あっ!」という大きな声を出した。
「……穴ぼこだらけだ……」
ミキもニヤニヤ笑いながら、箱の中を覗き込んだ。
「アハハハ、またお母さんだ~」
 しかし、今年の夫は負けていない。私に対抗すべく、アーモンド、ジャンドゥヤ、マカダミアナッツ、抹茶と立て続けに口に放り込んだ。
 かくして、あっという間にこんな状態である。



 このペースだと、今週中にはからっぽになりそうな勢いだ。
 
 う~ん、来年は50個入りを2箱かな……。



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コメント (23)
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