最上川の風景
今回の総選挙で、日本国憲法の改正(悪)が自民党、日本維新の会が政権公約に掲げています。みんなの党は党首が改正に賛同する主張を行っています。今なぜ、憲法改正を提唱するのかを考える必要があると思います。09年民主党政権への移行で、自民党型政治の転換を託した国民の期待、意思を踏みにじった民主党政権、菅、野田政権への政治不信が、反動として、自民党回帰に結びついているように感じます。民主党野田政権、現民主党中枢は自民党野田派であり、その点では政治姿勢がもともと自民党の一派閥でしかなかったことを立証しただけの話です。
現行憲法が、1950年以降の日本の経済的な発展を保障したことは事実です。人権の尊重、戦争放棄、他国への侵略行為を行わない、議会制民主主義などがいろいろな問題がありながらも大筋で守られてきたことも現行憲法があればこそではないかと思います。
憲法改正を主張する政治勢力は、そのことには触れず、戦争が出来る国、徴兵制度復活、靖国参拝肯定、自衛隊の軍隊としての格上げ、海外派兵の合法化などを狙っています。そのために、人権の否定、教育統制、情報統制なども関連して政権が慣用することを合法化しようとしています。
これらのことはかつて軍国主義日本がアジア・太平洋戦争で通った道であり、敗戦を経て、世界各国からの批判を受けて、戦争放棄、軍備を持たない平和憲法制定したことを真っ向から否定することにつながります。改憲勢力の主張は、尖閣列島領有権問題を利用して軍事力行使、力による解決などへと誘導しています。そのときに平和憲法が足かせになるとして、攻撃を拡大しているのだと思います。領土問題を軍事問題にすり替え、詭弁としか言いようのない高圧的な政治主張でこの問題を改善することが出来るはずがありません。このような政治勢力が国会の多数を占めることは本当に危険なことです。消費税率の引き上げ、TPP参加、原子力発電依存などと絡めて、今回の総選挙で、このような争点が問われているのだと思います。
<憲法9条 平和国家として歩み続けたい。>愛媛新聞社説
衆院選の政策論争で、各党が憲法9条を含む改憲について態度を明らかにしている。
きっかけは自民党が先月発表した政権公約。「集団的自衛権の行使」を可能とし、改憲で自衛隊を「国防軍」と位置づけると明記した。
日本は戦後長きにわたり戦争をしない「平和国家」として歩んできた。9条改憲は、この国のありようを根底から転換することを意味する。
戦争を否定し、軍隊を持たないとうたう9条を変える必要はあるのか。改憲は差し迫った課題か。衆院選において極めて重要な投票の判断基準だ。主権者として、各党の示した憲法に関する考え方をしっかり見極めたい。憲法は、権力や武力を持たない国民の側から、国家に縛りをかける道具でもあるのだ。
同盟国が攻撃された場合、共に武力で阻止できる集団的自衛権について、日本政府は「憲法9条の下で許容される必要最小限度の自衛権行使の範囲を超える」と認めてこなかった。
自民党の安倍晋三総裁は、「(民主党政権で)失われた日米同盟関係を再び信頼あるものに変える」と強調している。集団的自衛権行使を認めれば日米安全保障条約を結ぶ米国の軍隊と自衛隊が一体化し海外で戦闘可能になる。米軍再編とも連動し、日本が米国の世界戦略の一端を担う動きが加速する可能性が高い。
自民党に近いのが日本維新の会だ。日米同盟深化や防衛費の国内総生産(GDP)1%枠撤廃、集団的自衛権の行使を公約に記し、石原慎太郎代表の意向を踏まえ「自主憲法制定」も盛り込んだ。
こうした動きに対し、共産党は「あらゆる形の憲法改悪阻止」、社民党も「平和憲法は変えさせない」と危機感を強め、護憲の立場を明確に打ち出す。自民と連立を目指す公明党も国防軍や集団的自衛権行使には反発した。日本未来の党は「あえて憲法を変える必要はない」との見解だ。
民主党は国防軍に反対しているが、集団的自衛権行使は野田佳彦首相の持論。改憲には党内に強い慎重論があり、公約で賛否に触れなかった。
こうした中、衆院選世論調査では、自民が大きく議席を伸ばす公算が大きくなっている。自民党は、改憲の発議要件を衆参両院それぞれ過半数に緩和するとしており、来夏の参院選の結果いかんでは、改憲に向けた手続きが現実味を帯びるだろう。
だが、決して忘れまい。憲法9条は、日本の起こした先の戦争で近隣諸国や国内に多大な犠牲を強いたことへの痛切な反省から生まれた。戦後の日本は平和国家であったればこそ世界に認められた。戦争をしない国であり続けるか否か。16日の衆院選投票は、その針路に関わる選択だ。
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