相談者さんは75歳の女性です。
裏口を開けたらそこに猫たちがいて、はじめは目が合って
放っておけなくて餌をあげ始めてしまいました。
今春に何匹かの子猫が生まれ、その数が増えてしまったそうです。
そこで不妊手術や里親探しを考えてくれたらよかったのですが
この秋口に母猫はまたしても出産。
産まれた子は生後2カ月。
ここでようやくようやく、ご主人や息子さんから餌やりを叱られて
なんとかしないといけないと気づいたようです。
相談者さんは、捕獲器をセットすることもできず、病院に搬入もできません。
スタッフさんがすべてをやらないといけない現場です。
幸い猫たちがわりといい子で、裏口にうろうろしてくれています。
数人のスタッフさんたちが、捕獲と病院搬入搬送をがんばってくれています。
今週21日の月曜日、まだ若い春生まれのメス猫が命を落としました。
手術後いったん覚醒したものの、すぐにまた意識を失くし
そのまま目覚めることがありませんでした。
先生もレントゲンを撮影してくれたり、いろいろ見てくださったようです。
すぐにわたしにも電話があり、詳しく説明をしてくださいました。
手術そのものに問題があったわけではなく、たぶん先天的な
循環器系のどこかに異常があったんではないかとのことです。
手術後、こうした事例はこれまでも何件か経験しています。
やはり手術ですから、絶対はありません。
手術を済ませ、その後ずっと一生一代限りの命を
そこでまっとうしてもらいたいと行っているこのTNRの活動。
朝まで元気だったその子が、寿命だったとわりきるには
あまりにも切ない話です。
もっと生きていたかっただろうにと・・・。
その子のことを想い、心の中で手を合わせました。
不妊手術を推奨する中で、こうしたことは本当にときどき起こります。
それでも産ませたり、増やしたりしてはいけないわけです。
他の子たちの手術も進めていかないといけないし
この子のためにも、ここの現場を完結させないと・・・。
関わったスタッフさんたちも、釈然としないものを抱えながら
それでも、がんばってくれています。
先生がきちんと供養してくださるとのことで
今回はお言葉に甘えさせてもらいました。
こちらの先生はいつも亡くなってしまった子たちにも
取り出した胎児にさえ、とても優しい気持ちで接してくださっています。
野良猫と呼ばれ、個別の名前を持たない子たちが
いつかいなくなる日がきますように。