アンカツには関係ないしスルーしようと思ってたんだけど、
あまりにも面白レースだったので回顧しておきます。
壮絶な自爆合戦でしたねw
トゥザグローリー 13着
スタートが速く、誰も行かないために行ってしまいそう。
ゲシュタルトが出て行って、続いてペルーサも前に出たので、
なんとかその後ろにつくことは出来たんだけども、
ペルーサを右前に置くだけで壁を作るには至らず。
最初からかかりっぱなしなのを必死に宥めながらの追走。
1周目の4角から直線へ、ずっと我慢していたが、
人気薄のコスモヘレノスが抑えることを放棄して特攻し先頭へ。
役割のない馬だから出来る動きだったが、
この馬の外からのマクリが、かかり続けるトゥザのスイッチを入れた。
最初にマクられたゲシュタルトは、満足したのか簡単に後退してしまい、
ペルーサは落ち着いていたために押し出されるように2番手に。
ここで止まれれば良かったが、もうスイッチが入っていてどうにもならず。
これ以上の制限は飛び出すよりもリスキーになるという判断の元に、
鞍上の四位は諦めて好きに行かせることを選んだ。
まさに苦渋の決断と言うほかない。
もちろん力が違い、1角で並ぶまもなくコスモをあっさりとパス。
長い長い2周目を早々に先頭に立って迎えた。
このまま直線まで行っていれば、まだ僅かに可能性があったのだが、
2周目2角でいきなりナムラクレセントが大きくマクって来て先頭に。
トゥザに被せるように前に入ってきて、
それに続いて3番手にいたマイネルキッツが外に並んできたため、
ここに来て動けない壁が出来るという最悪の展開に。
スイッチが入った後に物理的に動きを封じられては、もうどうにもならない。
最初にマクったコスモヘレノスが左後ろにつく形になっているため、
外に持ち出すことは叶わないまま、ダラダラと時を過ごした。
この間、間違いなく馬はキレながら走っている。
直線に入ってすぐに前が開きスパートをかけたが、
既にキレて消耗しきった馬に挽回する力はなかった。
驚くべきことに、何一つとして思い通りになったことがなかった。
この1番人気馬が特別に他騎手に狙われていたわけではないのだが、
自滅しかかったところに総攻撃を食らった格好で沈んだ。
ローズキングダム 11着
上々のスタートから好位を窺って行く構え。
少しして、ペルーサが目の前に入ってきて、
それを中心に囲まれるような格好になっての8番手。
絶好の位置取りでレースをスタートさせた。
派手に引っかかっているトゥザグローリーがすぐ外にいて、
前のペルーサとローズが絶好の展開になったと思われたのだが、
ここからめまぐるしく変わる展開に飲み込まれた。
まずコスモヘレノスがトゥザの後ろからマクって先頭へ、
それによってトゥザの押さえが利かなくなり先頭に行ったわけだが、
その少し前、直線の半ばでローズがはっきりとひっかかったシーンが分かる。
きっかけは分からないが、包まれているところでスイッチが入ってしまったが、
それでもまだペルーサとマイネルキッツを壁にして耐えている。
しかし、トゥザが行ってしまった後、マイネルキッツがそれを追いかけて3番手へ。
外の壁がなくなった後、ペルーサの外に出てしまったところが最大の敗因。
前に壁のない状態で、それでもまだ耐えながら2周目2角に入ったのだが、
ここでナムラクレセントが後ろから大マクリ。
同時に前にいたペルーサが外に膨れてきて、
外を振られながら挟まれるという最悪の格好に。
これで緊張の糸が切れた。
かかりながらペルーサを交わして4番手に上がってマイネルキッツの外。
馬の首は前を向かず外に向かっているのが分かる。
とてもじゃないが集中して走っておらず、
上がるなら上がるで、マイネルの外に並べていたならまだ良かったものを、
3番手のコスモヘレノスにずっと抵抗されながらの直線入り。
ヘレノスに外へ外へ弾かれながら直線に入って追い出されたが、
直線に入ってすぐ、さらに外からエイシンフラッシュに切れ込まれて終了。
直線早々に鞍上の豊も諦めて、適当に鞭を打つだけのレースになった。
これもまるで力を出し切れていない。
よく耐えていたのだが、途中でペルーサの外に出てしまったのが直接の敗因。
特殊な展開に飲み込まれた1頭となった。
エイシンフラッシュ 2着
スタートしてすぐ、外のオウケンブルースリと一瞬接触したが、
それで加速がついたのはこちらのほう。
15番枠から非常に速い出脚で内の馬を絞って行く。
しかし、これだけ外からだと内に入りきるには至らず。
1角は中団の外、マイネルキッツを内に置きながら。
外枠からで外になるのは避けられなかったが、
極力内に寄せながら進めたいという意思がありありと見える運び。
落ち着いて1周目の4角を回った。
1周目の直線に入ってから、遅いペースに嫌気が差してきたかかかり気味。
前にいるマイネルキッツを壁にしながら我慢の形。
2周目の1角に差し掛かるにつれ、マイネルキッツが進出開始。
マイネル鞍上の松岡が、トゥザグローリーの暴走に乗っかる形を取った。
これによりフラッシュの前はローズキングダムに変わったが、
ローズキングダムも引っかかっており、その後ろのフラッシュも危うい格好。
しかしここでフラッシュにとって幸運だったのは、
やや団子だった馬群が、トゥザの進出で縦に少し長くなったこと。
フラッシュ鞍上の博幸は折り合うことを諦めず、
ローズの内、ペルーサの後ろに滑り込ませる作戦をとった。
これでもう一度落ち着きを取り戻せる形に。
しかしここからさらなる試練が。
後ろからナムラクレセントがマクって一気に先頭へ、
連れてローズキングダムも前に行ってしまい、
壁がなくなったところで、内からコスモメドウが張り出してくる。
またも訪れた試練だったが、ここでフラッシュには再度幸運が舞い降りる。
後方にいたフォゲッタブルが後ろから上がって並んできたことで、
これに押しやられる格好で再びペルーサの後ろに。
さらにジャミールも無理矢理に押し上げようと外に並んできたことで、
行ってしまいそうなところをかろうじて耐えることに成功した。
耐えながら4角に入ると、もう我慢することはない。
先にマクったフォゲッタブルとジャミールはもう息切れし外に膨れ、
これらの内を突きながら、ペルーサに被せつつ直線へ。
追われると溜め込んでいた鬱憤を一気に吐き出すような凄い脚。
ペルーサとローズを一気に飲み込み、さらに内へ切れ込んで行く。
先頭まで奪う勢いで伸び続けたのだが、
たった1頭だけ、このレースで全てを完璧にこなしていた馬に敗れ去った。
このレース、この馬の状況が一番波乱万丈だったのだが、
次々に訪れる試練を諦めずに耐え忍んだからこその2着。
人馬共に素晴らしいレースをした。
ペルーサ 8着
今回も普通にゲートを出た。感慨深いものがあるw
軽く仕掛けられて位置を取りに行った格好。
3番手の外を落ち着いて取りきり、1周目4角を回った。
直線に入って少しだけ行きたがるようなところも見せたが、
すぐに落ち着いたところ、外からコスモヘレノスのマクリ。
さらに2周目1角前にはトゥザグローリーがこちらの前に出て行く形に。
続いてマイネルキッツもこちらを交わして上がって行く。
大外からはコスモメドウもこちらを交わしており、
これだけ行かれると馬もカッとなりそうなものなんだが、
ペルーサは他馬とは違ってよく落ち着いていた。
自分の位置をしっかりと守りながら2周目に突入。
2周目の2角で、少し外に寄れるところがあり、
ちょうどそのタイミングでナムラクレセントが大マクリ。
このマクリに対しては完全に沈黙することはせず、
前に入っていたコスモメドウを交わして全体の7番手だけは確保。
かかって行ってしまったローズキングダムの後ろについた。
その後、フォゲッタブルがマクリ気味に外から前に出てきたが、
これには関わらず内に寄せながら4コーナーを回り、
立ち上がりから上手に外に持ち出してスパートの準備。
直線に入ってさあゴーサインだ、というところで、
外からスルスルと忍び寄ってきていたエイシンフラッシュと重なり、
前にいたローズキングダムが邪魔になってスパートし損ねた。
フラッシュが行ってしまい、そこからもう一度伸びだしたが、
最後はジリジリとしか動けずに8着に終わった。
この馬はこの超展開の中でよく落ち着いていて走っていた。
しかし、実際には何かストレスの溜まるものがあったのかもしれないし、
もっと単純な話で、先行すると力を出せないのかもしれない。
後は、距離が長いのかもしれない。
まあ、どれも今回のレースでは分からないのだが、
見た目で分かることは、直線入り口でフラッシュにしてやられたことだけ。
3着 ナムラクレセント
出遅れて後方から。
先行してスタミナ勝負に持ち込むことで再浮上してきた馬なので、
いきなり後ろからになったのは大誤算であっただろう。
しかし、超展開がこの馬を救ってくれた。
まず、最初の入りが遅かったので、そう無理せずに中団まで浮上。
鞍上の和田は、ラチ沿いを離れずに進むことだけは考えていた感じだ。
2周目4角ではヒルノダムールの真後ろの7番手に位置し、
落ち着いてレースに入ることが出来た。
直線、遅いペースで内にいることに馬が戸惑っているのか、
何度か内ラチとヒルノダムールの間に入ろうとしているが、
それを鞍上の和田が宥めながら、コントロールは出来た状態で待機。
めまぐるしく変わる外の隊列を尻目に、
ヒルノダムールの後ろの位置を守り続けて2周目1角へ。
ここで和田が決断をした。
ヒルノダムールからスッと離れて下がっていき、
外にいたエイシンフラッシュの外に持ち出そうという構え。
ちょうど自身の後ろの馬とも離れておりそれがスムーズに行って、
2周目2角に入ったところで一気にマクりだした。
ここまで力は存分にタメた、ロングスパートで決めるという覚悟だろう。
一気に全馬をマクりきって先頭に踊り出た。
そこからは身上の渋太さでゴールまでよく頑張ったが、
最後は展開に飲まれなかった2頭の前に屈した。
思い切った勝負に出たのには、様々な計算がたっていたはず。
まず大前提にナムラクレセント自身が典型的なステイヤーであることがある。
消耗戦大歓迎で終いだけの勝負なんかやってられないことだ。
それから最初に遅れはしたが、内で力を存分にタメて勝負の準備が出来ていたこと。
そして、すぐ前の人気馬達が暴走していることも分かっていただろうから、
「ここで自分がマクれば止めをさせる」という考えもあったんじゃないか。
実際に、この馬のマクリが大半の馬に止めを刺している。
4つ目に、これ以上マクって来る奴はいないはず、という楽観論もあっただろう。
結果ナムラは最後まで頑張り通したが、もしもう一度抵抗する人馬がいたとすると、
間違いなくこの馬も3着には残れていない。
頑張れたのは、この馬が「最後のマクリ馬」だったからである。
実際、動いた後にマイネルキッツに来られる可能性もあった。
根拠はあっただろうが、博打に勝ったという内容。
競馬で勝つためには、自分の力をいかに引き出すかとともに、
相手の力をいかに殺ぎ落とすかというのも重要な戦略だが、
今回の和田の戦略は、その2つを存分に発揮するものであった。
何とも見事なものだったのだが、同時に勝ち馬を有利に導いてもいる。
最善の選択が最善の結果を生むとは限らないということ。
面白いものであるね。
マイネルキッツ 6着
スタートはしっかり決まっているのだが、
今回は待ったく行き脚がつかなかった。
目一杯に仕掛けられているのだがほとんど加速してこず、
トゥザグローリーに前に入られて先行を断念。
とりあえず8番手の真ん中、ローズの後ろでフラッシュの内に。
まあついたところなので仕方なかったのだが、
この馬もナムラクレセントと同様に瞬発力勝負では話にならない。
鞍上の松岡は、どこかで仕掛けたいとは考えていたことだろう。
とりあえずは包まれたので、それに従って進んでいた。
1周目4角を回って、位置をローズの外へ持って行き、
いつでも動いていける態勢を整えた。
後ろに甘んじているわけにはいかないという強い意志を感じる動き。
目の前にトゥザグローリーがいてこれに続いていたが、
トゥザが徐々に位置を押し上げて行くので、続いてこちらも浮上。
そこに外からコスモメドウがマクリ気味に位置を上げてきてこちらの外前に。
このコスモの動きは気に入らなかっただろうが、
それと時を同じくして、前にいたトゥザが一気に先頭に襲い掛かった。
前がガラッと開いて、ほとんど時を置かずに進出開始。
3番手に浮上して2周目の1角から2角へ。
正直、やったと思ったんじゃないかねこれは。
どう仕掛けるか悩んでいるところ、最高の能力を持った誘導馬が現れたんだから。
ただついて行くだけで良くなり、楽なレースになりそうになった。
しかし、そのすぐ後に難問を突きつけられる。
2角を回ってナムラクレセントが大マクリで一気に先頭へ。
それに続いて後続も一気に押し上げてきた。
ここでどうするのか最善なのか、考える時間はまったく与えられず、
松岡の選択は、トゥザを交わして2番手に上がったところで待機、だった。
もちろん、ここで待ちってのはマイネルキッツの特性からしてないだろうが、
大勝負をかけるならば、ナムラを交わしに行くという道もあった。
が、それはあまりにもリスクが高いと考えたのだろう。
キッツ自身は折り合っており、そこまでの攻撃的な乗り方をすると、
後ろで折り合っているかもしれない誰かの餌食になるのは明白。
ナムラのマクリでもう十分すぎるほどに消耗戦になっているので、
それに乗っかることで十分であるという、保留を決断した。
結果として、2番手から雪崩れ込んでの6着に終わった。
最初の遅さ以外はほぼ思った通りに運んでいたように見え、
まあまあ、力通りの内容だったのではないかな。
あそこでナムラに挑戦していたら、ナムラとの差は分からなかったが、
同時にもっと脚をなくして沈んでいた可能性のほうが高いと思う。
ヒルノダムール 1着
スタートを決めてゆっくりと先行策。
4番手の内で落ち着いてコーナーに向かった。
内ラチ沿いでビートブラックを見ながら直線に入ると、
直線ではビートの少しだけ外に持ち出しながら追走。
狭い空間を大きく使って気持ちよく走らせようという意図だな。
幸いにも、序盤から大混乱だったのは外のほうだけで、
内のほうには全く影響がないレースであり、
ビートブラック、この馬、マカニビスティーと、
内ラチ沿いにいる馬の折り合いは見事の一言。
全周パトロールで見ると、内の静かさと外の喧騒の差が激しすぎw
この馬自身はビートブラックの後ろで何もしていないが、
外ががたがたとして位置が勝手に中団の後ろに。
しかし藤田は全く微動だにしない構え。
2周目2角過ぎ、ナムラのマクリで混乱も頂点に達する頃、
それでもヒルノダムールは静かに中団の内ラチ沿いを走っている。
ちょっと味だったのは、ビートブラックが少し外に膨れたのだが、
一瞬それの後ろについて外に出す準備をしたものの、
即座に考えを改めてラチ沿いに戻っていることだね。
そこから位置を押し上げて、ビートブラックの内に入り込んだのが見事。
このシーンがこの馬の最大の勝因だったかもしれない。
内ラチ沿いを少し上がって7番手のイン、これでトゥザの真後ろに。
今度はトゥザが動くまで静かに待機しながら直線へ。
4角の立ち上がりでトゥザが激しく仕掛けながら上がったため、
前が完全にフリーになって直線にはいることが出来、
やや外に持ち出したトゥザの内に進路を取った。
2番手から前を追うナムラとトゥザの間に突っ込むと、
あっという間に突き破って先頭に立ち、
最後は外から追ってきたエイシンフラッシュの追撃を封じ込んだ。
美しいレース。
大混乱のレースの中で、この人馬だけが落ち着いていた。
(4着のマカニビスティーも良いんだけど)
まさに、勝つべくして勝ったと言えるレースだろう。
大半の騎手が、この馬を勝たせるために競馬していたかのようだ。
あまりにも面白レースだったので回顧しておきます。
壮絶な自爆合戦でしたねw
トゥザグローリー 13着
スタートが速く、誰も行かないために行ってしまいそう。
ゲシュタルトが出て行って、続いてペルーサも前に出たので、
なんとかその後ろにつくことは出来たんだけども、
ペルーサを右前に置くだけで壁を作るには至らず。
最初からかかりっぱなしなのを必死に宥めながらの追走。
1周目の4角から直線へ、ずっと我慢していたが、
人気薄のコスモヘレノスが抑えることを放棄して特攻し先頭へ。
役割のない馬だから出来る動きだったが、
この馬の外からのマクリが、かかり続けるトゥザのスイッチを入れた。
最初にマクられたゲシュタルトは、満足したのか簡単に後退してしまい、
ペルーサは落ち着いていたために押し出されるように2番手に。
ここで止まれれば良かったが、もうスイッチが入っていてどうにもならず。
これ以上の制限は飛び出すよりもリスキーになるという判断の元に、
鞍上の四位は諦めて好きに行かせることを選んだ。
まさに苦渋の決断と言うほかない。
もちろん力が違い、1角で並ぶまもなくコスモをあっさりとパス。
長い長い2周目を早々に先頭に立って迎えた。
このまま直線まで行っていれば、まだ僅かに可能性があったのだが、
2周目2角でいきなりナムラクレセントが大きくマクって来て先頭に。
トゥザに被せるように前に入ってきて、
それに続いて3番手にいたマイネルキッツが外に並んできたため、
ここに来て動けない壁が出来るという最悪の展開に。
スイッチが入った後に物理的に動きを封じられては、もうどうにもならない。
最初にマクったコスモヘレノスが左後ろにつく形になっているため、
外に持ち出すことは叶わないまま、ダラダラと時を過ごした。
この間、間違いなく馬はキレながら走っている。
直線に入ってすぐに前が開きスパートをかけたが、
既にキレて消耗しきった馬に挽回する力はなかった。
驚くべきことに、何一つとして思い通りになったことがなかった。
この1番人気馬が特別に他騎手に狙われていたわけではないのだが、
自滅しかかったところに総攻撃を食らった格好で沈んだ。
ローズキングダム 11着
上々のスタートから好位を窺って行く構え。
少しして、ペルーサが目の前に入ってきて、
それを中心に囲まれるような格好になっての8番手。
絶好の位置取りでレースをスタートさせた。
派手に引っかかっているトゥザグローリーがすぐ外にいて、
前のペルーサとローズが絶好の展開になったと思われたのだが、
ここからめまぐるしく変わる展開に飲み込まれた。
まずコスモヘレノスがトゥザの後ろからマクって先頭へ、
それによってトゥザの押さえが利かなくなり先頭に行ったわけだが、
その少し前、直線の半ばでローズがはっきりとひっかかったシーンが分かる。
きっかけは分からないが、包まれているところでスイッチが入ってしまったが、
それでもまだペルーサとマイネルキッツを壁にして耐えている。
しかし、トゥザが行ってしまった後、マイネルキッツがそれを追いかけて3番手へ。
外の壁がなくなった後、ペルーサの外に出てしまったところが最大の敗因。
前に壁のない状態で、それでもまだ耐えながら2周目2角に入ったのだが、
ここでナムラクレセントが後ろから大マクリ。
同時に前にいたペルーサが外に膨れてきて、
外を振られながら挟まれるという最悪の格好に。
これで緊張の糸が切れた。
かかりながらペルーサを交わして4番手に上がってマイネルキッツの外。
馬の首は前を向かず外に向かっているのが分かる。
とてもじゃないが集中して走っておらず、
上がるなら上がるで、マイネルの外に並べていたならまだ良かったものを、
3番手のコスモヘレノスにずっと抵抗されながらの直線入り。
ヘレノスに外へ外へ弾かれながら直線に入って追い出されたが、
直線に入ってすぐ、さらに外からエイシンフラッシュに切れ込まれて終了。
直線早々に鞍上の豊も諦めて、適当に鞭を打つだけのレースになった。
これもまるで力を出し切れていない。
よく耐えていたのだが、途中でペルーサの外に出てしまったのが直接の敗因。
特殊な展開に飲み込まれた1頭となった。
エイシンフラッシュ 2着
スタートしてすぐ、外のオウケンブルースリと一瞬接触したが、
それで加速がついたのはこちらのほう。
15番枠から非常に速い出脚で内の馬を絞って行く。
しかし、これだけ外からだと内に入りきるには至らず。
1角は中団の外、マイネルキッツを内に置きながら。
外枠からで外になるのは避けられなかったが、
極力内に寄せながら進めたいという意思がありありと見える運び。
落ち着いて1周目の4角を回った。
1周目の直線に入ってから、遅いペースに嫌気が差してきたかかかり気味。
前にいるマイネルキッツを壁にしながら我慢の形。
2周目の1角に差し掛かるにつれ、マイネルキッツが進出開始。
マイネル鞍上の松岡が、トゥザグローリーの暴走に乗っかる形を取った。
これによりフラッシュの前はローズキングダムに変わったが、
ローズキングダムも引っかかっており、その後ろのフラッシュも危うい格好。
しかしここでフラッシュにとって幸運だったのは、
やや団子だった馬群が、トゥザの進出で縦に少し長くなったこと。
フラッシュ鞍上の博幸は折り合うことを諦めず、
ローズの内、ペルーサの後ろに滑り込ませる作戦をとった。
これでもう一度落ち着きを取り戻せる形に。
しかしここからさらなる試練が。
後ろからナムラクレセントがマクって一気に先頭へ、
連れてローズキングダムも前に行ってしまい、
壁がなくなったところで、内からコスモメドウが張り出してくる。
またも訪れた試練だったが、ここでフラッシュには再度幸運が舞い降りる。
後方にいたフォゲッタブルが後ろから上がって並んできたことで、
これに押しやられる格好で再びペルーサの後ろに。
さらにジャミールも無理矢理に押し上げようと外に並んできたことで、
行ってしまいそうなところをかろうじて耐えることに成功した。
耐えながら4角に入ると、もう我慢することはない。
先にマクったフォゲッタブルとジャミールはもう息切れし外に膨れ、
これらの内を突きながら、ペルーサに被せつつ直線へ。
追われると溜め込んでいた鬱憤を一気に吐き出すような凄い脚。
ペルーサとローズを一気に飲み込み、さらに内へ切れ込んで行く。
先頭まで奪う勢いで伸び続けたのだが、
たった1頭だけ、このレースで全てを完璧にこなしていた馬に敗れ去った。
このレース、この馬の状況が一番波乱万丈だったのだが、
次々に訪れる試練を諦めずに耐え忍んだからこその2着。
人馬共に素晴らしいレースをした。
ペルーサ 8着
今回も普通にゲートを出た。感慨深いものがあるw
軽く仕掛けられて位置を取りに行った格好。
3番手の外を落ち着いて取りきり、1周目4角を回った。
直線に入って少しだけ行きたがるようなところも見せたが、
すぐに落ち着いたところ、外からコスモヘレノスのマクリ。
さらに2周目1角前にはトゥザグローリーがこちらの前に出て行く形に。
続いてマイネルキッツもこちらを交わして上がって行く。
大外からはコスモメドウもこちらを交わしており、
これだけ行かれると馬もカッとなりそうなものなんだが、
ペルーサは他馬とは違ってよく落ち着いていた。
自分の位置をしっかりと守りながら2周目に突入。
2周目の2角で、少し外に寄れるところがあり、
ちょうどそのタイミングでナムラクレセントが大マクリ。
このマクリに対しては完全に沈黙することはせず、
前に入っていたコスモメドウを交わして全体の7番手だけは確保。
かかって行ってしまったローズキングダムの後ろについた。
その後、フォゲッタブルがマクリ気味に外から前に出てきたが、
これには関わらず内に寄せながら4コーナーを回り、
立ち上がりから上手に外に持ち出してスパートの準備。
直線に入ってさあゴーサインだ、というところで、
外からスルスルと忍び寄ってきていたエイシンフラッシュと重なり、
前にいたローズキングダムが邪魔になってスパートし損ねた。
フラッシュが行ってしまい、そこからもう一度伸びだしたが、
最後はジリジリとしか動けずに8着に終わった。
この馬はこの超展開の中でよく落ち着いていて走っていた。
しかし、実際には何かストレスの溜まるものがあったのかもしれないし、
もっと単純な話で、先行すると力を出せないのかもしれない。
後は、距離が長いのかもしれない。
まあ、どれも今回のレースでは分からないのだが、
見た目で分かることは、直線入り口でフラッシュにしてやられたことだけ。
3着 ナムラクレセント
出遅れて後方から。
先行してスタミナ勝負に持ち込むことで再浮上してきた馬なので、
いきなり後ろからになったのは大誤算であっただろう。
しかし、超展開がこの馬を救ってくれた。
まず、最初の入りが遅かったので、そう無理せずに中団まで浮上。
鞍上の和田は、ラチ沿いを離れずに進むことだけは考えていた感じだ。
2周目4角ではヒルノダムールの真後ろの7番手に位置し、
落ち着いてレースに入ることが出来た。
直線、遅いペースで内にいることに馬が戸惑っているのか、
何度か内ラチとヒルノダムールの間に入ろうとしているが、
それを鞍上の和田が宥めながら、コントロールは出来た状態で待機。
めまぐるしく変わる外の隊列を尻目に、
ヒルノダムールの後ろの位置を守り続けて2周目1角へ。
ここで和田が決断をした。
ヒルノダムールからスッと離れて下がっていき、
外にいたエイシンフラッシュの外に持ち出そうという構え。
ちょうど自身の後ろの馬とも離れておりそれがスムーズに行って、
2周目2角に入ったところで一気にマクりだした。
ここまで力は存分にタメた、ロングスパートで決めるという覚悟だろう。
一気に全馬をマクりきって先頭に踊り出た。
そこからは身上の渋太さでゴールまでよく頑張ったが、
最後は展開に飲まれなかった2頭の前に屈した。
思い切った勝負に出たのには、様々な計算がたっていたはず。
まず大前提にナムラクレセント自身が典型的なステイヤーであることがある。
消耗戦大歓迎で終いだけの勝負なんかやってられないことだ。
それから最初に遅れはしたが、内で力を存分にタメて勝負の準備が出来ていたこと。
そして、すぐ前の人気馬達が暴走していることも分かっていただろうから、
「ここで自分がマクれば止めをさせる」という考えもあったんじゃないか。
実際に、この馬のマクリが大半の馬に止めを刺している。
4つ目に、これ以上マクって来る奴はいないはず、という楽観論もあっただろう。
結果ナムラは最後まで頑張り通したが、もしもう一度抵抗する人馬がいたとすると、
間違いなくこの馬も3着には残れていない。
頑張れたのは、この馬が「最後のマクリ馬」だったからである。
実際、動いた後にマイネルキッツに来られる可能性もあった。
根拠はあっただろうが、博打に勝ったという内容。
競馬で勝つためには、自分の力をいかに引き出すかとともに、
相手の力をいかに殺ぎ落とすかというのも重要な戦略だが、
今回の和田の戦略は、その2つを存分に発揮するものであった。
何とも見事なものだったのだが、同時に勝ち馬を有利に導いてもいる。
最善の選択が最善の結果を生むとは限らないということ。
面白いものであるね。
マイネルキッツ 6着
スタートはしっかり決まっているのだが、
今回は待ったく行き脚がつかなかった。
目一杯に仕掛けられているのだがほとんど加速してこず、
トゥザグローリーに前に入られて先行を断念。
とりあえず8番手の真ん中、ローズの後ろでフラッシュの内に。
まあついたところなので仕方なかったのだが、
この馬もナムラクレセントと同様に瞬発力勝負では話にならない。
鞍上の松岡は、どこかで仕掛けたいとは考えていたことだろう。
とりあえずは包まれたので、それに従って進んでいた。
1周目4角を回って、位置をローズの外へ持って行き、
いつでも動いていける態勢を整えた。
後ろに甘んじているわけにはいかないという強い意志を感じる動き。
目の前にトゥザグローリーがいてこれに続いていたが、
トゥザが徐々に位置を押し上げて行くので、続いてこちらも浮上。
そこに外からコスモメドウがマクリ気味に位置を上げてきてこちらの外前に。
このコスモの動きは気に入らなかっただろうが、
それと時を同じくして、前にいたトゥザが一気に先頭に襲い掛かった。
前がガラッと開いて、ほとんど時を置かずに進出開始。
3番手に浮上して2周目の1角から2角へ。
正直、やったと思ったんじゃないかねこれは。
どう仕掛けるか悩んでいるところ、最高の能力を持った誘導馬が現れたんだから。
ただついて行くだけで良くなり、楽なレースになりそうになった。
しかし、そのすぐ後に難問を突きつけられる。
2角を回ってナムラクレセントが大マクリで一気に先頭へ。
それに続いて後続も一気に押し上げてきた。
ここでどうするのか最善なのか、考える時間はまったく与えられず、
松岡の選択は、トゥザを交わして2番手に上がったところで待機、だった。
もちろん、ここで待ちってのはマイネルキッツの特性からしてないだろうが、
大勝負をかけるならば、ナムラを交わしに行くという道もあった。
が、それはあまりにもリスクが高いと考えたのだろう。
キッツ自身は折り合っており、そこまでの攻撃的な乗り方をすると、
後ろで折り合っているかもしれない誰かの餌食になるのは明白。
ナムラのマクリでもう十分すぎるほどに消耗戦になっているので、
それに乗っかることで十分であるという、保留を決断した。
結果として、2番手から雪崩れ込んでの6着に終わった。
最初の遅さ以外はほぼ思った通りに運んでいたように見え、
まあまあ、力通りの内容だったのではないかな。
あそこでナムラに挑戦していたら、ナムラとの差は分からなかったが、
同時にもっと脚をなくして沈んでいた可能性のほうが高いと思う。
ヒルノダムール 1着
スタートを決めてゆっくりと先行策。
4番手の内で落ち着いてコーナーに向かった。
内ラチ沿いでビートブラックを見ながら直線に入ると、
直線ではビートの少しだけ外に持ち出しながら追走。
狭い空間を大きく使って気持ちよく走らせようという意図だな。
幸いにも、序盤から大混乱だったのは外のほうだけで、
内のほうには全く影響がないレースであり、
ビートブラック、この馬、マカニビスティーと、
内ラチ沿いにいる馬の折り合いは見事の一言。
全周パトロールで見ると、内の静かさと外の喧騒の差が激しすぎw
この馬自身はビートブラックの後ろで何もしていないが、
外ががたがたとして位置が勝手に中団の後ろに。
しかし藤田は全く微動だにしない構え。
2周目2角過ぎ、ナムラのマクリで混乱も頂点に達する頃、
それでもヒルノダムールは静かに中団の内ラチ沿いを走っている。
ちょっと味だったのは、ビートブラックが少し外に膨れたのだが、
一瞬それの後ろについて外に出す準備をしたものの、
即座に考えを改めてラチ沿いに戻っていることだね。
そこから位置を押し上げて、ビートブラックの内に入り込んだのが見事。
このシーンがこの馬の最大の勝因だったかもしれない。
内ラチ沿いを少し上がって7番手のイン、これでトゥザの真後ろに。
今度はトゥザが動くまで静かに待機しながら直線へ。
4角の立ち上がりでトゥザが激しく仕掛けながら上がったため、
前が完全にフリーになって直線にはいることが出来、
やや外に持ち出したトゥザの内に進路を取った。
2番手から前を追うナムラとトゥザの間に突っ込むと、
あっという間に突き破って先頭に立ち、
最後は外から追ってきたエイシンフラッシュの追撃を封じ込んだ。
美しいレース。
大混乱のレースの中で、この人馬だけが落ち着いていた。
(4着のマカニビスティーも良いんだけど)
まさに、勝つべくして勝ったと言えるレースだろう。
大半の騎手が、この馬を勝たせるために競馬していたかのようだ。
それにしても、ダムール×藤田Jが勝った時に細江さんが言った言葉が印象的でした。
やっぱりコンビを大切にして欲しいです。
面白かっただけですけどねw 間違いなく良いレースではありませんでした。
横典が言うように、大半の馬が壊れていました。
俺も競馬を始めて24年、1レース中に3度マクリが入ったレースを見たのは初めてです。
もしペルーサだったら、横典と大差なかったんじゃないでしょうか。
ただ最初に仕掛けることはなかっただろうから、6番手くらいで入ったとは思いますけど。
もしジャミールだったら、間違いなくもう少しマシな着を取れたでしょう。
言えることは、直線までちゃんと待って脚を伸ばしてきたと思います。
戦前は、とてもじゃないけど勝ち負けは無理と思ってましたが、
こんなふざけたレースなら、上手くやれば3着の可能性までありましたね。
>fuucoさん
いやあ、今回のレースをもってそういう評価はないと思いますよw
こういうレースは例外として扱うことになると思います。
負けた馬たちは置いといて、勝ち馬は本当に素晴らしかったですね。
ヒルノダムール、マカニビスティー、トウカイトリックあたりは、
周りの喧騒が嘘のように静かに落ち着いて進んでいました。
特にヒルノダムールはまさに人馬一体。良いコンビですね。