様似の見物も終え、JR代行バスに乗って静内へ向かいます。バス停の時刻表で若干
混乱しましたが、普通の路線バスと違って、JR日高線の代行バスはあくまで鉄道。
だから切符も駅舎の窓口で買うし、街道にある路線バスの停留所ではなく、元あった
駅で止まるのです。
十勝バスと違って、バスがきれいでした。窓もきれいに拭いてありました。いくら
赤字でも、さすがJRは立派ですな。運転手さんも違う。十勝バスは「普通のおっさんが
乗車してきて、あれっ!と運転席に座ると、帽子をかむって運転手だったかー」という
感じでしたが、こちらJRの運転手はパリっとした制服を着ていて若い青年である。
できるだけ線路にそって走るので、たまに使われなくなっている赤い線路が見えます。
ああいうところをおそらくは1両でゴトゴト走っていたんだろうなあ。
不通になってから、もう2年以上経ちます。
海岸線沿いに線路はありますが、もうこれは浜辺の砂の上を走っているではないか。
これじゃあ台風が来たらイチコロですよねー。
たまに町中を走ります。でもそこにバス停はなく、やはり町はずれにあったりする
駅前に止まるのです。
だんだん牧場が多くなってきます。
「ナントカ駅~」とアナウンスが入って、まわりは何もないぞ?と見てみると、ここは
雪に埋もれた駅でした。。。 代行バスというのは、やはり律義に駅のあったところに
停車するのです。誰もいない何もないところだって!
何度も線路をまたぎました。不通になっていて遮断器の竹竿もはずされているのに、
線路の前では必ず一時停車をして安全確認をしています。どおして?列車が走らない
から代行バスが走っているんだよ?その代行バスが列車が来ないかと安全確認をする
なんて、ほとんどジョークではないですか?バスがきっちり止まるごとに笑えてくる。
でも、もし列車がガタゴトやってきたら面白いなー。誰も乗ってなかったりしてなー。
というわけで、ようやく静内に到着しました~。
エンルム岬のふもとに郷土館がありました。入ってみると無料。入り口のおねいさんが
ノートにどこから来たのか書いてほしいという。旅が続いていると日付がわからなくなり、
直前の訪問者の日付を見たら、どうもその日と違う感じなのでおねいさんに聞く。
前の客は3日前だ。
基本ですねえ、出土品。矢じりと土器はお約束。
これもなあ~。定番です。
左に撮影機器があるでしょ。お見合い写真撮影サービスではなく、何やら学芸員が
来ていて所蔵品を撮影していたのです。
ところで様似には17世紀に金鉱が発見されて、一時はゴールドラッシュがあった
そうです。欲に目がくらんだ和人が押し寄せたわけだ。アイヌ人は迫害され、そこで
立ち上がったアイヌの首長シャクシャインが和人と戦うのでした。それはこれから
訪れる静内というあたりが舞台になっています。
雑然と並ぶ懐かしの品々。俺が好きなのは旧式の洗濯機。特にローラーで洗濯物を
絞る脱水機。「おかあちゃん、俺がハンドル回したいー」と言った思い出が甦る。
戦争関係の品ねー。
様々な湯たんぽ。きっと朝にはぬるくなっていたことだろう。
アイロンねェ。
これらは私より年配の方々が懐かしいと感じることでしょう。
このお盆、いいなー。いまのしょぼいマンションには似合わないけれど。。。
のんびりと駅に向かいます。川を渡ると、白鳥がおまんじゅうみたいに寝ていました。
水も澄んでいましたよ。
優雅ですなあ。
歩いていた地元の少年とすれ違ったら、「こんにちは~」と言われて嬉しくなる。
様似という町にやってきました。ここは日高線のターミナル駅だということ、そして
吉田類が「北海道港町めぐり」という北海道のローカル番組の撮影で来ていたからです。
次のバスは3時間後。ゆっくり昼飯を食べて、岬を歩いて郷土資料館を見て、それでも
だいぶ時間が余りそうだから喫茶店でもないかな?
吉田類が、この「弁慶」という店に来ていました。せっかく通るのだから、寄らないとね。
寿司だけではなく、普通の食堂としてもやっている店ですが、せっかくだからね^^
寒いところをやってきたので、「お酒をお燗してね♪」と言ったのに、おねいさんは
冷やで持ってきました。。。
他に客もいないので、大将としばし歓談。遠くからやってきた客と知ると、どこも
嬉しそうに相手をしてくれる。小さな郷土資料館を見て(地元民はまず行かない)
岬を散歩したら、もう見るものはないぞ、と言われる。すぐ先の喫茶店は、趣味で
ささやかにやっている感じだから、開いているかどうかはわからんぞ、と言われる。
実際やっていませんでした。。。
さあて、のんびりあの岬まで行くとしよう。風が吹いててちょっと寒いけどね。でも
雨や吹雪じゃないんだから、ラッキーですよ。もしそうだったら店もないしな!
これは?もしかしてこの過疎地に住宅街が出来る予定だとか??
あちこちにこんな貝殻が落ちていました。強風で飛んでくるのかな。
岬の上には展望台があるはずだ。
ヒーフー登ってゆくと、少しポカポカしてきましたー。
さあて「エンルム岬」に到着です。
なぜに「火星より遠い」? それはね、人類は火星にまで探査機を送り出すほどの
科学力を持ちました。しかし足元の地殻を掘り進めて、マントルまで行ったことは
ありません。アポイ岳の岩はマントルから飛び出して来たものだから、これを触る
ということは、火星に行くより大変なことをやっているんだよ、ということだそうです。
さらに階段を上ってゆくと展望台があるんだよ。ヒーコラ。
おおお、ついに来たぞー。
様似の町が見渡せます。100年前までは秘境だったんだぞー。
今年は雪がとても少ないから北海道らしくないですが、山の上は真っ白だなあ。
バスを3時間待ちになるけれど、来てよかったよ。
襟裳岬の朝を迎えました。連日素晴らしい晴天に恵まれる。画像を見ると穏やかそう
ですが、やっぱり風はすごいぞ。
宿のおばちゃんに、旅の行程を聞かれる。今日は様似を通過して静内に泊まると
いうと、「それだけしか進まないの!余裕だねェ!」と驚かれる。しかしだな、宿を
出てバスに乗り、昼に様似に到着して昼飯を食ったり見物をしてから次の便に乗ると、
静内には夜になっちゃうんだぞ?公共交通機関だと連絡がなあ~。
それにね、のんびり泊まって酒を飲むのが復興支援の目的なんだから。
岬を回って、こんどは西の海岸線を進んでゆきます。
バスはやっぱり時間通りにきっちりやってきた。乗客はいなかった。乗り降りして
いたら数分は遅れるだろう。何せバスが停車してからヨタヨタと出口に向かい、それから
ゆっくりと財布を出してゴソゴソやっているお年寄りもいるからなあ。都会のように
イライラせず、のんびりしているのがいいねえ。
岬から北西へ進みますが、最初はまだ東の海が見えています。まもなくあちら側とは
さようなら。
囲いがあるってことは、放牧をしたりしているのかな?
「次はえりも駅~」というアナウンス。鉄道が走っていなくても駅って言うのか。
なんとセブンイレブンの駐車場に入って行きます。するとそのはじっこに、こんな
公衆トイレみたいな停留所があった。
バスはしばらく西の海岸を走ります。
少し汚れた窓ガラス越しにだけれど、きれいに撮れてるでしょ。
様似駅に到着~。ここはJR日高線の終着駅だったのですが、2016年の台風被害で
日高線が不通になり、それ以来代行バスが走っているのです。バスのチケットも、
この駅舎のなかの窓口で買うんですよ。普通に自動販売機も使えます。
使っていないホームには横から入れました。
あ~、もう2年以上も使ってないから、線路がすっかり赤く錆びています。
ここが日高線のターミナルだから、線路が終わってるでしょ。地元では復旧してほしい
という希望も出ているそうですが、JR北海道は赤字がひどくてどんどん廃線が進んで
いますので、おそらくは復旧することはないだろうという話を聞きました。
冷たい強風が吹き荒れる襟裳岬を歩いて宿に帰ってくると、部屋にはストーブが最大
出力でついており、むわっと温かく裸でいられる程。これが北海道の室内だ。
ロビーにも廊下にも階段にもストーブがついている。トイレにもついている。
ちなみにトイレはぼっちゃん型。それが恐ろしく深い。ひり出したやつが落下してゆく
時間が妙に長く感じられ、下に落ちた衝撃音が轟く。深い井戸にサッカーボールほどの
石を投げ落としたような感じだ。そして海にミサイルが落ちて20mほど垂直に水しぶきが
上がるようなイメージ?「おつり」などという生やさしいものではない。強力な噴水が
シリに直撃するのではないかと心配するほど大きな音だった。
驚いたことに、風呂にもストーブがついていた。更衣室だけではない。風呂ですよ。隅の
タイルの上に置いてある。火事の心配はないだろうけど、違和感あるな~。さらに湯舟が
二つあったが、そのひとつが空で、その中にもストーブがあってついているのだ。
そんなに寒いか?
部屋の窓からは海が絶景。ところで部屋のストーブ、1時間したら自動的に切れたので
ふたたび点火する。風呂上がりのビールを飲んだから横になってうとうとしていたら、
何だか息苦しいような気がしてきた。そこで気がつく。密閉した部屋でストーブを
ずっとつけていると空気が悪くなるのだ。換気せんとー。だから自動的に1時間で
切れるんだなw 夜は消して寝るので、電気毛布でした。
ロビーは空間が広いので、ストーブの前に座っていないとうすら寒い。
旅館のお料理は豪華で量が多い。3人前くらいの気分だ。だから連泊はできんなあ。
「つぶの灯台焼き」だそうです。こうきますとビールだけではなく酒ですな。
「エゾシカのしゃぶしゃぶ」です。近年鹿さんは困るほど増えているそうですな。
ここまでくると、残さず全力で頑張るモード。そう思うのはもったいないくらいだ。
さて、この旅館ではWifiはロビーでしか使えない。仕事のメールチェックにロビーに
行くと、薄暗い部屋のストーブの前に男がふたり。中国人観光客であった。ほぼ無言で
それぞれスマホをいじっている。食事のときはいなかったぞ?そぉ~か、素泊まりなんだな。
しかしこのあたりには店はまったくない。バスの出た広尾のターミナル前にも、これから
行く様似の駅前にも店らしい店はない。何日かぶんの食料を持ち歩いているのか?
しかし外国人旅行客、中でも東アジア人はグループで来ていても、宿で移動中で、ずっと
無言でスマホをいじり続けていることがとても多い。電車やバスでは外の景色見ないのか?
食事中やこういうロビーなどでリラックスしているとき、一緒の人と話をしないのか?
そもそもスマホで何を見ているんだろう???