サイババが帰って来るよ

Count down to the Golden age

クリシュナ物語⑻

2016-06-10 00:00:09 | 日記

ポニョ:子供の頃のクリシュナの日常生活について前回は細かく紹介したけれど、前世がそのクリシュナ御自身であった、サイババさんだからこそ、これだけ詳しく紹介出来たんやぜよ。

ヨシオ:ババが学生達の劇の指導に行かれた時も、クリシュナやラーマの役をしている学生に、クリシュナはこういう癖があったので手をこのように持って来るんだ。とか細かく誰も知らないような事まで言われるので、学生達はとても感激したなんて言ってたな。

ポニョ:それってすごいぜよ。今、少しの間神の化身が神界に戻って休暇を楽しんでおられますが、もうすぐしたらまた、霊体の波動を変えて、御自分の身体を肉体にしたり、霊体にしたりして、私たちの前に現れられるんやもんな。楽しみ楽しみ。嬉しカルカルやぜよ。というわけで、今日は、クリシュナが普通の子供やと思っていた義母のヤショーダが、なんとクリシュナの口の中に全宇宙を含む三界の世界を見たお話を紹介しますね。

正午ごろ、牧童たちは牧草の豊かに茂る丘に着きました。日差しを避けて岩陰に牛を連れて行き、少年たちもまた寝そべりました。夕方近くになったので一人の牧童が村に連れて帰る為に牛を集めに行くと、大きな鶴が牛をひと呑みにしているのが見えました。牧童は叫びました。

「クリシュナ!ゴパラ!」

その声を聞いたゴパラはすぐにやって来ました。そしてバカースラーという悪鬼が鶴に化けてやって来たことにすぐに気づき、鶴のくちばしを握ってじょうげに上下に引裂き、鶴が真っ二つに裂けました。飲み込まれた牛はそのまま無事に出て来ました。このようにゴパラはカンサから遣わされた悪鬼をやっつけたのです。牧童たちはもはや驚かず、クリシュナの技と力とは超人間的であり理解出来ないことを知り始めました。ですからどこへ行こうとも、クリシュナと共にいれば何の不安も無かったのです。

鶴に化けた悪鬼の兄は、自分の弟がクリシュナにより殺された事を聞きつけ、復讐の為にニシキヘビとなって森に行きました。ニシキヘビは牛や牧童やパララーマやクリシュナを呑み込もうと、大きな口を開けて、密林の小道に横たわっていました。見たところ大きな洞窟のようで、罠とは見えませんでした。牛と牧童はその中に踏み込みました。ゴパラはそれがまたしても、悪鬼であると気づいたので、自分もまたニシキヘビの体の中に入って罠に囚われた仲間の生命を助けました。あらゆる不安が去ったので、牧童たちはゴパラの庇護の元に家路に着きました。その日以来、牧童はクリシュナに一切不安を持ちませんでした。ゴパラが全能であり、一切の危険から自分たちを守ってくださる事を確信したからです。彼らは道を歩く時も脇見をせず、クリシュナの行く方角に共に進みました。
 
 魅力あふれるクリシュナのいたずらを目にしたゴーピー(牛飼い女)たちは、クリシュナの家まで出かけていくと、母親のヤショーダーに、次のように話すのでした。

「あなたの息子は、まだ乳を飲ませていない子牛を放してしまって、私たちがそれを叱っても、ただ笑っているだけなのですよ。
 そして苦労して私たちが作った牛乳やカードを盗んでしまい、それを自分で食べるばかりか、猿たちにも食べさせて、その猿たちも食べなくなったら、今度はその壺を壊してしまうのです。
 私たちが牛乳などを入れた壺を高い所につるしていても、あなたの息子は椅子や臼を使ってうまく手を伸ばして、壺からそれを盗ってしまうのです。あなたの息子は、体中の宝石を光らせて部屋中を照らしながら、こんな悪戯をするのですよ。
 私たちがきれいに片づけた部屋の中を、この子はそんないたずらばかりして散らかして、また庭でおしっこをしたりもするので、私たちは本当に困ってしまいます。そしてそんな悪ふざけをした後で、この子は何も知らない無邪気な子供のように、あなたのそばにちょこんと座っているのです。」

 おびえたような眼をした美しいクリシュナの顔を見ながら、彼女たちがこのように訴えても、ヤショーダーはクリシュナを叱ろうとせず、ただ笑って聞いているのでした。
 ある日、バララーマと仲間の子供たちは、クリシュナが土を食べたと、ヤショーダーに報告に来ました。
 そこでヤショーダーは心配のあまり、やさしくクリシュナの手を取ると、困惑したような眼をするクリシュナを、次のように言って叱ったのです。
「あなたはどうして土なんか食べたのですか? 本当に困った子だわ。お兄さんやお友達が教えてくれたのですよ。」

 しかしクリシュナはこう答えました。
「お母さん、僕は土なんか食べていません。みんな嘘をついているんです。もしみんなの言うことが本当だと思うなら、どうか僕の口の中をその目で調べてみてください!」

 そこでヤショーダーはクリシュナの口を開けさせ、その中を覗き込みました。

 その時、彼女がクリシュナの口の中に見たのは、空、山、大陸、そして海からなるこの地球と、惑星、稲妻、風、月、星々、水、火、空気、心、さまざまな感覚とその対象、それらすべての源である三つのグナ、それら動・不動の一切からなる、全宇宙の姿だったのです。
 
 すべての魂、三つのグナ、カルマと時、そしてそれらすべてからなる素晴らしい宇宙が、自分を含むヴラジャの地とともに、すべてクリシュナの口の中に存在しているのを見て、ヤショーダーは仰天してしまいました。

「これは夢なのかしら? それとも神様が起こされた幻なのかしら? それともこの子が生まれつき持つ、神のような栄光なのかしら?
 ああ、私はこの宇宙の唯一の真実である、ブラフマンに祈りをささげましょう。それはとても理解しがたく、心や理性や言葉では推測できず、この宇宙の基礎であるのです。私はそのブラフマンのおかげで、この不思議が見られたのだわ。
 おお、私は主なる神だけに庇護を求めるでしょう。そのお方のマーヤーのせいで、私の心には、『私はナンダの貞淑な妻であり、彼の財産の唯一の女主人である』と、そしてナンダは私の夫であり、この子は私の息子なのだと、さらに牛飼いやゴーピーたちや牛たちはすべて私のものなのだという、そのような限定された誤った意識が生じているのです。」

 このようにヤショーダーは、クリシュナこそが全宇宙そのものであり、主ヴィシュヌそのものであり、また自分はその主のマーヤーによって、今、さまざまな限定的な意識を持たされているだけなのだという真実を、すべて悟ったのでした。

 しかしクリシュナはすぐにまた、自分のマーヤーの力によってヤショーダーを覆いました。するとヤショーダーは、今自分が悟った真実をすべて忘れてしまい、再び「ナンダの妻、クリシュナの母」という意識に戻って、クリシュナを膝の上に載せると、母としてのあふれる愛情をクリシュナに向けたのでした。