ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

旅の五月

2010年05月16日 | 俳句雑考

JR日本最南端駅の西大山に電車が着いて、ホームに降り立ったのは女子高校生ふたりだけだった。
ホームはひとが跨げるほどの竹垣で囲ってあり、電車は横須賀線の車両に似ていた。画像は12日、指宿市で写した。

   女学生遅れて走る旅の五月     六林男

句集「桜島」から引用。


キャンピングカー

2010年05月15日 | 俳句雑考

道の駅の駐車場に台所用品を詰めこみ、ドアには布団を干した車が駐めてあった。
団塊の世代らしきオーナー夫婦に訊くと、帯広を起点にしたキャンピングカーだった。画像は12日、鹿児島市喜入で写す。

   岩の上にロープ干しあるキャンプかな     鳳 作

作者は薩摩出身。


2010年05月14日 | 俳句雑考

山川港の埠頭で、鳩の雄が雌を追いまわしていた。
求愛だとすれば片恋の感じであり、結局は雄は想いを遂げられなかった。
画像は12日写す。

    花の雲鳩は五色に舞ひあそぶ    茅 舎

鳩の首まわりの色は虹色になったりいろいろ変化するが、五色もあるのだろうか。


書き入れ

2010年05月13日 | 俳句雑考

12日、撮影会に同行して南薩を巡った。

 キャベツ

キャベツの高騰がやや治まってきたらしいが、畑ではその収穫に忙しかった。
開聞岳に霞みがかかっており、鳶が一羽たかだかと舞っていた。

   玉菜は巨花と開きて妻は二十八     草田男

作者は愛妻家のつもりだったが、弟子どもからは恐妻家とみなされていたらしい。

 初鰹

山川港では鰹の水揚げで活気づいていた。
首都圏行きの大型トラックも待機していた。

   目に青葉山郭公初鰹    素 堂

江戸期、郭公をホトトギスとも読んでいたらしい。


仏桑花

2010年05月12日 | 俳句雑考

民家の柵のなかから、ハイビスカスとブーゲンビリアが路上に顔を出していた。
家人に顔を出させられた感じだった。薩摩びとは花々を囲って自分だけが楽しむよりも、通行人にも楽しませる方を好むようだ。どの家も競うようにして。
画像は11日、鹿児島市谷山中央で写す。

   坊津に黒潮やすむ仏桑花      渚 男

歳時記には五音のため納まりやすいのか、ハイビスカスではハワイの州花としてのイメージが強すぎるのか、和名の仏桑花の例句が多い。


水芭蕉

2010年05月11日 | 俳句雑考

商店に蘂だけでなく、花弁も黄色い水芭蕉の鉢植えが飾ってあった。
となりにも名前の知らぬ黄色い花が並んでいた。
画像は9日、鹿児島市谷山中央で写す。

    群落の息吹清しき水芭蕉      秋 美

尾瀬での吟詠だろうか。


秋ざくら

2010年05月10日 | 俳句雑考

河畔の遊歩道にコスモスが咲いていた。
画像は9日、鹿児島市甲突町で写す。

    風つよしそれより勁し秋ざくら     秀 子

風は大英帝国、秋ざくらはガンディ率いる無抵抗運動だろうか。


ブーゲンビリア

2010年05月09日 | 俳句雑考

民家の庭に真紅と薄紫のブーゲンビリアがところ狭しと咲いていた。
さわってみると、しっとりとしていた。
画像は8日、鹿児島市谷山中央で写す。

    ブーゲンビリアさびてわたくし捨てに行く     哲

昨年の6月6日付で以下の日記を載せた。
         ×           ×
離島の観光施設でブーゲンビリア祭がひらかれていたので、支配人らしき人物に訊いた。
「いま、どうしてブーゲンビリア祭をひらいているのですか」
「旬だからです」
「一年前にこちらに引っ越してきましたが、この花は一年中絶えず咲いてますよね」
「もっと暖かい沖縄はどうか知りませんが、咲くのはこの時期と夏の二回です。よく注意して観察なさってください」
支配人らしき人物の口調は鄭重、表情は柔和だった。
        ×            ×
 この一年で、ブーゲンビリアは花期が終わって枯葉のように乾いても、延々と色褪せないで枝に残っていることを知った。


アイスクリン

2010年05月08日 | 俳句雑考

幼女がアシカの泳いでいるそばで、アシカには背をむけてアイスクリームをなめていた。
画像は6日、平川動物園で写す。

   アイスクリン太陽真上から当たる  航 標   

薩摩の春は短く、すぐに夏がやってくるらしい。


生殖

2010年05月07日 | 俳句雑考

連休明けの動物園は小雨が降っていて、人影がまばらだった。
柵のなかで、おとなしそうな動物の親が子をおぶっているようなコーナーがあったので、近寄った。
画像は6日、鹿児島市平川で写す。

近寄ると、柵の立て札にリマと書かれていた。
座っている小さなリマのうしろに大きなリマがかぶさっていた。
雌と雄にちがいなく、犬の生殖行為のかたちをしていたが、静止の状態だった。

そのうちに雌が雄をふりかえった。
なにかをせがんだようだった。

すると雄は首を起ちあげ、静かではなくなった。
雌は目を閉じた。

15分くらい経っただろうか、雄の首ががくっと倒れ、静かになった。

   髪なびかせ生殖急ぐ地平の馬     兜 太

迫力満点。


桜島

2010年05月06日 | 俳句雑考

  
     桜島いまし雲ぬぎ紫雲英の上     青 邨

4月29日、鹿児島市滝の下あたりで引用句に似た情景を撮ることができたが、これまで日記に載せなかったのは、画像が俳句のイメージを損なうと心配したからだった。
省みて、これまで名句を傷つけてきた前科は枚挙にいとまがないと気がつき、いまさら態度をあらためても遅いので、載せることにした。

 


薔薇

2010年05月05日 | 俳句雑考

老人が三脚を使って、理髪店の植込みの薔薇を撮っていた。大切なフイルムカメラなのか、じれったくなるほどシャッターを押さなかった。
車が現れて停まり、じれったくないのか警笛を鳴らさなかった。画像は3日、鹿児島市谷山中央で写す。

   もう何もするなと死出の薔薇持たす       静 塔

作者は生前、精神科医だったといわれている。


枇杷

2010年05月03日 | 俳句雑考

住宅街の空き地に、枇杷の実が色づいていた。
袋掛けの実があるなかで、ネットをかぶっただけ実もあれば、かぶせてもらえない実もあった。
画像は2日、鹿児島市谷山中央で写す。

   くらがりへ大きく吐いて枇杷の種    良 尾

その種が育つかもしれない。


埠頭

2010年05月02日 | 俳句雑考

連休のはじまった埠頭のは人影は、釣人とそれを覗いているひとだけだった。
画像は1日、鹿児島市七ツ島で写す。

   そのかみの和蘭陀埠頭鯵を干す    年 尾

平戸にあるらしいが、いまは漁港だろうか。