総理がコジキでコジキがソーリィー 071 ソーリィーがいないから… 冷凍食品を解凍しただけの食事である。 これだけでは、栄養が偏るからって、野菜ジュースを飲む。 でも、ろくな食事をしていないと自分でも思う。 ときたま、気になってテレビを見る。テレビでは船が映ってる。そんなに大きな船ではない。バスを一回り大きくしたような船だ。 定期連絡船で、まあ言えば、海の乗り合いバスという感じである。 「シー・ジャックなんてして、何をしたいんだろうなあー。人を殺して何をしたいんだろなあー」 三沢少年は、つまらないことをしているなあーと思う。ソーリィーのような友達みたいな人がいたら、その人の所へ行けばいいのになあー。 そんな人がいないから、シー・ジャックするのかなあー。 「三日前にも、十七歳の少年による犯罪がありましたね。度重なる犯行ですね」 十七歳といっても、別の人がやっているから、度重なるというのかなー。五十五歳の人が前の日にもしていたら、五十五歳の人による連日の犯行ですとテレビのアナウンサーは言うのかなあー。 「少年の母親が説得するために、大阪府警の警察官といっしょにやってきました」 「そうですか。説得されるでしょうか」 「ええっと、少年は精神病院に入院しており、入院させた母親を恨んでいるようです」 「精神病か、ぼくの母さんは、精神病院に勤めているよ」 と、三沢少年はテレビに話しかけた。 「少年は犯行を予告していたそうです。それなのに、病院は外出許可を出したようです。母親は意見書を出して、少年が犯罪に走るから、外出許可を出さないように伝えていましたが、病院は外出許可を出しました。少年は精神病院に入院させたことで、彼の人生はお先真っ暗だと嘆いていたそうです」 少年は犯行をおかしている少年が他人のような気分がしなくなっていた。 ぼく、あるいはぼくの友達が、犯行していたとしても、別におかしなことではないような気がした。 もし、そこにソーリィーがいたならば、きっと言っただろう。 「風邪をひいて高熱がでたなら、医者に行くように、精神の病気になったら精神病院に行くものだよ。そんなことで差別する奴なんて、くだらない奴さ」
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