総理がコジキでコジキがソーリィー 143 戦争は究極の差別 「わかったかい?」 「ええ、戦争は究極の差別。差別主義のヒトラーは平和主義者の訳がありません」 「そのとおり……。耳にタコができても、きちんと理解してくれないと困るよ……」 井口をにらむ中川。 「究極の差別……。君たちがボランティアをしていることは、積極的な平和をつくろうとしている行為なんだよ」 「えっ! 先輩なんですか?」 井口が質問した。 「積極的な平和だよ。平和学では、平和には二種類あるといっている」 「本当ですか? ボクらが平和をつくりだしているのですか?」 「そうだとも。単なる戦争がない状態をもとている人たちは、“消極的な平和”を求めていることになるんだ」 「それに比べて、われわれは、積極的な平和をつくりだそうとしているわけですね」 「そうとも! 戦争の原因をとりのぞこうとしているんだ。ヒトラーはユダヤ人虐殺の前に精神障害者を殺戮していた。平和と思える社会でも、ヒトラーは役に立たない人たちは、苦しんでいるだろうから、楽にしてあげるためにと、安楽死させてあげるといって、殺したんだ……」 「……精神障害者を守る運動をもっとやっていたら、ユダヤ人たちは……」 「もっと助かったかもしれない。ユダヤ人たちの命も守られた可能性はある……。歴史には“もし”はないといわれるが……」 「差別主義者……。これは、平和でない社会をつくりだそうと賢明だ」 「それが格差社会ですね」 「ある学者は貧困で、テロリストが生まれたのではないと書いていましたよ」 「たしかにね。私は若いときに、暴走族に入りたかったけれど、入れなかった……」 「テロリストと関係あるの?」 「あるとも。暴走族もテロリストもお金がないとなれない。その学者のいうことじゃ、寝た切り老人ばかりなら、平和だということになるだろうなあー」 「中東はビン・ラディンのような金持ちが、パトロンになって、テロという犯罪をおこなっている」 「大金持ちの一族だね。しかし、テロの実行犯は貧しい者が多い。若くして命を散らしていくのも、彼らだ。大金持ちのビン・ラディンの命は守られている……」 「テロなんて卑劣なことをしているのに、彼は英雄気取り……。あきれたものだ。ブッシュと何も変りがない!」 「絶対平和なんてことを叫んで、自らのイデオロギー以外では平和はこないという、そんな人たちも差別主義だと私は思うよ」 中川は平和といっても、平和じゃないことをつくりだそうという人たちに頭を悩ませている……。 明確に分けないと、実際に平和はつくれないと思っているのだ。
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