あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 168 舞妓姿がふつう!? 「失敗にも慣れたみたいだね」 「はい、もともと、わたしはめげたりはしません。太陽はいつも、この世界を照らしています。雲の日でさえも、太陽は天にあって、輝いているんです、それなのに悩むことはありせんよ。このすてきなミュージックがぼくの心を天国へと誘うのです」 「それはよかった」 「一休みしてからだろう? それよりも、休みながら働くぜ、ベィビー!」 何処の世界でも、早瀬夫婦や永さんは同じ人なのに、オカネスキーは変化そのものね。 研究者という職業柄からだろうか? いいや、そうじゃない、オカネスキーの性格からだろうね。 --白岩元敏腕刑事は愛車カローラに乗りながら、屋敷の中にしかけた隠しカメラの映像を見ていた。 「こいつはいったい、何を考えているんだ! インディアンの恰好をしたり、坊主の姿になったり、若くもないのにレゲエの恰好をしたり、今は舞妓さんの恰好をしているじゃないか。これなら、普通のテレビよりおもしろいではないか!」 呑気なことをいっている。 それに時々カメラに向かってVサインをするのが奇妙だと、白岩は思っている。 「オカネスキー、どうしたんだ。お前のいた世界では舞妓姿が正装なのか、それでは大変じゃないか」 「いいえ、正装は十二単衣でござりまする」 「そうか、それは不自由な生活だなあー」 「そうでありまする。また、研究いたしますので、失礼申しそうらわめ」 「あんな恰好で、研究だなんて、いったい何を研究していることやら……、いいや、いいや、人間は見た目ではあるまい。オカネスキーはオカネスキーなのかもしれない。同じような研究をしていることなのだろう」 白岩は盗聴マイクを電話に仕方のを失敗したと思った。 あの事件もおそらくは、内部のこのいかれたオカネスキーというインチキ科学者に何か関わりがあると、思いたったのだった。 --いつもの茜は男尊女卑の世界であるこの世界から離れて、女尊男卑の世界にもぐりこんでいる。 屋敷の外には、赤いプレリュードに乗った白岩が隠しカメラを見ている。 「すごいわ、この人、ファッション・モデルとしても成功しそうね」 なんて、いいながら、甘納豆を食べている。やはり、この男も甘納豆を食べている。 こちらの世界では、オカネスキーは剣道着姿である……。
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