炉心溶融とは、
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
炉心溶融(ろしんようゆう)、メルトダウン(英語: meltdown)とは、
原子力発電所で使用される原子炉の炉心にある核燃料が過熱し、燃料集合体または炉心構造物が融解、破損することを指す原子力事故。最悪の場合は原子炉圧力容器や原子炉格納容器、原子炉そのものが破損され、放射性物質が周囲に拡散することも想定される。
概要
原子力発電は、高純度のウランなどで燃料物質を作りそれらを臨界状態になる位置に接近させて設置し核分裂反応をゆるやかに起こさせ、その時に核物質(燃料棒)が核分裂反応によって熱くなることを利用して水を沸騰させて高圧蒸気を作り、その高圧蒸気でタービンを回転させ発電機で発電する(この時、原子炉で発生した蒸気を再度水に戻すためや、使用済みの核燃料を冷やすための間接的な冷却水(3次冷却水)が大量に必要となり、通常原子力発電所は海や川の近くに設置される)。
緊急時や点検時など原子炉を停止する場合は、核燃棒の間に制御棒といわれる高密度の放射線遮蔽物を置くことで、核反応を停止して制御するが、この時燃料棒はすぐには冷たくならないため、しばらくの間は冷却水を余熱除去系ポンプを使用して冷却水を循環させて炉心を冷却し続ける必要がある。
ところが何らかの原因で余熱冷却系の水の循環に不備が起こったりするなど炉心の冷却を怠ると、臨界を終えていても、燃料棒の高い余熱のために原子炉容器内で制御棒や燃料棒自体を溶かしてしまう現象が置きる。これを炉心溶融と言う。この炉心溶融は、通常一時冷却水から炉心が露出することで起こる。
炉心溶融が起こった後に想定されることは、冷却処理が取れなければ、核燃料の膨大な熱エネルギーによって原子炉容器や原子炉格納容器、原子炉建屋などの構造物も関連する爆発や火災で破壊され、最終的には外部に放射性物質を大量に放出する恐れがある。また、軽水炉においては、溶けた燃料棒が冷却水に落ちると冷却水が激しく蒸発し、水蒸気爆発が起きる可能性もあり、連鎖的にプラントの被害が大きくなる。最悪の場合には放射性物質を大量放出する危険があるため、原子力発電において想定しうる最も過酷な事故とされる。
映画「チャイナ・シンドローム」の作中では、アメリカの炉心溶融が連続して起きて原子炉や地殻を溶かし、地球の反対側の中国まで溶かす「チャイナ・シンドローム」が発生するという表現がジョークとして用いられた。このため炉心溶融自体をチャイナ・シンドローム(China Syndrome)と呼ぶこともあるが、炉心溶融が発生した場合に、必ず原子炉熔解が起きるわけではない。
過去の炉心溶融
この節は現在進行中の事象を扱っています。記事の内容は最新の情報を反映していない可能性があります。
現在までに世界で正式に確認される炉心溶融事故は3件ある。
1966年 エンリコ・フェルミ炉
1979年 スリーマイル島原子力発電所事故
1986年 チェルノブイリ原子力発電所事故
春の日の
やさしき陽射しが震災を
受けし遺族の
こころつつむ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
炉心溶融(ろしんようゆう)、メルトダウン(英語: meltdown)とは、
原子力発電所で使用される原子炉の炉心にある核燃料が過熱し、燃料集合体または炉心構造物が融解、破損することを指す原子力事故。最悪の場合は原子炉圧力容器や原子炉格納容器、原子炉そのものが破損され、放射性物質が周囲に拡散することも想定される。
概要
原子力発電は、高純度のウランなどで燃料物質を作りそれらを臨界状態になる位置に接近させて設置し核分裂反応をゆるやかに起こさせ、その時に核物質(燃料棒)が核分裂反応によって熱くなることを利用して水を沸騰させて高圧蒸気を作り、その高圧蒸気でタービンを回転させ発電機で発電する(この時、原子炉で発生した蒸気を再度水に戻すためや、使用済みの核燃料を冷やすための間接的な冷却水(3次冷却水)が大量に必要となり、通常原子力発電所は海や川の近くに設置される)。
緊急時や点検時など原子炉を停止する場合は、核燃棒の間に制御棒といわれる高密度の放射線遮蔽物を置くことで、核反応を停止して制御するが、この時燃料棒はすぐには冷たくならないため、しばらくの間は冷却水を余熱除去系ポンプを使用して冷却水を循環させて炉心を冷却し続ける必要がある。
ところが何らかの原因で余熱冷却系の水の循環に不備が起こったりするなど炉心の冷却を怠ると、臨界を終えていても、燃料棒の高い余熱のために原子炉容器内で制御棒や燃料棒自体を溶かしてしまう現象が置きる。これを炉心溶融と言う。この炉心溶融は、通常一時冷却水から炉心が露出することで起こる。
炉心溶融が起こった後に想定されることは、冷却処理が取れなければ、核燃料の膨大な熱エネルギーによって原子炉容器や原子炉格納容器、原子炉建屋などの構造物も関連する爆発や火災で破壊され、最終的には外部に放射性物質を大量に放出する恐れがある。また、軽水炉においては、溶けた燃料棒が冷却水に落ちると冷却水が激しく蒸発し、水蒸気爆発が起きる可能性もあり、連鎖的にプラントの被害が大きくなる。最悪の場合には放射性物質を大量放出する危険があるため、原子力発電において想定しうる最も過酷な事故とされる。
映画「チャイナ・シンドローム」の作中では、アメリカの炉心溶融が連続して起きて原子炉や地殻を溶かし、地球の反対側の中国まで溶かす「チャイナ・シンドローム」が発生するという表現がジョークとして用いられた。このため炉心溶融自体をチャイナ・シンドローム(China Syndrome)と呼ぶこともあるが、炉心溶融が発生した場合に、必ず原子炉熔解が起きるわけではない。
過去の炉心溶融
この節は現在進行中の事象を扱っています。記事の内容は最新の情報を反映していない可能性があります。
現在までに世界で正式に確認される炉心溶融事故は3件ある。
1966年 エンリコ・フェルミ炉
1979年 スリーマイル島原子力発電所事故
1986年 チェルノブイリ原子力発電所事故
春の日の
やさしき陽射しが震災を
受けし遺族の
こころつつむ