ep3 おまえたちが生まれる前の話

実は、オマエたちには、お兄ちゃんかお姉ちゃんがいたかも
しれない。まだ、おなかに入って、はっきり確認できない大き
さのときに、流れてしまったから、お兄ちゃんだったかお姉ち
ゃんだったかは、わかならい。

すごく残念だった。生まれていれば、パパとママと同じ８月
生まれの予定だった。その子がいなくなったとき、

『パパとママと８月生まれの子が欲しい。』

とか、そういう思い上がった考えを持っていた自分たちのエゴ
を恥じた。

嘘か本当かは知らないんだけど、赤ちゃんはお母さんの体の
毒を請け負ってしまうことがあるらしい。

昔、九州のある海にたくさんの毒が流れこんでしまったことが
あった。
この時、比較的症状が軽かったのは妊婦さんで、生まれてき
た赤ちゃんは症状がひどかった。という話を聞いたことがある。

はじめの子はとても残念だったけれど、あの子がいてくれたお
かげで、お前たちがいるんだと、時々思う。


そういうパパにも、実はお兄ちゃんがお姉さんがいたらしいから
珍しいことではないのかもしれないけどね。