夜泣き屋_ブログ店

僕がいなくなったときに、ウチのチビたちが楽しめるような、「ウチのチビたちのためだけの千夜物語」を目指します

アウトドアの延長のような感じの。

2014-05-11 14:53:23 | 創作の話


今日は、気分を変えてね、

庭にタープ(屋根)を張ってね。

こうするとね、

ほら、アウトドアレジャーの延長みたいな感じでさ。





仕事ができるやん。

もうね、アウトドアレジャーの延長みたいな感じでする仕事ってさ、
意味がわからんやん。
うん、自分で言ってて【意味わからん】と思う。
(笑)




こわい話

2013-01-26 01:41:33 | 創作の話
ほんとにあった【こわい話】

私がとってもよく知ってる先生の身の上に起こった、【ほんとにこわい話】だよ。

その先生は、若い頃、ある小学校の1年生の担任になった。

その1年生のクラスで、こんな話をしたのさ。


「この学校には、むかし、いつも悪いことをしてしまうヤマダくん(仮名)って子がいました。

ここの学校の保健室には、【良い子になる注射】があるので、先生は、ヤマダくん(仮名)にその【良い子になる注射】を打ってあげたのです。

すぐにヤマダくんは、良い子になりましたが、その3時間後には、二度と悪いことができないようになってしまったのです。

ここの小学校のうさぎ小屋に行ってごらん。

うさぎ小屋に向かって

『ヤーマーダーくーん。』

って、呼ぶと、1匹だけ、悲しそうな顔で寄ってくるウサギがいます。

それが、ヤマダくんです。

先生も、【良い子になる注射】の場所を知っているから、悪いことがしたい子は、じゃんじゃんやっていいですよ。


【良い子になる注射】を打ってあげますからね。」


子どもたちの反応は、
ガ━━ΣΣ(゜Д゜;)━━ン 
と、
(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
だったという。



この後、この先生は、

「先生が、へんな話をするから、先生のクラスの子たちは、保健室をこわがって困ります!!!!!」
ヽ(`Д´)ノ

と、しこたま怒られたという。


・・・別な意味で、【こわい話】やろ。。。。


注1)ヤマダくんは、あくまで仮名です。
注2)ウサギは、1羽2羽と数えるのが正しいらしいですが、1年生に伝わりやすくするために、1匹と言ったそうです。




コドモレンジャーの脚本できました。

2011-04-16 21:39:07 | 創作の話

入学式が終わると、新1年生の歓迎遠足ですよね。

この歓迎遠足に、毎年、コドモレンジャー(※仮名・6年生)がやってきて、新1年生をはげますのですが、今年の脚本がやっとできました。

以下、はげしいネタバレ(ってか脚本そのまんま)なので、ネタバレ嫌いな良い子のみんなは、遠慮してくれたまえ。

笑える心の余裕のある大人のみんなのみ、ついてきてくれたまえ。




======

>それでは、6年生、準備してください。




イジワルダー>
なーーーーっはっはっはっは
なーーーーーーーはっはっはっはっは
ンなーーーーーーーーーーーーーーーーごほごほごほ。

我々は、イジワルダー。世界中の小学生を恐怖のズンドコにおとすために、日夜がんばり続けるけなげな団体です。

出でよ!トビダシー!!
「ビュビューーン!!」
「出でよ!!ベントーコボシー!!」
「ヒャヒャー!!」

今日はコドモ小学校の歓迎遠足だ!
トビダシー!
「ビュビューン!」
ベントーコボシー!!
「ヒャヒャー!」

1年生のお弁当を、かたっぱしからひっくり返して、コドモ小学校の子供たちを恐怖のずんどこにたたきおとすのだ!!
「ビュビューン」
「ヒャヒャーン!」



まてぇい!!
そこまでだ!イジワルダー!

どこだ!どこだ!
あそこだ!
【屋上から出てくる】

コドモ小の未来をひらく!コドモレッド!!
コドモ小学校にさわやかな風をふかす!コドモブルー!!
コドモ小学校の緑を守る!コドモグリーン!!
給食だぁいすき!コドモイエロー!!
コドモ小の愛を守る!コドモピンク!!
5人そろって!コドモ!レンジャー!!
トウッ!!!!
【体育倉庫の裏から、出てくる】

ええい!めんどうだ!
コドモレンジャーからやっつけてしまえ!

【たたかう】

くそう!コドモレンジャーめ!おぼえておれ!
コドモ小の子供たちの弁当など、こぼれてしまえ!!にげろ!!


おのれイジワルダー、なんていじわるなんだ。
コドモ小のよい子のみんな、今日は、お弁当をこぼしたり、とびだしをしたりしないように気をつけてくれたまえ!
では、遠足の成功を祈って、
一緒にコドモレンジャーの歌をうたおう!!

=======
コドモレンジャーの歌【平成23年度版】
・・・できれば、ゴーオンジャーのふしで。。。

エンジン全開 コドモレンジャー
1・2・3・4・コドモレンジャー
びみょうに曲がってる 校舎~
コドモON!

おかわり全開 給食完食
となりのクラスの 残りももらうぜっ!
あーそびも 限界 お外に集合
足がつるまで ケイドロやるぜ~「ヘイヘイヘイヘイ」

一人じゃないんだ 俺たちは
なかよしタイムも加速する~
勉強するとき「もと」と「わざ」
いつでもがんばるコドモレンジャー
掃除時間は、黙働(もくどう)「ジュッジュワー」

月曜やる気が出ないんじゃー
それでもコドモを守るんじゃー
歓迎遠足だ! レンジャー!!コドモON!


≫≫≫≫≫≫
イジワルダーのみなさん
(手作り)







結婚式のスピーチを考えてみた

2009-10-03 13:23:09 | 創作の話

私は、友達に妻のことを紹介する時に、「カミサン」と呼んでいます。

神様のようにおっかなく、神様のように大事で、そして新しい命を3つも生み出してくれました。

ただ、神様のようには寛大ではないので、時々けんかをして険悪なムードになることもあります。


険悪なムード・・・ピリピリしたリビング。

無言で食事を出してくるカミサン。

この緊迫した場面で、私の必殺技が炸裂します。

「これ、おいしいね。ありがとう。」

この緊迫した場面からくりだされる「ありがとう」を、私は、【捨て身のありがとう】と呼ぶことにしています。


カミサンは、ハトが豆鉄砲をくらったような顔をします。

しかし、それだけでは終わりません。このような緊迫した場面で、私は、カミサンの仕事を一つ奪うことにしています。

それは、洗濯物を干すことだったり、ゴミを出すことだったり、食事の後片付けだったりします。

そして、それがすんだあと、勝ち誇ったように、こう言い放ってやるのです。

「ねぇ、ありがとうは?」

と。

そして、カミサンが

「ありがとう」

と言いたくなさそうに言うやいなや、こう、たたみかけるように強烈な一発をお見舞いしてやるのです。

「さっきはごめんな。」

と。

すると、カミサンは、たまらずこう返事をかえしてきます。

「私も言い過ぎた、ごめん。」

と。

ざまみろ!今回も私の勝ちです。

年間二十数万組が離婚する時代です。離婚は珍しいことでもありません。

それは、私にもプライドがありますので、意地をはりたい気持ちもあります。

でも、自分にとってのプライドって何なのか、それを考えた時、

『死ぬまで家族を守ることが私のプライドなのではないか』

そう思ったのです。

つまり、家族を大事にして、家族が笑顔でいられれば、私の勝ち。

家族がこわれたり、カミサンと離婚する事態になったら、私の負けです。

私は一家の船長みたいなものですので、その船を守るためなら、頭を下げることくらいなんちゃありません。

大事なものは、家族なのです。


夫婦は結婚式で作られるものではありません。

本当の夫婦になるには、長い年月が必要です。

情熱的な気持ちは長くは続きませんが、「相手を大事に思いやる心」はいつまでももち続けることができますし、歳をとれば歳をとるほど、その温かい気持ちは膨らんでいくもののようです。

相手を大事に思いやる気持ちを表せる言葉・・・「捨て身のありがとう」という必殺技を、心に刻み、笑顔の耐えない、深い絆で結ばれた、温かい家庭を作ってください。

それが、あなたの使命であり、プライドになっていくはずです。

ありがとうございました。


ep50 「机の上のアンコロ星人」

2006-02-11 07:42:15 | 創作の話

「机の上のアンコロ星人」

日曜日の朝、コータはあまりのまぶしさに目を覚ました。お母さんが厚いカーテンを開けて降りて行ったあとらしく、レースのカーテンが窓いっぱいの真っ白い朝の光を受けてまぶしく輝いているように見えた。
「ううん、まだ眠たいよ。」
閉じかけた目で自分の机の上を見ると、がく然として目が覚めた。そこには、よれた灰色の背広を着た、おじさんが正座していたんだ!
「だ、だ、だれですか?」
コータがしどろもどろになってたずねると、そのおじさんは、
「私の名前かい?いい質問だねぇ。私の名前はアンコロ星人と言うんだ。歳は十万四十五歳だよ。」
と、答えた。普通に四十五歳って言えばいい話なのに、わざわざ十万をつけるあたりが、いかにもオヤジって感じのおじさんだ。よれた灰色の背広の下には、えりの広い白いワイシャツ、ネクタイはせずにボタンを上二つはずしている。残業で疲れて帰ってきたときの父さんのかっこうにちょっと似ていた。縁が太くて真っ黒のおおきなダサダサな眼鏡をかけていて、ほほはこけやせている。顔は日焼けしたのか、肝臓が悪いのか、赤茶色く見えた。
「君は、いつまで寝ているつもりなんだね。そろそろ勉強をはじめようじゃぁないか。それから私がたった今ボケたのに、スルーして《ツッコミ》をしなかったね。だめだよ、ツッコミを忘れちゃぁ。以後気をつけなさい。」
「は?」
コータの頭に大きなハテナ「?」が浮かんだ。
「ええ~っと、今から、勉強するんですか。」
「そうだよ。そのために机があるんだろう。勉強したまえ。」
「はぁあ、でも、その机の上に、おじさんがすわっているので、勉強できないんですけど・・・。」
「はっはっは。さすがに君は二十一世紀の子供だねぇ。そんなことを言ってると二宮金次郎に笑われるぞ。」
「二宮金次郎ってだれですか?」
「ああ、二宮金次郎かい?教えてあげよう。ふつうに勉強すればいいのに、『自分はこのスタイルが一番落ちつくっス!』って言って、薪(まき)をかついで勉強することをやめなかったという、『薪かつぎ勉強法』を考案した伝説の勉強家だよ。ときどきアチコチの学校で『薪かつぎ勉強法』をしすぎて体が固まっちゃった人がいるのは、このためなんだよ。」
「・・・あ、あのう、・・・それちょっと違いません?なんかウソっぽいんですけど。」
アンコロ星人が何か言いかけた時、部屋のドアがガタッと開いて、母さんが入ってきた。
「コータ!いつまで寝てるつもりなの!さっさと起きなさい!朝ご飯が片付かないじゃないの!」
「あ、はい。でも、机の上にアンコロ星人が座っててね。・・・。」
「は?何ワケのわかんないこと言ってるんの!熱でもあるんじゃないの?・・・・熱はないわね~。どっか痛いとこあるんじゃないの?」
「うんにゃ、ないよ。」
「じゃぁ、さっさとするのよ!」
「ねえ、ホントに机の上のアンコロ星人が見えないの?」
「もう!からかうのはいい加減にしなさい!さっさと食べるのよ!」
お母さんはガタンとドアを閉めて出て行った。
「クックック、むだなことをしたもんだねぇ。私のようなアンコロ星人は、君のように『心の美しい子供』にしか見えないのだよ。ハッハッハ。」
心のきれいな子供にしかみえないモノが、こんなモノとは、なんともアリガタメイワクな話だ。
「さぁ、勉強に備えて、さっさと朝食をすませてきたまえ。」
キツネにでもつままれたような気分で朝食をすませて、部屋にもどると、やっぱりそこにアンコロ星人は正座していた。
「食事が終わったら、きちんと歯を磨いたかね?」
「あ、忘れた。」
って言って、大急ぎで歯を磨いてもどってくるとやっぱりそこにアンコロ星人は、正座していた。
「アンコロ星人は、朝ご飯食べないの?」
と、たずねると、
「アンコロ星人の主食は、梅干とサバの缶詰なのだぁ。」
と答えるので、持って来てあげた。アンコロ星人は、梅干をぺロット食べて、サバの缶詰を食べだした。
「地球のサバの缶詰はあっさりしてるね~。アンコロ星のは、もうちょっとバニラ風味が効いてるような気がするよ。」
「それどんな食べ物ですかッ?」
間髪入れずにコータがそう言うと、アンコロ星人は、ゲッツのかっこうをしながら、
「うまい!ナイスつっこみ!。」
と、上機嫌になった。そして、アンコロ星人にサバの缶詰まるまる一個は多すぎる、と言って半分分けてくれた。コータは朝ご飯を食べたばっかりだったので、ありがたいのか迷惑なんだか、複雑な気持ちになった。
 アンコロ星人は、人には「歯をみがけ~」とか言っておきながら、自分では歯をみがかなかった。
「では!さっそくおまちかね!今日のお勉強をしようかね。昨日は、『つっこみ』を勉強しましたね。では今日は、『くりかえすおもしろさ』のお勉強をしましょう。」
「は?そんなツッコミの勉強なんかしてないし!」
「ナイスつっこみ!」
アンコロ星人はまた、ゲッツのかっこうをして、
「つっこみの復習は完璧だね!」
と喜んだ。
「さて、『くりかえすおもしろさ』ですが、これは、初めはあまりおもしろくなくても、何度も何度も同じことを言ってる間に、だんだんおもしろくなってくるという、ちょっとした力技です。え~では、先生がやって見せますから、注意して見ててね。」
アンコロ星人は、息をすぅ~っと吐くと、またすぅ~っと大きく吸い込んだ。そして、
「え~カエルがひっくりかえる・・・・どうだ?きたか?カエルがひっくりかえる・・・そろそろきただろう、カエルがひっくり返る。」
アンコロ星人がおもしろい顔をするので、コータはぷっと吹き出してしまった。
「どうですか、わかりましたか?これが、『くりかえすおもしろさ』です。」
「だって、アンコロ星人がおもしろい顔をするから笑っただけだよ。」
「コータくん!素晴らしい!すごくいいところに目をつけましたねぇ~!これは、二学期の成績は、きっと『よくできる』になりますよ!そうなんです!くりかえしながら、だんだんとおもしろい顔をするのが、これのコツなんです。だって、元々おもしろいことを言ってるのなら、一度言えば、笑うはずなんです。だけど、おもしろくないから笑わない。それをくりかえすことで笑わせようとするわけですから、多少の反則はしないとダメってのが、力技の所以です。」
「へぇ~。」
コータが妙に感心していると、アンコロ星人は体をひねって、本棚から「くりかえしドリル」を出した。
「ほら、ここに『くりかえしドリル』ってのがあるでしょう。地球でも『くりかえし』の大切さはわかっているようです。このくりかえしドリルで、くりかえし『くりかえし』の復習をすることによって、『くりかえし』がかんぺきにできるようになっておきましょう。」
「あのう、言ってる意味がほとんどわかんないんですけど・・・・それと、先生、それ、くりかえし漢字ドリルなんですが・・・。」
「では!一時間目の学習、わかりましたか?」
「はぁ。」
「では、二時間目のお勉強に入りますよ。二時間目のお勉強は、《ヒマな時間の過ごし方》でしたね。このまえまでに、ヒマな時間の過ごし方として、「手遊び」と「貧乏ゆすり」を学習してきました。しっかりわかってるでしょうね。それでは、今日は、その続きです。今日は、《ヒマな時間の過ごし方》でもっとも難しい、「ボーっとする」の学習をしたいと思います。では、初めてでうまくいかないかもしれないけど、まず一緒にやってみましょう。サンハイ!
 ボ~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 そのころ、リビングではお父さんとお母さんとハル姉と弟のシュンタがテレビを見ながら、話をしていた。
「ねぇ、アナタ、コータったらおかしいのよ。部屋で独り言をブツブツ言ったり、『母さんにはアンコロ星人が見えないの?』ってたずねたり・・・どうしちゃったのかしら・・・。」
「はっはっは、大丈夫なんじゃないの?」
「この間から、漢字のテストが悪いから、アナタがつきっきりで特訓させたりしたじゃない、すっごくきびしく、それでなんかストレスがたまってるんじゃないのかしら・・・。」
「まさかぁ。」
「どーせコータはまた、寝ぼけてたんじゃないの?」
と、ハル姉が口をはさんだ。シュンタは、みかんを食べながら、次のみかんをむいていた。
「ちょっと心配だから、様子を見てこようかしら・・・。」





「ねぇ!あなた!大変!大変!コータが口をあけて、ぼんやりしてるわよ!。イスにすわったまま!」
「どれどれ・・・」
「私も見たい!」
ハル姉がついて来ようとすると、
「だめよ!ちょっとリビングにもどってなさい!」
とお母さんにしかられていた。
「ホントだ。大丈夫かいな・・・ちょっと勉強のこと厳しく言い過ぎたかなぁ。」
「ちょっと反省しましょうよ。追い詰めるのはあんまりよくないわ。」
「ホントだね。午後から、公園にでも連れて行って、ちょっと遊んでやるか。」
「じゃぁ私は、今からおにぎりでも作るわね。ハル、ちょっと手伝ってくれる?」
「うん、いいよ。」
「シュンタは、みかんを公園に持っていくから、みかん全部食べちゃだめよ。」





「先生、『ほんとにぼーっとする』っての難しいですね。」
コータはいつのまにか、アンコロ星人のことを《先生》と呼んでいた。
「素晴らしい!すごくいいことに気がついたねぇ~コータくん。何にも考えないつもりでも、何かしら考えちゃうもんなんだね~人間ってねぇ。」
「・・・ところで、一つ気になることがあるので質問してもいいですか?先生。」
「なんでもどうぞ、コータくん。」
ちょっと聞きづらそうな顔をしてから、コータは勇気を出してたずねた。
「先生の教えてくれることって、あんまり役にたたなそうなことばっかりですね。」
アンコロ星人は、「はっ!」とした顔をして、そして、コータの顔を悲しそうな目で見た。何かをすごく言いたそう顔で、まじまじとコータの顔を見て、大きな黒縁の眼鏡をはずすと、よれよれの背広の袖口で涙をぬぐって、こう言った。


「君は、聞いてはならないことを聞いてしまったね・・・・それに気がついた子には、先生は何も教えることはありません・・・それでは、私はアンコロ星に帰ることにします。短い間ですが、みなさんとお勉強できて、先生はとっても楽しかったです。これまでありがとう、さようなら・・・。」
「先生!『みなさん』って、ココにはぼくしかいません!」
アンコロ星人は、もう一度、よれよれの袖口で涙をぬぐうと、ニコッと笑って、
「グッ!素晴らしい!そのツッコミの間を忘れないように・・・アンコロ星人からのお願いだよ。」
と、言い残したかと思うと、ぼわんと、すごい音と煙を出して、机の上から消えた。
 コータの部屋は、真っ白い煙でもくもくになった。びっくりしたお父さんやお母さんが部屋に飛び込んできた。
「だいじょうぶ!コータ!どうしたの?」
「コータ!タバコなんか吸ってないだろうな!」
「アンタ、花火の分解なんかしてないでしょうね!」
「にいちゃん?」

「なんにもしてないよ。アンコロ星人が、帰って行っただけ。」

「アンタ、何わけのわからんこと言いよると?バッカやない?」
口をとがらせたハル姉を制してお父さんが言った。
「まぁ、いいたい。今日はみんなで公園にも遊びに行こうな。な!コータ。」

 すごく叱られると思っていたコータは、なんだか拍子抜けだった。




 あれから、もう二十七年たってコータも十万三十五歳になった。コータは、今でもあの時、アンコロ星人が何か言いたそうな顔だったことが忘れられない。
「あんとき、アンコロ星人、何が言いたかったのかなぁ・・・。」

 あの頃の自分と同じ歳になった自分の子供をみながら、コータは時々考えてしまうのである。


                       おしまい。





ep23 三色宇宙人の話

2006-01-04 19:35:52 | 創作の話
三色星の宇宙人のお話。

「みなさんは,宇宙人というと『おむすびような輪郭を持つ,足だか手だかわかんないのがニョキニョキとはえた生き物。』を想像しますか?それとも,『宇宙船を作るくらいだから手の役割を果たす触手のようなものくらいあるだろう』と考えますか?ここに出てくる宇宙人は,ええぇっと,そうですね。手元にペンシルがあったら,チョンチョンチョンと三つ点を打ってください。そう,それがここに出てくる三人の宇宙人<バク>と<テリー>と<アン>です。えっ?それ宇宙人じゃないだろうって?確かにヒトの形はしていませんが,宇宙に住んでいる『知的生命体』が必ずしもヒトの形をしているとは限りませんよ。」


 地球の皆様こんにちは。ボクは赤色星に住む<バク>です。ボク達が住んでいる「赤色星」はとっても住みやすいところです。ただ,ここにはボク達しか住んでいません。ですから,赤色星に住んでいるのはボク達だけっていうことで,そういう意味では,ボク達の仲間は『赤色星人』ということになるかもしれませんね。

 ところで,ボク達には特殊な力があります。それは,【食べ物を三つの仲間に分類できる】という力です。ボク達はその力のことをちょっとだけカッコよく【フォース】なんてよんじゃったりしちゃったりしています。どう?カッコイイ?イケテル?なんつって…。

 そんなボク達にとって地球の皆さんのことで,とってもうらやましいことがあります。

 それは,いろんな食べ物があるってことです。これは最高にうらやましい!!

 ボク達の体はとっても小さく丈夫で,苦しいことがあると自然に「休眠状態」になってある程度のことを我慢することができます。

 それで,宇宙船なんかつかわずにいろいろな星に旅することができます。黄色い星から旅を始めて,今は赤い星にいます。ボク達は火山の爆発とか,スゴイ風なんかで,簡単に宇宙に吹き飛んでしまいます。そして漂って,次の星に行くんです。

 この星では,一万年ほど前に「食物連鎖」の頂点に立ちました。おかげさまで…。あっ,拍手をどうもありがとうございます。

 そして,ボク達はいろんなものを食べました。好き嫌いせずに何でも食べました。

 とうとう最後には食べ尽くしてしまいました。だから,ボク達の星には「ボク達」しか住んでいないんです。えっ?食べ物どうしているの?って。そう,だからボク達には「共食い」しかないんです。

 そんなことを言っている間にオナカがすいてきてしまいました。おお,あそこにいるのは,幼なじみの<テリー>だよ。ちょっと弱ってる。死んじゃったらおいしくないからなぁ。今が食べ時かなぁ。今なら,「鮮度バツグンの刺身!」って感じでおいしくいただけるかも。
 ではちょっと失礼して,いただいてまいります。





 <テリー>おいしかったよ。君の生命は今,ボクの中にある。ボクは君の分まで生きるからね…。




 大変失礼をいたしました。いろんなものを食べて,食べ尽くしてしまったボク達の食事は変化がなく単調です。いつも友達とか,同僚とか,家族とかそんなんしか食えません。だからといって,粗末にはしません。逆に食べることができるありがたさを知っているからこそ,大切に食べているんです。

 みなさんはどうですか?好き嫌いとかしてませんか?

 あっ,向こうからボクの恋人の<アン>がやってきました。なんかいつもより熱烈な目でボクのことを見ています。そんなに愛されているなんて思うと嬉しいなぁ。みんな!!やきもちやくなよ!!うっふっふ。

 それにしても,今日の<アン>の視線は熱烈だなぁ。とうとう二人が人生でたった一度だけ愛し合う瞬間が来たのかもしれませんよ!!オーノー!!ここから先,子供達には内緒だよ!




 アン,とうとうボクを食べに来てくれたんだね。嬉しいよ。この赤い星には,もう食べるものがない。いいかい?アン。ボクを食べたら,ボク達の子供はホラ,あそこに見える青い星で産むんだよ。アソコはここよりも少し暖かくて,水も豊富にあるから,子育てには最高さ。
 立派な子供をたくさん産んで,素晴らしい青星人に育てるんだよ。
 黄色い星から始まったボク達の旅は,赤い星を経て,青い星へ進む。その時ボクらは初めて本当の≪三色星人≫になれるんだ。

 地球のみなさん。ウチの家族がやってきたら,よろしく頼みますね。
 なぁんでも食っちゃうし,抗生物質なんてちゃちなもんは効きませんよ。ふっふっふ。
 では,アン,よろしくお願いします…………。

                     「三色星の宇宙人のお話」おしまい。