シチリアのパレルモ空港でレンタカーを借りて。なにせ、毎回欧州旅行では道の狭い山道を
走ることになるので、「兎も角一番小さい車」をご指名。これは、縦列駐車を想定したもので、
まず日本では経験出来ない運転技術を短期間で習得することが出来るのです(笑)
普段やったことのない縦列駐車。それも英語でいう「バンパー・ツー・バンパー」で、入れたら
いいけど、どうやって出すの?という状態もしばしば。最近はボクも随分と図々しくなって
前の車に当てて車を押してスペースを作るなんてことも(笑)
空港を出て一本道のフリーウエイを走ること40分くらいでシチリアの首都パレルモに着きます。
この市内に入ったくらいで右折して、山道をトコトコ。本来なら1時間くらいで最初の訪問地
モン・レアーレに着くのですが、例によって「右に大きく曲がれ」というナビの声の意味が分からず、
直角に曲がって、道に迷うことしばしば(苦笑)結局倍近く時間がかかって、この山の上に到着。

眼下に広がるモン・レアーレの町並み。はるか向こうに境界が空の青と融け合っていますが、
かろうじて地中海が認められます。これは南の方角で、その海の向こうはアフリカ大陸。丁度
チュニジアが位置しています。距離は確か300KM強であったか。
そもそもシチリアは紀元前8世紀からギリシャの植民地として栄えました。あのアルキメデス
さんはこの島のご出身です。そして紀元前ではあのカルタゴとの戦いを数回繰り返し、その後
ローマ領という変遷を経て、紀元7世紀には東ローマ帝国の版図に組み入れられ、9世紀から
10世紀にはアラブの配下になり、その後12世紀に神聖ローマ帝国により奪還され、同帝国の
首都として機能した時代もありました。更にその後にはフランスに占有されたり、ハプスブルグ
家のスペインに占有されたりと目まぐるしい変遷を経ています。そして現在のイタリア自治州
となるのは第二次世界大戦後となります。
なにゆえ、こんなにくだくだと歴史を述べるかということですが、これからご覧になる遺跡・教会
等の建築物はこの歴史を頭に入れると理解しやすいからです。世界というものが西欧を中心
に動いていたとすれば、まさに紀元前から中世までの文化・歴史がこの四国の1.5倍の大きさ
のこの島に凝縮されていると言って過言ではありません。

それにしてもこの山並み。これから先のドライブが思いやられて(苦笑)あのポルトガルの
市街で道に迷って呆然としたことを思い出しました(爆)
そうそう、シチリアにはあの有名なエトナ火山があるんですよね。今回富士山と同様に
世界遺産に選ばれるという慶事がありましたが、シチリアの方たちは日本と違って全くの
無視状態であったとか(笑)因みに、エトナ火山は現役の活火山!高さも3200M強あり
ます。幸いボク等の旅行中はおとなしくしていてくれたようですが、結構噴火のニュースは
聞きますよね。最近では二年前くらいでしょうか。

こういう狭い道を(これでもまだ広いほう)。
正面に見えるのはとある教会建築ですが、まぁなんときれいなファサードなんでしょう。
思わず目を見張りました。全体のトーンとしてはロマネスク建築なんですけど、鐘楼は
アラブのミナレット、外壁の文様はビザンチン建築のような。一瞬、トルコに来ちまった
のかと(笑)
ヨーロッパで異文化の交差点というとスペインが代表格ですが、このシチリアはそれ以上。
最初にこの名も知らぬ建物を見てシチリアに嵌りそうな予感が・・・



市街の家々です。かなり古いですね。戦前の建物でしょうね。
次回は上に記した三文化が見事に溶け合った教会建築の「モン・レアーレ大聖堂」を
ご案内します。
恐らく世界で唯一の、不思議なそして美しい教会ですので、必見です。