些か髪が伸びすぎたので、散髪に行きたいと思ったのだが、何かと忙しくて床屋に出向く暇もない。年明けでもいいか、とも思ってみるが、やはり伸びすぎた髪というのは欝陶しくてかなわない。
そこで、妻に切ってもらうことにした。いや、正確には「刈って」もらうことにした。バリカンで。
以前、床屋代の節約にバリカンを購入して刈ってもらったことがあったのだが、どうにもままならない感じで、いうなればパンキッシュな具合にしかならなかった。
我が妻は不器用である。それはもう、ほとほと不器用なのである。
どれくらい不器用かというと、お菓子の袋をまともに真っ直ぐ開けられた例がないほどの不器用である。
それならそれで、失敗を教訓にして次からはハサミを使って開けるとかすればいいものを、面倒くさがる。不器用な上にめんどくさがり屋なのである。最悪である。
それでも刈ってもらわざるを得ないほどなので、やむを得ない。
「失敗したら坊主でもモヒカンでもいいから、とにかく、『ちゃちゃっ』とやってくれ」
そういって煮え切らない妻にバリカンを持たせたのはいいが、最初恐る恐るやってた妻も、なんだかめんどくさくなったのだろう。しばらくするとサクサクと刈り込むようになった。
「おい……。まあ、いいんだけど、もう少し気を遣ってくれ」
どんどん刈られていく己の髪の毛を横目に戦慄を覚えた。
しかしまあ、終わってみれば「まあいいんじゃない」という具合にはなっていた。
だがしかし、よくよく見ると、やっぱり横の長さがアシンメトリー(左右非対称)。
妻もそれに気付いたようで「でも最近の若い子たちのあいだでは、こういうのが流行ってるんじゃないの?」と、慰めなのか自己肯定なのかよくわからないことをぬかす。
「うん、でもね。オレ、おっさんだから……」
その後、見事なアシンメトリーをなんとかかんとかシンメトリーにしようとしてどんどん短く刈られていったのは、言うまでもなかろう。
そこで、妻に切ってもらうことにした。いや、正確には「刈って」もらうことにした。バリカンで。
以前、床屋代の節約にバリカンを購入して刈ってもらったことがあったのだが、どうにもままならない感じで、いうなればパンキッシュな具合にしかならなかった。
我が妻は不器用である。それはもう、ほとほと不器用なのである。
どれくらい不器用かというと、お菓子の袋をまともに真っ直ぐ開けられた例がないほどの不器用である。
それならそれで、失敗を教訓にして次からはハサミを使って開けるとかすればいいものを、面倒くさがる。不器用な上にめんどくさがり屋なのである。最悪である。
それでも刈ってもらわざるを得ないほどなので、やむを得ない。
「失敗したら坊主でもモヒカンでもいいから、とにかく、『ちゃちゃっ』とやってくれ」
そういって煮え切らない妻にバリカンを持たせたのはいいが、最初恐る恐るやってた妻も、なんだかめんどくさくなったのだろう。しばらくするとサクサクと刈り込むようになった。
「おい……。まあ、いいんだけど、もう少し気を遣ってくれ」
どんどん刈られていく己の髪の毛を横目に戦慄を覚えた。
しかしまあ、終わってみれば「まあいいんじゃない」という具合にはなっていた。
だがしかし、よくよく見ると、やっぱり横の長さがアシンメトリー(左右非対称)。
妻もそれに気付いたようで「でも最近の若い子たちのあいだでは、こういうのが流行ってるんじゃないの?」と、慰めなのか自己肯定なのかよくわからないことをぬかす。
「うん、でもね。オレ、おっさんだから……」
その後、見事なアシンメトリーをなんとかかんとかシンメトリーにしようとしてどんどん短く刈られていったのは、言うまでもなかろう。