一僧侶の日常の思いを語る
沙門の法話
寂しい
どうして秋になると寂しいのでしょうか。どんなに賑やかな場所にいても、愛する家族といても寂しいと思ってしまう。
それは無常を感じるからだと思います。
世の中は常なるものが何もないのです。あれだけ大事に思った人も年を重ねれば病気をして旅立ってしまう。
末永く続くことを願ったことも世の流れには逆らえずくじけてしまう。
私の中の様々な思いでは今、もう過去のものとして戻ることがありません。もちろん戻ったら困るのです。もう一度あの時代に還ってもやることは一度経験したことだから。
それにしても世の中の無常こそが最大の苦しみかもしれません。
仏教ではこの無常を打ち砕く法を説いています。それが真理を悟る心。無常に打ち勝つ智慧。
それが仏教です。
物事の真理を悟ればいかなる苦しみからも解き放たれる。
私は僧侶ですがいまだに悟れない苦しみの中にいるみたいです。
遍照金剛とはお大師様のことを言います。
世の苦しみをすべて浄化できる真理を体得したからこその名です。
末端の弟子として少しでも近づけるようお大師様の後ろ姿を追い続けます。
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