ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

水中ポンプ

2006年04月22日 00時40分06秒 | 古い日記
別に面白くもない話だが、記録として残しておくか。

昨日、会社の電動シャッターがすべて降りなくなる、
という惨事にみまわれた。

以前にも、似たような事があった。

その時は、うろ覚えの知識で、
天井裏に入り、鎖(電動シャッターには必ず付いている)
を回そうと努力した。

「...。」

でも、降りない。そもそも、鎖(輪になっている)は回るようにはなっていない。

さんざん悩んだ挙句、その鎖を思いっきり真下に引き下げると、
「モーターの電磁ブレーキが外れる事」に気付いた。

結果、なんとかシャッターは降りたが...。

帰宅できたのは夜中(ちょっと大袈裟)だった。

しかし、その時は「そのシャッターだけの故障」だったが、
今回は「全部」なので何か電源系の故障に違いない。

そう考えた俺は社内で電気工事をしている(改装中なので)
業者の人に訊いた。

「あのう。何か電源のブレーカーをおとしたりしてないでしょうか?」

「ああ。しました。けど、もう入っている筈ですよ?」

「表のシャッターが4箇所、全て降りないんですが。」

「え?おかしいなあ。」

あちこちテスターを当てて調べたその結論から言うと...。

200Vの配電盤の中で二箇所、ヒューズがとんでいた。

そこがたまたまシャッターの電源だったらしい。

「これか。でも、このヒューズ、どこで買えますかね?」

俺はおそろしく旧式っぽい...その壊れたヒューズを見て言った。

「特殊なもんですし、第一、もう、売ってないですよ。これ。」

「...。」

まいったね。

何でこんな下らん事で、時間を浪費せにゃならんのだろう?

俺は200Vの配電盤を見回した。

こういう消耗品はその辺、どこかに隠してある事が多いんだ。

しかし...どこにもそれらしき物は無い。

仕方が無いので俺は、
配電盤の中の「水中ポンプ」と書いてある場所からヒューズをブッこ抜いた。

「これを、シャッターの所のヒューズに使って下さい。同じ種類でしょ?」

「え?でも、いいんですか?これ抜いちゃって?」

電気工事の業者さんは驚いて俺に尋ねた。

まあ、当然だ。ヒューズを抜いてしまえば通電しなくなる。

「知らね。でも、俺は『水中ポンプ』なんて見た事ないもんね。」

「見た事なくても、どっかで使ってるんじゃ...。」

「いいよ。ここの会社の歴史は知らねーが、こんなもん関係ねーよ。
 水槽もプールも無いんだから。」

「いいの?」

「責任は持つ。『水中ポンプ』 = イ・ラ・ネ」

「わかった。」

無事、シャッターは作動したが、こうして、
おそらくは数十年の歴史を持つ我が社の「水中ポンプ」の歴史は幕を閉じた。

そして、今日。

何かが起きるんじゃないか?とヒヤヒヤしながら過ごしたが、
例の「水中ポンプ」が止まったからといって、別に(社内的には)困った事も起きなかった。

でも...。
さっき、思い出したんだ。以前、会社の古参社員から聞いた噂を。

「この会社の地下にはね。巨大なポンプがあるんだ。」

「何をしているポンプですか?」

「『水中ポンプ』さ。水をくみ上げる...」

「水をくみ上げてどうするんですかね?」

「さあ。それ以上は知らないけどね。その昔...(以下、忘却の彼方)」

今さら、どうーしょもないが。

俺が気付いていないだけで、どこかで何か、
恐ろしい事が「始まった」のかも知れない...。