私の図書館

主に読んだ本の感想。日常のできごと。

道尾秀介の背の眼

2009年10月05日 08時53分34秒 | ホラー
"なかなかおもしろかった、いや、かなりよかった。。。けど。。。" という感じの本。
全体としては大変よくまとまっている。なげやり、うちゃりの多い昨今これは実に貴重だ。。。けど。。。なんだよな。

第5回ホラー大賞を受賞したこの作品、ホラーという部分ではよく出来ている。第1章など、背筋がぞぞっとするほど、たしかに怖かった。
この手の本だと恐怖をあおるために、寒村とした土地を選ぶのが常だが、時にそれが不自然なことが多い。今の日本にあるのかそんなんとこ?というようなおどろおどろした村。
この本もそういう感じなのだが、リアリテイーがありよかった。話もよくつながっているし、500ページ2段組の本なのに、一気に読んでしまえる面白さがある。

では、一体なにが、"。。。けど。。。"なのかと言うと。
この本に出てくるキャラクター(メインとサブ)どっかで知っているな、と思わせるのである。読み進めていくと明らかになる、この説教くささ、知ったかぶり感、雑学の披露ぶり、どっかで見た。そして、サブのダメぶりもどっかで見た。 まさに、京極堂とそのうつ病の友人関口君。
しかも、作者がどこかでこの事実に気付いているのか、主人公の真備の性格をなんとか良くしようと努力しているのだが、やっぱり誰かがとうとうとうんちく垂れる有様はオレ様感たっぷり。この二人がもう少し違う関係であったなら、京極堂シリーズと差別化を図ることができたのに。全くおしい。

という事でこの本、図書館でみかけたらぜひ借りてみてください。

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