2月、甲府盆地でも、3日に行われる節分祭「大神(だいじん)さん」(※1)を皮切りに、
春を告げるお祭りが続きます。
10日、11日には、南アルプス市十日市場地区で「十日市」(※2)が立ち、
さらに13日から14日にかけて、大変な賑わいをみせるのが、
「厄地蔵さん」と親しまれている「厄除地蔵尊大祭」。
甲府の三大祭りのひとつです。(※3)
一番寒い時期に行われる3つのお祭りが終わると、陽気も少しずつ春めいてきます。
そして、これらのお祭りの縁日では、
無病息災、願望成就に、厄除けの願いが込められた「甲州だるま」の屋台が。
一説では武田信玄公をモデルにしているともいわれる「甲州だるま」ですが、
その特徴は4つ!
(1)彫りが深く鼻が高いこと
(2)目が横長の楕円形であること
(3)眉毛は「鶴」、と髭が「亀」の格好をしていること
(4)すべての工程が手作りで行われること
現在「甲州だるま」として入手できるものは
「甲州だるま」、「甲州親子だるま」、十日市で売られる「甲州十日市」だるまです。
現在、当館・旧堀田古城園、南の和室にて展示しているのは・・・
右から「甲州十日市だるま」、「甲州だるま」、「親子だるま」です。
そして右端のかわいいだるまさんたちは、「笹だるま」。
明治中頃の山梨の民俗を伝える『甲斐の落葉』にも掲載されている縁起物です。
「甲州だるま」
400年以上の伝統の始まりは、京都の僧侶が伝えた張り子の技術。
戦前は、目を入れただるまが多く、買い求めた人は神棚などに飾ったとか。
甲州だるまは目玉を下まぶた寄りに入れるため、
神棚に飾った時、拝む人と目が合うように見えることから
「下見だるま」とも呼ばれます。
「甲州十日市だるま」
眉が鶴、髭が亀をモチーフに描かれていて、
顔つきも、少し鼻が低いなど、従来の甲州だるまとは少し違った印象です。
「七転び八起き」の縁起をかついで、
頭には7本、胴には8本の金色の線がはいっているのが特徴です。
「親子だるま」
1995年1月27日山梨県伝統工芸品認定
農家の生活を支えた綿と養蚕。この白い繭玉の形が白いだるまになったとか。
家内安全、子孫繁栄を祈って、子だるまをお腹に抱えています。
子に髭があるのは、「親よりも立派になってほしい」、
また、子だるまのまっすぐな視線は、「子供が自分で目標をもち、
思った道をまっすぐに進んで欲しい」という親心の現れだそうです。
江戸中・後期には「妊婦の安産祈願」の贈り物としても喜ばれました。
今年度も、そろそろ終盤。
来年度、新たな場所で、新生活をスタートするお子さんも多いかと思いますが、
見守る親の気持ちは、昔も今も変わらないようです。
無病息災、開運招福✨
今年も、みんな元気に過ごせますように!
古城園での展示は、2月27日まで行う予定です。
お立ち寄りの際は、かわいいだるまさんをぜひ、ご覧ください。
(※1)「大神さん」とは「柳町大神神宮祭」と「横近習(よこきんじゅ)大神宮祭」のこと。
家内安全、無病息災、商売繁盛を願う神事、「福来豆」の配布や、赤鬼・青鬼が地区内を豆まきしながら巡ります。
柳町大神宮も横近習大神宮も、甲州の伊勢信仰を今に伝える古社。
横近習大神宮は、武田家が勧請した社で、神紋が武田菱。
これまで感染対策で縮小開催していましたが、2023年は通常開催されました。
(※2)十日市の歴史
(※3)湯村のお地蔵さん、普段は耳が聞こえないそうなのですが、
2月13日の正午から14日の正午まで、耳を開き、参拝者の願いを聞き入れてくれるそう。
参拝者がお地蔵さんに、歳の数だけお団子をお供えすると、厄を免れることができるとも言われています。
ご注意! お団子は、小さな小さなお団子で良いそうです!