今年は、武田遺臣で江戸時代中期に5代将軍徳川綱吉の側用人を務めた
柳澤吉保の嫡男で、初めて甲府藩主として甲府城に入城して国を治めた
吉里が大和郡山に国替えになって300年の記念に関連した企画展を開催中です。
前期展では、吉里が自ら描いた武田二十四将図や、信玄肖像画に讃を書した絵画
資料など、柳澤家の信玄崇敬を物語る資料を展示いたしました。
武田二十四将図はサイズも大きく、見応えのある資料でしたので、展示ケースも
ギリギリのサイズ感でした。
お知らせが遅れてしまいましたが、現在は9月14日から11月11日までの会期で
後期展示がスタートしました。
展示資料は、
渡邊守遂作の武田二十四将図・徳川二十一将図・武田九将図の三幅一対の絵画
柳澤吉里印章
武田信玄書状 となっています。
武田九将図となっているものがありますが、この絵については、
人物像を特定する注記等もないため、はっきり武田信玄と家臣団という捉え方で
良いのか少し疑問も残る資料でして、もしかしたら、ライバルの上杉謙信とその家臣を
描いたものである可能性もあります。
印章は、両面に「吉里」と刻印されていまして、それぞれ黒印と朱印用に使い分けが
されていたことが箱書きからわかるものです。展示資料としては、吉里愛用の印であることも
さることながら、印章にみられる武田家と同じ花菱紋に注目いただきたく、展示をしています。
最後に武田信玄書状ですが、元は高野山成慶院に宛てた書状群で、何時の時代か
柳澤家が武田家との関係を求めて高野山で武田家から宿坊として認められ、
関わりの深かった成慶院から書状を譲り受けたものと考えられる資料です。
様々な資料を通して、武田遺臣である柳澤家が旧主家の武田家を尊敬し、
関わりを持とうとしたことを示す資料群となりますので、お近くにお越しの際は
この機会に武田家、柳澤家について学んでいただければと思います。
皆さま、良い連休をお迎えください。