名古屋するめクラブ

~名古屋発くうみるあそぶ~

竹澤恭子のスコットランド幻想曲@愛知県大府市音楽祭 <6月22日>

2008年06月23日 00時45分05秒 | 観る(ライブ)

わが町大府が生んだバイオリニスト、竹澤恭子さん。

前回彼女のバイオリンを聞いたのは、マゼール指揮ロンドンフィルのシベリウスの
ときだったか、シラカワホールのベートーベンソナタだったか、いずれにしても3年以上前。

今日は定員817人の小さなホールで、どんな演奏を聞かせてくれるでしょうか。


演目は、ブルッフが1880年、ヴァイオリン独奏とオーケストラのため作曲した、

「スコットランド幻想曲変ホ長調 作品46」。

正式の題名を「スコットランド民謡の旋律を自由に用いた、管弦楽とハープを
伴ったヴァイオリンのための幻想曲」というらしいですけど、スコットランド民謡
いうよりスラブ民謡を髣髴させるドラマチックな旋律が随所にちりばめられ、
旋律だけじゃなく、リズムまでもに自由さが表れたファンタジックな幻想曲でした。





民族的で劇的ときに牧歌的なこの曲を日本の片田舎の小さなホールで情感
込めて弾くのって簡単じゃないと思うんですが、竹澤さんはダイナミックかつ
繊細なテクニックと、母になり一層増した力強さと人をやさしく包み込む包容力
とで、ブルッフの描いたドラマチック性をほんとに上手く表現していました。

まさに円熟期を迎え乗ってるバイオリニスト。

すばらしい!

ただ、ただ、すばらしい!

彼女はいつの間にか人の心を揺さぶる情熱とパワーを身につけたようです。

ヨーロッパ遠征後のコンクール入賞記念だったと思うのですが、小学校の
体育館で一曲披露してくれたときの映像は今もまだまぶたに残っています。

今日のアンコール曲、ツィゴイネルワイゼン。

あの日に聞いた曲。


少しぶれのある名フィルの演奏にも、残響音もずれがちな田舎の
ホールでも、軸足しっかり、1710年製の愛器ストラディヴァリウスで、
奥行き深く温かみのある柔らかい音をぶれなく奏でるバイオリン弾き。

竹澤恭子。

無意識のうちに涙が溢れこぼれる。

大人になったよね。

恭子ちゃんも。

私も。



今日の1曲: サラサーテのツィゴイネルワイゼン BY 竹澤恭子

ロマンツァ
竹澤恭子
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平成20年6月22日(日)
大府市勤労文化会館 もちのきホール
出演 竹澤恭子(ヴァイオリン)、シズオ・Z・クワハラ(指揮)
名古屋フィルハーモニー交響楽団

曲目:ガーシュイン/キューバ序曲、 ビゼー/『カルメン』組曲より抜粋(1.セギデーリャ、2.ハバネラ、3.闘牛士 モンカーヨ/ウアパンゴ)、リムスキー・コルサコフ/スペイン奇想曲 作品34、ブルッフ/スコットランド幻想曲 作品46


PS.今日は会場で不覚にも泣いてしまいましたが、ホールが明るくなってからも涙が止まらず困りました。恥ずかしいと思って見回したら、隣に座っていた母も泣いていました。今日のライブは、聞く者の心の奥底に隠れた記憶を呼び覚まし、皆の心の琴線に触れたようです。一体どんな思いがバイオリンに込められたのでしょうか。



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