忘れないうちに書いておかなきゃ、8月の終わりに見たRENTのこと。
今回のRENTツアーは過去数回行われた日本公演とはちょっと意味合いが違いました。
ブロードウェイキャストによるパフォーマンスであることに加えて、
Mark&Roger役の2人がなんとオリジナル(ブロードウェイ初演時)のキャスト
だったという点でとても特別なものでした。
RENTを創り出しブロードウェイに送り込んだのは、演出家ジョナサン・ラーソンで、
彼がブロードウェイでの初日を迎える直前にこの世を去ってしまったことについては
ご存知の方も多いと思いますが、つまり、このお2人は、ラーソンさん自らによって
キャスティングされたRENTオリジナルキャストであり、ラーソンさんとともに最高の
ロッカペラ、RENTを世に産み出したオリジナルメンバーというわけです。
今回でRENTを見るのは10年振り10回目になりますが、この2人の
パフォーマンスを見るのはこれが初めてでした。
くどいようですけど、オリジナルキャストですから、市販されているCDやDVDにも
彼らの声や映像が収録されているわけで、その歌声はもうすでに耳慣れたものでした。
おそらく、今後このキャスティングが実現することはそうそうないでしょうから、今、このタイミング、
しかも日本でこの2人にお目にかかれるとはほんとラッキーなことだと思います。
さて、そんな前置きはさておき、日本公演はどうだったかといえば、、、
場所は赤坂サカス内、赤坂ACTシアター。
新しいし、なかなかいいホールとは思いますが、ブロードウェイの、天井もそんなに
高くなく、音をうまく吸収してくれる木造の壁、観客席と舞台が近い古い劇場、
Netherlander Theaterに比べると、ちょっと密度が薄いというか、劇場に漂う
緊張感が少ないように思います。
RENTの演出や楽曲のすばらしさについてはいまさら言うまでもないことなのですが、
全メンバーの安定した実力に基づいた完璧に近いパフォーマンスに、2人のオリジナル
キャストの歌声が加わったことによるノスタルジーなケミストリーがシナジー効果を
生んだのか、多重的、多面的に高い完成度となり、とてもすばらしい作品に仕上がっていました。
すばらしい。
もうただただ、すばらしいとしか言えません。
演じながら体の動作とともに歌うことがいかに難しいかってことについては、オペラなんかを
見ていてある程度はわかっているつもりですが、激しいダンスで体を動かしながら歌って
いると思えないほど、10人以上の人が同時に歌っていると思えないほど、
リズムやメロディがまったくブレずに、完璧にハーモニーを調和させてる姿を間近で見て、
ブロードウェイの底力に感嘆せずにはいられませんでした。
すごいね~
しびれるね~
敵わんわ~
特にこの日胸を打たれたのは、Mark役のAnthony Rapp。
千秋楽前日ということもあってか、ときに、遠くを見つめながら、コブシにグッと
力を入れながら歌ったり、彼の演技にはとても熱い思いが込められていました。
彼の心に去来していたのは、演出家・ラーソンとの思い出か、お稽古、初演、はたまた
終演時の思い出なのでしょうか。。。一観客として彼の演技を見ているだけで、胸が熱くなりました。
RENT。間違いなく生涯見たミュージカルの中での最高傑作。
できればまたオリジナルキャストで、近い将来日本で演ってくれないかな?
今度は、Tom Collins役をJesse Martin、
Angel役をWilson Jermaine Herediaで
お願いします!
赤坂ACTシアター
東京都港区赤坂5-3-2赤坂サカス内
03-3589-2277
オリジナル・サウンドトラック レント
PS.この日、観客にリピーターが多かったのか、合いの手?や掛け声をかける観客のタイミングが抜群によかったのに驚きました。
四季のレベルも上がってるっていう話だし。
知ってる曲も多そうだし。。