名古屋するめクラブ

~名古屋発くうみるあそぶ~

オーストラリア戦一夜明けて

2017年09月01日 08時10分05秒 | スポーツ



昨日のオーストラリア戦、

ヒヤヒヤする場面もありましたが、

一夜明けてニュースで取り上げられる、

上手く切り取られたゴールシーンだけを見ていると

快勝した感に浸れますね。

いやいやすがすがしい。

というところで、

なるほど、と納得させられた記事を見つけました。

当然のことですが、

記者さんは分析も文章も

さすがですね。

文章:victoryの河合記者

……………………

苦手としていたオーストラリア代表に快勝し、6大会連続となるW杯の出場権を獲得した日本代表。これまでレギュラーだった選手たちが、最後までベンチを温め続けた試合後には、世代交代を求める声も聞かれた。しかし、この試合でFW浅野拓磨の先制点をアシストしたDF長友佑都は、必ずしも世代交代が必要なのではないと説く。

的中したハリルホジッチ監督の選手起用

日本代表の先発メンバーが発表されたとき、多くの人が驚いただろう。そこにはこれまで長らく日本代表を引っ張ってきた本田圭佑、香川真司の名前はなく、代わりに22歳の浅野拓磨、21歳の井手口陽介の名前があった。一部で、この試合の結果によっては自身の進退問題にも発展すると報じられていたヴァイッド・ハリルホジッチの選択が明らかになると、「博打」「抜擢」といった言葉が配信された。

今回の代表メンバーを発表する会見でも、指揮官は若手を信頼して起用することの重要性を説いていた。しかし、若手起用に関してネガティブな記憶が残っている人も多かったはずだ。W杯アジア最終予選の第1節、ホームでのUAE戦では、先発で起用されたMF大島僚太が本来の力を発揮しきれず、相手にPKを与えるなど敗戦に関与していた。浅野、井手口にとってこの試合はA代表デビュー戦ではなかったが、経験が重視されるアジア最終予選という大舞台での先発起用が、失敗に終わっていれば批判は免れなかっただろう。

だが、ハリルホジッチ監督の采配は的中する。ボールをつなぐことに執念を燃やすオーストラリアに対して、走力を生かして上下動を繰り返し、球際で戦い続ける浅野、井手口の存在は、抜群に効いていた。連係面やクロスで右ウィングとしてのプレーに物足りないところもあった浅野だが、前半41分には、DF長友佑都からのクロスを受け、喉から手が出るほど欲しかった先制点を決めて見せた。最後まで運動量の落ちなかった井手口は、終盤まで可能な限り高い位置まで飛び出して行き、相手にプレスをかけ続けた。後半37分には途中出場していたMF原口元気が体を張ってつないだパスを受け、勝利を決定づける豪快なミドルシュートまで決めた。

相手の戦い方を分析し、しっかりとそれに応じた戦術と選手を用意したハリルホジッチ監督の手腕は、評価されるべきだろう。あるいは「博打」「抜擢」とも評された采配は、もしかしたら本来、ハリルホジッチ監督がやりたかった、自身の目指す戦い方なのかもしれない。試合後、記者会見に臨んだハリルホジッチ監督は、「プライベートで大きな問題があった」と質疑応答を受け付けずに、サウジアラビア戦後の退任さえほのめかした。それでも冒頭では「私は若手を信頼して使うべきだと思っていますが、それが正しいことが示せたと思います。日本のサッカーにとっても、良いことでしょう」と、プライドの滲む言葉を発している。

この試合は、今後、W杯に向けて準備を進める日本代表にとって、ターニングポイントとなるかもしれない。相手にボールを保持させながら、プレッシングでミスを誘発して、ボールを奪ったら素早く攻め込む。この戦い方は自分たちより強い相手と戦う上で、必要になってくる。次節、日本にとっては消化試合となった敵地でのサウジアラビア戦でも、その戦い方に磨きをかけることになるかもしれない。

継続してこの戦い方を続けるのであれば、ボールテクニックに秀でる本田や香川よりも、ボールがないところでもハードワークを続けられる浅野、井手口の方が適任だろう。過去8試合、W杯やW杯予選で一度も勝てなかったオーストラリアに完勝した後、このまま一気に世代交代を進めるべきではないかという声も、多くあがっていた。

そうした声に待ったをかけるのが、先制点をアシストした長友だ。長友自身、「球際で戦える選手、1対1に強い選手、走れる選手があれだけ出ていて、こういうサッカーができました。新たな日本のサッカーのスタイルが、もしかしたら確立されていくのかもしれません」と、この日の戦いぶりに大きな手ごたえを感じていた。

だが同時に、同年代の本田や香川が出ていたら、もっと違った戦い方ができていたとも主張する。「若い選手たちがこれだけ頑張ってくれて、今日も結果を残せましたが、真司や圭佑が出ていたら、もっと試合をコントロールできていただろうし、もっと落ち着かせる場面があったと思います。結局、今日もオーストラリアにボールを持たれて、(パスを)回されるというシーンが、後半も含めてたくさんありました。あそこで圭佑や真司がいたら、落ち着かせて、タメもできた。もっと良いサッカーができていたのではないかと、個人的には思っています」と、持論を展開した。

完勝したオーストラリア戦の戦い方は、評価されるべきである。しかし、だからといってこれまで積み重ねてきたものを、ゼロにする必要もないだろう。

長友は「両面とも大事」と言い、「若い選手たちがこれだけ頑張って、ベテランの僕らに刺激を与えてくれました。今度は悔しい思いをした僕らが頑張る。チームとして、これが最高なんじゃないかな」と、チーム内の競争を歓迎した。そして、最終的には23人の選手たちが状況に応じてバリエーションのある戦い方ができるようになることを、チームの目標に掲げた。

「相手からしたら、(バリエーションが多いのは)最悪ですよね。(ベンチで)真司も待っている。圭佑も待っている。若い活きの良い選手たちも待っている。相手は誰がスタートから出てくるのかさえ、分からない状況でしょうからね。オーストラリアも、今日のスタメンは読めなかったと思います。僕自身も読めていないくらいなので」(長友)

試合終了直後、キャプテンのMF長谷部誠は「ここにいる誰一人、W杯に行ける保証はありません」と、23の枠をめぐる争いが勃発することを強調していた。同年代の本田、香川が90分をベンチで終える姿を目にした長友も「コンディションを重視する監督なので、僕自身もコンディションを落としたら、すぐに外されるでしょう。今日はたまたま出られただけ。インテルに帰ったら、また厳しい競争が始まりますが、それに勝って試合に出続けないと、日本代表でのプレーは難しいかなと感じています」と、気を引き締めた。

まだまだポテンシャルがあることを示した日本代表は、W杯までの残された期間で、どれだけ力を付けていけるだろうか。

文=河合拓(victory)