湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ヒンデミット:交響曲「世界の調和」

2018年12月27日 | ドイツ・オーストリア
ヨッフム指揮バヴァリア放送交響楽団(forgottenrecords)1952/2/8

二十世紀にこれほどカッコいいフィナーレを描いた作曲家はいただろうか。シンプルにただ昇りつめるだけの三楽章「宇宙の音楽」。ラストを大きく崩して派手にやる演奏が無いのはヒンデミットの緊密過ぎる書法か単にヒンデミットの流儀がそうだったからか、しかしこれはもともと巨大なオペラであり、自作自演の短縮版でさえ2枚組CDである。そのラストをこれほど短く切り詰めたとしても、何か演出が欲しい。難点はセクション毎の音量差というか、悪い録音だと弦楽器の音がそっくり落ちて聴こえることが多い。合奏で揃えるのが難しい、ヒンデミット特有の細かいスケールの無限とも思える繰り返しはその原因の最大のものだろう。ぼこっと音が落ちて聞こえるのはフルトヴェングラーの悪い録音もそうだし、この盤もそうである。自作自演に似た作為の少ないこの演奏はオケに過失があるとも思えず、撚れの多い録音からも収録側の問題でそうなったのだろう。ヨッフムはオケ扱いが上手く欠点を作らないが、踏み外さないことからくる「小ささ」が感じられる。貧弱な録音では尚更、この「天球」を相手にした誇大妄想的なテーマと比べて違和感を感じる。ラストどんづまりでブラスに表情を付けるが、特徴的なのはそれくらいか。この曲は良い録音がなく、自作自演、フルトヴェングラー、ムラヴィンスキーのいずれもスピーディーな演奏であり、ヨッフムもまた同傾向で、そこに負けないものは感じさせなかった。拍手なし。
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