湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番

2018年12月31日 | ヴォーン・ウィリアムズ
ノリントン指揮サン・フランシスコ交響楽団(放送)1997live

webで聴ける。ノリントンのアクの強さが出ておりダイナミック。誇張されたアゴーギクが戦争交響曲に実にぴったりなのは三楽章。ヴォーン・ウィリアムズの書いた最も悪魔的な(カッコいい)楽章だが、響きを整えるよりもささくれだったダイナミズムを煽ることに主眼を置いて度肝を抜く。こんなにカッコいい作曲家だったのか。ノリントンのRVWの読みは深い。これも単なる客受けを狙ったものではなく、すべての生きとし生けるものを蹂躙していく国家の「躁状態」を糾弾している。四楽章を味わうにはノイジーなステレオだが、ノリントンは田園的な音楽より都会的な音楽が似合う。バルビのように感傷を加えるのではなく、なんの味わいもない(ノリントンらしさかもしれないけれど)音の羅列を素っ気なく提示している。漫然とやらず構造を抉り出しホルストとの共通点を炙り出す。前の楽章でも軍隊がラッパを吹き鳴らし(三楽章ではジャズ風の乱暴なフレーズを皮肉に撒き散らし)キャタピラが地面を踏み均していくさまを、抽象化して決してそれと聴こえないようにしていたが、四楽章もまた抽象的だ。しかし音楽としてかなり良い線をいっている。さらにオケに恵まれている。派手で技術レベルも高いアメリカオケはなぜかこの曲に合う。なかなかです。
Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« オネゲル:バレエ組曲「アンフ... | TOP | プロコフィエフ:ピアノ協奏曲... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ヴォーン・ウィリアムズ