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湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ルーセル:セレナード

2019年03月19日 | フランス

ミラージュ五重奏団(naxos)CD

ドビュッシー後のフルート&ハープアンサンブルで最も個性的な美しさを音符に収めることのできたのがルーセル、そのこの曲だと思う。税官吏アンリ・ルソーの描くジャングルのような(ルーセルは実際のジャングルも知っていたはずだが)清潔な土俗が、まだ新古典主義には至っていないはずが、非常に簡潔かつ緊密な形で提示されている。フルートアンサンブルや弦楽トリオといった後期作品の濁った響きのクセがなく、夢想に浸れる名作だ。節度あるこの団体の演奏は突出したところがなく、一切揺れず生真面目だが、それだけ原曲の美しさが浮き彫りになっている。とくに音が柔らかめで耳に優しい。雅楽のような響きのもと東洋的な旋律が唐突に流れて始まる二楽章は、ハープの典雅な下降音形で終わるまで隙きがなく、静かな夏の夕べを演出する。リズム感はよいので三楽章もそれなりに楽しめるし、古い時代の演奏より雑味がないぶん今の人は聴きやすいかもしれない。ポルタメントによるジャングルの鳥の声の模倣も無理がなく調和している。良い演奏。

Serenade, Op. 30: I. Allegro
Mirage Quintet


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