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湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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オネゲル:交響曲第5番「三つのレ」

2008年02月27日 | フランス
○ロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト国立文化省管弦楽団(MELODIYA)CD

こういう上でも下でもなく真ん中に向かって凝縮的な交響曲はドイツにもロシアにも無いものだなあと思う。内省的な曲想はハーモニーの移ろいによる進行を中心とした昔の単純なフランス音楽を思わせ、南欧ふうの暖かな空気感をサウンドスケープ的に描き出している。洒落た雰囲気の映画音楽的な展開は夢想的で気まぐれな、六人組の「実用音楽」を抽象化したような、回想的なものすら感じる。演奏は注意深く下手に派手になりすぎない配慮が感じられる。場所によって音量も音色もテンポもアゴーギグももっと起伏の起があってもいい。例えば強いリズムや低音が欲しい気もするが、構成感を重視したのだろうか。音色もまったく西欧的でこのオケ特有の透明感がプラスに働いている。オネゲルは弦が重要だが、やや弱体とされることもある文化省管はここでは室内楽団的な精度の光るアンサンブルを保っている。三楽章などソヴィエトなのだからパワーを見せ付けるべきだという人もいるだろうが、むしろ非常に計算されたスコアの美観を重視し、演奏で崩さない配慮を籠めたものではないかと思う。たしかに曲自体の煮え切らなさも含め物足りなさを感じる人もいるだろうが、これは見識かもしれない。

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