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湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

チャイコフスキー:イタリア奇想曲

2009年08月15日 | チャイコフスキー
○レオ・ブレッヒ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団(PACD/Electrola他)1928/3/23

珍しい録音で、チャイコが模倣しようとしたラテン・イタリアのからっとした雰囲気がおのずと出ていて非常に聴きやすいのだが、余りにさらっとした揺れの無い表現は、オケのアンサンブル力の高さもあって、全く何も印象に遺さないまま終わってしまう。連綿と主題が数珠繋ぎになっていくだけの音楽はやはりそれぞれの主題の孕むケレン味をそれなりに印象付ける表現をとってくれないと、特に楽想が動き出す前と後の変化が調性的には大して感じ取れない場合、こうストレートにただインテンポで進められてしまうだけでは序奏がそのままフィナーレに突入してしまうようで置き去り感がある。引っかかりが無い演奏で、確かにわかりやすいが、確かに何かとのカップリング(抱き合わせ)で聴くくらいの演奏かもしれない。○にはしておく。
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チャイコフスキー:弦楽のためのセレナーデ~Ⅱ、Ⅳ

2009年08月15日 | チャイコフスキー
○レオ・ブレッヒ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団(PACD/Electrola他)1929/3

これはいい。ワルツは何故か古い録音にいいものが多い気がするのは演奏家のせいか時代のせいか、実用音楽的側面が未だあった時代にあって弦セレ2楽章のSPだからけして実演と同じテンポだとは思わないがしかしこういう、微細な空気の綾が、どんなに古い音であっても骨太に伝わってくる。別に大仰というか表情の変化が豊かなわけではない、確かで太い音の流れを巧く制御している。終楽章はブレッヒらしく即物的でせかせかしたテンポで、これもまた運動性の表現として面白い。◎にしたい○。
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チャイコフスキー:交響曲第5番

2009年08月15日 | チャイコフスキー
○レオ・ブレッヒ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団(PACD/Electrola他)1930/10

思いっきりアマチュアリスティックな、オールドスタイルの思うが侭。スタジオ録音なのにオケ崩壊なんて今なら考えられないところだが大曲録音自体珍しいこの頃にあっては許された、しかも決してオケが下手なのではなく指揮が即興的なのである。オケの内圧は高いから揃った部分は素晴らしい切れ味がある。そこにうまく耳を合わせられればこれほど面白いものはない、何か昔このような演奏をとても喜んで聴いていた気がして懐かしかった。きほんアレグロで、休符は須らく半分程度縮められ(本来初歩的な「怒られポイント」である)つんのめりながら爆走、緩徐主題ではデロデロ歌いこむがオケの音色からそれほどロマンティックな表現に聴こえない。SP録音ならではの異様なスピード、前時代的といってもリヒャルトやトスカニーニの香りを確実に嗅いだような即物的な表現も下手な耽溺を呼ばないのだ。ドライですらある、私はとても好きな表現である。終楽章は独自のカットが何箇所か入るがとにかく休符を休まないのであれあれと言う間に次のフレーズに進んでしまう。好悪はあれど、この時代の5番の演奏としてメンゲルベルクが頂点とすれば、そのスタイルに似た専制君主的計算の前提にありながらも、即興的に壊れてしまう「人間臭さ」が、二流を感じさせつつも、何とも言えずいい。割と中間楽章も面白いが、長々しい両端楽章を飽きさせないのがいい。この時代の権威者の見識として、○。以前国内盤CDで復刻されていたと思う。Pristineで丁寧にリマスタリングされ安価でデータ配信もされている。
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チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

2009年08月07日 | チャイコフスキー
メンゲルベルク指揮パリ放送大管弦楽団(malibran)1944/1/20放送live・CD

メンゲルベルクの演奏様式は歌舞伎の型のようなものが決まっている。スコアそのものかどうかは知らないが、それをいかにオケが徹底できたかで評価が変わる。特に手兵との演奏や中欧での最盛期の録音が残る十八番であったチャイコにかんしては、新発掘と言われても難しいものがある。malibranが代理店を立てて本格的に発掘音源を売り込んできた背景は知らないが、今回のメンゲルベルク・シャンゼリゼ客演2組は一部既出であるもののフランクの交響曲を始めとしてマニアならびっくりするような「新発見」ものではある。しかし新発見は同時に状態の問題も孕むものである。偶然市場流出したアセテート原盤の劣化が激しく、骨董録音のように全般がノイジーであったりするならそうイコライズして聴けばいい話しなのだが、これは原盤の面ごとに状態が違いすぎる。オケ名も適当であるようだ。1楽章冒頭がけっこう重量感のある音でいいな、と思ったら第二主題で薄くてか細くてSPのような音質に物凄いノイズ・・・こういうのが3楽章の盛り上がりでもやってくる。断裂もあり、苦心して繋いだ様子が伺えるがとても勧められる状態ではない。演奏は冒頭にも書いたとおり難しい。メンゲルベルクの表現が徹底されていない感は拭えない。デルヴォーのように軽い響きは「らしくない」(それでもフランスオケにしては厳格な表現だが)バラケっぷりに裏打ちされ、オーボエなど深い音色にはっとさせられるも正直音質的にどうこう言える部分は少ない。司会者の長い説明に当時のフランスにおける一般的なチャイコフスキーの認知具合を知り、3楽章終わりアタッカ前で笑いながら拍手するおじさんを指揮棒の音で制するメンゲルベルクを愉しむ、そういったマニア向けの音源だろう。個人的には1楽章はなじめず、2楽章は印象なし、3楽章いまいち、4楽章は盛り上がった。メンゲルベルクを知らない人は楽しめるか。

gooブログはあいかわらずログアウト時間が短い。投稿ボタン押してのログイン表示、その後は投稿完了が普通だろ・・・全部消えてしまったので打ち直し、文章量半減しました。
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チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」~花のワルツ

2009年06月24日 | チャイコフスキー
○オーリアコンブ指揮フランス国立放送フィル管弦楽団(STEF)live・CD

放送音源か劇場ライヴ音源と思われるモノラル録音。トラックの別け方が乱雑だが、CDアルバム一枚の連続として聴くぶんにはほぼ支障ない。ちなみにSTEFなるレーベル?は何枚か組のフランスで制作された「ロマン派以後の音楽史」教育用CDらしい。組ものとは別に解説書のようなものもあったようだが未見。そもそも廉価盤として一斉に出て後殆ど流通しなかった。オーリアコンブは古典のイメージがあるが活動時期が短く一部マニア以外には余り知られていない。が、ライヴでは結構やっていたんだな、と思わせる演奏。最初からリズムがズレているのは恐らく舞踊を意識した意図的なもので、品を感じさせるがどことなく独特でもある。だから面白く清新に、この手垢塗れの曲を聴きとおせる。音は澄んでおり割と重量感もある。技術的にはけして物凄く高くはないとは思うが(ライヴだからね)安定感がありスピードも保たれ聴きやすい。結構いい演奏だと思います。フランスの演奏家にはロシアものが似合う。○。
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チャイコフスキー:交響曲第3番「ポーランド」

2009年05月16日 | チャイコフスキー
○A.ヤンソンス指揮モスクワ放送管弦楽団(MELODIYA)LP

小ムラヴィンスキーの趣のあるヤンソンス父の、若々しくも引き締まった派手な演奏ぶりが楽しめる。三番に名演すくなし、だがこれはその少数派で、本来的な散文性を感じさせず、楽章毎に散漫なメロディが、一つの音列の変奏のように聞こえてくるほど曲を解析しつくしたかんじ。隙間的演目をやる指揮者のイメージもあるが、これもモノラル末期という時期的なものもあるにせよお国録音の殆ど無いものだけに貴重でよい。MRSOはステレオアナログ録音期を含めるとかなりムラがあるオケだが、一部はち切れそうなバラけや突出があるものの、黄金期そのものの充実した個人技も発揮されていて、記録としての価値も大きい。駄々長さがない半面小粒に凝縮されてもいるが、ロシアの音にロシアの残響、しかし西欧的に洗練されたアルヴィット先生のやり方がここではしっくりくる。○。
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チャイコフスキー:交響曲第5番

2009年01月23日 | チャイコフスキー
カンテルリ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1953/1/31live

早く帰りたかったのだろうか。せっかちで、まったく粘らない。せいぜいが2楽章の頭くらいである。終楽章にいたってはオケの機能フル回転、その性能を見せ付けて終わるようなかんじ。浅い曲ではあるが余りに浅浅しい表現で、聴衆も何か指揮者の能力を検査し終わったというような素っ気無い拍手。無印。
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チャイコフスキー:交響曲第4番

2008年11月07日 | チャイコフスキー
○マルケヴィッチ指揮ベルリン・フィル(DA:CD-R)1974live

時期にしては不明瞭なモノラル録音。演奏は意外と濃くマルケの洗練されたイメージとは違う音がベルリン・フィルからギリギリと引き出されている。音質的にベルリン・フィルである必要性は余り感じないが技術的にも音量的にもこのオケならではといったところはあり、マルケファンなら最後の疾駆まで楽しめるだろう。私はもっとロシア臭が抜けているのを期待していたので、意外とスヴェトラふう、って感じを受けてしまった。○。
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チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

2008年11月06日 | チャイコフスキー
クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1945/2/10放送

非常に悪い板起こしで音飛びがひどい。演奏はいつになくぐずぐずなところがあり、てんめんたる部分にはクーセヴィツキーらしい心象が読み取れるものの、鑑賞に難のある盤と言わざるをえない。
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チャイコフスキー:交響曲第5番

2008年10月27日 | チャイコフスキー
クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1943/10/9live

録音がノイズまみれで極端に聞きにくい。不安定。演奏は荒れ狂う。計算された波乱ではあろうが、急進部と緩徐部の表現が極端に違う。テンポ変化もデュナーミク変化も全然違う。ルバートしまくる緩徐部はボストンの弦楽器の底深い音が唸る凄まじい表現。ただ他の録音とは大した解釈の違いはなく、名人芸的なもの。チャイコはこの亡命指揮者にとって新作発表とは違う個人的思い入れが強い作曲家であることはそのスタイルに伺える。力強さは並みではない。録音マイナスで無印。
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チャイコフスキー:マンフレッド交響曲

2008年09月26日 | チャイコフスキー
○トスカニーニ指揮NBC交響楽団(DA:CD-R)1946/10/11live

比較的録音が聞きやすく、まとまりのいいアンサンブルと音響バランスの完璧なチャイコフスキーを楽しめる。チャイコでも(あくまで作風は折衷的だが)いわゆるロシア国民楽派寄りの「ぶよぶよした長大な標題交響曲」の形をとっているが、カット版によっており1楽章以外はさほど冗長感は無い。トスカニーニの余りよくない録音特有の「色の無さ」が音楽をモノトーンで面白くない即物主義的なものに聞こえさせてしまうことも多いが、この録音だとそれほどモノトーン感が無い。本来はトスカニーニは色彩的なバランスのいい音を作っている筈というからこれは真価を少しでも垣間見させる意味で貴重とも思える。ロシア音楽を西欧風に聞きたい、但しチャイコ以外、という性向の人には向く曲、演奏かも。○。
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チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」~リハーサル風景

2008年06月17日 | チャイコフスキー

◎ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)?live


これはロックコンサートである。ミュンシュはボーカルでありオケはバンドだ。全楽章から比較的長時間収録されているが、まさにライヴ!といった感じ。私は恐らくミュンシュの悲愴でこれが一番好きである。荒削りであるべきなのだ。チャイコは彫刻し尽した完成品を提示するような楽曲は書いていない。ミュンシュは本番ではわりとぎゅっとまとまった演奏をやる・・・力強く説得力を主張するもどこかマンネリズムのにおいがする。だがここではミュンシュは感情を抑えない。3楽章の怒涛が一番の聞き物で、ミュンシュは感情の高ぶりのままアッチェランドして平気で終わらせる。これが凄い。実演ではここまでやらない。あけすけに下品な声をあげ調子外れの歌をうたい(一緒に収録されているラヴェルやダンディでは音を間違ったりしている)、怒号を飛ばしたかと思えば落涙の果てに落ちるような雰囲気を醸す。だが1、4楽章に聴かれるように女々しいのは嫌いなのだ。しゃがれた低音の声を張って訛りのある言葉を、でもよく通る言葉をはなつ。実にはっきりしている。実に人間的で、ああ、バンスタは・・・この土壌の上に。ミトプーとは音楽的には似ているが性格的には恐らく違う、バンスタはミュンシュのほうに近い。


これは本当に、悲愴は確かにミュンシュの得意とする曲目であったが、1,3楽章は今生まれ出ずる音楽として素晴らしいし、4楽章は通常のリハーサルがじっくり聞け解釈をよく理解できる。感情に任せた終盤のテンポ設定、指示ぶりが凄い。まるで悲愴という名の芝居を聴いているようだ。心臓が止まりにかかる末尾ではヘロヘロな声を出してみせ、ミスティッシモと囁く。かといったら大声をあげ、nine after ”Naporeon”、指揮台を何度も大きく踏み鳴らしながら、デモーニッシュな声を最後まで振り絞る・・・千両役者はもちろんミュンシュである。声だけだとピーター・ガブリエルに似てるが振る舞いも似ている。


2楽章は僅かしかないがミュンシュにはワルツはどうでもいい。それにしても指示のはっきりした強烈な指揮者だ。だが怒りではない、団員に笑わせるだけの、逆説的にそれだけの威厳がある。ヤマカズ先生・・・◎にさせてほしい。録音は悪いが低音はよく出ている。ボストンの強烈な音!50年代の放送録音と思われる。チェレプニンラヴェルダンディとともに収録。

(参考)ミュンシュの悲愴
チャイコフスキー:交響曲第6番
ボストン交響楽団 ミュンシュ(シャルル)
BMG JAPAN

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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ

2008年06月05日 | チャイコフスキー

○デュアッテ指揮ルクセンブルク放送交響楽団(club france/ACCORD)1973・CD


今や高価なクラブ・フランセの録音をまとめて廉価で出しまくったACCORD復刻のCDでアルベルト(アルベール)のシンフォニー5番におまけで入っているもの。とにかくおちょぼ口の品のいいチャイコでパンチがない。繊細で美的ではあるがチャイコ本来の土俗的な民謡調が、意図どおりではあるのだが古典風のサロン音楽に昇華されてしまっていて、盛り上がりも想定内におさまり、なんだかさらっと聞きとおせ過ぎて物足りない。技術的にはさすがまとまりよくスピード感もありいけているのだが、それだけのものか。フランス系のチャイコというものの限界を知らしめるもの。○にはしておく。


アルベルトの5番が収録されているので安いし如何?入門版としては悪くない。
Symphonie 5-Serenades Pour Cordes
Tchaikovsky
Accord

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チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番

2008年05月16日 | チャイコフスキー

○シュナイダーハン四重奏団(新星堂EMI)1940・CD


復刻状態は悪く、雑音を入れすぎている。この時代にしては息を呑むほど巧い。1楽章、ファーストの装飾音符の異常に短い引っ掛け方とか、決して全体の均整を崩さず、技術のほつれなく基本的にインテンポで整えられた緊密なアンサンブルはこのぐずぐずの旋律音楽を一糸入る隙もない構築物に再構成している。直線的でまじめすぎるかもしれないが、ボウイングがニュアンスに富み、音色は楽天的でドイツふうの渋さは感じない。2楽章アンダンテ・カンタービレも音色の赤艶が暖かな暖炉のあかりを思わせる。4本の音色もよく調和しているが、やはりファーストの旋律表現、懐かしいポルタメントに尽きるだろう。古い録音を聴く醍醐味だし、SP音質向きの今の世にはなき情緒を醸す音楽だ。強奏部分が若干小さく痩せ気味だが録音のせいか。3楽章の勇ましさは民族性を失わず、とにかくファーストの表現力が群を抜いている。テンポは一直線だがフィンガリングやボウイングがハメを外し気味でかっこいい。バックにまわる三本もバランスよく音響にふくよかな深みを加えている。有名な4楽章はわりとテンポに変化をつけている。派手なアゴーギグを最初から付けていく様な野暮はしない。ただ、主題が派手にオクターブ上がって再現するところでも(チャイコらしいところだ)音符は短く切り詰め気味で音量が出ず旋律が痩せる感もある(音量変化が捉えづらいSPだと尚更フォルテが足りない感じもするし、そもそもファースト一本でつづっていくのでわりとやりづらい構造でもある)。そつなく展開部のフーガやらなんやらいつものチャイコ節をこなし再現部までくるとこの形式に拘りすぎて長ったらしくなってしまっている曲に飽きがくるのが、この演奏においてすら否めない。スピードと超絶アンサンブルで煽っていくしかないと思うのだが、そのあとごちゃごちゃ第二主題再現や変奏をへてコーダに至る部分では、やや力感不足もあって、均整感という意味では素晴らしいが、爆発的なチャイコの魅力が存分に出たとは言えないか。○。



(参考)ボロディン2番との黄金カップリングの古典的名盤。
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番
プラハ四重奏団
コロムビアミュージックエンタテインメント

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チャイコフスキー:マンフレッド交響曲

2008年04月09日 | チャイコフスキー
○ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(MELODIYA/ARLECCHINO)1948・CD

チャイコフスキーには珍しい叙事詩的標題交響曲で、後期作品としてはいささか異色のアカデミックなマンネリズムと冗長さを持っている。だからこの録音も含めかつてはカット版が主流であった。実演だと両端楽章で寝てしまうこと請け合い(中間楽章はグラズノフのバレエピースのようだ)、それでも原典にこだわるなら筋書きとスコアを首っ引きで聴くべし。ガウクはバス音域の強いブラスを中心とした組み立てで英雄的な1楽章を仕立てている。ロシア楽団の音色の特質を活かしながらもわりとフレージング以外に強い作為はなく、中間楽章もすんなりスマートに通っている感がある。ガウク特有の繊細な音響操作がフランス的。4楽章は短くまとまりすぎてドラマが盛り上がらないきらいもあるが、録音が平板なせいかもしれない。それでも「怒りの日」の断片が運命論的な結末をもたらすまで、アッパー系の演奏で個性を主張している。案外トスカニーニあたりと近いかなあ。○。
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