湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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チャイコフスキー:交響曲第5番

2009年08月15日 | チャイコフスキー
○レオ・ブレッヒ指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団(PACD/Electrola他)1930/10

思いっきりアマチュアリスティックな、オールドスタイルの思うが侭。スタジオ録音なのにオケ崩壊なんて今なら考えられないところだが大曲録音自体珍しいこの頃にあっては許された、しかも決してオケが下手なのではなく指揮が即興的なのである。オケの内圧は高いから揃った部分は素晴らしい切れ味がある。そこにうまく耳を合わせられればこれほど面白いものはない、何か昔このような演奏をとても喜んで聴いていた気がして懐かしかった。きほんアレグロで、休符は須らく半分程度縮められ(本来初歩的な「怒られポイント」である)つんのめりながら爆走、緩徐主題ではデロデロ歌いこむがオケの音色からそれほどロマンティックな表現に聴こえない。SP録音ならではの異様なスピード、前時代的といってもリヒャルトやトスカニーニの香りを確実に嗅いだような即物的な表現も下手な耽溺を呼ばないのだ。ドライですらある、私はとても好きな表現である。終楽章は独自のカットが何箇所か入るがとにかく休符を休まないのであれあれと言う間に次のフレーズに進んでしまう。好悪はあれど、この時代の5番の演奏としてメンゲルベルクが頂点とすれば、そのスタイルに似た専制君主的計算の前提にありながらも、即興的に壊れてしまう「人間臭さ」が、二流を感じさせつつも、何とも言えずいい。割と中間楽章も面白いが、長々しい両端楽章を飽きさせないのがいい。この時代の権威者の見識として、○。以前国内盤CDで復刻されていたと思う。Pristineで丁寧にリマスタリングされ安価でデータ配信もされている。

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