いい写真がとれたので、ちょこっと書き直しました。
つららのことを東北弁では「たろひ」「たろし」といいます♪
方言の例として挙げられる言葉は、用例を引かなくてすむ名詞が使われる場合が多く、方言の書かれた暖簾とか湯のみなんかがお土産として売られたりしています。この「たろひ」もそれで有名になったのかと思います。イメージしやすいですよね。
それと、滝が凍り付いてできる「たろし」の太さで翌年の作柄を占ったりする行事をニュースで時々放送するので、広く知られることになったのかもしれません。
ところで、「たろし」「たろひ」は、漢字で書くと「垂氷」ですね。古語です。
「石(いは)ばしる 垂水の上の さ蕨の 萌え出るづる 春になりにけるかも」
なんて、中学校のころ習いませんでしたか?
「垂水」は、たれる水です。たれる氷は、「たるひ」ですよね。こっちは、わかったんですが、「つらら」ってなんで「つらら」って言うんですかね?形からでしょうか?
物の本によると「つらつら」の転といい、「古来は氷など表面がつるつるし光沢のあるものを呼んでいたとされる」なんて出ています。つまり氷の総称が「つらら」だったんですね。そのうちの軒から垂れ下がる棒状の氷が垂氷です。
源氏物語に、「朝日さす軒の垂氷は解けながらなどかつららの結ぼほるらん」とあって、垂氷と「つらら」が区分されて使われています。
朝の日差しで軒の氷柱はもうすっかり解けてしまったのに、どうしてあなたの心は氷のように打ち解けてくださらないのでしょう 『源氏物語』末摘花
私としては、「つらら」より「たろひ」の方がなんか好きですね。有名方言ですから、みんなで「たろひ」を使えば、標準語になるかもしれませんね^^
(2016年4月の投稿ですが、youtubeで該当の動画を発見したので、リンクして編集。再投稿しました。)
この前、テレビのバラエティ番組を見ていたら、確か秋田の街頭でインタビューをしていました。
「寝なければならないのに寝られません」を秋田弁でなんというのか。。。という内容でした。
回答は、「ねねばねーのにねれねねー」でした。
この表現は、岩手でも使えますが、奥州市では一般に、
「ねねばわがねども、はっぱねられねで~」 を使います。
夜が更けてきて、そろそろ寝ないといけないな~って時には、
「そろそろねねねな」って感じです。
それ以外では、お酒を飲んで、超眠たくなってくると出てくる表現としては、
このへんでは、「いずい」「いんず」「えずい」と表現します。
意味は、「落ち着かない」「気持ちが悪い」「違和感がある」ですが、イマイチ的確ではありません。この意味ではしっくりしません。どこかイズイです(^^;
語源は、古語の「悍(おぞ)し」が転じたもののようで、現代語の「悍ましい」とは同じ語源ですね。全国的に「いずい」は、使われるようですが、意味が異なるようです。体の違和感に使うのは東北だけのようです。
【用例】
①まなぐさゴミへったみでーで、なんだがいずい
Managusa gomihettamideede nanndagaizui
(目にゴミが入ったみたいで、なんかおかしい)
②ユニクロのしゃっつ買ったれば、せながのタグがいかいかってなんだがいんず。
Yunikurono syattukattareba senaganotagugaikaikatte nanndagainnzu
ユニクロのシャツを買ったら、背中のタグがチカチカして気持ち悪い。
なんだが げねやずてんちょのほうさいっと すんげいんずおな
「おら」は、普通に使う一人称です。岩手に限らず広く東北地方等で使われます。宮沢賢治の永訣の朝でも、Ora Orade Shitori egumo(おらおらでひとりいぐも)とでてきます。
普通は、男性が使いますが、岩手では女性も使います。(若い人はもちろん使いませんが…)
語源は、己等(おいら)の省略形でしょう。
ちなみにおいらは、俺等(おれら)の音が変化したもののようです。
おらは、岩手では普通に使う名詞で、
自分の家は、「おらえ」(おら+いえの略)
自分のいる地域、「おらほ」(おら+方向の略)
自分たち「おらだ」(おら+達の略)
等として普通に使われます。
【用例】
おらえでは、東北弁なんてかだんねで、標準語かだってらおや。
Oraedeha touhogubennnanntekadannnede hyoujyunngokadatteraoya
(私の家では、東北弁なんて話さないで、標準語を話してます。)
おらほでは、野菜なんてタダみでなもんだおや。
Orahodeha yasainannte tadamidenamonndaoya
(私の地域では、野菜なんてタダみたいなものです。)
おら以外の一人称は、「われ」も使います。これは単純に我ですね。でも、用法が若干違います。
【用例】
あいず怪我したってかだってんだけんと、われでされ転んだんだっけぞ。
Aizu kegasitatte kadatterakennto waredesaregoronndanndakkezo
(あの人怪我をしたって言ってますが、自分で転んだんですよ。)
おらえのずんっつぁ だれさもごっつぉかせねで わればりくのだっけ。
Oraenozunntsa daresamogottsokasenede warebarikunodakke
(うちのおじいさんは、ご馳走を誰にも食べさせないで、自分だけたべるんです。)
ひまになってぐだぐだってるどは、おらなんもかんもやんたぐなってくるおな。
地名については、当然訛ります。単純に濁音が付く場合と音がくっついてしまう場合があります。元々は、アイヌ語の音や意味に漢字を充てたという説もあります。奥州市辺りでの呼び名は、次の通りです。市のみ
水沢は、みんつぁ
一関は、いぢのせぎ
陸全高田は、りくぜんだがだ
宮古は、みやご
花巻は、はなまぎ
北上は、きたがみ
盛岡は、もりょーが
八幡平は、はぢまんたい
他の市はそのまま読みます。
字レベルの小さい地名になるとものすごく訛ります。
市内でも、学間沢(がくまざ・がぐまんざ)、大内沢(おっつぁ)、兄和田(あにゃだ)等々切りがありません。
ところで、荒井由実さんの1979年の曲「緑の町に舞い降りて」
の中のフレーズで、「モリオカというその響きがロシア語みたいだった」とあるのですが、「モリオカがロシア語の響き?」と長年不思議だったのですが、先日友人が教えてくれました。それは、歌では「モリオカ」だけど訛って「モリョーガ」と発音するとロシア語みたいだからなんだど。都市伝説ですなー(^^;
今日は、みんな大好きな「ぼんこ」「しっこ」のお話です( ̄▽ ̄;)