方言ネタを長いこと書いていないことに気が付いたので、なんか書いてみようと思います。
てなわけで、この頃使用されることが少なくなっている「きゃっちゃ」を取り上げます。この方言は、東北地方の比較的広い地域で使われており、茨城あたりでも使われることがあるようです。「きゃっちょ」「けっちゃ」等と発音する地域もあるようです。
意味は、「逆さま」「反対」「裏返し」という意味で、
用例としては、
「ありゃ、おらえのずんっつぁシャッツどごきゃっちゃに着てらじゃ」
(あらまぁ、うちのお爺さんシャツを裏返しにきてますねー)
「その瓶っこきゃっちゃに置ぐどむるぞ」
(その瓶は、逆さまに置くと液が漏れますよ)
というような感じです。語源は、語幹「返す」の促音便化に語尾の「ちゃ」が付いたものと思います。「返す」は東北では「きゃす」と発音し、語尾には「ちゃ、ちょ」や「きゃ」が付くことがあります。「したっきゃ」(そうしたら)とか「かだるっちゃ」(いいますよ)等々
「きゃす+ちゃ=きゃっちゃ」かな。
裏返しを強調するときには、「なんたら裏っきゃして着てらもなー」(あれれ、裏返しに着てますね)といいます。
語幹+促音便+語尾変化の例としては、
「とっきゃす」(取り返す)
「なんたらしゃでのなとっきゃしたらわんねじゃ」
(弟のものを取ったらだめだよ)
「ひっきゃす」(ひっくり返す)
「酒っこ飲んで運転したら車ひっけして、竈もきゃしたどや」
(お酒を飲んで運転をして車をひっくり返したら、その後破産したそうです)
等々
↓の写真は、盛岡にある村田民芸工房さんの「けっちゃ面」。村田さんのオリジナルなんですが、昔からあるものだと勘違いされて教科書にも載ったことがあります。なんだかかわいいですね。