◆トルコの承認
トルコがスウェーデンとフィンランドのNATO加盟を承認した。
そのトルコ、スウェーデンとフィンランドにある取引を条件にして承認した。
その条件とは、スウェーデンとフィンランドによるトルコ国内の反政府勢力に対する支援とトルコに対する武器輸出を撤廃させることだった。
2022年06月29日07時32分
『北欧2国、加盟承認へ トルコが反対撤回、テロ対策と引き換え―NATO』
「トルコは両国が「テロ組織を支援している」などとして加盟手続きを阻止していたが、反対姿勢を撤回した。」
そこから水面下の交渉が進み、6月28日、スペインのマドリードでトルコのエルドアン大統領、フィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相が覚書を交わした。
その覚書を交わした後に北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が行われ、トルコの承認が発表された。
覚書の概要は以下に。
「覚書では、北欧2カ国が支援しているとトルコが非難していた反政府武装組織クルド労働者党(PKK)について「非合法のテロ組織」だと確認。北欧2カ国はPKKの活動を阻止し、テロ対策で必要な国内法整備を進めることも約束した。さらにトルコに対する武器禁輸措置の解除にも応じた。」
これは、スウェーデンとフィンランドがトルコの要求に屈したことを意味する。
今回のトルコの承認は、トルコにとっては、願ったりかなったりだった。
この承認が示したものは、世界的な経済・政治の裏側であり、ロシアのウクライナ侵攻の本当の理由を含んでいるものである。
つまり、スウェーデンとフィンランドがトルコの要求に屈したことは、ロシアのウクライナ侵攻の結果、トルコの利益になったことでもある。
もし、ウクライナ侵攻がなければ、トルコのスウェーデンとフィンランドに対する一方的な要求でしかなかったことでもある。
◆中近東・東ヨーロッパの火薬庫
戦争は、水面下の経済問題が発端となっている。
昔の火薬庫、バルカン半島も事情を研究すれば、経済問題に突き当たるはずだと考えている。ちなみに、第二次世界大戦もそうである。
つまり、ロシアがウクライナに侵攻した理由は、ウクライナのNATO加盟の動きに脅威を感じたためではなく、もっと根深いところにある。
ロシアがウクライナに侵攻した理由は、報道では取り上げられない銭勘定に絡んだものだ。
その銭勘定がロシアのガスパイプの一つ、ノルドストリーム2の稼働停止だ。
ノルドストリーム2の稼働停止によってロシアは、商売を邪魔され、収入を絶たれたものになった。
その結果、ノルドストリーム2の稼働停止によってそこを通るはずのガス量が減った分、アメリカなどのLNGがヨーロッパ市場に入りやすくなった。
ノルドストリーム2のガスが減った分、アメリカやイギリスなどの石油・ガスなどの国際市場が競争原理なしで、つまり、価格競争なしで、ロシアのガスよりも高額の値段でヨーロッパ市場に売り込めるようになったことである。
ロシアにとっては、商売を邪魔されたことになったのである。
その落とし前をウクライナから分捕れるものを分捕るためにウクライナに侵攻した。
つまりだ、あのプーチン、言葉では集団的自衛権の発動とか、ロシア語話者の保護とか言っている言葉は、「薄汚い守銭奴」を覆い隠すためのキャッチフレーズに過ぎないわけである。
「薄汚い守銭奴」プーチンは、問題を武力で解決する思想がある。例えば帝政ロシアの皇帝を尊敬する等だ。
しかし、今回のウクライナ侵略は、映画のような異星人による侵略とは異なり、守銭奴が相手に落とし前をとるための戦争でしかない。
その戦争の目的は、ウクライナから分捕れるものを分捕ることにある。
したがって、ロシアのウクライナ戦争は、長期戦しかない。なぜなら、ウクライナは徹底抗戦できるだけの軍事力があるからだ。
長期戦しかない戦争でゼレンスキーは、引き際を定めない限り、つまり、ロシアと妥協しない限り、戦争は終わらないことになる。
それが意味するところは、アメリカが兵器をウクライナにプレゼントしていることは、ウクライナの苦痛を和らげることはあり得ないことになる。逆にウクライナの苦痛の年数を刻むだけだ。
もし、アメリカの兵器供与がロシア軍を撃退するならば、ただそれだけで言えば、アメリカの支援という言葉の意味になるが、現状では、ロシア軍が後退するとしても、戦争自体が終わらないならば、ウクライナの苦痛の期間が続くだけにしかならない。
ウクライナは、戦争には戦争で解決することを事実示しているが、その意味するところは、長期戦しかないことになる。
◆ロシアのウクライナに対する「落とし前」で分捕ったもの
ロシアが落とし前で分捕ったものには、占領地は流動的だが、マウリポリの製鉄所、ザポリージャ原発、ウクライナの港がある。
ほかにも鉄くずとか、小麦などの穀物がある。
小麦に関して言えば、国際的な食糧危機の問題にもつながっている。
小麦に関して言えば、今回の記事の主役トルコがロシアと問題解決のための協議をして、どうやら、ロシアは占領地のウクライナの港からトルコに向けて小麦を運搬しているようだ。
2022年6月22日 22:08
『ウクライナ穀物輸出めぐる協議で進展 トルコ国防省』
「トルコ国防省は22日、・・・・トルコの貨物船がウクライナ南部の港湾都市マリウポリ(Mariupol)を出港したと明らかにした。」
中身は?
「貨物船に小麦が積まれているのかどうかには触れなかった。」
お口が堅いトルコ政府に万歳!そのトルコの要求に屈したスウェーデンとフィンランドにも乾杯!
NATOの奴、そんなものがロシアに対する圧力になるとでも言いたいのか?
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以前の報道では、ロシアがウクライナから分捕った小麦をタンカーであちこち運ぼうとしても寄港を断られていた。
戦争で手に入れた戦利品でひと儲けと言うところが、プーチンの守銭奴らしいやり方だろう。
戦争は銭勘定が必ず絡んでいるが、銭勘定が戦争の直接的な動機であることをマスコミは絶対に報道しないのが習わしだ。報道は、既得権益に絡む場合「口出し無用」が求められる。
国家レベルでも、ノルドストリーム2による金銭損失が侵略の原因であるかのような言い方も絶対にしないところは、ロシアもアメリカもウクライナも、みんな同じなのだ。
薄汚い政治屋の性分を言ったアニメのセリフには次のような言い方もあった。
「みんな、いい狸だぜ・・・・」(『太陽の牙 ダグラム』のロッキー)
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