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自然増容認 「骨太」の時代終わった

2009年06月25日 | スクラップ




 「経済財政改革の基本方針2009」(「骨太の方針09」)が23日決まった。最終段階まで持ち越された社会保障費の自然増の2200億円圧縮は、自民党のみならず野党内にも見直しを求める要求が強いことに配慮し、政府は撤回した。

 社会保障費の自然増圧縮は「骨太の方針06」に盛り込まれた歳出・歳入一体改革において、象徴的な歳出削減策である。それが崩れたことは、経済財政改革が新段階に入ったことを意味している。「骨太」の時代は終わったのである。ただ、放置しておけば、財政状況はさらに悪化する。国民の先行き不安も高まる。

 そこで、政府は達成可能な新たな経済社会改革や財政健全化の展望を提示しなければならない。予算編成過程の抜本的な見直しにも着手しなければならない。

 実は、こうしたことのヒントは「骨太09」にもみられる。「骨太の方針」が経済政策全体の帰趨(きすう)を決するまでになったのは、小泉政権が構造改革のマニフェストに祭り上げたことによる。いずれも「官から民へ」「大きな政府から小さな政府へ」といった新自由主義、市場原理主義に基づいた改革である。

 「骨太09」は、これを乗り越えて、「安心社会」の実現に向け無駄なく「機能する政府」に変革していく必要性を打ち出している。また、経済のみならず社会も危機に陥っているとの認識を明確にしている。来週決定する10年度予算の概算要求基準(シーリング)についても、昨年度とは異なる形で設定することを明記している。

 そこで、問題は機能する政府の正体は何なのかということだ。社会保障費の自然増を予算に取り込んでいくことは、安心にはプラスとなるだろうが、国債によって賄われるのでは、持続的な財政運営とはいえない。昨年12月末に決定された中期プログラムでは安定的社会保障財源確保に向けた税制抜本改革の道筋が提示されたが、「骨太09」はそのレベルにとどまっている。

 財政健全化の主たる目安としては基礎的財政収支に代わり、国・地方の債務残高の対国内総生産比を位置付けた。これを10年代半ばにかけ安定化させ、20年代初めに安定的に引き下げることはいい。問題は、歳入、歳出両面からの達成に向け方策が示されていないことだ。

 歳出改革も一律削減を基本とするシーリングを前提にする限り、限界がある。特別枠を設定するなど小手先の操作では、歳入構造は変わらない。財政健全化を進めると同時に、国民の安心を実現していくには、シーリングの廃止など「骨太」から大きく飛び出さなければならない。




毎日新聞 2009年6月25日 0時03分

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