神奈川県の藤沢市民病院(同市藤沢2)は20日、農薬を誤飲して入院中の男性(77)が低血糖になったことに気づくのが遅れる医療事故があったと発表した。男性は意識不明の状態。城戸泰洋院長は測定器の不具合や検査結果の報告システムの不備など「複合要因による事故」と説明している。
同病院によると、男性は5月23日に農薬を薄めた液体を誤飲し、24日入院した。25日夜に意識不明となり、有機リン中毒の解毒剤と栄養剤の点滴を受け始めた。毎朝の血液の抜き取り検査で27日から低血糖になっていたことが28日になって判明した。検査室からの報告に担当者が気づかなかった。ただ、指の先に針を刺す血糖値測定器「アントセンス2」では低血糖が確認されなかった。
アントセンス2は血液中の化学反応を測定し血糖値を表示する。解毒剤(プラリドキシムヨウ化メチル)が別の化学反応を引き起こし、高い値を示したとみられる。製造元の堀場製作所(京都市)は今月4日付で注意を呼びかける文書を医療機関に出した。【山田研】
毎日新聞 2007年7月20日 22時26分
医療事故:独協医大越谷病院で心臓手術ミス 教授ら送検へ
埼玉県越谷市の独協医大越谷病院で02年、同市の会社役員の男性(当時67歳)が、心臓手術中に大量出血し死亡した医療事故で、県警捜査1課と越谷署は、執刀した同大教授(59)と当時の主治医(41)を、業務上過失致死容疑で20日にも、さいたま地検に書類送検する方針を固めた。
関係者によると、男性は02年10月18日、狭心症で心臓の冠動脈バイパスの手術中、教授と主治医が誤って左心房の一部に長さ数センチの傷を付けた。すぐ傷口を縫合したが血圧が低下し、人工心肺装置で血液を循環させたところ大動脈が裂ける乖離(かいり)を起こし、男性は約11時間後に大量出血のため死亡した。
県警は、教授ら2人が心臓を傷つけたほか、人工心肺装置の送血管を通した際に血管の内壁を傷つけるなどのミスがあり、死亡につながったと判断したとみられる。主治医は心臓の傷を遺族に伝えず「人工心肺で送血したら血管が乖離した」と説明。約4カ月後に病院関係者の内部告発で、心臓に傷をつけていたことが発覚した。
遺族は06年4月、病院を運営する独協学園(同県草加市)を相手に約8000万円の損害賠償などを求めて提訴している。【村上尊一】
毎日新聞 2007年7月20日 3時00分
医療ミス:「部位違い」手術、2年間で14件 全国主要病院、大半「マーキング」怠る
手術時に患部の左右などを間違えて切開し、正常な部位を傷つけてしまうミスが、全国の主な病院で04年10月~06年9月の2年間に14件起きていたことが、日本医療機能評価機構の調査で分かった。大半のケースでは、手術部位にあらかじめ印を付ける「マーキング」を怠っていた。06年に入ってミスが増えていることから、機構は「マーキングのルールを決めて徹底を」と医療機関への注意喚起に乗り出した。
機構は04年10月から、医療機関名や当事者名を公表しないことを前提に、医療事故の収集・分析をしている。それによると、部位を間違えたケースは19件あり、14件が手術時で、06年に入ってからの9カ月間で9件と続発している。
重篤な障害が残った例はなかったが、左ひざ用の人工関節を右ひざにつけて再手術をしたり、白内障手術で眼内レンズを左右入れ間違えて患者が遠視になった例などがあった。機構が原因を分析した左右取り違えの9件では、6件でマーキングをしておらず、2件は印の位置を間違えるなどの初歩的な誤りだった。
また、注射や投薬などで対象の患者を取り違えた例も20件あり、14件は06年に集中していた。事故には至らなかったものの、患者や手術部位の間違いに気付いた「ヒヤリ・ハット」事例は、05年4月~06年3月で1090件の報告があった。
医療訴訟に詳しい弁護士で作る「医療事故情報センター」の柴田義朗理事長は「99年に大問題になった横浜市大病院患者取り違え事故の教訓が生かされていない。最近の医師不足問題で、病院の安全に対する関心が薄らぎつつある不安を感じる」と指摘している。【清水健二】
毎日新聞 2007年7月19日 東京朝刊
医療事故:1296件中死亡152件 患者移動中が最多--06年
日本医療機能評価機構が18日公表した06年の医療事故情報年報によると、大学病院など報告義務がある273カ所の医療機関から寄せられた医療行為に起因する事故は、1296件(前年比182件増)で、死亡事例は152件(同9件増)。発生場面では、患者移動中(102件)▽開腹手術(42件)▽内視鏡治療(26件)▽静脈注射(19件)などが多かった。
また「ヒヤリ・ハット」の事例は、1276カ所の医療機関から19万5609件の報告があり、うち患者の生命に影響する間違いに事前に気付いたケースが3155件あった。【清水健二】
毎日新聞 2007年7月19日 東京朝刊
医師不足対策:札幌医大が地域枠 道内勤務条件に奨学金
札幌医大は来春の入試から、深刻化する地方の医師不足対策として、道内の医療機関で9年間勤務することを条件に、在学6年間に生活費など総額1400万円余りの奨学金を支給する地域枠(募集定員5人)を導入する。
同大によると、一般入試の後期日程(募集定員20人)を廃止して、5人を地域枠とし、残る15人を前期日程(同75人)に変更する。地域枠の出願資格は「道内の高校を卒業する現役か1浪」「校長が推薦する者」。大学入試センター試験の受験(5教科7科目)も必要となる。卒業後、4年間の研修と5年間の実習の計9年間、道内の医療機関に勤務すれば、奨学金の返済を免除する。奨学金は入学金(28万2000円)のほか、年間授業料(53万5800円)と生活費(月額15万円)で、道が今秋までに最終決定する。
医師不足への対応としては、旭川医大も来春入試から地域枠(定員10人)を導入、奨学金支給について検討している。【千々部一好】
毎日新聞 2007年7月20日 0時58分
同病院によると、男性は5月23日に農薬を薄めた液体を誤飲し、24日入院した。25日夜に意識不明となり、有機リン中毒の解毒剤と栄養剤の点滴を受け始めた。毎朝の血液の抜き取り検査で27日から低血糖になっていたことが28日になって判明した。検査室からの報告に担当者が気づかなかった。ただ、指の先に針を刺す血糖値測定器「アントセンス2」では低血糖が確認されなかった。
アントセンス2は血液中の化学反応を測定し血糖値を表示する。解毒剤(プラリドキシムヨウ化メチル)が別の化学反応を引き起こし、高い値を示したとみられる。製造元の堀場製作所(京都市)は今月4日付で注意を呼びかける文書を医療機関に出した。【山田研】
毎日新聞 2007年7月20日 22時26分
医療事故:独協医大越谷病院で心臓手術ミス 教授ら送検へ
埼玉県越谷市の独協医大越谷病院で02年、同市の会社役員の男性(当時67歳)が、心臓手術中に大量出血し死亡した医療事故で、県警捜査1課と越谷署は、執刀した同大教授(59)と当時の主治医(41)を、業務上過失致死容疑で20日にも、さいたま地検に書類送検する方針を固めた。
関係者によると、男性は02年10月18日、狭心症で心臓の冠動脈バイパスの手術中、教授と主治医が誤って左心房の一部に長さ数センチの傷を付けた。すぐ傷口を縫合したが血圧が低下し、人工心肺装置で血液を循環させたところ大動脈が裂ける乖離(かいり)を起こし、男性は約11時間後に大量出血のため死亡した。
県警は、教授ら2人が心臓を傷つけたほか、人工心肺装置の送血管を通した際に血管の内壁を傷つけるなどのミスがあり、死亡につながったと判断したとみられる。主治医は心臓の傷を遺族に伝えず「人工心肺で送血したら血管が乖離した」と説明。約4カ月後に病院関係者の内部告発で、心臓に傷をつけていたことが発覚した。
遺族は06年4月、病院を運営する独協学園(同県草加市)を相手に約8000万円の損害賠償などを求めて提訴している。【村上尊一】
毎日新聞 2007年7月20日 3時00分
医療ミス:「部位違い」手術、2年間で14件 全国主要病院、大半「マーキング」怠る
手術時に患部の左右などを間違えて切開し、正常な部位を傷つけてしまうミスが、全国の主な病院で04年10月~06年9月の2年間に14件起きていたことが、日本医療機能評価機構の調査で分かった。大半のケースでは、手術部位にあらかじめ印を付ける「マーキング」を怠っていた。06年に入ってミスが増えていることから、機構は「マーキングのルールを決めて徹底を」と医療機関への注意喚起に乗り出した。
機構は04年10月から、医療機関名や当事者名を公表しないことを前提に、医療事故の収集・分析をしている。それによると、部位を間違えたケースは19件あり、14件が手術時で、06年に入ってからの9カ月間で9件と続発している。
重篤な障害が残った例はなかったが、左ひざ用の人工関節を右ひざにつけて再手術をしたり、白内障手術で眼内レンズを左右入れ間違えて患者が遠視になった例などがあった。機構が原因を分析した左右取り違えの9件では、6件でマーキングをしておらず、2件は印の位置を間違えるなどの初歩的な誤りだった。
また、注射や投薬などで対象の患者を取り違えた例も20件あり、14件は06年に集中していた。事故には至らなかったものの、患者や手術部位の間違いに気付いた「ヒヤリ・ハット」事例は、05年4月~06年3月で1090件の報告があった。
医療訴訟に詳しい弁護士で作る「医療事故情報センター」の柴田義朗理事長は「99年に大問題になった横浜市大病院患者取り違え事故の教訓が生かされていない。最近の医師不足問題で、病院の安全に対する関心が薄らぎつつある不安を感じる」と指摘している。【清水健二】
毎日新聞 2007年7月19日 東京朝刊
医療事故:1296件中死亡152件 患者移動中が最多--06年
日本医療機能評価機構が18日公表した06年の医療事故情報年報によると、大学病院など報告義務がある273カ所の医療機関から寄せられた医療行為に起因する事故は、1296件(前年比182件増)で、死亡事例は152件(同9件増)。発生場面では、患者移動中(102件)▽開腹手術(42件)▽内視鏡治療(26件)▽静脈注射(19件)などが多かった。
また「ヒヤリ・ハット」の事例は、1276カ所の医療機関から19万5609件の報告があり、うち患者の生命に影響する間違いに事前に気付いたケースが3155件あった。【清水健二】
毎日新聞 2007年7月19日 東京朝刊
医師不足対策:札幌医大が地域枠 道内勤務条件に奨学金
札幌医大は来春の入試から、深刻化する地方の医師不足対策として、道内の医療機関で9年間勤務することを条件に、在学6年間に生活費など総額1400万円余りの奨学金を支給する地域枠(募集定員5人)を導入する。
同大によると、一般入試の後期日程(募集定員20人)を廃止して、5人を地域枠とし、残る15人を前期日程(同75人)に変更する。地域枠の出願資格は「道内の高校を卒業する現役か1浪」「校長が推薦する者」。大学入試センター試験の受験(5教科7科目)も必要となる。卒業後、4年間の研修と5年間の実習の計9年間、道内の医療機関に勤務すれば、奨学金の返済を免除する。奨学金は入学金(28万2000円)のほか、年間授業料(53万5800円)と生活費(月額15万円)で、道が今秋までに最終決定する。
医師不足への対応としては、旭川医大も来春入試から地域枠(定員10人)を導入、奨学金支給について検討している。【千々部一好】
毎日新聞 2007年7月20日 0時58分
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