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うるま市決起大会/なぜ民意に耳ふさぐか

2010年03月28日 | スクラップ

 2010年3月27日 10時03分     
 


 

 本気なのだろうか。どうも現実味を感じない。

 米軍普天間飛行場の移設問題を沖縄県内だけで処理しようとすればするほど、政府は自ら迷路の深みにはまっていくように見える。いま報じられている政府案について、仲井真弘多知事が「無理筋」だと批判する感覚がむしろ普通だろう。

 うるま市の勝連沖を埋め立て人工島を造る案に対し、地元は猛反発している。この一点だけでも政府案の筋の悪さが際だち、現実味がうせる。いまどき住民反対を押し切って軍事施設を建設できるのか、ということだ。

 同市きむたかホールで25日夜、「うるま市民総決起大会」が開かれた。市民らの呼びかけで、急な取り組みにもかかわらず立ち見席も埋まるほど満場のホールは熱気にあふれた。

 島袋俊夫市長は参加しなかったが、反対メッセージを寄せ、漁協も「豊かな海の資産を守る」と決意を表明するなど、地元の結束を確認し合った。苦しんでいるのはむしろ政府であることを実感させる集会だった。

 婦人代表はやんわりと、「名護市民は海を守りました。今度は私たちの番です、がんばりましょうね」と呼びかけ、指笛と拍手が沸いた。

 重く響いたのは、壇上に立った86歳男性の「いまの政治を正しくさせてほしい、と戦死した友人が私に勇気を与える」という言葉だ。戦争の過ちが沖縄基地問題の根源であり、多くの犠牲を強いられた悲劇の連続性を再認識させられる。

 この歴史認識を新政権は共有できるだろうか、と不安を覚える。

 市民集会の数時間前、平野博文官房長官は「政府の責任として、たたかれようが、やらざるを得ない時には決断する」と発言した。

 地元民意を無視しても構わないと言っているようだ。権力を振りかざすやり方こそ歴史の過ちを恐れない愚行だ。

 勝連沖を埋め立てる人工島構想は、稲嶺恵一前知事の時代にも県が検討したが、断念した経緯がある。理由は
(1)財政支出が巨額
(2)自然への負荷が大きい
(3)那覇空港と近く、県が主張した「軍民共用」にそぐわない―だった。

 沖縄の負担軽減は「整理・縮小」が基本であり、埋め立て地の「新規提供」を真剣に考える政治センスがおかしい。平野長官が言う「政府の責任」とはいったい誰への責任なのだろうか。

 本末転倒、「無理筋」なのは明白だ。

 米軍駐留の原因をつくった過去の過ちと結果責任をなぜ沖縄に押し込めておくのだろうか。

 橋本政権時の官房長官だった故・梶山静六氏は、「あれほど多くの米軍基地が集中することを政府は説明できない」と漏らしたことがある。問題の本質に向かい合う政治家の言葉に重みを感じた。

 現政権からそうした真摯(しんし)な態度が見受けられないのが残念だ。政権交代に期待した分、民主党への失望は大きい。

 何度でも問いたい。なぜ沖縄なのか?

 


沖縄タイムス

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