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コンビニ排除命令 大量廃棄も考え直そう

2009年06月23日 | スクラップ




 弁当などの値引きを加盟店に認めなかったコンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンが、公正取引委員会から独占禁止法違反(不公正な取引方法)で排除措置命令を受けた。取引上の優越的な地位を乱用し、消費期限が近づいた弁当やおにぎりを値引きする「見切り販売」を不当に制限したとの判断だ。

 公取委は02年に「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」という指針で、値引きの制限を禁じた。このため、セブンも表向きは「値引きはコンビニになじまないが、最終的には加盟店が決めること」との考えを示してきた。しかし、実際は値引きする時に本部への報告や相談を求め、その際に契約の打ち切りをにおわせるなど圧力をかけてきた。結局、値引きできずに売れ残った弁当などは捨てるしかなく、食べ物の大量廃棄という問題も浮かび上がらせた。

 公取委の命令は、経営の自由を縛る一方で、売れ残り商品の原価や廃棄の費用を店側にすべて負担させるゆがんだ取引関係を正すものだ。セブンだけでなく業界の慣行になってきただけに、全国の4万店を超えるコンビニで今後、スーパーや百貨店と同じように値引き販売が広がるだろう。これを機に「もうかるのは本部ばかり」という取引関係を根本的に見直すことも必要になる。

 ただ、値引きが許されても廃棄はそんなに減らないかもしれない。1円に値引きして店主が買い、売り上げに計上した後に捨てる「1円廃棄」が、経営改善の裏ワザとして一部で行われていたが、今後どんどん広がる心配がある。日本では世界の食糧援助量の3倍以上、年間2000万トン近い食品廃棄物が生み出されている。コンビニでは1店当たり年間20~30トンとも言われる。

 大量の廃棄と裏表の関係にあるのは、いつでも新しい商品がたくさん並ぶコンビニの利便性だ。業界関係者は「ライフスタイルの変化に合わせ、24時間常に新しいものを提供してほしいというニーズが廃棄を生んでいる」と強調するが、ただの自己弁護と切り捨てられない。

 加盟店を不当に縛るビジネスは問題だが、食べ物を粗末にする業態も長続きするとは思えない。コンビニ各社は家畜の飼料へのリサイクルなどに取り組んでいるものの、世界の飢餓人口が初めて10億人を超えた厳しい現実を思えば胸を張れるようなことではない。1日に何度も商品を店頭に送って購買意欲を刺激するようなシステムを各社が見直すのはもちろんだが、消費者も常に新しい商品がたくさん並んでいる光景が豊かでいいことなのだ、という考えを改める時に来ているだろう。


 

毎日新聞 2009年6月23日 0時08分

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