Luna's “Tomorrow is another day”

生活情報、人間、生きること…。新聞記事から気になる情報をスクラップ!

原発事故が露わにした日本という国

2011年03月30日 | スクラップ






今日の毎日新聞から気になったニュース、コラムをピックアップしてみた。



---------------

 

■すべて想定されていた=福岡賢正(西部報道部)
 

 原発事故の報道に強烈な居心地の悪さを感じている。その理由を突き詰めていくと、メディアが安易に使う「想定を超えた」という言葉のせいだと思い至る。眼前で今起きている事態は本当に想定外だったのか。
 
 《最大の水位上昇がおこっても敷地の地盤高(海抜6m以上)を越えることはないというが、1605年東海・南海巨大津波地震のような断層運動が併発すれば、それを越える大津波もありうる
 
 《外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような事態がおこりかねない》
 
 《炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される》
 
 《4基すべてが同時に事故をおこすこともありうるし(中略)、爆発事故が使用済み燃料貯蔵プールに波及すれば、ジルコニウム火災などを通じて放出放射能がいっそう莫大(ばくだい)になるという推測もある》
 
 
 すべて岩波書店の雑誌「科学」の1997年10月号に載った論文「原発震災~破滅を避けるために」から引いた。筆者は地震学の権威、神戸大の石橋克彦氏。つまり今回起きたことは、碩学(せきがく)によって14年も前に恐ろしいほどの正確さで想定されていたのだ。
 
 石橋氏はその後も警鐘を鳴らし続け、05年には衆院の公聴会でも同様の警告を発している。電力会社や原子力の専門家たちの「ありえない」という言葉を疑いもせず、「地震大国日本は原子力からの脱却に向けて努力を」との彼の訴えに、私たちメディアや政治家がくみしなかっただけなのだ。
 
 05年の公聴会で石橋氏はこうも警告している。日本列島のほぼ全域が大地震の静穏期を終えて活動期に入りつつあり、西日本でも今世紀半ばまでに大津波を伴う巨大地震がほぼ確実に起こる、と。
 
 
 
 
毎日新聞 2011年3月29日 0時01分
 
 
 

 
■史書にあった「想定」
 
 
 「流光昼のごとく」とあるから、何かが光ったらしい。これが日本の地震で発光現象があったという最古の記録だそうだ。貞観11(869)年5月26日夜、陸奥国を襲った貞観地震と大津波のすさまじさは「日本三代実録」が記している。

 多賀城の城郭や倉庫も崩れたものが数知れない。雷鳴のような音と共に海があふれ出して陸に入り、城下まで至った。水はその果てが分からないほど広がり、原野や道は大海原のようになった。船に乗るいとまもなく、山に登るにも間に合わず、千人が溺死した……。
 
 まるで今度の大津波を思わせる記述である。最近の専門家の調査によると、この時仙台平野や福島県北部では内陸の数キロまで津波が押し寄せたことが堆積(たいせき)物の分析で分かっている。また同規模の津波は450~800年に1度の割合で起こっていた可能性も浮かんだ。
 
 このような知見は一昨年には原発の耐震性再評価をめぐる経済産業省の審議会で報告されたという。だが東京電力が今回の福島第1原発の異常事態を「想定外の津波」によるものと説明しているのはご存じのとおりだ。悪いのは想定を裏切る自然だといわんばかりだ。
 
 牛のまねをしようと体をふくらませて破裂したイソップのカエルは、自分の身の丈でしか相手の大きさを推し量れなかったために破滅した。自然の力を人間の都合に合わせて見くびった「想定」のあげくに今般の破局をもたらした人々はむろんそのカエルを笑えない。
 
 危機への対処が長期にわたりそうな今は、あらゆるアイデアや手段を結集せねばならない。自分らの都合で事態を甘く見積もる勝手は今度こそ許されない。
 
 

 
毎日新聞 2011年3月29日 0時02分
 
 
 
 
 
■福島第1原発:東電社長「雲隠れ」と批判…米紙
 
 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は29日、「経営者が雲隠れ」との見出しで、福島第1原発事故発生から2日後の13日以降、公の場に姿を見せていない東京電力の清水正孝社長を批判する記事を掲載した。
 
 同紙は、問題が起きた際に連絡が取れなくなるのは、日本の経営者や政治家によくあることだと指摘。その上で、社長の行動を「理解できない」とする西岡武夫参院議長の発言や、メディアの間で社長の刑事責任を問うよう求める意見が出ていることを例に挙げ、批判が強まっていることを伝えた。
 
 記事は「誰もが清水社長は辞任することになると思っている」と指摘する一方で、「電力会社と政治家、原子力規制当局の緊密な関係を引き離さなければ解決にはつながらない」とする日本国民の声を紹介した。
 
 東電は27日、清水社長が16日に過労から体調を崩し、政府・東電の統合連絡本部を数日間離れていたことを明らかにした。現在は同本部に復帰したとしている。(共同)
 
 
 
 
毎日新聞 2011年3月29日 18時08分
 
 
 
 
 



■福島第1原発事故 放射性物質、スリーマイルの19万倍--米団体試算
 

 東京電力福島第1原発の事故で放出された放射性物質の量は、1979年に発生した米国のスリーマイル島(TMI)原発事故で放出された量の14万~19万倍に上るとの試算を米国の市民団体、エネルギー環境調査研究所(IEER)のグループが29日までにまとめた。
 

 IEERのアージャン・マキジャニ所長は「事故の深刻度の国際評価尺度で、TMI事故と同じレベル5だとする日本の公式見解は、多くの誤解を招くものだ」と批判。評価尺度はより深刻なレベル6に当たると指摘した。
 
 IEERによると、事故でこれまでに環境中に放出されたヨウ素131の量は240万キュリー(1キュリーは370億ベクレル)と推定され、これだけでTMI事故の放出量の14万倍。これに加えて、放射性のセシウム134とセシウム137が計50万キュリー程度放出されたとみられ、合わせると放出量は19万倍に達する。
 
 IEERによると、放射性ヨウ素もセシウムの量も旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で放出された量の10%程度。だが、チェルノブイリ事故の放出源は原子炉1基だけだったのに対し、福島の事故の場合、三つの原子炉と四つの使用済み燃料プールが放出源になったとみられ、半減期が約30年と長く、体内に取り込まれやすいセシウム137の量も多いため、環境への影響が長く続くことが懸念される。
 
 
 
毎日新聞 2011年3月29日 東京夕刊
 
 
 
 
 


■福島第1原発事故 原子力行政を非難 前福島県知事、仏紙取材に
 

「無分別から破局」
 
 【パリ共同】福島県の佐藤栄佐久前知事は29日付フランス紙ルモンドのインタビューで、福島第1原発の事故について、原発の運営に関わった人間の「無分別がもたらした破局だ」として東京電力や日本の原子力行政当局を強く批判した。
 
 

 佐藤氏は福島県知事時代の98年、全国で初めてプルサーマル計画を了承。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が福島第1原発に搬入されたが、02年に東電の原発トラブル隠しが発覚、了承を撤回した経緯がある。
 
 佐藤氏は「(今回の事故で)恐れていたことが現実になってしまった」と指摘。日本の原発行政を推進する経済産業省と監視機関の原子力安全・保安院を分離すべきだとの声があったのに実現していないことを挙げて「日本は民主国家だが、浸透していない分野がある。正体不明の利益に応じて、数々の決定がなされている」と原子力行政の不透明性を暴露した。
 
 また「今回の破局は(原発に関する)政治決定プロセスの堕落に起因している」と指弾した。
 
 
 
 
毎日新聞 2011年3月29日 東京夕刊
 
 
 

 
 

■東電、仏に支援要請
 

 東京電力が福島第1原発の事故で、フランス電力(EDF)や核燃料会社アレバ、原子力庁などフランスの原子力関連企業・機関に支援を要請したことが分かった。ベッソン産業・エネルギー・デジタル経済担当相が28日、ラジオ番組で明らかにした。
 
 29日付フランス紙ルモンドによると、アレバは事故発生直後から東電側と連絡を取り合っていたが、事態が急展開したのは「この36時間」としており、26日ごろに緊急要請があったことを明らかにした。
 
 同紙は「東電が原発事故の統御不能に陥った可能性」との見出しを掲げ、事態を深刻視している。
 
 ベッソン担当相は「東電からの(フランス各機関に対する)支援要請は(事故発生後)初めて」と述べた。EDFは18日、専門家の派遣や原発事故に対応するロボットを含む資材130トンの搬送など独自の救援計画を発表。だが、ルモンド紙によると日本側はこれを拒否したという。
 
 フランスは日本の原子力業界と関係が深く、アレバは日本の電力会社の委託でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の加工を請け負っている。福島第1原発3号機で現在使われているMOX燃料は、1999年にフランスから運ばれた。(パリ共同)
 
 

 
毎日新聞 2011年3月28日 20時05分(最終更新 3月29日 3時39分)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 人権と外交:死刑は悪なのか 2 | トップ | 原発を容認していたわたしたち »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

スクラップ」カテゴリの最新記事