親父が退職金を頭金にして、年金でローンを支払っているマンションに、俺は親と同居している。
ところで、このマンションは1所帯の各部屋に電話回線のモジュラーがあり、どのモジュラーにも電話を繋げるようになっている。
おかげで、居間に1台、妹の部屋に1台、俺の部屋に1台とうちには電話機が3台もある。だが、電話回線の契約は1契約きりなので、3台同時に電話はできない。どれか1つの電話を使用中のときは、他の電話からは電話がかけられないのだ。
「お兄ちゃん、電話」
妹が、居間の電話を取り、部屋で寝ていた俺に友人からの電話だと知らせた。
「あぅたー(あーわかった)」
時計を見ると、午前10時40分。
今日は昼前に友人と会う約束をしたが、少し早くねーかと思いながら、自分の部屋の電話の受話器を取る。
受話器を取るとノイズがすごい。居間の電話の受話器と、俺の部屋の受話器が干渉してガーガーピーピーいってる。ノイズごしに友人の声が聞こえる。
「どうも、おはようございます」
「どぉも、おはよぉござぃぁす」
言うことも思いつかないのでオウム返しに言葉を返す。
「そろそろ、家を出ようかと思いましてね」
「あぅぁー」
どうやら本当に来る気らしい。来るなら来やがれ。
「じゃあ今から行きますので、それで・・・・・」
グワチャン!!
ものすごい勢いで受話器を切る音が聞こえた。
うちの妹が、居間の電話の受話器を切ったのだ。
電話は3つだが、回線は1つなのでどの電話も同調している。
雑音さえ気にしなければ3人同時に同じ相手と通話する事も可能だ。
うちの妹が受話器を投げ捨てるようにして居間の電話を切った。
それだけの事だったんだが、友人にはリアルな電話を切る音に聞こえたらしい。まだ俺は繋がってんのに、すでに電話先に友人はおらず受話器は「ツー・ツー・ツー」といっている。
居間の電話を切る音を、俺が電話を切った音と早とちりして、友人はとっさに電話を切っちまったらしい。
あぁーめんどくせぇなぁ。
「もっと静かに受話器を置けよ!」
妹にそれだけ言って、これ以上はクドクド言うまいと自分に言い聞かせ、居間の電話で「着信履歴」を調べようとしたが、ふだん使わない電話なので使い方が分からない。親父に聞いたら「書いてあるだろ!」と怒られた。あぁ、確かに「着信履歴」と書かれた小さいボタンがある。
友人は、どっから電話してきたんだろう。アパートか、実家か、公衆電話からか? 信じないかもしれないが、友人は「携帯電話」を所有していない。そういう男なのだ。
友人からかかってきた番号に電話すると、聞きおぼえのある友人の母親の声が聞こえた。実家から電話してたのか。
「あの、内山ですけど、間違えて電話を切ってしまったようで・・・」
こちらの電話回線の都合を説明するのも面倒くさいので、そう言うと、たったいま友人は家を出たとの事。
あー、待ち合わせの場所も決めてないのに家を出たんだ。早とちりな上にせっかちだ。
うちのマンションはオートロックで部外者は勝手に入れない。それで、今までは待ち合わせ場所を決めてむかえに行っていた。
携帯があるなら「いま着いた」でむかえに行けるが、ないから待ち合わせしか方法がない上に、待ち合わせのポイントは2ヶ所ある。さて、どっちで待っていれば良いものだか。友人はどこへ行くのもチャリなので、到着時間も読みにくい。それに、いきなり電話を切られたと怒っているかもしれない。
まるで創作のような話だけど、ほとんど事実なので俺はめんどくさいのだ。
会えたから続きがないんだな きっと。
ごめんなさい。
なんとなくブックマークしちゃいました(笑
会えましたよ。会って、駅前の日高屋でラーメン食ってから、自宅のテレビ代わりの Windows にプレイステーションをつないで昼間からビール飲みながらゲーム。日々の労働の疲れが出て互いにゲームの途中で眠りこけ、飽きたので解散。
友人は37才で、俺も今年で37才。いい大人がなにしてるんだかなんて、なるべく思わないようにしています。
いや、こちらこそすいません。昔は、トラック・バック下さった方には、なるべく相手の方のページにコメントで返礼をするようにこころがけていたのですが、最近はスパムも多いのでトラック・バックには無反応で過ごしていました。
ブラインド・タッチの練習がんばって下さいね。極めると盲パイの時に有利だったり、かっこよかったりします。