「確かに言葉の頭に、愛をつけるとなんとなくおさまってまとまっちまうな」
「そう。一見、愛とは無関係と思われる言葉ですら、頭に愛をつける事で、とたんに愛の言葉にはやがわりしてしまう。例えば一方通行」
「愛の一方通行」
「順路記号」
「愛の順路記号」
「東京特許許可局!」
「愛の東京特許許可局!」
「な。なんとなく、どの言葉もそこはかとなく愛の気配をただよわせじめはしないか?」
「あぁ。無味乾燥な言葉が、とたんに愛の駆け引きを思わせるアンニュイな言葉に変換されちまうな。なんとなく意味深でムラムラしてくる。抜いていいかい?」
「駄目だよ。でも、そんな状況を打破し、徹底的に愛が似合わない言葉を見つけ出して表彰しちまおうてのが愛の似合わない言葉選考委員会の任務なのだ!意図としては聞く者にありえねーという違和感を与えられれば大成功だ」
「難しいな。人名と地名はまず無理だろう。あのフセインすら、愛のフセインとすると何となく艶やかな響きを持つもんな。愛の江頭24時はどうだ?」
「江頭2:50だろ。警視庁24時じゃないんだから」
「愛の警視庁24時」
「駄目だよ!もっと軽やかに飛躍しないと、愛が似合わない言葉は見つからないよ!」
「愛のウマから落ちて落馬して。
愛のカッパの川流れ
愛の二階から目薬
愛の夜に口笛ふくと蛇が来る」
「ことわざや格言や重文は、反則だっての!」
「愛のネコのひたい」
「あぁ。それはなんでってかんじだよね。いちおう選考に入れよう。でももう一歩インパクトにかけるな」
「愛のセカンドインパクト
愛のセカンドチルドレン
愛のセコンド
愛のテコンドー
愛の文明堂
愛の堂々巡り」
「うーん。いまいち。どれもふつーに愛を受け入れちゃってるよ」
「愛を絶対に受け入れないもの。そこに答えがあるんだな?」
「あるかもしれんねー」
「愛の別れ話。愛の破談。愛の成田離婚。愛の離縁状。愛の避妊。愛の中絶。愛の明るい家族計画。愛の親の決めた結婚相手。愛の集団見合い。愛の合コン。駄目だ!どれも真実の愛からほど遠いような気もするのに、すんなりと愛を受け入れちまう」
「ムズイだろ。でも必ず答えはあるはずなんだ」
「愛の反対語ってなんだ?」
「反対語はないだろ」
「愛の賛成の反対。愛の解体。愛の一向一揆。愛のフランス革命。愛のオスカル」
「全ての愛を忘れて、無我に走るとそこに答えがあるかもしれん」
「愛の無意識。愛の無我夢中。愛の五里霧中。愛の日進月歩。愛の座禅。愛の便所掃除。愛の無神論」
「だめだね。ぜんぜんでてこないじゃん。君って以外と期待はずれってゆーか。ま、君は本来こんなもんだしね」
「クソ、待てよ!待ってくれ。きっとある。愛が確実に似合わない言葉が」
「どんな?」
「形容詞だろうな。愛という概念と造反する形容詞」
「で、どんなだ?」
「プチとか極小かな。愛は広くわけへだてなくだもんだ。だから、さっきの愛のネコのひたいが変に響くんだ。しかし、範囲をくわしく狭く固定すると愛も固定すんな。愛の1ミリ。愛の四畳半。愛の押し入れ。愛の三角コーナー」
「愛は早くもあり遅くもあるからな。時間系の形容詞も駄目だろ」
「愛の手抜き」
「愛の手抜きじゃ、ありえるだろ」
「愛の手抜き工事!
で、どうだっ!」
「おっ!いいじゃん。もう今夜はこのへんだな。愛情こめて工事したのなら手抜きはありえないでしょって、ツッコミを聞く者にさそうもんな。じゃあ、今年度の愛が似合わない言葉大賞はソレでいくか」
「待て!まだ身近でためしてない言葉が」
「なに?」
「愛の内山憲久」
二人同時に叫ぶ。
「ありえねー!」
内山憲久に愛は似合わない。
「そう。一見、愛とは無関係と思われる言葉ですら、頭に愛をつける事で、とたんに愛の言葉にはやがわりしてしまう。例えば一方通行」
「愛の一方通行」
「順路記号」
「愛の順路記号」
「東京特許許可局!」
「愛の東京特許許可局!」
「な。なんとなく、どの言葉もそこはかとなく愛の気配をただよわせじめはしないか?」
「あぁ。無味乾燥な言葉が、とたんに愛の駆け引きを思わせるアンニュイな言葉に変換されちまうな。なんとなく意味深でムラムラしてくる。抜いていいかい?」
「駄目だよ。でも、そんな状況を打破し、徹底的に愛が似合わない言葉を見つけ出して表彰しちまおうてのが愛の似合わない言葉選考委員会の任務なのだ!意図としては聞く者にありえねーという違和感を与えられれば大成功だ」
「難しいな。人名と地名はまず無理だろう。あのフセインすら、愛のフセインとすると何となく艶やかな響きを持つもんな。愛の江頭24時はどうだ?」
「江頭2:50だろ。警視庁24時じゃないんだから」
「愛の警視庁24時」
「駄目だよ!もっと軽やかに飛躍しないと、愛が似合わない言葉は見つからないよ!」
「愛のウマから落ちて落馬して。
愛のカッパの川流れ
愛の二階から目薬
愛の夜に口笛ふくと蛇が来る」
「ことわざや格言や重文は、反則だっての!」
「愛のネコのひたい」
「あぁ。それはなんでってかんじだよね。いちおう選考に入れよう。でももう一歩インパクトにかけるな」
「愛のセカンドインパクト
愛のセカンドチルドレン
愛のセコンド
愛のテコンドー
愛の文明堂
愛の堂々巡り」
「うーん。いまいち。どれもふつーに愛を受け入れちゃってるよ」
「愛を絶対に受け入れないもの。そこに答えがあるんだな?」
「あるかもしれんねー」
「愛の別れ話。愛の破談。愛の成田離婚。愛の離縁状。愛の避妊。愛の中絶。愛の明るい家族計画。愛の親の決めた結婚相手。愛の集団見合い。愛の合コン。駄目だ!どれも真実の愛からほど遠いような気もするのに、すんなりと愛を受け入れちまう」
「ムズイだろ。でも必ず答えはあるはずなんだ」
「愛の反対語ってなんだ?」
「反対語はないだろ」
「愛の賛成の反対。愛の解体。愛の一向一揆。愛のフランス革命。愛のオスカル」
「全ての愛を忘れて、無我に走るとそこに答えがあるかもしれん」
「愛の無意識。愛の無我夢中。愛の五里霧中。愛の日進月歩。愛の座禅。愛の便所掃除。愛の無神論」
「だめだね。ぜんぜんでてこないじゃん。君って以外と期待はずれってゆーか。ま、君は本来こんなもんだしね」
「クソ、待てよ!待ってくれ。きっとある。愛が確実に似合わない言葉が」
「どんな?」
「形容詞だろうな。愛という概念と造反する形容詞」
「で、どんなだ?」
「プチとか極小かな。愛は広くわけへだてなくだもんだ。だから、さっきの愛のネコのひたいが変に響くんだ。しかし、範囲をくわしく狭く固定すると愛も固定すんな。愛の1ミリ。愛の四畳半。愛の押し入れ。愛の三角コーナー」
「愛は早くもあり遅くもあるからな。時間系の形容詞も駄目だろ」
「愛の手抜き」
「愛の手抜きじゃ、ありえるだろ」
「愛の手抜き工事!
で、どうだっ!」
「おっ!いいじゃん。もう今夜はこのへんだな。愛情こめて工事したのなら手抜きはありえないでしょって、ツッコミを聞く者にさそうもんな。じゃあ、今年度の愛が似合わない言葉大賞はソレでいくか」
「待て!まだ身近でためしてない言葉が」
「なに?」
「愛の内山憲久」
二人同時に叫ぶ。
「ありえねー!」
内山憲久に愛は似合わない。
いや、うそ。なにもない日々がたんたんと続いております。