時は西暦2018年。
俺の名前は木村実。
改造人間な上にヒーローだ。
変身すると「猛牛ライダー・アカベコン」となる。よろしく。
アカベコン専用バイクの「スーパー・アカブ」で街をパトロール中に福島博士からの緊急連絡が携帯に届いた。キップを切られるのもイヤなので路肩に原付を止めて受信する。
「悪の組織が、幼稚園バスをジャクした。至急現場に向かわれたし。住所は・・・・」
メールでもすみそうな内容をわざわざ口頭で命令する博士を無視して、さっさと現場に向かう。
スーパー・アカブは、ホンダ・スーパーカブを適当にカスタム・アップしているので、平地なら65キロまで出るスーパー・マシンだ。
ポ・ロ ロ ロ ロッ!
エンジン快調!
瞬く間まではいかないが、車をすり抜け50分ほどで現場に到着。
現場では、2台の白いチャリと2人の派出所警官がバスを包囲していた。
「状況は?」
聞くと、年配の警官が答える。
「あら、ヒーローの方ですか。だとすると、スポンサーからの提供はおりたのでしょうか?」
「提供は聞いていない、とりあえず行けと命令されたので来た!」
とうとう最近の日本じゃ警察までも民営化されて、スポンサーがいなけりゃなにもしない。今頃は、幼児の親達が、スポンサー集めに必死だろう。
バス・ジャクされたバスの園児達の親が、うまくスポンサーを集めてテレビ局を誘導してくれれば良いが、とにかく報酬の見込みのない現在の膠着状態では動く事すらできない。テレビに放映されないヒーローの活躍なんか一文の価値もない。
「じつは、犯人って1人なんですよ。ほら、窓際で背中を向けてタバコすっているでしょ。撃って良いでしょうか?」
もう1人の若い警官が俺に尋ねる。
「やめなさい。カメラのない所で撃ったら面倒な事になる。犯人にだって人権はある」
バスの中の犯人がその時振り向いた。俺をヒーローだと認識して、ノロノロと座席から立ち上がり、手をあげてバスから出て来た。
「俺は平和主義者だ! ちゅーか痛いのはきらいだ!!」
犯人は、黒いTシャツに黒い短パンで坊主がり、メガネで、額に油性のマジックで「怪人」と書いてある。あまりにひどい怪人だ。こんなのかっての「戦闘員」のレベルにすらたっしていない。
「俺は、怪人ウチヤマ男だ。この書類にサインしてくれ、これはたんなる組織への報告書だ。明日は6時からパン屋のバイトなんで早く帰って寝たいんだ!」
なんだ、バイトの怪人か。そういうことならとサインして返す。
「いいんですか? 世界征服を狙う悪の組織の怪人ですよ!」
若い警官が問うが、俺は無言でバイクにまたがって去る。
俺の名前は木村実。
改造人間な上にヒーローだ。
変身すると「猛牛ライダー・アカベコン」となる。よろしく。
アカベコン専用バイクの「スーパー・アカブ」で街をパトロール中に福島博士からの緊急連絡が携帯に届いた。キップを切られるのもイヤなので路肩に原付を止めて受信する。
「悪の組織が、幼稚園バスをジャクした。至急現場に向かわれたし。住所は・・・・」
メールでもすみそうな内容をわざわざ口頭で命令する博士を無視して、さっさと現場に向かう。
スーパー・アカブは、ホンダ・スーパーカブを適当にカスタム・アップしているので、平地なら65キロまで出るスーパー・マシンだ。
ポ・ロ ロ ロ ロッ!
エンジン快調!
瞬く間まではいかないが、車をすり抜け50分ほどで現場に到着。
現場では、2台の白いチャリと2人の派出所警官がバスを包囲していた。
「状況は?」
聞くと、年配の警官が答える。
「あら、ヒーローの方ですか。だとすると、スポンサーからの提供はおりたのでしょうか?」
「提供は聞いていない、とりあえず行けと命令されたので来た!」
とうとう最近の日本じゃ警察までも民営化されて、スポンサーがいなけりゃなにもしない。今頃は、幼児の親達が、スポンサー集めに必死だろう。
バス・ジャクされたバスの園児達の親が、うまくスポンサーを集めてテレビ局を誘導してくれれば良いが、とにかく報酬の見込みのない現在の膠着状態では動く事すらできない。テレビに放映されないヒーローの活躍なんか一文の価値もない。
「じつは、犯人って1人なんですよ。ほら、窓際で背中を向けてタバコすっているでしょ。撃って良いでしょうか?」
もう1人の若い警官が俺に尋ねる。
「やめなさい。カメラのない所で撃ったら面倒な事になる。犯人にだって人権はある」
バスの中の犯人がその時振り向いた。俺をヒーローだと認識して、ノロノロと座席から立ち上がり、手をあげてバスから出て来た。
「俺は平和主義者だ! ちゅーか痛いのはきらいだ!!」
犯人は、黒いTシャツに黒い短パンで坊主がり、メガネで、額に油性のマジックで「怪人」と書いてある。あまりにひどい怪人だ。こんなのかっての「戦闘員」のレベルにすらたっしていない。
「俺は、怪人ウチヤマ男だ。この書類にサインしてくれ、これはたんなる組織への報告書だ。明日は6時からパン屋のバイトなんで早く帰って寝たいんだ!」
なんだ、バイトの怪人か。そういうことならとサインして返す。
「いいんですか? 世界征服を狙う悪の組織の怪人ですよ!」
若い警官が問うが、俺は無言でバイクにまたがって去る。
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